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No.176
更新日 2025年06月13日

KGIとは?KGIで「測れる成果」を生み出す方法を徹底解説!

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ビジネスの成功には明確な目標設定が不可欠ですが、「何をゴールとするか」が曖昧では組織は力を発揮できません。そこで重要となるのが、最終ゴールを具体的な数値で示すKGI(重要目標達成指標)です。KGIを正しく設定・運用すれば、組織の方向性が明確になり、メンバーの力を結集させ、成果の最大化へと繋がります。

本記事では、KGIの本質からKPIとの違い、効果的な設定・運用方法まで、分かりやすく解説します。

KGI(重要目標達成指標)とは?

KGI(重要目標達成指標)とは、組織が目指す最終ゴールを具体的な数値で示す指標であり、「成功」の基準を明確化するものです。

例えば「売上高20%増」のように数値で示せば、目標の曖昧さがなくなり、組織内で共有しやすくなるでしょう。これは認識のズレを防ぎ、全員が同じゴールを目指すための「共通言語」としての役割を担うのです。

また、「市場シェア25%獲得」のようにKGIを設定すると、漠然としたビジョンも具体的な行動目標へと変わり、組織全体の進むべき方向性が定まります。

さらに重要なのは、どの指標(売上、利益など)をKGIにするか決定するプロセスそのものに価値があるという点。この過程で自社の戦略や優先順位が深く検討され、本当に重要な課題が明確になるでしょう。

KGI設定がもたらすメリット

明確なKGI設定は、単にゴールを示す以上の価値があります。組織運営全体に以下のような多くのメリットをもたらすのです。

組織全体の進むべき方向の明確化

KGIは、抽象的なビジョンを具体的な数値目標へと転換させ、組織の最終ゴールを明確にします。これにより従業員は進むべき方向を理解し、共通認識が結束を強め、自身の業務と目標との関連を把握しやすくなるでしょう。

明確な方向性は、目標外の活動へのリソースの浪費を防ぎます。KGIがなければ、各部門が矛盾した目標を追求するリスクも考えられます。KGIはプロジェクト評価の基準となり、最も効果的な活動へリソースを集中させ、組織全体の効率を高めることができるのです。

従業員のモチベーション向上と結束力強化

明確で測定可能なゴールは、従業員のモチベーションとエンゲージメントを高めます。従業員は業務の目的を理解し、組織目標への貢献を実感しやすくなるでしょう。共通目標への努力が、チームや組織全体の結束を強めるのです。進捗の可視化は、努力が報われる感覚や達成感に繋がります。また、明確な指標による公正な評価は、士気を一層高める要因となるでしょう。

KGI設定は日々の業務を、単なる作業から「成果を目指す活動」へと変えます。「業績改善」より「売上20%増」のような具体的目標が、達成意欲を刺激するのです。数値目標は明確なゴールを示し、進捗の追跡が達成感と内発的な動機付けを促します。

個々のKPIと組織KGIとの繋がりを理解すれば、日々の仕事に意味が生まれるでしょう。

優先すべき業務の判断基準

明確なKGIが存在することで、最終目標の達成にとってどの業務やプロジェクトが最も重要かを判断しやすくなります。その結果、チームや個人は最も影響力のある活動に専念できるようになり、重要度の低いタスクや目標達成を妨げるものに時間や労力を費やすことを避けられます。

KGIは戦略的なフィルターとして機能し、特に複数の要求や機会が競合する場合に、より効果的なリソース配分と意思決定を可能にしてくれるのです。

事業の進捗状況を客観的に把握

KGIは、最終目標への進捗を定量的に測る基準となります。これにより、主観ではなく客観データに基づきパフォーマンスを評価できるでしょう。定期的なモニタリングで計画とのズレや問題を早期に発見し、迅速な軌道修正を可能にします。

KGIを使って客観的に進捗を把握することで、問題が起きてから対応するのではなく、先を見越した対策を立てられるようになります。KGIやKPIを定期的にチェックしていれば、計画からのズレも早期に発見できるでしょう。この『早期発見』が、迅速な原因分析と適切な対応につながり、問題が大きくなるのを防ぎます。

ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを促進

明確で数値化されたKGIは、社外のステークホルダーへ企業の目標や進捗を伝えやすくします。KGIに基づく進捗報告は、信頼と信用の構築に役立つでしょう。進捗を定期的に公開すれば、組織の透明性を示し、良好な関係構築や新たなビジネスチャンス獲得にも繋がります。

KGIは、様々な立場の人たちと会社の業績について話し合う時の、いわば『共通の言葉』として役立ちます。このおかげで、会社の進む道や成果が、誰にでもはっきりと伝わりやすくなるでしょう。どんなに複雑な戦略であっても、KGIという分かりやすい数値目標を通せば、その成功具合や進捗が力強く伝わるはずです。

関連指標(KPI・KSF・OKR)との違いと連携

KGIは単独で存在するのではなく、KPI、KSF、OKRといった他の重要な指標と連携し、補完し合うことで、その真価を発揮します。これらの指標の違いを理解し、適切に使い分けることが重要です。

KPI(重要業績評価指標)との関係性

KPI(重要業績評価指標)は、KGI達成に向けた過程での活動や成果を測る指標です。KGIが最終的なゴール(結果)を示すのに対し、KPIはその道のり(プロセス)における中間目標と言えるでしょう。

まずKGIを定め、それを分解してKPIを設定するのが基本となります。各KPIの達成がKGI達成に繋がるよう設計し、KGIは組織全体、KPIは部門レベルで設定されることが一般的です。

KGIが戦略の方向を示した後、それを具体的な行動指標であるKPI(例えば、KGIが売上高ならKPIは営業電話数など)に落とし込むことで、日々の業務と戦略目標が結びつきます。

KPIツリーによる関係性の可視化

KPIツリーは、KGIとKPIの関係を視覚化するツールですKGIを頂点にKPIを階層化し、最終目標への論理的な繋がりを明確にします。これにより、主要な推進要因や課題を把握しやすくなるでしょう。

さらに、このツリーは現状分析にも有効です。KGIへ最も影響するKPIを見極め、そしてどこで流れが滞っているのか(ボトルネック)を見つけ出し、効果の高い改善策を立てることができます。

KSF(重要成功要因)との違い

KSF(重要成功要因)は、KGI達成に不可欠な、決定的な要因や能力を指します。KGIやKPIが定量的な「指標」であるのに対し、KSFは「何をうまくやるべきか」(例:製品品質の向上)という定性的な「要因」を示します。このKSFが、関連KPI選定の指針となるのです。

OKR(目標と主要な成果)との使い分け

OKR(目標と主要な成果)は、Intelなどで生まれた目標設定の枠組みです。100%達成を目指すKGI/KPIとは異なり、野心的で挑戦的な「目標」と、その達成度を測る「主要な成果」を組み合わせます。達成度が60~70%でも成功とみなし、進歩や限界突破を重視するのが特徴で、KGIより頻繁にレビューされるでしょう。

KGI/KPIとOKRは目的が異なりつつも、互いに補完できます。KGI/KPIが既存事業の安定管理を得意とする一方、OKRは挑戦的な成長やイノベーションを後押しするのです。両者は共存可能で、例えばKGI/KPIで事業の安定性を確保しつつ、新規事業など大きな飛躍が求められる場面ではOKRを活用する、といった使い分けが考えられます。OKRの挑戦が、困難なKGI達成に繋がる可能性もあるでしょう。

指標の比較表

KGI、KPI、KSF、OKRはそれぞれ異なる役割と特徴を持ちます。以下の表は、これらの指標の主な違いをまとめたものです。

指標 (Indicator)日本語 (Japanese)主な目的 (Main Purpose)性質 (Nature)達成期待値 (Expected Achievement)設定レベル例 (Example Setting Level)関係性 (Relationship)
KGI重要目標達成指標最終的な目標・ゴールの達成度を測定定量的 (Quantitative)100%企業全体、事業部KPIの上位概念、KSFによって達成される
KPI重要業績評価指標KGI達成に向けたプロセス・活動の進捗・パフォーマンスを測定定量的 (Quantitative)100%部門、チーム、個人KGI達成のための中間指標、KSFを具体化・測定
KSF重要成功要因KGI達成に必要な要因・条件・戦略的必須事項を特定定性的 (Qualitative)N/A (要因特定)戦略レベルKGI達成の鍵、KPI設定の指針となる
OKR目標と主要な成果野心的目標への挑戦と進捗、組織の連携強化定性+定量 (O+KR)60-70% (ストレッチ目標の場合)企業、部門、チーム、個人KGI/KPIを補完、イノベーションや変革を推進

効果的なKGI設定の実践ステップ

KGIを効果的に設定し、組織の成果に繋げるためには、体系的なアプローチが必要です。ここでは、そのための具体的なステップを解説します。

SMART原則を活用した目標設定

効果的なKGI(およびKPI)を設定するフレームワークとして、「SMART原則」の活用が広く推奨されています。SMARTは以下の5つの要素の頭文字を取ったものです。

S - Specific(具体的に)

目標は曖昧さをなくし、具体的に定義します。

M - Measurable(測定可能に)

目標の進捗状況や達成度を客観的に測定できるようにします。

A - Achievable(達成可能に)

目標は、利用可能なリソースや制約条件を考慮し、現実的に達成可能な範囲で設定します。

R - Relevant(関連性を持たせて)

設定するKGIは、組織全体の広範なビジネス戦略やビジョンと整合している必要があります。

T - Time-bound(期限を明確に)

目標達成のための具体的な期限や期間を設定しましょう。

SMART原則の適用例

SMART原則を具体的にどう適用するのか、具体的な例を下の表でご紹介します。

SMART要素 (Element)質問 (Question)悪い例 (Bad Example)良い例 (Good Example)
Specific (具体的)目標は明確か?誰が何を達成するのか?利益を改善するX事業部の純利益率を改善する
Measurable (測定可能)進捗や達成度をどのように測定・追跡するか?利益を改善するX事業部の純利益率を15%にする
Achievable (達成可能)現実的に達成できる目標か?リソースはあるか?利益を改善するX事業部の純利益率を現在の10%から15%に引き上げる
Relevant (関連性)組織の戦略や上位目標と関連しているか?利益を改善する全社的な収益性向上戦略に貢献するため、純利益率を15%にする
Time-bound (期限)いつまでに達成するのか?明確な期限はあるか?利益を改善する202X年度第4四半期末までに、X事業部の純利益率を15%にする

部門・状況別 KGI具体例

KGIは、業種、部門、そしてその時々の戦略的焦点によって様々です。ここでは、いくつかの部門や状況におけるKGIの具体例を紹介します。

全社レベル

  • 売上高 (例: 年間売上高100億円達成)
  • 利益率 (例: 営業利益率15%維持)
  • 市場シェア (例: 特定市場におけるシェアを30%に拡大)
  • 新規事業売上比率 (例: 全体売上高に占める新規事業の割合を10%にする)
  • コスト削減率 (例: 年間運営コストを前年比5%削減)

営業部門

  • 年間売上〇%アップ (例: 年間売上高前年比120%達成)
  • 新規契約数 (例: 年間新規契約数500件獲得)
  • 成約数 (例: 四半期成約数1,000件)

マーケティング部門

  • リード獲得数 (例: 月間マーケティング経由のリード獲得数1,000件)
  • ECサイトの売上 (例: ECサイト年間売上5億円達成)
  • ブランド認知度 (例: ブランド認知度調査における純粋想起率を20%向上 - 定量化が必要)

製造・開発部門

  • 生産性向上 (例: 単位時間あたり生産量を10%向上)
  • 不良率削減 (例: 製品不良率を0.5%未満に抑制)
  • 納期遵守率 (例: プロジェクト納期遵守率98%達成)
  • 新製品開発数 (例: 年間3つの新製品を市場投入)

人事・管理部門

  • 従業員定着率 (例: 年間離職率を5%未満に維持)
  • 採用充足期間の短縮 (例: 主要ポジションの平均採用充足期間を30日以内に短縮)
  • 残業時間削減 (例: 全社平均月間残業時間を15時間未満にする)
  • 管理部門におけるミス発生件数削減 (例: 経理処理ミス件数を月間1件未満にする)

どのKGIを選ぶかは、組織の戦略的優先順位を反映します。成長重視なら売上高、効率性重視ならコスト削減といったKGIが選ばれるでしょう。KGIの選択は、組織全体に「何が最も重要か」を伝えるシグナルであり、ビジネス目標と整合した戦略的なものでなくてはなりません。

部門別KGIの具体例

以下の表は、様々な部門でどのようなKGIが設定されうるか、具体的なイメージを提供します。実践的な例は、読者が自身の状況に関連するKGIを考案する際の助けとなるでしょう。

部門 (Department)KGI例 (Example KGI)測定単位 (Unit of Measurement)
全社 (Company-wide)年間売上高100億円達成円 (Yen)
営業利益率10%達成%
営業 (Sales)新規顧客からの年間売上5億円達成円 (Yen)
既存顧客の年間契約更新率95%達成%
マーケティング (Marketing)Webサイト経由の月間有効リード数500件獲得件数 (Count)
マーケティングROI (投資収益率) 300%達成%
製造 (Manufacturing)製品1単位あたりの製造コストを5%削減%
生産ラインの稼働率を90%以上に維持%
開発 (Development)主要製品のバグ発生率をリリース後3ヶ月で0.1%未満に抑制%
新機能開発の平均リードタイムを2ヶ月に短縮期間 (Duration)
人事 (HR)エンジニア職の離職率を年間8%未満に抑制%
新入社員の入社後1年定着率90%達成%
管理 (Admin)月次決算の所要日数を3営業日以内に短縮日数 (Days)

KGIの設定・運用における注意点

KGIは強力なツールですが、設定や運用を誤ると期待した効果が得られないばかりか、逆効果になることもあります。ここでは、よくある失敗パターンとその回避策について解説します。

よくある失敗パターンとその原因

KGI設定・運用における一般的な失敗には、以下のようなものがあります。

非現実的な目標設定

達成不可能な目標は、従業員のモチベーションを著しく低下させ、諦めムードを生んでしまいます。

曖昧・定性的な目標設定

「顧客満足度向上」のように数値化されておらず測定不能な目標は、進捗を客観的に評価できず、達成基準も曖昧になります。

戦略との関連性の欠如

ビジネス成功や組織全体の戦略と関連が薄いKGIを設定すると、達成しても本来目指すべき成果に繋がりません。

測定容易性のみでの指標選択

戦略的重要性よりも、単に測定しやすいという理由だけでKGIを選ぶと、本質的でない活動にリソースが割かれる可能性があります。

KGIの乱立

複数のKGIを設定しすぎると焦点が分散し、どの目標を最優先すべきか混乱を招きます。

コミュニケーション不足と合意形成の欠如

設定されたKGIが現場チームに十分伝わっていなかったり、目標に対する納得感が得られていなかったりすると、主体的な取り組みは期待できません。

モニタリングと見直しの欠如

設定しただけで満足し、定期的な進捗確認や状況に応じた見直しを行わないと、計画からのズレに気づかず目標達成が危うくなります。

KGIとKPIの連動不全

KGI達成に繋がらないKPIを設定すると、KPIを達成してもKGIが達成されないという本末転倒な事態が起こります。

KGI設定の失敗は、それを一度きりの作業とみなし、継続的な管理プロセスに組み込めていない点に主な原因があります。成功のためには、SMART原則に沿った初期設定、KPIとの明確な連携、一貫した進捗の監視、そして状況変化へ適応する姿勢が欠かせません。

これらが曖昧だったり、欠けていたりすると、KGIは効果を発揮せず、日々の行動も望む結果に繋がらないでしょう。

目標達成を支援するツール

KGIおよびKPIの管理を効率化し、効果を高めるために、様々なツールを活用できます。

表計算ソフト (Excel, Google Sheetsなど)

基本的なデータ入力、計算、グラフ作成に適しています。シンプルな管理には十分ですが、データ量が増えたり関係者が多くなったりすると管理が煩雑になる可能性があります。KPIツリーなどのテンプレートも利用できます。

BIツール / ダッシュボードツール

進捗状況を視覚的に分かりやすく表示し、複数のデータソース(例:WebサイトKPIのためのGoogle Analytics)を統合して分析するのに役立ちます。

専用KPI/OKR管理ツール

Miro(KPIツリー作成に強み)、gamba!(日報ベースの進捗管理)、MIERU(シンプルなダッシュボード)、Scale Cloud(KPIと予算の一元管理)、banto(チャットボットによる進捗確認)、Resily、Manageboardなど、多くの専用ツールがあります。これらのツールは、データ自動収集、リアルタイムのダッシュボード表示、関係者間のコラボレーション支援、レポート作成機能などを提供し、管理を効率化します。

CRM/SFAシステム

営業部門やマーケティング部門のKPI(商談数、成約率など)を追跡し、それが最終的な売上KGIなどにどう繋がっているかを管理するためによく利用されます。

CDP (Customer Data Platform)

特にマーケティング領域において、様々なソースからの顧客データを統合し、より正確なKGI/KPIの設定、追跡、分析を支援します。

KGI/KPI管理ツールを選ぶ際は、目標設定の複雑さや組織の規模、運用状況などを考慮することが大切です。当初は表計算ソフトでも良いですが、データ共有や高度な分析が求められるなら、専用ツールが効率や可視化で優位でしょう。専用ツールを活用すれば、手作業が減るため分析により多くの時間を充てられるようになります。リアルタイムな状況把握や共同作業が格段にしやすくなるため、チーム全体の共通理解を深める上でも効果的です。ただし、高度なツールの導入には、相応のリソースと組織的対応が求められる点に留意しなくてはなりません。

まとめ

KGI(重要目標達成指標)は、組織が目指す最終ゴールを数値で明確に示す、大切な指針です。この指標があることで、組織の進むべき道が一つに定まり、進捗も客観的に把握しやすくなるのです。KGIをSMART原則で決め、KPI(重要業績評価指標)に具体化し、PDCAサイクルで回していく。この取り組みが、組織が成長し続けるための大きな力になるでしょう。

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組織の最重要ゴール(KGI)をSMART原則で明確に数値化し、KPIで具体的な行動指標に落とし込むには、精度の高い企業データが不可欠です。

「SalesNow」は、全国540万社を網羅する国内最大級の企業データベース。部署・拠点・人物単位の連絡先や最新ニュースを一元管理できるため、KGI設定からPDCAサイクルの実行、進捗管理までをスムーズに実現します。

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