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No.182
更新日 2025年07月25日

【目的別】成果に繋がる営業ダッシュボードの作り方からツール比較まで徹底解説!

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「チームの営業状況は?と聞かれても、一言では説明できない…」
「SFAにデータは溜まっているはずなのに、宝の持ち腐れになっている…」

営業マネージャーや経営企画の担当者であれば、このような「営業活動のブラックボックス化」に、強い課題感をお持ちではないでしょうか

この根深い課題を解決し、データに基づいた科学的な営業組織へと変革するための強力な武器が「営業ダッシュボード」です。

この記事は、ダッシュボードの本当の目的とメリットや作り方、ツールの賢い選び方など網羅的に解説します。

営業ダッシュボードとは?

営業ダッシュボードは、これらの課題を解決するための強力なソリューションです。

営業の「健康状態」をリアルタイムで可視化する“コックピット”

営業ダッシュボードとは、営業活動に関する様々な重要業績評価指標(KPI)を、グラフや表を用いて一つの画面にまとめ、リアルタイムで状況を可視化するためのツールです。

それは、飛行機のパイロットが計器盤(コックピト)を見て、機体の速度や高度、燃料残量といった「健康状態」を一目で把握し、安全な航路へと導くのに似ています。営業ダッシュボードは、まさに営業組織の“コックピット”であり、データに基づいた正しい操縦を可能にするのです。

メリット1:データに基づいた、迅速で的確な意思決定を可能にする

リアルタイムで更新される客観的なデータを見ることで、「勘」や「経験」だけに頼らない、的確な意思決定が迅速に行えます。経営者は市場の変化をいち早く捉え、マネージャーはチームの課題を正確に把握できます。

メリット2:課題の早期発見と、改善アクションの高速化

「Aチームの商談化率が先週から急に落ちている」「Bさんの案件が特定のフェーズで滞留しがちだ」といった、問題の兆候を早期に発見できます。原因究明と改善アクションのサイクルを高速で回すことで、大きな問題に発展する前に対処できます。

メリッ3:目標意識の共有と、メンバーの健全な競争意識を醸成する

チーム全員が同じダッシュボードを見ることで、「今、チームは目標に対してどの位置にいるのか」という共通認識が生まれます。個人の成績も可視化されることで、健全な競争意識が生まれ、メンバーのモチベーション向上にも繋がります。

営業ダッシュボードで見るべきKPI・指標の具体例

最も重要なのは、「誰が、何のために見るのか」によって、ダッシュボードで見るべき指標は全く異なるということです。ここでは、代表的な3つの役割別に、可視化すべきKPIの例をご紹介します。

①【経営者向け】事業全体の健全性を測るダッシュボード

経営者は、事業全体の「今」と「未来」を把握し、重要な経営判断を下す必要があります。見るべきは、マクロな視点での指標です。

指標見るべきポイント
売上・利益の予実対比予算に対して実績はどうか?目標達成のペースは?
パイプライン全体像商談の各フェーズに、どれくらいの案件数・金額が存在するか?(将来の売上の先行指標)
LTV/CAC顧客一人から得られる生涯価値は、顧客獲得コストに見合っているか?
平均顧客単価・受注サイクル事業の収益性と営業効率はどうか?

②【マネージャー向け】チームの目標達成を管理するダッシュボード

マネージャーは、チームの目標達成と、メンバーの育成に責任を持ちます。見るべきは、チームと個人のパフォーマンスを測る、よりミクロな指標です。

指標見るべきポイント
チーム/メンバー別KPI進捗各自の目標(アポ数、商談数、受注額など)に対する達成率は?
案件の滞留状況特定の商談フェーズで長期間止まっている案件はないか?
行動量と成果の相関アポ数や訪問数は、受注という成果に繋がっているか?
リードソース別受注率どのチャネルからのリードが最も質が高いか?

③【メンバー向け】セルフコーチングを促すダッシュボード

現場の営業担当者が見るべきは、自身の行動を振り返り、自ら改善していくための指標です。

指標見るべきポイント
個人の目標達成率自身の目標に対して、今どの位置にいるのか?
行動量今月の訪問件数や架電数は、目標に対して十分か?
商談化率・受注率自身のアクションが成果に繋がっているか?(自身の強み・弱みの把握)
トップセールスとの比較成果を出している同僚と、自身の活動量の違いはどこにあるか?

成果に繋がる営業ダッシュボードの作り方【5ステップ】

「使える」ダッシュボードは、以下の5つのステップで作成します。

Step1:「誰が」「何のために」見るのか、目的を1枚の紙に書き出す(最重要)

ツールに触る前に、まずこれを定義します。「営業マネージャーが、週次の会議で、各メンバーの行動改善を促すために見る」「経営者が、毎朝5分で、事業全体の売上見込みを把握するために見る」のように、主語(誰が)と動詞(何をするために)を明確にしましょう。この目的が、全ての設計の基盤となります。

Step2:目的に基づき、可視化すべきKPI・指標を3~5個に絞り込む

目的を達成するために、本当に見るべき指標は何かを考え、多くても3~5個に絞り込みます。 情報が多すぎると、かえって何も伝わりません。「この数字が動いたら、次はこのアクションを取る」というように、見た瞬間に次の行動がイメージできる指標を選びましょう。

Step3:必要なデータを定義し、収集・整形する(データクレンジング)

選定したKPIを表示するために、どのデータソースから、どのようなデータを集める必要があるかを定義します。SFA/CRM、Excelファイルなど、データが分散している場合は、それらを統合する方法を検討します。また、表記の揺れ(例:「株式会社〇〇」「(株)〇〇」)などを統一するデータクレンジングも、正確な分析のために不可欠な作業です。

Step4:ツールを選定し、ダッシュボードを構築する

データの所在や、求める表現力、予算に応じて、最適なツールを選定します。そして、Step1~2で定義した要件に基づき、実際にグラフや表を配置してダッシュボードを構築していきます。

Step5:運用ルールを定め、改善のサイクル(PDCA)を回す

ダッシュボードは作って終わりではありません。「週次の営業会議で、冒頭5分でこのダッシュボードを全員で確認する」「この指標に異常値が出たら、担当マネージャーは3営業日以内に原因を報告する」といった具体的な運用ルールを定めます。そして、実際に運用してみて「この指標はあまり意味がない」「もっとこういう見方がしたい」といったフィードバックを基に、定期的にダッシュボード自体を改善していくサイクル(PDCA)を回しましょう。

営業ダッシュボード作成ツールのメリット・デメリット

ダッシュボードを作成するツールには、主に3つのレベルがあります。

レベル1:Excel / Googleスプレッドシート

項目内容
メリットほとんどの企業で導入済みであり、追加コストなしで手軽に始められる。
デメリットデータの更新が手作業になりがち。
リアルタイム性に欠ける。複数人での同時編集や管理が難しく、属人化しやすい。

→ まずは分析の文化を根付かせたい、スモールスタートしたい企業向け。

レベル2:SFA/CRMの標準機能

項目内容
メリットSFA/CRMに入力されたデータがリアルタイムで反映される。
多くのツールで標準機能として搭載されており、追加コストがかからない場合が多い。
デメリット基本的にはSFA/CRM内のデータしか扱えない。
グラフの種類やレイアウトの自由度など、定型的な分析や表現に留まることが多い。

→ SFA/CRMを導入済みで、まずはその中のデータを活用したい企業向け。

レベル3:BIツール

項目内容
メリットSFA、会計ソフト、広告データなど、複数の異なるデータソースを統合して分析できる。
表現力豊かなグラフやインタラクティブな操作が可能で、高度な分析を実現する。
デメリット別途ライセンス費用がかかる。
高機能な分、使いこなすにはある程度の学習やスキルが必要。

→ 全社的なデータ活用を目指す、よりデータドリブンな経営判断を行いたい企業向け。

営業ダッシュボードが形骸化する原因

せっかく作ったダッシュボードが、いつの間にか誰も見ない「お飾り」になってしまう…。そうならないための3つの注意点です。

原因1:指標を詰め込みすぎて、結局何を見ればいいかわからない

「あれもこれも見たい」と、一つのダッシュボードに何十個もの指標を詰め込んでしまうケースです。情報が多すぎると、どこに注目すれば良いかわからず、見るのが億劫になってしまいます。

回避策

Step2で解説した通り、目的を達成するために本当に重要な指標を3~5個に厳選しましょう。ダッシュボードは「シンプル・イズ・ベスト」です。

原因2:データの更新が手間で、情報が古くなり誰も信じなくなる

特にExcelでダッシュボードを運用している場合に起こりがちです。元データの更新が手作業で、担当者しかやり方が分からない…といった状態では、更新が滞り、ダッシュボードの数字は「過去の遺物」と化します。古いデータに基づく意思決定ほど危険なものはありません。

回避策

SFAやBIツールを活用し、可能な限りデータの更新を自動化しましょう。手作業をなくすことが、データの信頼性を担保する上で最も重要です。

原因3:会議でダッシュボードを眺めるだけで、具体的な次の打ち手に繋がっていない

週次の会議でダッシュボードをスクリーンに映し、数字の増減を確認して「ふむふむ」と頷くだけで終わってしまうケースです。これでは、ダッシュボードはただの綺麗な「壁紙」です。

回避策

会議では、必ず「So What?(だから、何が言えるのか?)」「Now What?(で、次に何をすべきか?)」をセットで議論することをルール化しましょう。ダッシュボードは、次のアクションを生み出すための「きっかけ」と位置づけることが、形骸化を防ぐ最大の秘訣です。

よくある質問(Q&A)

Q1. ダッシュボードを作りたいのですが、何から始めればいいですか?

A1. まずはツールに触る前に、「誰が、何のために見るダッシュボードなのか」という目的を紙に書き出すことから始めましょう。目的が決まれば、見るべき指標(KPI)は自然と絞られます。この目的設定が、ダッシュボード作成の成功の9割を占めます。

Q2. SFA/CRMとBIツール、どちらを使えば良いですか?

A2. まずはSFA/CRMの標準機能で十分な場合がほとんどです。SFA内のデータだけで目的が達成できるなら、追加コストは不要です。複数のデータ(例: 会計データや広告データ)を組み合わせて分析したい段階になって初めて、BIツールの導入を検討しましょう。

Q3. ダッシュボードを作っても、結局誰も見なくなりそうで心配です。

A3. 「週次の営業会議で必ず5分見る」など、ダッシュボードを業務プロセスに組み込むルールを作りましょう。そして、数字を見て終わりではなく、「だから何をすべきか?」という次のアクションを議論する場にすることが、形骸化を防ぐ最大の秘訣です。

まとめ

本記事では、成果に繋がる営業ダッシュボードの設計思想から、具体的な作り方、そして失敗しないための運用法までを解説しました。

営業ダッシュボードは、単なるグラフやレポートを作成するツールではありません。それは、組織全体で「データという共通言語」で会話し、客観的な事実に基づいて意思決定を行い、高速で改善を回していくための、極めて強力な「文化装置」なのです。

「誰が、何のために見るのか」――この問いから始まる、考え抜かれたダッシュボードは、あなたのチームのパフォーマンスを最大化し、組織をデータドリブンな常勝集団へと変革させる力を持っています。

ぜひ、この記事を参考に、あなたの会社だけの「最強のコックピット」を作り上げてください。

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