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No.128
更新日 2025年08月31日

AIDMA(アイドマ)とは?マーケティングの基礎となる消費者購買行動モデルを徹底解説

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「なぜこの施策は響かないのだろう?」と悩んでいませんか。その答えは、マーケティングの原点「顧客心理」にあるかもしれません。今回ご紹介する「AIDMA(アイドマ)の法則」は、人が商品を知り、購入に至るまでの心の動きを捉えた、普遍的なフレームワークです。「古いモデルでは?」と思われがちですが、その本質は現代のあらゆる施策の土台となります。

本記事では、AIDMAの基本から最新の活用事例、AISASとの違いまでをわかりやすく解説。明日からのマーケティングが、もっと的確に変わるヒントがここにあります。

AIDMAの法則とは?

AIDMAの法則は、消費者が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの心理プロセスを、5つの段階の頭文字で表したものです。

  1. Attention(注意)
  2. Interest(関心)
  3. Desire(欲求)
  4. Memory(記憶)
  5. Action(行動)

それぞれの段階で消費者がどのような心理状態にあるのか、企業はどのようなアプローチをすべきなのかを具体的に見ていきましょう。

Attention(注意):顧客に存在を知ってもらう

最初のステップは、そもそも自社の製品やサービスの存在を知ってもらう段階です。どんなに良い商品でも、知られなければ購入には繋がりません。ここでは、まずターゲット顧客の「注意」を引くことが最重要となります。テレビCMやWeb広告、SNS広告などがこの段階の代表的な施策です。

Interest(関心):興味を引き、自分事化してもらう

次に、注意を引いた顧客に「これは自分に関係があるかもしれない」と興味を持ってもらう段階です。ただ知っているだけでなく、「もう少し詳しく知りたい」と思わせることがゴールになります。オウンドメディアのブログ記事やSNSでの情報発信を通じて、商品の特徴や顧客にとってのメリットを伝えます。

Desire(欲求):欲しいと思わせる

関心を持った顧客に対し、「これを手に入れたい!」という具体的な欲求を喚起する段階です。顧客がその商品を使うことで得られる未来(ベネフィット)を想像させ、購入への気持ちを後押しします。利用者の声(レビュー)を提示したり、無料サンプルを提供したりする施策が有効です。

Memory(記憶):思い出してもらう、忘れさせない

「欲しい」と思っても、すぐに購入に至らないケースは少なくありません。その間に忘れられてしまわないよう、顧客の記憶に残り続けるためのアプローチが必要です。一度サイトを訪れた人に再度広告を表示するリターゲティング広告や、メルマガによる定期的な情報提供で、ブランドを思い出してもらいます。

Action(行動):購入してもらう

最後のステップは、いよいよ購入(行動)してもらう段階です。顧客が「買おう!」と決意したときに、スムーズに購入できる環境を整えることが重要です。ECサイトの購入ボタンを分かりやすくしたり、初回購入割引クーポンを配布したりするなど、購入のハードルを下げる工夫が求められます。

【具体例で学ぶ】AIDMAを活用したマーケティング事例

理論だけではイメージしにくいかもしれません。ここでは、BtoCとBtoBの具体的な事例をAIDMAのフレームワークに当てはめて見ていきましょう。

BtoCの事例:コカ・コーラ「檸檬堂」の戦略

今やレモンサワーの定番となった「檸檬堂」のヒットには、AIDMAに基づいた効果的な戦略がありました。

AIDMAの段階具体的なマーケティング施策(檸檬堂の例)
Attention (注意)・発売前に「日本初」のレモンサワー専門ブランドとして告知。
・当初は九州限定で発売し、希少性を演出して全国の注目を集めた。
Interest (関心)・「お店の本格的な味」「こだわりの『前割りレモン製法』」といった品質の高さを訴求し、お酒好きの消費者の関心を惹きつけた。
Desire (欲求)・複数のフレーバーを展開し、選ぶ楽しさを提供。
・SNSでの「飲み比べが楽しい」といった口コミを拡散させ、「飲んでみたい」という欲求を喚起した。
Memory (記憶)・印象的なテレビCMを全国で放映し、「檸檬堂」という覚えやすいブランド名を消費者の記憶に定着させた。
Action (行動)・満を持して全国のコンビニやスーパーで一斉販売を開始。
・消費者が「買いたい」と思った瞬間にいつでも購入できる体制を整えた。

このように、各段階で消費者の心理に合わせた的確なアプローチを積み重ねることで、大きなヒットへと繋げたのです。

BtoBの事例:展示会におけるリード獲得戦略

法人向けの製品やサービスを扱うBtoBマーケティングにおいても、AIDMAは有効です。IT系の展示会におけるリード獲得戦略を例に、各段階でどのようなアプローチが有効かを見てみましょう。

AIDMAの段階具体的なマーケティング施策(展示会の例)
Attention (注意)・遠くからでも目を引くブースデザインや、大きなキャッチコピーの看板を設置し、多くの来場者の注意を引く。
Interest (関心)・製品デモやミニセミナーを実施し、足を止めた来場者に「自社の課題を解決できるかも」と興味を持たせる。
Desire (欲求)・ブース内で導入企業の成功事例を紹介し、「導入すればこんな成果が出る」と具体的なメリットを提示する。
・「展示会限定価格」などの限定オファーで、導入への欲求を高める。
Memory (記憶)・名刺交換を行い、製品パンフレットやノベルティグッズを渡すことで、展示会が終わった後も自社を思い出してもらうきっかけを作る。
Action (行動)・後日、メールや電話でフォローアップを行い、アポイントを調整。
・具体的な商談へと繋げ、最終的な契約(行動)を目指す。

このように、展示会という限られた時間と空間の中で、AIDMAのプロセスを意識して来場者を導くことが、商談獲得の鍵となります。

AIDMAはもう古い?現代の主要モデル「AISAS」との違い

AIDMAを学ぶ上で必ずと言っていいほど比較対象となるのが、「AISAS(アイサス)」というモデルです。

AISAS(アイサス)とは?インターネット時代の購買行動モデル

AISASは、インターネットが普及した現代の消費者行動モデルで、以下の5つの段階で構成されます。

  1. Attention(注意)
  2. Interest(関心)
  3. Search(検索)
  4. Action(行動)
  5. Share(共有)

AIDMAとAISASの決定的な違い

AIDMAとAISASの最も大きな違いは、インターネットの普及によって生まれた「Search(検索)」と「Share(共有)」という行動が組み込まれている点です。

現代の消費者は、商品に興味を持つと、購入前に検索エンジンやSNSで自ら情報を検索し、口コミやレビューを比較検討します。そして購入後は、その感想をSNSなどで共有し、その情報がまた別の誰かの購買行動に影響を与えます。AIDMAの「Desire(欲求)」と「Memory(記憶)」のプロセスが、この「Search」と「Share」に置き換わったのがAISASと理解すると分かりやすいでしょう。

どちらのモデルをいつ使うべきか?

「もうAIDMAは古く、AISASだけ考えれば良い」というわけではありません。扱う商材やターゲット顧客によって、どちらのモデルがより適しているかは異なります。

AIDMAモデルが適しているケース

AIDMAは、消費者がWebで深く検索する前に行動が決まりやすい場合に適しています。例えば、店頭で見かけて購入するお菓子や飲料などの衝動買いされやすい低価格商品や、Webでの情報収集よりも看板やチラシが影響しやすいオフライン中心のサービス(近所の飲食店など)が挙げられます。

AISASモデルが適しているケース

AISASは、購入前の情報収集が重要になる場合に適しています。PCや家電、自動車といった高価格で比較検討が重要な商品や、実際に使った人の評価が決め手になりやすい化粧品やサプリメントなど、口コミの影響が大きい商品はAISASの考え方がフィットします。多くのBtoB製品もこちらに該当します。

AIDMAの法則をマーケティング施策に活かすためのポイント

AIDMAを学んだら、次はいかにして日々の業務に活かすかが重要です。

各段階でKPIを設定し、ボトルネックを特定する

自社のマーケティング活動がAIDMAのどの段階で課題を抱えているのかを可視化するために、各段階に対応する指標(KPI)を設定し、効果測定を行いましょう。

AIDMAの段階KPIの例
Attention(注意)広告の表示回数(インプレッション数)、Webサイトへのアクセス数
Interest(関心)記事の読了率、サイトの直帰率、ページの平均滞在時間
Desire(欲求)商品のカート追加率、資料請求数、問い合わせ件数
Memory(記憶)リピート訪問率、指名検索数、メルマガ登録者数
Action(行動)購入数(コンバージョン数)、購入率(CVR)

これらの数値を分析することで、「広告で注目は集めているが、サイトの内容が響かず離脱されている」といったボトルネックが明確になり、改善策を立てやすくなります。

ターゲット顧客の行動を具体的にイメージする

フレームワークに当てはめるだけでなく、ターゲットとなる顧客が、AIDMAの各段階で「いつ、どこで、何を考え、どう行動するか」を具体的に想像してみましょう。「彼はどんなSNSで情報に触れるか?」「彼の購入を後押しする最後の決め手は何か?」といった顧客視点の問いを立てることで、より的確な施策を企画できるようになります。

他のフレームワークと組み合わせて活用する

AIDMAは顧客の心理プロセスを理解するためのものですが、それだけでは十分ではありません。市場環境を分析する「3C分析」や、具体的な施策を考える「4P分析」など、他のマーケティングフレームワークと組み合わせることで、より戦略の精度を高めることができます。

【Q&A】AIDMAに関するよくある質問

Q. AIDMAの提唱者は誰ですか?

A. AIDMAの原型は、1920年代にアメリカの著述家サミュエル・ローランド・ホールが示した「AIDA(Attention, Interest, Desire, Action)」が元になっていると言われています。その後、購買決定には「記憶」の要素も重要であるとして「Memory」が加えられ、「AIDMA」というモデルが形成されました。

Q. AMTULやAIDCAといった他のモデルとの違いは何ですか?

A. AIDCA(アイドカ)は、Desire(欲求)とAction(行動)の間にConviction(確信)が入るモデルです。「この選択は間違いない」という強い納得感が重要な、自動車や住宅のような高額商品向けのモデルと言えます。

AMTUL(アムツール)は、購入後のリピート利用や顧客ロイヤルティに焦点を当てたモデルです。顧客と長期的な関係を築くことが重要な、サブスクリプションサービスや化粧品などの業界で重視されます。

まとめ

この記事では、顧客の購買心理プロセス「AIDMAの法則」を解説しました。AttentionからActionまでの5段階で構成されるこのモデルは、古典的ですが、その本質は時代を超えて通用するマーケティングの土台です。

現代の購買行動モデルAISASとの違いを理解し、自社の商材に合わせて使い分ける視点も欠かせません。各段階でKPIを設定して課題を分析したり、顧客の行動を具体的にイメージしたりすることで、施策の精度は格段に向上します。AIDMAを単なる知識で終わらせず、顧客を深く理解するための「思考の枠組み」として活用し、成果につながる戦略を組み立てていきましょう。

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