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No.138
更新日 2025年09月04日

アポ獲得率が劇的に変わる!顧客が「話を聞きたい」と言い出すトークスクリプトの作り方

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営業の電話で頭が真っ白になったり、お客様への応対にしどろもどろになったり。もし成果が出ずに悩んでいるなら、その原因は会話の「設計図」がないことかもしれません。

「単なる台本でしょ?」と思われがちなトークスクリプトですが、実は成果を安定させ、自信を持って話すための重要なツールです。

本記事では、初心者の方でもすぐ実践できる「成果の出るトークスクリプトの作り方」を5ステップで解説します。明日から使えるテンプレートや例文を参考に、電話への不安を自信に変えましょう。

今さら聞けない!トークスクリプトの3つのメリット

そもそも、なぜトークスクリプトはそれほど重要なのでしょうか。ここでは、導入することで得られる具体的な3つのメリットをご紹介します。

メリット1:営業・応対品質の標準化

トークスクリプトを導入する最大のメリットは、誰が対応しても一定の品質を保てる点にあります。特に、多くの担当者が在籍する部署では、個人のスキルや経験によって顧客対応にばらつきが出がちです。基本的な応対フローや、必ず伝えるべき重要事項などをトークスクリプトとして整備しておくことで、経験の浅い担当者でも安定した対応が可能になり、組織全体の応対品質が向上します。

メリット2:新人教育の効率化

トークスクリプトは、新人教育を効率化するための優れた教材となります。体系化されたスクリプトがあれば、新人はまず何をどのような順番で話せば良いのか、お手本を具体的に学ぶことができます。基礎的な型を身につけることで早期に独り立ちでき、教育する側にとっても指導の負担が軽減され、より個別のフィードバックに時間を割けるようになります。

メリット3:成果の分析と改善が容易になる

「なぜか今月はアポ率が低い」といった問題が発生した際、トークスクリプトがなければ、原因は曖昧な推測で終わってしまいます。トークスクリプトという「共通の型」があることで、成果が出たパターンと出なかったパターンの比較分析が容易になります。具体的なデータを元にした科学的な改善活動が可能になり、PDCAサイクルを回すことで、組織全体の成果を向上させることができます。

【基本の5ステップ】成果につながるトークスクリプトの作り方

それでは、いよいよ具体的なトークスクリプトの作り方を5つのステップに分けて解説します。この通りに進めれば、誰でも成果につながるトークスクリプトの骨子を作成できます。

Step1:目的とゴール(KGI/KPI)を明確にする

最初にやるべきことは、「その電話で何を達成したいのか」という目的とゴールを明確にすることです。ゴールは、最終的な目標であるKGIと、そこに至るまでの中間指標であるKPIに分けて設定すると分かりやすくなります。

シーンKGI(最終目標)の例KPI(中間目標)の例
テレアポ商談化数、受注件数架電数、担当者接続率、アポイント獲得率
インサイドセールス受注金額有効商談化率、ネクストアクション設定率
コールセンター(受信)顧客満足度一次解決率(FCR)、平均処理時間(AHT)
コールセンター(発信)アップセル/クロスセル契約数発信件数、興味喚起率、提案承諾率

Step2:ペルソナ(ターゲット顧客)を具体的に設定する

次に、「誰に話すのか」を具体的にイメージします。これが「ペルソナ設定」です。不特定多数に向けたトークではなく、たった一人の「理想の顧客像」に向けて語りかけるようにスクリプトを作成しましょう。

設定項目設定内容の例(法人営業の場合)
企業情報業界、企業規模、事業内容
担当者情報部署、役職、年齢、担当業務
抱えている課題「コストを削減したい」「業務効率を上げたい」など
情報収集の方法Webサイト、展示会、業界紙など
意思決定のプロセス誰が最終的な決定権を持っているか

Step3:全体の構成(シナリオ)を設計する(PREP法などフレームワークの紹介)

目的とターゲットが決まったら、話の骨格となる全体の構成(シナリオ)を設計します。ここでは、ビジネスシーンで広く活用できるフレームワーク「PREP法」をご紹介します。

PREP法とは?

話の結論から始め、理由、具体例と続き、最後にもう一度結論を述べることで、説得力のある分かりやすい話の構成を作るためのフレームワークです。

構成要素説明
P (Point):結論まず、話の結論・要点を伝えます。
R (Reason):理由なぜその結論に至ったのか、理由を説明します。
E (Example):具体例理由を裏付ける具体的な事例やデータを提示します。
P (Point):結論最後にもう一度、結論を繰り返して念押しします。

この流れに沿って話すことで、相手は話の全体像を把握しやすくなります。

Step4:具体的な会話を一語一句書き出す

シナリオの骨格ができたら、いよいよ具体的なセリフを一語一句書き出していきます。ここでのポイントは、頭の中だけで考えず、実際に声に出しながら書くことです。挨拶から本題、ヒアリング、提案、クロージングまでの流れを、相槌や接続詞も含めて細かく書き出しましょう。

Step5:反論処理・切り返しトークを複数パターン想定する

どんなに準備をしても、お客様の反応は常に想定通りとは限りません。あらかじめ想定される反論と、それに対する切り返しのトークを複数パターン用意しておくことで、心理的な余裕が生まれ、会話をスムーズに進めやすくなります。

よくある反論切り返しトークの例
「今は忙しいので…」「お忙しいところ大変失礼いたしました。ちなみに、明日か明後日でしたら、何時頃がお話ししやすいでしょうか?5分だけお時間をいただければ幸いです。」
「間に合っています」「さようでございますか。皆様そうおっしゃるのですが、実は弊社のサービスには従来にはない特徴がございます。情報収集だけでもいかがでしょうか?」
「資料だけ送っておいて」「かしこまりました。ただ、資料だけではお伝えしきれない部分もございますので、特にどのあたりにご興味をお持ちかお伺いできますでしょうか?」

【シーン別】今すぐ使えるトークスクリプトテンプレート・例文集

ここでは、前述の5ステップを元に作成した、各シーンで使えるトークスクリプトのテンプレートと例文をご紹介します。ご自身の状況に合わせてカスタマイズしてご活用ください。

例文1:営業・インサイドセールス向け(アポイント後の初回商談)

設定項目設定内容
目的顧客の課題を深くヒアリングし、次回提案への期待感を高める。
ペルソナ30代、中堅企業のマーケティング部門マネージャー。
Webサイトからの集客に課題を感じている。

【担当者】
「〇〇様、本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。株式会社△△の山田と申します。本日は30分ほどお時間をいただき、まず弊社のご紹介を5分ほど、その後〇〇様が現在抱えていらっしゃる課題について、ぜひ詳しくお伺いできればと存じます。よろしくお願いいたします。」

(会社紹介・アイスブレイク)

【担当者】
「それでは早速ですが、事前にお送りした資料はご覧いただけましたでしょうか?今回お問い合わせいただいた背景として、特にWebサイトからの集客に課題をお持ちだと伺っております。具体的に、どのような点でお困りかお聞かせいただけますでしょうか?」

【顧客】
「そうなんです。アクセス数はあるのですが、なかなか問い合わせに繋がらなくて…。」

【担当者】
「なるほど、アクセスはあってもコンバージョンに至らない、ということですね。その状況が続くと、広告費の費用対効果も気になりますよね?」

【顧客】
「おっしゃる通りです。上層部からも指摘されていまして…。」

【担当者】
「さようでございますか。もし、弊社のツールを使ってサイトの離脱ポイントを特定し、問い合わせ率を現状の1.5倍に改善できるとしたら、ご興味はおありになりますか?」

例文2:テレアポ向け(新規アポイント獲得)

設定項目設定内容
目的新規顧客とのアポイントを獲得する。
ペルソナ従業員50名規模の製造業、総務部長。コスト削減に関心がある。

【担当者】
「お忙しいところ恐れ入ります。私、株式会社△△の山田と申します。御社の光熱費削減に関する新しいご提案がございまして、総務ご担当の部長様はいらっしゃいますでしょうか?」

(担当者へ取り次ぎ)

【担当者】
「〇〇部長様、お忙しいところ失礼いたします。株式会社△△の山田です。本日は、多くの製造業の企業様で導入いただいている、電気代を平均15%削減できる新電力サービスのご案内でお電話いたしました。
情報提供だけでもと思い、3分ほどお時間をいただけないでしょうか?(結論)」

【顧客】
「うちはもう他社に切り替えてるから間に合ってるよ。」

【担当者】
「さようでございますか!失礼いたしました。皆様そうおっしゃるのですが、実は最近の燃料費高騰を受け、
再度見直しをされる企業様が非常に増えている状況です(理由)。実際に、同規模のB社様では、さらに年間50万円のコスト削減に成功したという実績もございます(具体例)。つきましては、まずは無料の削減シミュレーションだけでもご覧いただきたく、来週あたりに5分だけお時間をいただくことは可能でしょうか?(結論)」

例文3:コールセンター向け(問い合わせ対応・受信)

設定項目設定内容
目的顧客の問い合わせに的確に回答し、問題を解決する。
ペルソナ40代主婦。自社ECサイトで購入した商品の操作方法がわからない。

【オペレーター】
「お電話ありがとうございます。△△オンラインサポートセンター、佐藤が承ります。」

【顧客】
「すみません、先日購入した〇〇の使い方がわからなくて…」

【オペレーター】
「お問い合わせありがとうございます。製品の操作方法についてですね。ご不便をおかけしております。恐れ入りますが、ご本人様確認のため、お名前とご注文番号をお伺いしてもよろしいでしょうか。」

(本人確認)

【オペレーター】
「〇〇様、ご確認ありがとうございます。それでは、具体的にどの操作でお困りか、詳しくお聞かせいただけますでしょうか?」

(状況ヒアリング・傾聴)

【オペレーター】
「なるほど、電源を入れても画面が真っ暗なまま、ということですね。かしこまりました。それでは、本体右側にございますリセットボタンを、5秒ほど長押ししていただけますでしょうか。」

例文4:コールセンター向け(アップセル提案・発信)

設定項目設定内容
目的既存顧客に上位プランを提案し、契約をアップグレードしてもらう。
ペルソナ20代男性、自社の動画配信サービスの標準プランを1年間利用している。

【オペレーター】
「こんにちは、株式会社△△の佐藤と申します。いつも弊社の動画配信サービス『△△TV』をご利用いただき、誠にありがとうございます。現在ご契約中の〇〇様へ、お得なキャンペーンのご案内でお電話いたしました。今、2分ほどよろしいでしょうか?」

【顧客】
「はい、大丈夫です。」

【オペレーター】
「ありがとうございます。〇〇様は現在、標準プランをご利用いただいておりますが、まもなくご利用開始から1年となりますので、
月々プラス300円で、4K画質やダウンロード機能が使えるプレミアムプランへアップグレードできる特別オファーをご用意いたしました。今なら初月は無料でお試しいただけますので、この機会にぜひご検討ください。」

トークスクリプトの成功率を上げるポイント

完璧なトークスクリプトを作成しても、それが成果に結びつかなければ意味がありません。ここでは、作成したスクリプトを「生きたツール」にするための重要なコツをご紹介します。

「読む」のではなく「自然に話せる」言葉で書く

トークスクリプトは、あくまで会話のガイドです。書かれている文字をただ棒読みしてしまうと、感情がこもらず、相手に機械的な印象を与えてしまいます。作成したスクリプトは、必ず声に出して読んでみましょう。そして、「言いづらい部分はないか」「普段自分が使わないような硬い表現はないか」を確認し、自然に話せる自分の言葉(口語)に書き換えていく作業がとても重要です。

定期的に効果測定と改善(PDCA)を回す

市場の状況や顧客のニーズは常に変化します。一度作成したトークスクリプトが、永遠に通用するわけではありません。重要なのは、定期的にスクリプトの効果を測定し、改善を繰り返すことです。PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)を回し、現場の状況に合わせてスクリプトを常に最適化していくことで、高い成果を維持できます。

【失敗例から学ぶ】よくあるNGトークスクリプト

陥りがちな失敗例を知っておくことで、より精度の高いスクリプト作成を目指しましょう。

NG例1:自社の商品説明ばかりしている

顧客が聞きたいのは、商品のスペックではなく「その商品が自分の課題をどう解決してくれるか」です。主語を「弊社は~」ではなく「お客様は~」に置き換えて考えましょう。

NG例2:シナリオが一本道で分岐がない

顧客の反応は様々です。「Yes」の場合と「No」の場合、それぞれのシナリオを用意しておく必要があります。特に反論処理の分岐は必須です。

NG例3:質問ばかりで尋問のようになっている

相手の情報を引き出そうとするあまり、質問攻めにしてしまうと、相手は不快に感じます。質問の合間に共感や要約を挟み、会話のキャッチボールを意識しましょう。

【Q&A】トークスクリプトに関するよくある質問

Q. トークスクリプトは丸暗記した方が良いですか?

A. 丸暗記はおすすめしません。トークスクリプトは、会話の流れや伝えるべき要点を忘れないための「ガイド」です。丸暗記して棒読みすると、お客様に「マニュアル通りに話しているな」と見抜かれ、かえって信頼を失ってしまいます。重要なのは、全体の流れを頭に入れた上で、そこに書かれている言葉を「自分の言葉」として自然に話すことです。

Q. 相手の反応が想定と違った場合はどうすれば良いですか?

A. まずは相手の話を「傾聴」し、スクリプトの基本フローに戻ることを意識してください。想定外の反応があったときに、慌てて無理やりスクリプトに戻そうとするのはよくありません。まずは「さようでございますか」「〇〇ということですね」と一度相手の言葉を受け止め、しっかりと話を聞く姿勢を見せましょう。その上で、スクリプトの中の関連する部分に自然に話を戻していくのが理想です。

Q. トークスクリプトは不要という意見もありますが、どう考えますか?

A. ほとんどの組織・担当者にとって非常に有効なツールだと考えます。確かに、経験豊富な一部の方は、スクリプトなしでも成果を出せるかもしれません。しかし、組織全体で考えると、トークスクリプトは「成果の再現性を高める」ためのとても重要な土台となります。属人的なスキルに頼るのではなく、チーム全体のパフォーマンスを底上げし、安定した成果を出し続けるために、トークスクリプトは役立つ「設計図」と言えるでしょう。

まとめ

本記事では、成果を出すためのトークスクリプトについて、作り方の基本ステップから実践的な運用のコツまで網羅的に解説しました。

トークスクリプトは、単なる台本ではなく、誰が対応しても成果を安定させるための「設計図」です。紹介した5つのステップとテンプレートを参考にすれば、初心者の方でもすぐに骨子を作ることができます。

しかし、最も大切なのは、一度作って終わりにするのではなく、現場で使いながら改善を続ける(PDCA)ことです。お客様の反応を見ながら最適化を繰り返すことで、スクリプトは真に成果の出るツールへと進化します。まずはこの記事をガイドに、あなたの最初のトークスクリプト作成に挑戦してみましょう。

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