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No.164
更新日 2025年07月25日

【徹底解説】営業生産性を2倍に高める方法とは?

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「チームの残業時間は長いのに、売上は一向に上がらない…」
「営業活動が属人化し、ベテラン頼みで若手が育たない…」
「とにかく頑張れ、としか言えないマネジメントに限界を感じている…」

もし、あなたが営業マネージャーや経営者として、このような状況に頭を悩ませているなら、その根本的な問題は「営業生産性の低さ」にあります。

本記事は営業生産性を定義し、低迷の五大要因をチェックリストを紹介します。また、「個人・チーム・組織」別に12個のの改善策とIT活用術も徹底解説!

営業生産性とは?

「生産性向上」と「効率化」はよく似た言葉ですが、その意味は本質的に異なります。この違いを理解することが、全てのスタートラインです。

営業生産性の定義と基本的な計算式

営業生産性とは、「営業担当者一人あたり、または投下した時間やコストあたり、どれだけの成果(売上や利益など)を生み出したか」を示す指標です。基本的な計算式は以下の通りです。

生産性=インプット(投入資源)アウトプット(成果)

具体的には、以下のような式で計算されます。

人時生産性

売上高 ÷(営業担当者数 × 労働時間)

一人当たり生産性

売上高 ÷ 営業担当者数

まずは、自社の現状の数値を把握することから始めましょう。

効率化との違い

「効率化」が、主に無駄をなくし「インプット(投入資源)」を減らすことに焦点を当てるのに対し、「生産性向上」は、それに加えて「アウトプット(成果・付加価値)」を最大化するという視点を含みます。

効率化生産性向上
目的無駄をなくし、コストや時間を削減する削減したコストや時間を再投資し、成果を最大化する
視点インプットをどう減らすかアウトプットをどう増やすか
具体例移動時間を削減する削減した移動時間で、提案の質を高めるための準備をする

つまり、営業効率化は、営業生産性を向上させるための一つの「手段」なのです。真の目的は、創出した時間でより価値の高い活動を行い、売上や利益というアウトプットを最大化することにあります。

あなたのチームの生産性が低い5つの原因

生産性を上げるには、まず「なぜ生産性が低いのか」という原因を特定する必要があります。あなたのチームに当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

原因1:営業プロセスが標準化されておらず、「属人化」している

▢トップセールスのノウハウが個人の頭の中にあり、チームで共有されていない
▢営業担当者によって、商談の進め方や提案内容がバラバラである
▢新人や若手が、何をどうすれば成果が出るのか分からず、成長に時間がかかっている

→ この状態では、組織としての学習が機能せず、全体のパフォーマンスが底上げされません。

原因2:コア業務以外の「付帯業務」に時間を奪われすぎている

▢日報や報告書、見積書の作成といった事務作業に多くの時間を費やしている
▢社内会議や情報共有のためだけの会議が多い
▢顧客情報の検索や、過去の資料探しに時間がかかっている

→ 営業担当者が本来集中すべき、顧客との対話や価値提供の時間が奪われています。

原因3:データに基づかない「勘と経験」だけの営業活動

▢営業戦略やアプローチする顧客リストが、担当者の「勘」で決められている
▢失注した理由を具体的に分析せず、「タイミングが悪かった」で片付けている
▢成功事例があっても、なぜ成功したのかをデータで説明できない

→ これでは、成功を再現することも、失敗から学ぶこともできません。

原因4:行動に繋がらない不適切な「目標設定(KPI)」

▢チームの目標が「売上〇〇円」という最終結果(KGI)しかない
▢設定されたKPI(例:アポ数)が、最終的な成果に結びついているか不明確である
▢KPIが単なる「ノルマ」になっており、メンバーのモチベーションを下げている

→ メンバーは「何をすべきか」が分からず、日々の行動が迷走してしまいます。

原因5:部門間の連携不足による「情報共有の壁」

▢マーケティング部門と営業部門で、ターゲット顧客の認識がズレている
▢営業が掴んだ顧客のニーズが、商品開発やサービス改善に活かされていない
▢部署ごとに顧客情報を管理しており、全社で一元化されていない

→ 組織全体で顧客に対応できず、多くの機会損失や非効率を生んでいます。

これらの原因に一つでも心当たりがあれば、あなたのチームの生産性には、大きな伸びしろがある証拠です。

【明日からできる】営業生産性を向上させる具体的な方法12選!

原因を特定したら、次はいよいよ具体的な改善策です。「個人」「チーム」「組織」の3つのレベルで、明日から実践できる12の方法をご紹介します。

【個人レベル】で取り組む生産性アップ術 4選

1. コア業務・ノンコア業務の棚卸しと時間配分の見直し

まず、自分の一日の業務をすべて書き出し、「コア業務(顧客との対話、提案など、成果に直結する活動)」と「ノンコア業務(移動、事務作業、社内会議など)」に分類します。ノンコア業務の時間をいかに減らし、コア業務の時間をいかに増やすかを考えることが、個人レベルの生産性向上の第一歩です。

2. 定型業務のテンプレート化と自動化ツールの活用

メールの文面、提案書の構成、議事録のフォーマットなど、繰り返し行う業務は徹底的にテンプレート化しましょう。また、テキスト入力支援ツールや単純作業を自動化するRPAなども個人の生産性を高める上で有効です。

3. タイムマネジメント手法の実践(ポモドーロ・テクニックなど)

「25分集中して5分休憩する」を繰り返すポモドーロ・テクニックなど、科学的に証明されたタイムマネジメント手法を取り入れることで、集中力を維持し、業務の質を高めることができます。

4. スキルアップによる提案の質的向上

生産性とは「アウトプット ÷ インプット」です。インプット(労働時間)を変えずにアウトプット(成果)を増やすには、自身のスキルアップが不可欠です。書籍や研修で知識をインプットし、提案の質を高めることで、1回の商談あたりの受注率や顧客単価を高めることができます。

【チームレベル】で取り組む生産性アップ術 4選

5. 営業プロセスの標準化とナレッジ共有の仕組み化

トップセールスの行動を分析し、「初回訪問では必ずこれを聞く」「この段階の顧客にはこの資料を見せる」といった、チームとしての「勝ちパターン」を標準化します。成功事例や提案資料は、クラウドストレージなどで誰もがアクセスできる場所に保存し、ナレッジとして共有する仕組みを作りましょう。

6. 効果的なKPIの設定と、データに基づく進捗管理

「売上」というKGI(最終目標)から逆算し、日々の行動に繋がるKPI(中間目標)を設定します。そして、そのKPIの進捗をSFAなどのツールで可視化し、週次会議などで「なぜ達成できたのか/できなかったのか」をデータに基づいて議論する文化を醸成します。

7. 定期的なロールプレイングによるスキル平準化

標準化した営業プロセスや、作成したヒアリングシートを基に、チーム内でロールプレイングを定期的に実施します。互いにフィードバックし合うことで、個々のスキルアップはもちろん、チーム全体の営業スキルの平準化に繋がります。

8. オンライン商談の活用と移動時間の削減

移動時間が不要なオンライン商談を積極的に活用することで、1日にこなせる商談件数を大幅に増やすことができます。特に遠方の顧客や、関係性が構築できている既存顧客へのフォローなどで効果を発揮します。

【組織レベル】で取り組む生産性アップ術 4選

9. SFA/CRMの導入によるデータドリブンな組織への変革

SFA(営業支援)/CRM(顧客関係管理)を導入し、顧客情報や営業活動のデータを一元管理します。これにより、組織全体でデータを活用し、科学的な意思決定を行う「データドリブンな組織」への変革が可能になります。

10. インサイドセールス部門の設置による営業プロセスの分業

見込み客の育成やアポイント獲得を専門に行う「インサイドセールス」と、実際の商談・クロージングを行う「フィールドセールス」で役割を分担します。それぞれの専門性を高めることで、組織全体の生産性を最大化できます。

11. 成果に連動した、納得感のある評価・報酬制度の設計

単に売上金額だけでなく、KPIの達成度や、チームへのナレッジ共有といった「生産性向上への貢献」も評価の対象に加えることで、社員の意識と行動を変えることができます。

12. マーケティング部門との連携強化

マーケティング部門と営業部門が連携し、リードの質や量の定義(SLA)を共通認識として持つことで、部門間の無駄なコミュニケーションをなくし、効率的なリード創出から受注までの流れを構築できます。

営業生産性の向上を加速させるITツール4選

これらの施策を、ITツールを活用することでさらに加速させることができます。

① SFA/CRM

営業生産性向上の取り組みにおいて、最も基盤となるツールです。顧客情報、案件情報、活動履歴を一元管理し、データ分析の土台を築きます。

② MAツール

Webサイト訪問者の行動をトラッキングし、見込み客の興味度合いに応じて自動でアプローチ。営業部門に確度の高いリードを供給することで、生産性を高めます。

③ オンライン商談ツール

ZoomやGoogle Meetなどに代表されるツール。移動時間をゼロにし、営業担当者がより多くの商談や顧客対応に時間を使えるようにします。

④ BIツール

SFA/CRMに蓄積された膨大なデータを、グラフやダッシュボードで分かりやすく可視化するツール。経営層やマネージャーの迅速で的確な意思決定をサポートします。

営業生産性向上プロジェクトを成功させるポイント

最後に、生産性向上の取り組みを絵に描いた餅で終わらせないための、最も重要な3つのポイントをお伝えします。

ポイント1:「何のために生産性を上げるのか」という目的を明確にし、全社で共有する

「なぜ、今この取り組みが必要なのか」「生産性を上げることで、会社や社員にどんな良いことがあるのか」という目的やビジョンを、経営者が自分の言葉で、繰り返し全社に発信することが不可欠です。「コスト削減のため」ではなく、「創出した時間で、より創造的な仕事に挑戦し、社員の幸福度と会社の成長を実現するため」といった、ポジティブな目的を共有しましょう。

ポイント2:小さな成功体験を積み重ね、変革への機運を醸成する(スモールスタート)

いきなり全社で大掛かりな改革を始めようとすると、現場の抵抗も大きくなります。まずは、意欲の高いチームや、課題が明確な業務に絞ってスモールスタートし、「やってみたら、本当に仕事が楽になった」「残業が減って、売上も上がった」という小さな成功体験を意図的に作ることが重要です。その成功が口コミで広がり、変革へのポジティブな機運を醸成します。

ポイント3:現場の意見を尊重し、一方的なトップダウンで押し付けない

生産性向上の主役は、あくまで現場で働く社員一人ひとりです。経営層や管理職が一方的に決めたルールやツールを押し付けても、現場は「やらされ仕事」と感じ、形骸化してしまいます。プロジェクトの計画段階から現場の代表者を巻き込み、彼らの意見やアイデアを尊重し、一緒に「より良い働き方」を作っていくという姿勢が、プロジェクト成功の最大の鍵です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 「生産性向上」と「効率化」は何が違うのですか?

A1. 「効率化」は、無駄をなくして時間やコスト(インプット)を減らすことです。一方「生産性向上」は、効率化で生まれた時間などを使い、売上や利益(アウトプット)を増やすことまで含みます。効率化は、生産性を上げるための手段の一つです。

Q2. 生産性を上げるために、まず何から手をつければ良いですか?

A2. まずは自分の一日の業務を書き出し、「成果に直結する仕事(コア業務)」と「それ以外の仕事(ノンコア業務)」に分けてみましょう。自分が何に時間を使っているかを客観的に把握することが、生産性向上の全ての始まりです。

Q3. SFA/CRMを導入すれば、本当に生産性は上がりますか?

A3. ツールは強力な武器ですが、導入するだけでは生産性は上がりません。「何のために導入するのか」という目的をチームで共有し、それに合わせて業務プロセスを見直すことが大前提です。ツールはあくまで、変革をサポートする道具とお考えください。

まとめ

本記事では、営業生産性の定義から、生産性が低い原因の特定、そして具体的な改善策までを、体系的に解説しました。

営業生産性の向上は、単なる業務改善やコスト削減の活動ではありません。
それは、社員一人ひとりの働きがいを高め、顧客への提供価値を最大化し、そして企業の持続的な成長を実現するための、最も重要で、最も強力な経営戦略(ドライバー)なのです。

長時間労働を美徳とする時代は、終わりました。
これからは、知恵と工夫、そしてテクノロジーの力を活用し、「賢く働き、賢く成果を出す」組織こそが、顧客から選ばれ、生き残っていきます。

ぜひ、この記事をきっかけに、まずはあなたのチームの「無駄」を一つ見つけることから始めてみてください。その小さな一歩が、あなたの会社を、そしてあなた自身の未来を、より明るいものへと変えていくはずです。

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