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No.161
更新日 2025年07月18日

【営業分析の手法7選】売上を伸ばすデータ分析の進め方とフレームワークを徹底解説!

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「チームの売上が伸び悩んでいるが、どこに原因があるのかわからない…」
「SFAにデータは溜まっているが、どう見ればいいのか、宝の持ち腐れだ…」
「メンバーへの指導が『頑張れ』という精神論になりがちで、具体的な改善策を示せない…」

もしあなたが営業マネージャーや営業企画の担当者として、このような課題を抱えているなら、その答えは「営業分析」の中に眠っています。

この記事は、Excel だけで進められる具体的な 5 ステップ を通じて、データの収集から可視化、課題抽出、施策立案、そして効果検証までの流れを丁寧に解説します。さらに、「何をしたいか」という目的別に使い分けられる 7 つの代表的な分析手法とフレームワーク を取り上げ、それぞれの特徴や活用シーンを紹介します。

あなたの営業、まだ「勘と経験」で戦っていませんか?

多くの営業組織では、日々、こんな光景が繰り広げられています。

「今月も目標未達だ…」原因がわからないまま、精神論で終わる営業会議

月末の営業会議。重苦しい雰囲気の中、映し出されるのは達成率の低い売上グラフ。「なぜ目標に届かなかったのか?」という問いに対し、明確な答えは出てきません。「景気が悪いから」「競合が強いから」といった外部要因のせいにしたり、「来月はもっと気合を入れて頑張ります」という精神論で締めくくられたり。

原因が特定できていないため、具体的な改善策も生まれず、また同じ一ヶ月が始まります。これでは、まるで霧の中でコンパスも持たずに歩き回っているようなものです。

なぜトップセールスのやり方は、他のメンバーに再現できないのか

一方で、どんな状況でも成果を出すトップセールスも存在します。しかし、彼らの成功の秘訣を尋ねても、「長年の経験と勘ですね」といった属人的な答えしか返ってこないことがほとんどです。その「暗黙知」は他のメンバーに共有されず、組織の力になりません。結果として、営業活動は個人のスキルに依存し続け、チーム全体の成長は頭打ちになってしまいます。

営業分析の目的と、今すぐ始めるべき3つの理由

これらの根深い課題を解決するのが「営業分析」です。

営業分析の目的

営業分析の目的は、レポートを綺麗に作ることではありません。その真の目的は、「商談の発生から受注に至るまでの一連の営業活動に、どのようなボトルネック(障壁)が存在するのかを、データという客観的な事実で特定し、改善アクションを実行することで、組織全体の成果を最大化すること」です。

理由1:「営業の属人化」から脱却し、組織の勝ちパターンを構築できる

トップセールスの行動データや商談データを分析することで、彼らの「勝ちパターン」を明らかにできます。「どのような顧客に、どのタイミングで、どんなアプローチをしているのか」を形式知として共有することで、チーム全体のスキルを底上げし、属人化から脱却できます。

理由2:「科学的な根拠」に基づき、的確な意思決定と改善アクションが取れる

「なぜ売上が下がったのか?」という問いに対して、「〇〇業界からの受注率が先月比で20%低下していることが原因です」と、データに基づいた明確な回答ができるようになります。これにより、精神論ではなく、的を射た具体的な改善アクション(例:〇〇業界向けの提案内容の見直し)を取ることができます。

理由3:「市場や顧客の変化」に迅速に対応し、機会損失を防げる

データは、市場や顧客の変化をいち早く教えてくれるシグナルです。「最近、特定のキーワードでWebサイトに来る顧客からの商談化率が高い」といった変化を捉えることで、新たな市場機会を発見したり、顧客ニーズに合わせたアプローチに素早く切り替えたりすることができ、機会損失を防ぎます。

営業分析で活用すべき3種類のデータ

営業分析と一言でいっても、何を分析対象とするのでしょうか。主に以下の3種類のデータを活用します。

① 商談データ(結果のデータ)

商談の「結果」に関するデータです。これを分析することで、どのような案件が成功し、どのような案件が失敗したのか、その要因を探ることができます。

データ例

受注・失注件数、受注率、受注金額、失注理由、顧客単価など

② 行動データ(プロセスのデータ)

営業担当者の日々の「行動」に関するデータです。これを分析することで、どのような行動が成果(受注)に繋がっているのか、その相関関係を見つけ出すことができます。

データ例

架電数、アポイント数、訪問件数、提案数、メール送信数、各商談フェーズの滞留期間など

③ 顧客データ(属性のデータ)

顧客の「属性」に関するデータです。これを分析することで、自社にとってどのような顧客が「優良顧客」なのかを定義し、アプローチに優先順位をつけることができます。

データ例

企業名、業種、業界、企業規模、所在地、過去の取引履歴など

これらのデータをSFA/CRMで一元管理することで、より多角的で深い分析が可能になります。

明日から使える!営業分析の代表的な手法・フレームワーク7選

「分析の重要性はわかったが、具体的にどうすればいいのか」。ここでは、あなたの課題別に、明日から使える代表的な分析手法とフレームワークを7つご紹介します。

①【営業プロセス全体を診断したい】→ パイプライン分析

パイプライン分析とは、商談の発生から受注までを一直線のパイプ(管)と見立て、各段階(フェーズ)で、どれくらいの案件数や金額が残っているかを可視化する手法です。これにより、「どの段階で多くの案件が離脱しているのか」という営業プロセス全体の健康状態を診断し、ボトルネックを特定できます。

②【売れる営業の勝ちパターンを知りたい】→ 行動分析(相関分析)

行動分析とは、営業担当者の「行動データ」と「商談データ(成果)」の関係性を分析する手法です。例えば、「訪問件数と受注率」「提案資料の閲覧時間と商談化率」などの相関分析を行うことで、「月に〇回以上訪問すると受注率が上がる」といった、成果に繋がる行動、つまり「勝ちパターン」を発見できます。

③【受注・失注の根本原因を特定したい】→ 要因分析(セグメント分析)

要因分析とは、受注や失注といった結果が、どのような要因によってもたらされたのかを特定する手法です。顧客を「業種別」「企業規模別」といったセグメントに分け、「どのセグメントからの受注率が高い/低いか」を分析することで、「A業界向けの提案は強いが、B業界には弱い」といった根本原因を突き止めることができます。

④【外部環境を踏まえた戦略を立てたい】→ 3C分析

3C分析は、戦略を立てる上で自社を取り巻く外部環境を整理するための基本的なフレームワークです。

Customer(市場・顧客)

市場規模や成長性はどうか?顧客ニーズはどう変化しているか?

Competitor(競合)

競合はどこか?その強み・弱みは何か?

Company(自社)

自社の強み・弱みは何か?成功要因は何か?

⑤【自社の強み・弱みを整理したい】→ SWOT分析

SWOT分析は、自社の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を分析し、戦略の方向性を定めるフレームワークです。

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

⑥【注力すべき優良顧客を見つけたい】→ ABC分析(パレート分析)

ABC分析とは、「売上の8割は、全顧客の2割が生み出している」というパレートの法則に基づき、顧客を売上貢献度順にA、B、Cのランクに分けて、注力すべき優良顧客層を特定する手法です。リソースをどこに集中投下すべきかを判断するのに役立ちます。

⑦【アップセル・クロスセルの機会を見つけたい】→ アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、購買データなどから「Aという製品を買った顧客は、Bという製品も一緒に買う傾向がある」といった、商品間の関連性を見つけ出す手法です。これにより、「製品Aを導入済みの顧客に、製品Bを提案する」といった、効果的なアップセル・クロスセルの機会を発見できます。

【5ステップで実践】営業分析の進め方

「うちはSFAもないし、データがないから分析できない…」と諦める必要はありません。営業分析は、今ある情報からでも、Excelを使ってスモールスタートできます。

Step1: 目的の明確化と「仮説」の設定(最も重要)

まず、「何を知りたいのか」「何を明らかにしたいのか」という目的を決めます。そして、「〇〇すれば、売上が上がるのではないか?」という仮説を立てます。この仮説が、分析の軸になります。(例:「若手営業の訪問件数を増やせば、受注件数も増えるはずだ」)

Step2: データの収集・整理(Excelでの簡単な始め方)

仮説を検証するために必要なデータを集めます。SFAがなくても、まずは各営業担当者が持っている日報や案件リストを、共通のExcelフォーマットにまとめるところから始めましょう。列を揃え、データを整理することが重要です。

Step3: データ分析の実行(手法・フレームワークの適用)

整理したデータを使って、分析を実行します。Excelのピボットテーブルグラフ機能並べ替え(ソート)機能を使えば、多くの分析が可能です。例えば、担当者ごとの訪問件数と受注件数を一覧にし、散布図グラフを作成すれば、行動分析の第一歩になります。

Step4: 分析結果の「可視化」と、そこから言えることの「考察」

分析結果は、必ずグラフなどの誰が見てもわかる形に「可視化」します。そして、そのグラフを見て「何が言えるのか」を考察します。「やはり、訪問件数が多いAさんは受注件数も多い。しかし、訪問件数が少ないのに受注が多いBさんもいる。この違いは何だろう?」のように、次の問いを見つけることが重要です。

Step5: 「で、次に何をすべきか?」具体的なアクションプランへの落とし込み

考察から得られた示唆を、「次に何をすべきか」という具体的なアクションプランに落とし込みます。「来週から、Bさんの商談に同席させてもらい、勝ちパターンを分析しよう」「チーム全体で、訪問の『量』だけでなく『質』を高めるための勉強会を開こう」など、具体的な行動に繋げて初めて、分析は意味を持ちます。

営業分析を劇的に効率化する3つのツール

Excelでの分析に慣れてきたら、ツールの活用でさらに効率化・高度化が可能です。

レベル1:Excel / Googleスプレッドシート(まずはここから)

最も身近な分析ツール。手軽に始められますが、データ量が増えると処理が重くなり、リアルタイムな情報共有にも向きません。

レベル2:SFA/CRM(データの蓄積と定型分析の自動化)

営業活動のデータを一元的に蓄積し、パイプライン分析や予実管理といった定型的な分析レポートを自動で作成してくれます。データ分析の基盤となるツールです。

レベル3:BIツール(高度な分析とダッシュボードによる可視化)

SFA/CRMなどに蓄積された様々なデータを統合し、より高度で多角的な分析を可能にする専門ツールです。複数のグラフを組み合わせたインタラクティブなダッシュボードを作成し、経営の意思決定を強力に支援します。

分析を「文化」にするための3つのポイント

営業分析を一度きりのイベントで終わらせず、組織の「文化」として定着させるための3つの重要なポイントをご紹介します。

ポイント1:スモールスタートで「データで成果が上がった」という成功体験を積む

最初から完璧な分析を目指す必要はありません。まずは簡単な分析から始め、「データを分析したら、こんな課題が見つかって、こう改善したら、実際に売上が上がった」という小さな成功体験をチームで共有することが重要です。この成功体験が、データ分析へのポジティブな認識を育みます。

ポイント2:週次の営業会議で「データを見る時間」を強制的に作る

営業会議のアジェンダに、「データ分析結果の共有と、それに基づくアクションの議論」という時間を必ず設けましょう。SFAやBIツールのダッシュボードを全員で見ながら議論することを習慣化することで、「データを見て話す」ことが当たり前の文化になっていきます。

ポイント3:分析結果を個人の「ダメ出し」に使わず、「チームの改善点」として議論する

これは最も注意すべき点です。分析結果を使って、「なぜ君は行動量が足りないんだ」と個人を攻撃してはいけません。それでは、メンバーは正直なデータを入力しなくなり、分析そのものが成り立たなくなります。常に「このデータから、チームとして何を学び、どうすればもっと良くなるか?」という、前向きで建設的な改善のためにデータを使いましょう。

よくある質問(Q&A)

Q1. SFAなどの専門ツールがないと、営業分析は始められませんか?

A1. いいえ、まずはExcelやGoogleスプレッドシートから始められます。各担当者の日報や案件リストを共通のフォーマットにまとめるだけでも、顧客別や担当者別の分析が可能です。ツール導入の前に、身近なデータで小さな成功体験を積むことが重要です。

Q2. データ分析というと難しそうですが、専門知識は必要ですか?

A2. 高度な統計知識は必ずしも必要ありません。まずは「どの顧客からの売上が多いか」や「営業の各段階でどれくらい案件が減っているか」など、シンプルな問いから始めましょう。Excelの並べ替えやグラフ機能で十分に有益な発見があります。

Q3. 分析結果を、メンバーへの「ダメ出し」に使ってしまいそうです。

A3. 分析の目的は、個人の評価ではなく「チームの改善点」を見つけることです。「なぜできないのか」と個人を責めるのではなく、「どうすればチームとしてもっと良くなるか」という前向きな議論の材料としてデータを使いましょう。その姿勢をマネージャーが示すことが、分析文化を育てる鍵です。

まとめ

本記事では、営業分析の目的から、具体的な手法、そして組織に定着させるための秘訣まで、幅広く解説しました。

勘と経験だけに頼った営業は、視界の悪い霧の中を手探りで進むようなものです。どこに落とし穴があるのか、どの道がゴールに繋がっているのかも分かりません。

営業分析は、その深い霧を晴らし、進むべき道を明るく照らし出す「光」です。

データという客観的な光を当てることで、これまで見えなかった課題が明確になり、取るべきアクションが明らかになります。そして何より、チーム全員が同じ光を見て、同じ目的地に向かって進むことができるようになります。

ぜひ、この記事をきっかけに、まずは身近なデータから分析を始めてみてください。科学の力が、あなたのチームを、そしてあなたのビジネスを、必ずや勝利へと導いてくれるはずです。

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