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No.190
更新日 2025年06月26日

いまさら聞けない営業用語、全部解決!意味・使い方・学び方を徹底解説

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営業の成果を大きく左右する「営業用語」。これらを正しく理解し使いこなすことは、顧客やチームとの円滑なコミュニケーションと信頼関係の構築に不可欠と言えるでしょう。用語の知識が曖昧ですと、認識のズレや誤解を生み、顧客の信頼を損ねたり、大きなビジネスチャンスを逃したりすることにも繋がりかねません。

この記事では、営業現場で必須となる基本的な用語から、戦略立案に関わる専門的な用語まで、それぞれの正確な意味、具体的な使用シーン、そして効果的な学習方法を分かりやすく解説していきます。

営業用語とは?

営業用語とは、商談から社内会議、顧客対応に至るまで、営業活動の多様な場面で用いられる専門的な言葉やフレーズの総称です。これらはいわば「共通言語」として機能し、社内外での迅速かつ正確な意思疎通を助け、業務効率を大きく高めます。専門用語への理解が浅いと、会議の論点が掴めなかったり、顧客との認識に齟齬が生じたりする原因にもなり得るでしょう。

営業用語を適切に使いこなせれば、コミュニケーションが円滑になり誤解が減るだけでなく、自身の専門性を示し顧客からの信頼を得やすくもなります。結果として説得力のある提案に繋がり、多くのメリットが期待できるのです。逆に、理解不足や誤用は、プロとしての信頼を損ない、時には商談破談といった深刻な事態を招くことも。このように、営業用語の正しい理解と適切な使用は、個人の評価や成果に直結する極めて重要なスキルと言えます。

【シーン別】頻出!覚えておくべき重要営業用語集

営業活動の各フェーズや特定の状況で頻繁に使用される重要な営業用語を、利用シーン別に分類して解説します。各用語について、「意味」「使い方・例文」「ポイント・関連用語」を明記し、理解を深めていきましょう。

主要営業用語クイックリファレンス表

まずは、本セクションで解説する主要な営業用語とその概要を一覧表で示します。詳細な解説は各用語の項目をご参照ください。

用語簡単な意味主な利用シーン関連キーワード(一部)
リード自社の商品やサービスに興味を持つ初期段階の見込み顧客マーケティング、営業初期MQL, SQL, プロスペクト, リードジェネレーション, リードナーチャリング
プロスペクトリードの中でも特に購買意欲が高く、商談に進む可能性の高い見込み顧客営業中期、商談前リード, サスペクト, 見込み顧客
アポイント(アポ)顧客との面談や商談の約束営業初期、アプローチテレアポ, 商談, 訪問
テレアポ電話によるアポイント獲得活動新規開拓、営業初期スクリプト, コールセンター, アウトバウンド
インバウンド顧客側から企業へ問い合わせやアクションがあることマーケティング、リード獲得コンテンツマーケティング, SEO, プル戦略
アウトバウンド企業側から顧客へ積極的にアプローチすること新規開拓、プッシュ戦略テレアポ, 訪問営業, コールドコール
アプローチ見込み顧客への最初の接触や働きかけ営業初期ファーストコンタクト, 営業手法, ターゲット設定
ヒアリング顧客の課題やニーズを詳細に聞き出すこと商談、提案前ニーズ把握, 課題特定, BANT条件, SPIN話法
BANT条件予算(Budget)・決裁権(Authority)・必要性(Needs)・導入時期(Timeframe)の確認フレームワーク法人営業のヒアリングリードクオリフィケーション, 商談化
ニーズ顧客が抱える要求、要望、解決したい課題ヒアリング、提案ウォンツ, 課題, 要求
提案書顧客の課題解決策や提供価値をまとめた文書商談、プレゼンテーション企画書, 見積書, FABE分析
ベネフィット顧客が商品やサービスから得られる具体的な利益や価値、良い変化提案、商品説明メリット, バリュープロポジション
クロージング商談の最終段階で、契約締結を促すこと商談最終盤成約, 契約締結, 最終確認
交渉価格や条件などについて合意を目指す話し合い商談、契約前条件交渉, 価格交渉, 合意形成
値引き商品やサービスの価格を下げること価格交渉ディスカウント, 譲歩
受注顧客から商品やサービスの注文を受けること契約成立時成約, 契約, 発注(対義語)
失注商談が成約に至らなかったこと商談不成立時逸注, 案件クローズ(ロスト), 競合敗北
ヨミ進行中の商談の受注確度や売上予測営業管理、売上予測パイプライン管理, 受注確度, 着地
アフターフォロー販売・契約後に顧客へ行うサポートや情報提供契約後、顧客維持カスタマーサポート, カスタマーサクセス, 顧客維持
アップセルより高価な上位商品・プランへの乗り換えを促すこと既存顧客対応、提案時クロスセル, 顧客単価向上, LTV
クロスセル関連商品やサービスを合わせて購入してもらうこと既存顧客対応、提案時アップセル, 合わせ買い, セット販売
顧客満足度(CS)顧客が商品やサービスにどれだけ満足しているかの度合いアフターフォロー、マーケティング分析CS, 顧客ロイヤルティ, NPS, LTV
KPI重要業績評価指標。最終目標達成のための中間目標目標管理、進捗管理KGI, PDCAサイクル
KGI重要目標達成指標。企業の最終的な定量的目標戦略立案、目標設定KPI, 売上目標, 事業目標
SFA営業支援システム。営業活動の効率化・自動化ツール営業管理、情報共有CRM, MA, 営業DX
CRM顧客関係管理。顧客情報の一元管理と関係構築のための戦略・システム顧客管理、マーケティングSFA, MA, LTV, 顧客データベース
ナーチャリング見込み客を育成し、購買意欲を高める活動リード育成、マーケティングオートメーションホットリード化, MA
オンボーディング新入社員の早期戦力化や、顧客のサービス利用定着支援人材育成、カスタマーサクセスOJT, 導入支援, 活用促進
案件管理商談の進捗やステータスを管理すること営業管理パイプライン管理, 商談管理, ヨミ管理, SFA
予算達成設定された営業予算(売上目標など)を達成すること業績管理、目標管理売上目標, 利益目標, KGI, KPI

見込み客獲得・アプローチ段階の用語

営業活動の出発点となる、見込み客を見つけ出し、最初の接点を持つ段階で使われる用語を見ていきましょう。

リード (Lead)

意味
自社の商品やサービスに何らかの形で興味を示したり、接点を持ったりした、初期段階の見込み顧客のことです。将来的に顧客になる可能性を秘めた個人や企業を指します。

使い方・例文
マーケティング担当者:「今月のウェビナーから多くのリードが獲得できました。」
営業担当者:「このリードリストの中で、特に有望なリードに優先的にアプローチしましょう。」
具体的なリード獲得のきっかけとしては、ウェブサイトからの問い合わせ、資料請求、セミナーへの参加、展示会での名刺交換などが挙げられます。

ポイント・関連用語
「リード」という言葉は、営業とマーケティング部門で定義や捉え方が異なる場合があります。マーケティング部門は初期接点を持った見込み客全般を指しますが、営業部門はより案件化や受注に近い、絞り込まれた見込み客を指す傾向が見られます。この定義のズレは部門間連携でミスコミュニケーションを生むため、社内で「リード」の基準を明確にし、共通認識を持つことが非常に重要です。例えば、リード引き渡し基準(MQLの定義など)を具体的に定めておけば、連携がスムーズになり効率的な営業活動が期待できるでしょう。

※関連用語
MQL (Marketing Qualified Lead), SQL (Sales Qualified Lead), リードジェネレーション, リードナーチャリング, プロスペクト

プロスペクト (Prospect)

意味
「リード」の中でも、特に自社の商品やサービスに対する購買意欲が明確で、具体的な商談に進む可能性が高いと判断される見込み顧客を指します。リードよりも一歩進んだ、より有望な見込み客の段階と言えるでしょう。

使い方・例文
「先日のヒアリングの結果、A社は確度の高いプロスペクトと判断しました。」
「プロスペクトリストを更新し、各担当者に共有してください。」

ポイント・関連用語
「リード」や「サスペクト(まだ自社の商品やサービスへの興味・関心が確認できていない段階の見込み客候補)」との違いを明確に理解することが、営業戦略を立てる上で重要になります。
Account Engagement (旧Pardot)では、Cookie情報と個人情報が紐づいた状態の見込み客または既存顧客全般を「プロスペクト」と呼ぶことがあるため、Salesforceなど他ツールとの定義の違いに注意が必要です。

※関連用語
リード, サスペクト, 見込み顧客, 案件化

アポイント(アポ) (Appointment)

意味
顧客や見込み客との面談や商談の約束を取り付けること、またはその約束自体を指します。

使い方・例文
「明日の午前中は、B社様との重要なアポが入っています。」
「新規開拓のために、まずはアポ取りの件数を増やそうと思います。」

ポイント・関連用語
アポイント獲得は、営業プロセスの初期における重要な目標の一つです。アポイントが取れなければ商談の機会は生まれません。獲得手段は電話(テレアポ)、メール、紹介、イベントなど多岐にわたります。
効果的なアポイント獲得は、その後の商談成否にも影響するため、アプローチの質(例:顧客にとってのメリットを明確に伝えること)が非常に重要になってきます。質の高いアプローチは、アポイント獲得率向上、ひいては営業機会の増加に直結すると言えるでしょう。

関連用語
テレアポ, 商談, 訪問, 面談

テレアポ (Tele-appointment)

意味
電話を使って新規の顧客や見込み客にアプローチし、商談のアポイントを獲得する営業活動のことです。

使い方・例文
「新製品のプロモーションのため、来週からテレアポキャンペーンを開始します。」
「テレアポのトークスクリプトを改善して、アポイント獲得率を上げたいと考えています。」

ポイント・関連用語
テレアポ成功のコツとしては、明るくハキハキとした話し方、顧客メリットの具体的提示、主導権を握りつつ相手の反応を見ること、詳細を伝えすぎず興味を引くこと、複数の候補日提案、そしてPDCAサイクルによるトークスキル向上が挙げられます。
注意点として、目的の明確化、相手情報の事前確認、電話時間帯への配慮、正しい言葉遣いなどを心がける必要があります。

※関連用語
スクリプト, コールセンター, アウトバウンドコール, コールドコール

インバウンド/アウトバウンド (Inbound/Outbound)

インバウンドの意味
顧客側から自社へ問い合わせや資料請求、ウェブサイトアクセスといった形で能動的にアプローチしてくる状態、またはそうした行動を促す手法(プル型戦略)のことです。

インバウンドの使い方・例文
「コンテンツマーケティング強化の結果、インバウンドでのリード獲得数が前月比50%増加しました。」

インバウンドのポイント・関連用語
現代のBtoBマーケティング・営業では、顧客が自ら情報収集し比較検討する購買行動の変化に伴い、インバウンド戦略の重要性が高まっています。

インサイドセールスは、インバウンドで獲得したリードへの対応を担当することが多いです。

※インバウンドの関連用語
リードジェネレーション, コンテンツマーケティング, SEO

アウトバウンドの意味
企業側から顧客へ電話、メール、訪問などで積極的に働きかける営業活動やマーケティング手法(プッシュ型戦略)を指します。

アウトバウンドの使い方・例文
「新規ターゲットリストに対し、アウトバウンドコールで集中的にアプローチする計画です。」

アウトバウンドのポイント・関連用語
アウトバウンドでは、電話(テレアポ)、訪問営業、メールマーケティングなど多様な手法を駆使して新規開拓を進めます。

インサイドセールスはアウトバウンド活動も行い、インバウンドと組み合わせて営業効率を高めています。

※アウトバウンドの関連用語
コールドコール, テレアポ, 訪問営業

アプローチ (Approach)

意味
見込み顧客に対し、商談や契約獲得などを目的に、最初の接触を試みたり、何らかの働きかけを行ったりする営業活動全般を指します。特に、営業プロセス初期のファーストコンタクトを指すことが多いでしょう。

使い方・例文
「展示会で獲得した名刺リストに対して、順次メールでアプローチを開始します。」
「顧客の業界や課題に合わせて、アプローチ方法を変える必要があります。」

ポイント・関連用語
アプローチ手法は対象が新規顧客か既存顧客かで異なります。新規にはテレアポ、メール、セミナー、SNSなどが、既存には定期訪問やメールでの情報提供などが用いられるでしょう。営業スタイル(ソリューション営業、インサイト営業など)によっても適切な方法は変わってきます。

アプローチ成功のためには、3C分析(顧客・市場、競合、自社)や顧客分析を徹底し、ターゲット市場を明確にすることが重要です。

※関連用語
ファーストコンタクト, 営業手法, ターゲット設定, リードジェネレーション

ヒアリング・提案段階の用語

見込み顧客との関係を深め、具体的なニーズや課題を明らかにし、それに対する解決策を提示する段階で使われる用語について説明します。

ヒアリング (Hearing)

意味
客や見込み客から、現状の課題、ニーズ、要望、予算、導入時期、決裁プロセスといった情報を詳細に聞き出すことです。相手の真意や背景を理解しようとする積極的な傾聴の姿勢が求められます。

使い方・例文
「次回の商談では、まずお客様の抱える課題について、じっくりとヒアリングさせていただく予定です。」
「ヒアリングを通じて、顧客自身も気づいていなかった潜在的なニーズを発見できました。」

ポイント・関連用語
効果的なヒアリングは、単に質問するだけでは成り立ちません。顧客が話しやすい雰囲気作り、傾聴の重視、相手に合わせたペーシング、適切な質問の使い分け(オープン/クローズド)、そして言葉の背景にある感情や状況の深掘りが重要となります。これにより「潜在ニーズ」を引き出し、コンサルティング営業の第一歩となるでしょう。

確認すべき代表項目はニーズ、課題、導入時期、予算、決裁フロー、利用者、選定基準、競合などです。ヒアリングシートを準備すれば、聞き漏れを防ぎ効率的に情報を収集できると考えられます。

※関連用語
ニーズ把握, 課題特定, BANT条件, SPIN話法, 傾聴

BANT条件 (BANT Conditions)

意味
法人営業(BtoB営業)で、見込み客の質や商談確度を評価する代表的なヒアリングフレームワークです。Budget (予算)、Authority (決裁権)、Needs (必要性)、Timeframe (導入時期) の頭文字を取っています。Competitor (競合) や Human resources (人的資源) を加えた「BANTC」や「BANTCH」も存在します。

使い方・例文
「この案件のBANT条件を再確認し、ネクストアクションを決定しましょう。」
「ヒアリングシートにBANT情報を漏れなく記録することが、確度の高い営業活動に繋がります。」

ポイント・関連用語
BANT条件のヒアリングは、尋問のようにならず自然な会話の中で情報を引き出す工夫が必要です。例えば予算は導入メリット提示後に尋ねる、決裁権は今後の進め方確認の中で把握するなど、聞き方を工夫すると良いでしょう。

単に情報を集めるだけでなく、各情報が持つ意味を深く理解し、顧客の状況に合わせた柔軟な対応が重要です。BANT情報に固執しすぎると、顧客との関係性を損なう可能性もあるため注意が求められます。MEDDICなど他のフレームワークも商材や顧客特性に合わせて使い分けることが有効です。

※関連用語
ヒアリング, リードクオリフィケーション, 商談化, フレームワーク

ニーズ (Needs)

意味
顧客が抱える「こうありたい」理想と現状とのギャップから生じる要求や要望、解決すべき課題のことです。顧客が明確に認識している「顕在ニーズ」と、顧客自身も気づいていない「潜在ニーズ」の2種類があります。

使い方・例文
「今回の提案は、お客様のコスト削減というニーズに応えるものです。」
「丁寧なヒアリングによって、お客様の潜在的な業務効率化へのニーズを引き出すことができました。」

ポイント・関連用語
ニーズ確認はBANT条件の「N (Needs)」に該当し、営業活動の根幹をなす非常に重要な要素と言えます。特にBtoB営業では、顧客の表面的な要望だけでなく、その背景にある組織全体の課題や目標といった本質的なニーズを掘り下げて理解することが求められるでしょう。

潜在ニーズを的確に捉え、顧客に新たな気づきを与える「インサイト営業」は、現代の営業において競争優位性を築く上で効果的なアプローチとされています。

※関連用語
ウォンツ, 課題, 要求, 顕在ニーズ, 潜在ニーズ

提案書 (Proposal Document)

意味
顧客の課題やニーズに対し、自社の商品やサービスがどう貢献できるか、具体的な解決策や提供価値、導入計画、費用などをまとめて提示する公式な文書を指します。

使い方・例文
「ヒアリング内容を基に、A社様専用の提案書を作成しました。」
「提案書の構成を見直し、より顧客に響く内容にブラッシュアップしましょう。」

ポイント・関連用語
質の高い提案書は、商品紹介だけでなく顧客のビジネスや課題への深い理解を示し、信頼感を醸成します。分かりにくい資料や一方的な提案は失注の原因となり得るため注意が必要です。

提案書作成のコツは、目的明確化とヒアリングで得た課題の正確な把握、採用メリットの具体的提示と裏付けデータ・事例の盛り込みです。専門用語を避け、図解やイラストを活用し、誰にでも伝わるデザインや文章を心がけ、PREP法を意識した構成も効果的でしょう。使用場面(配布資料かプレゼン用か)を考慮し形式(Word/PowerPoint)を使い分けることも大切です。FABE分析や6W2Hも役立ちます。

※関連用語
企画書, プレゼンテーション, 見積書, ソリューション提案

ベネフィット (Benefit)

意味
顧客が商品やサービスを利用することで得られる具体的な利益、価値、あるいはそれによってもたらされる肯定的な変化や体験のことです。「メリット(特徴や利点)」が商品自体の属性を指すのに対し、「ベネフィット」は顧客がメリットを通じて何を得られるかという顧客視点の価値を意味します。

使い方・例文
「この会計ソフトのメリットは多機能であることですが、それによってお客様が得られるベネフィットは、経理業務の大幅な時間短縮と、人的ミスの削減によるコスト削減です。」

「単に製品のスペックを説明するのではなく、顧客にとってのベネフィットを明確に伝えることが重要になります。」

ポイント・関連用語
営業では、商品の「メリット」だけでなく、それが顧客にとってどのような「ベネフィット」に繋がるかを具体的に示すことが購買意欲を高める上で非常に重要です。顧客は商品そのものではなく、それを通じて得られる価値や課題解決、より良い未来を購入していると言えるでしょう。

ベネフィットを効果的に伝えるには、顧客のニーズを深く理解し、自社の商品やサービスがそのニーズをどう満たせるかを明確に提示することが求められます。

※関連用語
メリット, バリュープロポジション, 価値提案

交渉・クロージング段階の用語

提案内容について顧客と合意形成を図り、最終的に契約締結へと導く段階で使われる用語を解説します。

クロージング (Closing)

意味
商談の最終段階で、顧客に対して契約や購入の意思を明確に確認し、合意を取り付けるプロセスを指します。クロージングは「締めくくり」という意味合いです。

使い方・例文
「そろそろクロージングに向けて、決裁者の確認を進めましょう。」
「顧客の懸念点をクリアにした後にクロージングに入るのが効果的です。」

ポイント・関連用語
クロージングは押し売りではなく、顧客の不安や疑問を解消した上で自然な形で契約を結ぶことが望まれます。多様なクロージング手法(選択肢提示法、条件付き合意法、仮承諾法など)が存在し、相手の状況や心理に合わせて使い分けられます。

また、クロージングは営業の「ゴール」ではなく、顧客との「新たな関係の始まり」と捉えることが重要です。

※関連用語
フォローアップ, 決裁, 契約, 成約

交渉 (Negotiation)

意味
商品やサービスの価格、納期、契約条件などについて、顧客と話し合い、双方にとって受諾可能な合意点を見出すプロセスのことです。

使い方・例文
「価格については、もう少し交渉の余地はございませんでしょうか。」
「契約条件の詳細について、明日改めて交渉の場を設けさせていただけますでしょうか。」

ポイント・関連用語
交渉を有利に進めるには事前準備が不可欠です。価格交渉なら相見積もりで市場価格を把握したり、価格推移を分析したり、自社価格設定の根拠データを用意したりすることが有効でしょう。

交渉テクニックには、小さな合意を重ねる「積み重ね法」、重要でない条件譲歩の見返りに本命条件を通す「見返り要求法」、相手の意見に一旦同意し主張を述べる「徹底同意法」、分割払いやリース提案で負担感を軽減する「錯覚誘引法」、試用期間を設ける「チワワ法」など様々あります。自社利益だけでなく、相手とのWIN-WINの関係構築を目指す姿勢が長期的信頼に繋がります。

※関連用語
条件交渉, 価格交渉, 合意形成, ディール

値引き (Discount/Price Reduction)

意味
商品やサービスの定価から価格を引き下げることです。多くの場合、価格交渉の一環として、あるいは販売促進の手段として行われます。

使い方・例文
「競合他社よりも高いとのご指摘でしたので、今回に限り特別に5%値引きさせていただきます。」
「まとめてご購入いただけるのであれば、多少の値引きは検討可能です。」

ポイント・関連用語
安易な値引きは、企業の利益率低下やブランド価値毀損の可能性があるため慎重に行うべきです。値引きを行う際は、理由(大量購入、長期契約、キャンペーンなど)や条件を明確に顧客に伝え、納得感を得ることが重要になります。

値引き以外の譲歩(付帯サービス無料化、納期短縮など)も交渉カードとして持つと、価格競争を避けられる場合があるでしょう。

※関連用語
価格交渉, 譲歩, ディスカウント, プロモーション

受注 (Order Acceptance/Winning an Order)

意味
顧客から商品やサービスの正式な注文を受けることを指します。これにより、売上が発生する権利が確定します。

使い方・例文
「長期間フォローしていたA社から、ついに大型案件を受注しました。」
「今月の目標受注額まで、あと一歩です。」

ポイント・関連用語
受注は営業の大きな目標の一つですが、受注後のプロセス管理(受注管理)も非常に重要です。注文内容の正確な把握、納期管理、関連部署との連携などを適切に行うことで、ヒューマンエラーを防ぎ、顧客満足度を高められるでしょう。

「受注生産(注文を受けてから生産)」「受注販売(在庫品を注文に応じて販売)」「受注残(受注したが未納品)」といった関連用語も業種により頻繁に使われます。

※関連用語
成約, 契約, 発注 (顧客側からの行為), 売上計上

失注 (Lost Deal/Lost Order)

意味
進行していた商談が成約に至らず、受注できなかったこと、あるいは一度受注したものの顧客都合などでキャンセルになった状態を指します。「逸注(いっちゅう)」もほぼ同義です。

使い方・例文
「残念ながら、競合他社との比較の末、今回の案件は失注となりました。」
「失注原因を分析し、今後の営業戦略に活かす必要があります。」

ポイント・関連用語
失注は避けられないものですが、原因分析し次に活かすことが重要です。失注には必ず理由があり、放置すると同じ過ちを繰り返すことになりかねません。

一般的な原因は、ヒアリング不足、提案内容のミスマッチ、顧客の疑問・不安解消不足、信頼関係構築不足、競合優位、自社商品魅力伝達不足などが挙げられます。これらを検証し改善策を講じることが将来の受注率向上に繋がるでしょう。

※関連用語
逸注, 案件クローズ(ロスト), 競合敗北, ペンディング(保留)

ヨミ (Sales Forecast/Pipeline Reading)

意味
進行中の商談について、受注確度や受注予定金額、受注予定時期などを予測すること、またはその予測自体を指します。「ヨミ数字」「ヨミ表」といった形で使われることが多く、「フェーズ」で確度を示すこともあります。

使い方・例文
「今月末のヨミは、Aヨミ(確度高)が5件、Bヨミ(確度中)が10件です。」
「ヨミの精度を上げるために、各案件の進捗状況をより詳細に把握する必要があります。」

ポイント・関連用語
ヨミの確度は、企業やチームにより「A・B・C」や「高・中・低」、「90%・70%・50%」など独自の基準でランク分けされることが一般的です。

正確なヨミ管理は、売上予測精度を高め、経営判断やリソース配分最適化に不可欠となります。個々の営業担当者には、注力案件判断材料となり効率的な営業活動を支援するでしょう。

精度向上のためには、担当者の主観だけでなく客観的データ(過去の類似案件成約率、顧客反応など)に基づき判断し、定期的にヨミ会議などでチーム内情報を共有・議論することが重要です。

※関連用語
売上予測, パイプライン管理, 受注確度, 見込み管理, 着地

アフターフォロー (After-Follow-up/After-Sales Service)

意味
商品やサービスの販売・契約完了後も、顧客に対して行う継続的なサポートや情報提供、コミュニケーション活動全般のことです。

使い方・例文
「納品後1ヶ月を目安に、お客様へアフターフォローのご連絡を差し上げましょう。」
「手厚いアフターフォローが、顧客満足度向上とリピート購入に繋がっています。」

ポイント・関連用語
アフターフォローの主目的は、顧客満足度向上、長期的信頼関係構築、リピート購入やサービス継続利用促進、アップセルやクロスセル機会創出など多岐にわたります。

効果的なアフターフォローは「売りっぱなし」の印象を防ぎ、顧客ロイヤルティを高め、LTV(顧客生涯価値)最大化に貢献します。具体的には、製品使い勝手ヒアリング、マニュアル追加共有、新たな課題への提案などが挙げられるでしょう。方法は電話、メール、訪問、セミナー、アンケートなどです。顧客の課題解決や疑問解消を第一に考えたコミュニケーションが重要になります。

※関連用語
カスタマーサポート, カスタマーサクセス, 顧客維持, LTV, リテンションマーケティング

アップセル (Upsell)

意味
既存顧客に対して、より高価な商品や上位グレードのサービスを提案・販売することで売上単価を上げる営業手法のこと。

使い方・例文
「基本プランご契約のお客様に、機能追加オプションのアップセル提案を行っています。」
「アップセルを成功させるには、顧客の利用状況やニーズを的確に把握することが必要です。」

ポイント・関連用語

アップセルは単なる値上げではなく、顧客にとっての価値向上を提示し、満足度を損なわずに実現することが鍵です。顧客の現状課題や将来的ニーズを深掘りし、最適な商品・サービスを提案します。

アップセルと似た概念に「クロスセル(別商品や関連商品提案)」があります。
アップセル施策は営業だけでなく、カスタマーサクセスやマーケティング部門と連携して行うことも多いです。

※関連用語
クロスセル, リテンション, LTV向上, バリューセリング

クロスセル (Cross-sell)

意味
顧客が購入検討中または購入済みの商品・サービスに関連する別の商品・サービスを合わせて提案し、購入点数を増やして顧客単価を向上させる営業手法を指します。

使い方・例文
ハンバーガー注文の顧客に「ご一緒にポテトとドリンクはいかがですか?」とセット購入を提案します(ファストフード店)。

ノートパソコン購入顧客に、マウスやプリンター、セキュリティソフトといった関連商品を提案します。

例文(カフェ):「コーヒーをご注文のお客様、こちらの新作ケーキはコーヒーとの相性が抜群でおすすめですよ。」

ポイント・関連用語
クロスセルは、顧客ニーズを広げ、新たな価値を提供することで顧客満足度を高めることも目的とします。提案のタイミングが重要で、一般的には顧客が主要商品の購入決定後に関連商品を提案するのがスムーズと言えるでしょう。

「アップセル」との違いを理解し、顧客の状況やニーズに応じて使い分けることが大切です。

※関連用語
アップセル, 合わせ買い, セット販売, 顧客単価向上, 関連商品

顧客満足度 (Customer Satisfaction/CS)

意味
顧客が自社の商品やサービス、あるいは企業そのものに対して、どの程度満足しているかを示す度合いのことです。

使い方・例文
「新製品導入後の顧客満足度調査を実施し、改善点を見つけ出しましょう。」
「顧客満足度の向上は、長期的な企業の成長に不可欠です。」

ポイント・関連用語
高い顧客満足度は、リピート購入、サービス継続利用、口コミによる新規顧客獲得、そしてLTV(顧客生涯価値)向上に大きく貢献します。
測定方法としては、アンケート調査(例:5段階評価)、NPS® (Net Promoter Score℠ – 顧客推奨度を測る指標)、インタビューなどが用いられます。
単に満足度を測るだけでなく、結果を分析し具体的な改善活動に繋げることが重要と言えるでしょう。

※関連用語
CS, 顧客ロイヤルティ, NPS®, LTV, CX (カスタマーエクスペリエンス)

営業戦略・管理に関する用語

営業活動全体を計画・実行・評価・改善していく上で使われる、より俯瞰的・戦略的な用語について解説します。

KPI (Key Performance Indicator)

意味
重要業績評価指標のことです。組織や個人の最終目標(KGI)達成のため、プロセスが適切に進捗しているかを定量的に測定・評価する中間指標を指します。

使い方・例文
営業チームのKGIが「年間売上1億円達成」である場合、KPIとして「月間新規アポイント獲得数50件」「商談からの成約率20%」「平均顧客単価50万円」などを設定します。

「各営業担当者のKPI達成状況を毎週確認し、必要に応じてサポートを行います。」

ポイント・関連用語
KPI設定時はまずKGI(最終目標)を明確にし、逆算して具体的な行動レベルの指標に落とし込むことが重要です。良いKPIの条件はSMART(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:KGIと関連性がある、Time-bound:期限が明確)がよく用いられるでしょう。担当者がコントロール可能な指標を選ぶことも大切です。
KPIは設定後、定期的に実績を測定・評価し、改善活動(PDCAサイクル)に繋げることが不可欠となります。ただし数値達成自体が目的化し、本質を見失わないよう注意が必要です(例:「1日50件飛び込み」は質に繋がるとは限りません)。

※関連用語
KGI, 目標管理, PDCAサイクル, パフォーマンス管理

KGI (Key Goal Indicator)

意味
重要目標達成指標のことです。企業や組織、プロジェクトが最終的に達成すべきゴールを定量的に示したものを指します。KPIがプロセスを測る中間指標に対し、KGIは最終成果そのものを表します。

使い方・例文
「我が社の来年度のKGIは、市場シェア15%獲得と、顧客満足度スコア平均4.5点以上です。」「KGI達成のためには、各部門が連携してKPIをクリアしていく必要があります。」

ポイント・関連用語
KGIは、具体的で測定可能、達成可能、関連性があり、期限が明確である(SMART)ように設定されるべきです。
KGIが明確に設定されて初めて、それを達成するための具体的な行動計画や中間目標であるKPIを適切に設定できると言えるでしょう。

※関連用語
KPI, 売上目標, 利益目標, 事業目標, 戦略目標

SFA (Sales Force Automation)

意味
営業支援システムのことです。顧客情報、案件情報、商談進捗、行動履歴などを一元管理し、営業業務の効率化や自動化を支援するツールやシステムを指します。

使い方・例文
「SFA導入で営業日報作成が自動化され、担当者はコア業務に集中できるようになりました。」
「SFAに蓄積された過去の商談データを分析し、受注確度の高い見込み客の特徴を割り出しましょう。」

ポイント・関連用語
SFAの主な機能には、顧客管理、案件(商談)管理、スケジュール管理、タスク管理、日報作成支援、売上予測、レポート分析などが含まれます。
CRM(顧客関係管理)としばしば比較されますが、SFAが主に営業担当者の活動支援や営業プロセスの効率化・可視化に焦点を当てているのに対し、CRMはマーケティング部門やカスタマーサポート部門も含めた、より広範な顧客との関係構築・維持を目的としています。ただし、近年では両者の機能を統合したツールも多く存在します。SFA導入のメリットとしては、営業プロセスの標準化による属人化の防止、リアルタイムな情報共有によるチーム営業力の強化、データに基づいた科学的な営業戦略の立案、営業事務の効率化などが挙げられるでしょう。

※関連用語
CRM (Customer Relationship Management), MA (マーケティングオートメーション), 営業DX (デジタルトランスフォーメーション), パイプライン管理

CRM (Customer Relationship Management)

意味
顧客関係管理のことです。顧客の属性情報、購買履歴、問い合わせ履歴、コミュニケーション履歴などを一元的に管理・分析し、顧客一人ひとりに合わせた最適なアプローチを行うことで、長期的に良好な関係を構築・維持し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す経営戦略や、それを実現するためのシステムを指します。

使い方・例文
「CRMシステムを活用して、顧客の誕生日にお祝いメッセージと特別クーポンを自動配信しましょう。」

「CRMデータから優良顧客をセグメンテーションし、限定イベントへ招待します。」

ポイント・関連用語
CRMシステムの主な機能には、顧客情報の一元管理、顧客対応履歴の管理、メール配信、問い合わせ管理、プロモーション管理、営業支援(SFA機能を含む場合もあります)、分析・レポート機能などがあります。
SFAが営業活動の効率化に主眼を置くのに対し、CRMは顧客とのエンゲージメントを高め、顧客満足度やロイヤルティを向上させることに重きを置きます。SFAとCRMの機能を統合したツールは、リード獲得から営業活動、契約後のフォローアップまで、顧客ライフサイクル全体を網羅的に管理し、より効果的なデータ活用を可能にするでしょう。このような統合されたアプローチは、部門間のサイロ化を防ぎ、一貫した顧客体験を提供する上で非常に有効と考えられます。CRM導入のメリットは、LTVの向上、顧客情報の資産としての蓄積・活用、One to Oneマーケティングの実現、解約率の低減などが挙げられます。

※関連用語
SFA (Sales Force Automation), MA (マーケティングオートメーション), LTV (顧客生涯価値), 顧客データベース, カスタマーサポート, One to Oneマーケティング

ナーチャリング (Nurturing / Lead Nurturing)

意味
「育成する」という意味で、マーケティングや営業の文脈では、獲得した見込み客(リード)に対して、継続的に情報提供やコミュニケーションを行うことで、徐々に購買意欲を高め、将来的な顧客へと育成していくプロセスや手法を指します。

使い方・例文
「展示会で獲得した名刺リストに対し、ステップメールを活用したナーチャリング施策を開始します。」
「コールドリード(購買意欲の低い見込み客)をホットリード(購買意欲の高い見込み客)へとナーチャリングすることが、インサイドセールスの重要な役割の一つです。」

ポイント・関連用語
ナーチャリングの具体的な手法としては、メールマガジンの配信、ブログ記事やホワイトペーパーなどの役立つコンテンツの提供、ウェビナー(オンラインセミナー)の開催、SNSでの情報発信、Webサイト上での行動履歴に基づいたパーソナライズされた情報の提示などが挙げられます。
特にBtoBビジネスのように検討期間が長期化しやすい商材や、高額な商材を扱う場合に、ナーチャリングは非常に有効です。すぐには購入に至らない見込み客との関係を維持し、適切なタイミングでアプローチすることで、商談化の機会を増やすことができるでしょう。マーケティングオートメーション(MA)ツールは、リードナーチャリングのプロセスを自動化・効率化する上で強力な武器となります。

※関連用語
リード育成, 見込み客フォロー, ホットリード化, MA (マーケティングオートメーション), コンテンツマーケティング

オンボーディング (Onboarding)

意味
元々は船や飛行機に「乗っている」状態を指す言葉で、ビジネスシーンでは主に2つの意味で使われます。一つは、新しく組織に加わったメンバー(新入社員や中途採用者)が、スムーズに職場環境や業務に慣れ、早期に能力を発揮して定着できるようにするための一連の教育・支援プロセスです。もう一つは、特にSaaS(Software as a Service)業界などで、新規顧客が製品やサービスをスムーズに導入・利用開始し、その価値を早期に実感して継続利用に繋げるための支援プロセスを指します。

使い方・例文
人事担当者:「今年度の新入社員向けオンボーディングプログラムでは、メンター制度を強化しました。」
カスタマーサクセス担当者:「新規契約いただいたお客様には、まずオンボーディングセッションにご参加いただき、基本的な操作方法をご案内しています。」

ポイント・関連用語
人材育成におけるオンボーディングは、単なるOJT(On-the-Job Training)や初期研修とは異なり、企業文化への適応、社内ネットワーク構築、エンゲージメント向上など、より包括的かつ長期的な視点でのサポートを意味します。
顧客向けのオンボーディングは、製品・サービスの機能説明だけでなく、顧客が抱える課題を製品・サービスでどのように解決できるかを示し、成功体験へと導くことが重要です。これにより、チャーン(解約)を防ぎ、LTV(顧客生涯価値)向上に貢献するでしょう。

※関連用語
OJT, メンター制度, 早期戦力化, 定着化, 導入支援, 活用促進, カスタマーサクセス, チュートリアル

案件管理 (Deal/Opportunity Management)

意味
営業活動において発生した個々の商談(案件)について、その引き合いの発生から受注または失注に至るまでの全プロセスと、各段階における進捗状況、関連情報(顧客情報、提案内容、受注予定金額、確度など)を一元的に管理することです。

使い方・例文
「SFAツールを導入し、営業チーム全体の案件管理を可視化することで、ボトルネックとなっているプロセスを特定できました。」
「週次の営業会議では、各担当者が自身の案件管理状況を報告し、今後の戦略を議論します。」

ポイント・関連用語
案件管理で管理される主な項目には、顧客名、担当者、案件名、提案商材、受注予定日、受注予定金額、受注確度(ヨミ)、現在の商談フェーズ、次回のアクション予定日と内容などが含まれます。
適切な案件管理を行うことで、営業プロセスの可視化、進捗状況のリアルタイムな把握、情報共有の円滑化、失注リスクの低減、属人化の防止、データに基づいた売上予測精度の向上など、多くのメリットが期待できるでしょう。SFA(営業支援システム)の主要な機能の一つとして、案件管理機能が搭載されていることが一般的です。

関連用語
パイプライン管理, 商談管理, ヨミ管理, SFA, ディールマネジメント

予算達成 (Budget Achievement)

意味
企業や部門、あるいは個人に割り当てられた一定期間内(月次、四半期、年次など)の営業予算(売上目標、利益目標、新規契約件数目標など)をクリアすることです。

使い方・例文
「今月はチーム全員の頑張りで、売上予算を120%達成することができました。」
「予算達成のためには、既存顧客への深耕と新規顧客開拓の両輪で取り組む必要があります。」

ポイント・関連用語
営業予算を達成するためには、単に売上金額を追うだけでなく、利益率の高い商材の販売に注力したり、顧客満足度を高めてリピート購入や紹介に繋げたり、市場の動向を的確に捉えた戦略を立てたりすることが重要になります。
予算管理の方法としては、定期的に進捗状況を測定・分析し、目標との差異に応じて営業戦略や行動計画を柔軟に見直すこと、そして個々の営業担当者のスキルや経験、担当市場の特性などを考慮した上で、現実的かつ挑戦的な予算を設定することが挙げられるでしょう。

※関連用語
売上目標, 利益目標, KGI, KPI, 営業目標, ノルマ(ややネガティブなニュアンスで使われることもあります)

誤用しやすい営業用語と正しい使い方

営業現場では、意味を混同したり敬語表現を誤ったりしやすい用語がいくつか存在します。これらの誤用は、顧客や社内メンバーに誤解を与えたり、場合によっては失礼にあたったりする可能性もあるため、正しい知識を身につけておくことが大切です。

よくある間違いとその訂正

「お世話様です」

電話応対や挨拶で使いがちですが、「お世話様」は本来、目下の人に対して使うねぎらいの言葉であり、顧客や目上の方に使うのは不適切です。正しくは「いつもお世話になっております」や「先日はありがとうございました」など、状況に応じた謙譲表現や感謝の言葉を使うようにしましょう。

「お名前を頂戴します」

受付などで相手の名前を尋ねる際に使われることがありますが、「頂戴する」は「もらう」の謙譲語で、物に対して使います。名前は「もらう」ものではないため、この表現は誤りです。正しくは「恐れ入りますが、お名前をお伺いできますでしょうか」や「お名前をお教えいただけますでしょうか」などと尋ねるのが適切でしょう。

「~しておきます」

「資料を送付しておきます」のように、依頼された作業に対して使いがちですが、これは丁寧語ではあるものの謙譲表現ではなく、相手への敬意が不足していると受け取られる可能性があります。また、やや恩着せがましい印象を与えることもあり得ます。正しくは「資料を送付いたします」や「申し伝えます(伝える場合)」のように、適切な謙譲語や丁寧な表現に置き換えることが望ましいです。

カタカナ語の誤用とニュアンス

ニッチ

「ニッチな市場」という使われ方から「マイナー」や「マニアック」と混同されがちですが、本来は「隙間」を意味し、競合が少なく特定のニーズが存在する市場を指します。

ダイバーシティ

単に「女性の活躍推進」と限定的に解釈されることがありますが、本来は性別、人種、国籍、価値観など、多様な人材を活かすという意味合いです。

リテラシー

「ITリテラシー」のように、特定の分野の情報を正しく理解し活用する能力を指しますが、単なる知識量や経験と混同されることがあるので注意が必要です。

アグリー

「同意する」という意味ですが、否定形を「アグリーできない」と言うのは和製英語的な表現であり、英語では "disagree" を使用します。

スキーム

事業計画や組織の仕組みといった継続的な枠組みを指しますが、単発的な計画である「プラン」と混同されることがあります。

コミット(コミットメント)

「結果にコミットする」のように、責任を持って関わる、約束するという意味で使われますが、英語の "commit" には「(罪などを)犯す」という意味もあるため、海外での使用には注意を払いましょう。

セグメント

顧客層を特定の属性で「分類すること」を指しますが、分類された特定の顧客層である「ターゲット」と混同されやすいです。

コンセンサス

本来は「合意」そのものを指しますが、「コンセンサスを取る」と言う場合は、合意形成のための根回しや調整といったニュアンスで使われることがあります。この「取る」と「得る」の使い分けは、日本語のビジネスコミュニケーションにおける独特の機微を示していると言えるでしょう。

ジャストアイデア

「ちょうど良いアイデア」や「素晴らしいひらめき」と誤用されがちですが、本来は「単なる思いつき」「まだ煮詰まっていないアイデア」といった意味合いで、自信がない提案を謙遜して言う際に使われます。

カタカナ語使用時の注意点

営業用語に限らず、ビジネスシーンで使われるカタカナ語は、業界や企業文化、あるいは会話の文脈によって微妙にニュアンスが異なることがあります。相手がどのような意図でその言葉を使っているのかを正確に把握するためには、日頃からアンテナを高くしておくことが大切です。

カタカナ語を多用しすぎると、相手によっては内容が伝わりにくくなったり、場合によっては軽薄な印象を与えたりすることもあります。特に顧客とのコミュニケーションにおいては、相手の理解度に合わせて平易な言葉に言い換えたり、補足説明を加えたりする配慮が求められるでしょう。

最も重要なのは、自身がその用語の意味やニュアンスを正確に理解せずに使わないことです。曖昧な知識のまま使用すると、誤解を招くだけでなく、自身の信頼性を損なうことにも繋がりかねません。

営業用語を効率的に学ぶ方法

営業用語は多岐にわたり、常に新しい言葉も生まれてくるため、効率的に学び、知識を定着させていくことが重要です。書籍やアプリ、オンライン講座といった学習ツールを活用するだけでなく、日々の実践を通じて体得していくことが求められます。

おすすめ書籍

営業やマーケティングの基本的なカタカナ語を解説した辞典や、ビジネスシーンで頻出する重要キーワード集は、基礎知識を網羅的に学ぶ上で役立ちます。例えば、『超訳「カタカナ語」事典』や『マーケティング用語図鑑』、『世界一わかりやすい ビジネス最重要ワード100』などが挙げられます。

時事問題と関連付けて経済用語やビジネストレンドを学べる「日経キーワード」のような年鑑も、社会人としての教養を深める上で有効と言えるでしょう。

より専門的な知識を深めたい場合は、AI時代の営業プロセス、仮説提案営業、インサイドセールス、顧客との交渉術(例:「無敗営業」)など、特定のテーマに特化した専門書を読むことも効果的です。これらは、単なる用語解説に留まらず、具体的な戦略や実践方法論まで踏み込んでいるため、実務に直結する学びが得られるでしょう。

学習アプリ・オンライン講座の活用

スマートフォンアプリの中には、ビジネスマナーやマーケティング用語をクイズ形式で手軽に学べるものがあります。通勤時間などの隙間時間を活用して、ゲーム感覚で知識を習得できるのがメリットです。

『IT用語図鑑』のように、特定の分野の用語をイラスト付きで解説してくれるアプリも、視覚的に理解を助けてくれます。

ビジネス英語に特化した学習アプリも、グローバルなビジネスシーンで活躍するためには有用と言えるでしょう。

SchooやUdemyといったオンライン学習プラットフォームでは、ビジネスマナー、コミュニケーションスキル、マーケティング戦略、リーダーシップ論など、営業活動に関連する多様な講座が提供されており、体系的に知識を習得できます。

実践での覚え方

書籍やアプリで得た知識は、実際の営業活動の中で意識して使うことで初めて定着します。商談や社内会議で積極的に用語を使ってみて、上司や先輩からフィードバックをもらうのが効果的でしょう。

日々の業務の中で分からなかった用語や、顧客が使っていた新しい言葉などは、必ずメモを取り、後で意味や使い方を調べる習慣をつけることが大切です。

顧客事例や成功事例を研究する際には、そこで使われている営業用語が実際のビジネスシーンでどのような文脈で、どのような効果をもたらしているのかを意識的に学ぶことが、生きた知識として役立ちます。単に定義を暗記するのではなく、用語が使われる背景や状況を理解することが、真の理解へと繋がるでしょう。

ロールプレイングやケーススタディを通じて、用語を使いながら実践的なコミュニケーション能力を磨くことも非常に有効です。成功事例だけでなく、失注事例の分析からも、用語の適切な使い方や、逆に誤解を招く使い方などを学ぶことができると考えられます。

これらの学習方法を組み合わせることで、営業用語の知識を効率的かつ実践的に身につけることができます。最も効果的な学習戦略は、書籍や用語集で基礎知識を固め(準備段階)、日々の業務やフィードバックを通じて実践的な使い方を体得し(実践・強化段階)、分からない言葉に出会った際にはオンライン検索やアプリですぐに調べる(即時対応段階)という、多角的なアプローチと言えるでしょう。

まとめ

営業用語を正しく理解し、適切に使いこなすことは、顧客やチームとの円滑なコミュニケーション、揺るぎない信頼関係の構築、そして提案力の強化を通じ、最終的な営業成果を大きく左右する要素です。

ただし、営業用語の学習は一度で完了するものではありません。ビジネス環境は常に変化し、新しい言葉も登場するため、知識を継続的にアップデートし続ける意欲こそが、営業パーソンとしての成長と安定した成果につなげていきましょう。

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