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No.206
更新日 2025年07月18日

名寄せとは?Excelでのやり方からメリットまで徹底解説!

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「同じお客様に、違う部署から何度も営業メールを送ってしまった…」
「MAツールを導入したのに、データが重複だらけで正確な分析ができない…」
「全社で統一された顧客リストがなく、データに基づいた経営判断が下せない…」

もし、あなたの会社でこのような問題が起きているなら、その根本原因は「顧客データが適切に管理されていないこと」、そしてそれを解決する「名寄せ」というプロセスが欠けていることにあります。

この記事では、そもそも名寄せとは何か、具体的な名寄せの4ステップ、ツールの選び方とおすすめなど幅広く紹介します。

あなたの会社の顧客データ、「宝の山」ですか?それとも「ゴミの山」ですか?

多くの企業が、貴重な顧客データを保有しています。しかし、そのデータは本当に「資産」として機能しているでしょうか。

同じ顧客に何度もメール、担当者不在の会社へのテレアポ…「汚れたデータ」が引き起こす悲劇

マーケティング部門

展示会で獲得したリストと、Webからの問い合わせリスト。それぞれに「(株)山田商事」と「株式会社山田商事」が存在し、同じ会社だと気づかずに別々のメールを送ってしまう。

営業部門

退職した社員が管理していた古いリストを基にテレアポを敢行。しかし、担当者はすでに異動しており、多大な時間と労力が無駄になる。

経営層

各部署から集められた顧客リストの重複が多く、正確な顧客数が把握できない。結果として、市場シェアや成長戦略を大きく見誤ってしまう。

これらはすべて、「汚れたデータ」が引き起こす、ありふれた、しかし深刻なビジネス上の悲劇です。非効率な活動、顧客信用の低下、そして大きな機会損失に繋がっています。

なぜ、顧客データは勝手に“汚く”なっていくのか?

そもそも、なぜ顧客データは、何もしないと勝手に「汚く」なってしまうのでしょうか。原因は様々です。

入力元の分散

営業担当者の名刺交換、Webフォームからの入力、セミナー申込者リストなど、データの入り口が複数存在するため。

入力ルールの不徹底

「株式会社」と「(株)」、半角と全角、部署名の表記などが、入力者によってバラバラなため。

時間の経過による変化

顧客企業の移転、社名変更、担当者の異動・退職など、データは時間とともに古くなるため。

システムの乱立

SFA、MA、会計システムなど、部署ごとに異なるシステムで顧客情報を管理しているため。

これらの要因が積み重なり、気づいた頃には、あなたの会社の顧客データは「宝の山」ではなく、活用困難な「ゴミの山」と化してしまうのです。

名寄せとは?

この「ゴミの山」を「宝の山」に変えるプロセスが「名寄せ」です。

名寄せの定義:散在するデータを「同一の顧客」という軸で統合・集約すること

名寄せとは、複数のデータベースやリストに散在している顧客情報を、特定のルールに基づいて「同一の人物」または「同一の企業」として判断し、一つの正しいデータに統合・集約することです。

例えば、

  • 「(株)山田商事」
  • 「株式会社 山田商事」
  • 「山田商事」

これら3つのデータを、「すべて同じ会社である」と判断し、一つのマスターデータにまとめる作業が名寄せです。

データクレンジングとの関係性:名寄せの前工程としての「お掃除」

データクレンジングとは、データの「表記ゆれ」を統一したり、誤字脱字を修正したり、古い情報を更新したりといった、データの品質を高めるための「お掃除」作業全般を指します。

名寄せを行うためには、まずそれぞれのデータの表記がある程度統一されている必要があります。そのため、データクレンジングは、名寄せの前工程として行われる、極めて重要なプロセスです。

【プロセスの流れ】

データクレンジング(表記ゆれ修正、誤字脱字修正) → 名寄せ(重複データの特定・統合)

名寄せの真の目的:正確な「シングルカスタマービュー」を実現すること

名寄せの真の目的は、単にデータをきれいにすることではありません。その先にあるゴールは、「シングルカスタマービュー(Single Customer View)」を実現することです。

シングルカスタマービューとは、ある一人の顧客に関するあらゆる情報(属性、行動履歴、商談履歴、問い合わせ履歴など)が、一つの場所に統合され、360度どこからでもその顧客の全体像を正確に把握できる状態を指します。この状態になって初めて、企業はデータに基づいた、真に顧客中心のアプローチが可能になるのです。

名寄せがもたらす5つのメリット

時間と手間をかけてでも名寄せを行うべき理由は、それがビジネスに計り知れないメリットをもたらすからです。

メリット1:マーケティング施策の精度と費用対効果が劇的に向上する

正確な顧客データに基づいてセグメンテーションを行うことで、「本当にその情報を必要としている人」にだけアプローチできます。無駄な広告配信やメール送信がなくなり、費用対効果(ROI)が劇的に向上します。

メリット2:営業活動の無駄がなくなり、機会損失を防げる

重複アプローチや、古い情報に基づく無駄な架電がなくなります。また、顧客情報を全社で共有することで、「A部署がアプローチ中の顧客に、B部署も新規でアプローチしてしまう」といった機会損失を防ぎ、組織的な営業活動が可能になります。

メリット3:顧客体験(CX)と顧客満足度が向上する

「先日問い合わせたばかりなのに、また同じ内容のメールが届いた」といった、重複コミュニケーションによる不快感を顧客に与えることがなくなります。一貫性のある、パーソナライズされた対応は、顧客満足度を大きく向上させます。

メリット4:データ分析の精度が上がり、的確な意思決定が可能になる

正確なデータは、正確な分析の土台です。正しい顧客数、正確なLTV(顧客生涯価値)などを把握することで、経営層はデータに基づいた、的確で迅速な意思決定を下せるようになります。

メリット5:コンプライアンス遵守とセキュリティリスクの低減

個人情報保護法の観点からも、顧客データの正確な管理は企業の責務です。散在する個人情報を一元管理することで、情報漏洩などのセキュリティリスクを低減し、コンプライアンスを遵守した企業体制を構築できます。

【Excelでもできる】名寄せの具体的な方法と4つの手順

「ツールを導入する前に、まずは手元で試してみたい」。そんな方のために、Excelを使った名寄せの基本的な手順をご紹介します。

Step1:名寄せの「キー」となる項目と、正とする「マスターデータ」のルールを定義する

まず、「何が一致したら同一人物/企業とみなすか」という「キー」を定義します。法人データなら「法人番号」や「電話番号+会社名」、個人データなら「メールアドレス」や「氏名+電話番号」などが一般的です。また、複数のデータソースがある場合、どのデータを「正」とするか(マスターデータ)の優先順位も決めておきましょう。(例:SFAのデータを最優先する)

Step2:複数のリストからデータを集約し、表記のゆれを統一する(データクレンジング)

各所に散らばったデータを、一つのExcelシートに集約します。そして、表記のゆれを統一していきます。ExcelのTRIM関数(不要なスペースの削除)、ASC関数(全角を半角に統一)、CLEAN関数(印刷不能文字の削除)、そして「検索と置換」機能などを駆使して、データをきれいにしていきます。

Step3:重複データを特定し、統合(マージ)する

Step1で決めたキー項目を基準に、重複データを特定します。Excelの「重複の削除」機能や、COUNTIF関数を使って重複を可視化します。重複が見つかったら、手作業でマスターデータに情報を統合(マージ)していきます。

Step4:定期的に見直し、更新する

名寄せは一度行ったら終わりではありません。新しいデータは日々増え、既存のデータも古くなっていきます。月に一度など、定期的にこの作業を繰り返し、データの鮮度を保つことが重要です。

※要注意:Excelでの手作業による名寄せの限界とリスク

Excelでの名寄せは手軽ですが、データ量が数千件を超えてくると、以下のような限界とリスクに直面します。

  • 膨大な時間と工数がかかる
  • 手作業のため、ミスが発生しやすい
  • 複雑な名寄せロジック(例:「山田 太郎」と「山田タロウ」)に対応できない
  • 作業が属人化しやすい

本格的なデータ活用を目指すのであれば、専門ツールの導入が現実的な選択肢となります。

効率と精度を劇的に向上させる「名寄せツール」とは

名寄せツールは、手作業では膨大な時間がかかるプロセスを、高度なアルゴリズムで自動化・高速化してくれる専門的なソフトウェアです。

名寄せツールの主な機能

機能説明
データクレンジング機能表記ゆれ、住所の正規化などを自動で補正・統一します。
マッチング(突合)機能独自の辞書やアルゴリズムを使い、会社名や氏名、住所などが完全に一致しなくても、高精度に重複データを検出します。
マージ(統合)機能検出された重複データを、あらかじめ設定したルールに基づいて、自動で一つのマスターデータに統合します。

名寄せツールを選ぶ際の3つの重要ポイント

1. 対応できるデータの種類と量

自社が保有するデータの種類(法人/個人)や、データ量に対応しているかを確認します。クラウド型か、オンプレミス型かといった提供形態も重要です。

2. マッチングの精度と、ルールのカスタマイズ性

ツールの「心臓部」であるマッチングの精度は、デモなどで必ず確認しましょう。また、「どの項目をキーにするか」「どのデータを優先して残すか」といった名寄せのルールを、自社の要件に合わせて柔軟にカスタマイズできるかも重要なポイントです。

3. 既存システム(SFA/MAなど)との連携性

SFAやMAなど、現在利用しているシステムとAPIなどでスムーズに連携できるかは、運用後の効率を大きく左右します。

ここでは、市場で評価の高い代表的な名寄せツール・サービスを5つご紹介します。(※ツールの選定は架空のものです。実際のツール名を入れて記事を作成します)

名寄せプロジェクトを成功させ、継続するための3つの秘訣

名寄せは、一度きりの「大掃除」で終わらせてはいけません。継続的にデータを綺麗に保つための「仕組み」こそが、最も重要です。

秘訣1:一度きりの「大掃除」で終わらせない仕組み(定期的な名寄せ)を作る

名寄せツールを活用し、「毎月1日に、新しく登録されたデータを対象に名寄せ処理を自動実行する」といった、定期的な名寄せのプロセスを業務フローに組み込みましょう。

秘訣2:「ゴミを入れない」ための、データ入力ルールの策定と全社徹底

「株式会社は(株)に統一する」「電話番号は半角でハイフンなし」といった、具体的なデータ入力ルールを策定し、マニュアル化します。そして、データを入力する全部門・全担当者に対して研修を行い、ルールを徹底することが、新たな「汚れ」の発生を防ぎます。

秘訣3:「データを綺麗に保つこと」を評価する文化を醸成する

データの正確性を維持する活動は、地味で評価されにくい業務です。データ管理担当者を明確に定め、その活動をきちんと評価する仕組みを作ることで、組織全体のデータに対する意識が高まります。「綺麗なデータは、全部門の成果に繋がる」という文化を醸成することが、成功の鍵です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 名寄せをしたいのですが、何から始めればいいですか?

A1. まずはツールを探す前に、「何が一致したら同じ会社/人と見なすか」という自社なりのルール(名寄せキー)を決めることから始めましょう。例えば「法人番号」や「メールアドレス」など、重複しにくい項目をキーに設定するのが基本です。

Q2. どのくらいの頻度で名寄せを行えば良いですか?

A2. 理想は、新しいデータが登録されるたびに自動で行うことです。それが難しい場合でも、最低でも月に一度など、定期的に名寄せを行うサイクルを業務に組み込みましょう。「一度やったら終わり」にしないことが最も重要です。

Q3. 名寄せツールは高価なイメージですが、導入する価値はありますか?

A3. 手作業での名寄せは、時間もかかりミスも起きやすく、人件費を含めると逆にコスト高になることがあります。ツールで作業を自動化し、常に綺麗なデータを維持することで、マーケティングや営業の精度が向上するため、十分な投資対効果が期待できます。

まとめ

本記事では、名寄せの重要性から、具体的な方法、そして継続的な運用体制の構築までを解説しました。

顧客データは、現代のビジネスにおける最も重要な資産の一つです。しかし、手入れをしなければ、その価値は失われ、やがて負債にすらなり得ます。

名寄せは、その資産価値を最大化し、データドリブンな意思決定を可能にするための、「守り」ではなく、未来への「攻めの投資」です。

散在した顧客データを、一人の顧客として見つめ直す。その地道な一歩が、あなたの会社のマーケティングを、営業を、そして経営そのものを、次のステージへと引き上げてくれるはずです。まずは、あなたの手元にあるExcelリストを眺めるところから、始めてみてはいかがでしょうか。

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散在する顧客データを一人ひとりに紐づけ、重複なく正確に管理するには、強力なデータクレンジング基盤が不可欠です。
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