Service Cloudとは?価格・機能とSales Cloudとの違いを徹底解説!
目次
「お客様からの問い合わせが多すぎて、対応が追いつかない…」
「担当者によって案内の品質がバラバラで、顧客満足度が上がらない…」
「サポート部門はコストばかりかかると言われるが、どうすれば売上に貢献できるのか…」
もし、あなたがカスタマーサポート部門の責任者や経営企画の担当者として、このような課題に日々頭を悩ませているなら、それは従来の顧客サポート体制が限界にきているサインかもしれません。
この記事では、世界No.1のCRMプラットフォームであるSalesforceが提供する「Service Cloud」が、これらの課題をいかに解決し、あなたの会社の顧客サポートを「コストセンター」から「プロフィットセンター」へと変革できるのかを徹底解説します。
その顧客サポート、「問い合わせ対応」だけで終わっていませんか?
多くの企業にとって、カスタマーサポート部門は「顧客からの問い合わせに対応する部署」と認識されています。しかし、その認識はもはや時代遅れかもしれません。
膨大な問い合わせ、オペレーターの疲弊…「コストセンター」の限界
電話、メール、チャット…様々なチャネルから寄せられる膨大な問い合わせ。オペレーターは一日中その対応に追われ、精神的にも肉体的にも疲弊していきます。高い離職率に悩み、常に採用と教育にコストと時間を割いている、というマネージャーも少なくないでしょう。
このように、問題が起きてから対応する「受け身」のサポートだけでは、コストばかりがかさみ、企業の利益に直接貢献することが難しいため、「コストセンター」と揶揄されてしまうのです。
顧客の期待値は上昇中。優れた顧客体験(CX)がビジネスを左右する時代
現代の顧客は、単に問題が解決されるだけでなく、迅速で、質の高い、パーソナライズされた「心地よい体験(CX=カスタマーエクスペリエンス)」を期待しています。優れた顧客体験は、顧客満足度を高め、リピート購入や良い口コミに繋がり、企業の売上を大きく左右する重要な要素となっています。
もはや、顧客サポートは単なる「後処理」ではありません。顧客と直接繋がり、その声を聴き、信頼を勝ち取るための、最も重要な「攻めの拠点」なのです。
Service Cloudとは?
Service Cloudは、こうした新しい時代の要求に応えるために設計された、カスタマーサービスとサポート業務を最適化するためのプラットフォームです。
Service Cloudの目的
Service Cloudの究極の目的は、問い合わせ対応を効率化するだけではありません。あらゆる顧客との接点(チャネル)で得られる情報を一元管理し、一貫した質の高いサービスを提供することで、顧客満足度とロイヤルティを最大化することです。
そして、蓄積された顧客の声を分析し、製品やサービスの改善に繋げたり、アップセルの機会を創出したりすることで、サポート部門をコストセンターから、企業の利益に貢献する「プロフィットセンター」へと変革させることを目指します。
オムニチャネル対応とは?
Service Cloudの大きな特徴が「オムニチャネル」対応です。これは、電話、メール、Webサイト、SNS、チャットなど、顧客がどのチャネルから問い合わせてきても、それらの情報を一つの画面で統合管理できる仕組みを指します。
これにより、オペレーターは「Aさんが先日メールで問い合わせた内容」を確認しながら電話対応をするといったことが可能になり、顧客は何度も同じ説明をする必要がなくなります。あらゆる接点で、スムーズで一貫したサポートを提供できるのです。
【最重要】Service CloudとSales Cloudの決定的な違いとは?
Salesforceの導入を検討する際、最も多くの人が悩むのが「Service CloudとSales Cloudの違い」です。この2つは目的も機能も全く異なります。
目的の違い:「顧客サポートの最適化」 vs 「営業活動の効率化」
Service Cloudの目的
顧客からの問い合わせに効率的かつ質の高い対応を行い、顧客満足度とロイヤルティを高めること。
Sales Cloudの目的
商談の発生から受注までの営業プロセスを管理し、営業活動の生産性を高めて売上を最大化すること。
一言で言えば、Service Cloudは「守り」と「育てる」サポートのツール、Sales Cloudは「攻め」の営業ツールです。
主な利用部門の違い:カスタマーサポート vs 営業
Service Cloudの主な利用者
カスタマーサポート部門、コールセンター、ヘルプデスクなど
Sales Cloudの主な利用者
営業部門(フィールドセールス、インサイドセールス)、営業企画部門など
【機能比較表】できることの違いが一目でわかる
[ここにService CloudとSales Cloudの主要機能比較表を挿入]
| 比較軸 | Service Cloud(顧客サポート) | Sales Cloud(営業支援) |
|---|---|---|
| 中心的な管理対象 | ケース(問い合わせ案件) | 商談(営業案件) |
| 主な機能 | 問い合わせ管理、ナレッジベース、オムニチャネル対応、SLA管理 | 商談管理、売上予測、テリトリー管理、リード管理 |
| 主なKPI | 解決時間、顧客満足度(CSAT)、初回応答時間 | 受注率、受注額、商談化率、営業サイクル |
| AI(Einstein)の活用例 | よくある質問への自動回答、最適な回答の推薦 | 受注確度のスコアリング、次のアクションの提案 |
結局、どちらを選ぶべきか?3つの判断基準を解説
解決したい課題は何か?
- 「問い合わせ対応の時間を短縮したい」「顧客満足度を上げたい」→ Service Cloud
- 「営業の案件管理を効率化したい」「売上予測の精度を上げたい」→ Sales Cloud
メインで利用する部門はどこか?
- カスタマーサポート部門、コールセンター → Service Cloud
- 営業部門 → Sales Cloud
連携は可能か?
営業部門とサポート部門で情報を連携させ、より高度な顧客対応を目指す場合は、両方を導入して連携させるのが最も効果的です。
顧客満足度を高めるService Cloudの主要機能6選
Service Cloudがどのようにして顧客サポートを変革するのか、具体的な6つの機能を見ていきましょう。
① 問い合わせの一元管理(ケース管理)
電話、メール、チャットなど、様々なチャネルからの問い合わせを「ケース」として一件一件登録し、担当者の割り当てや対応状況、過去の履歴などを一元管理します。対応漏れや二重対応を防ぎ、全ての問い合わせを確実にクローズまで導きます。
② 自己解決を促すナレッジベースの構築
よくある質問とその回答をまとめた「ナレッジベース(FAQサイト)」を簡単に構築できます。顧客はオペレーターに問い合わせる前に自分で問題を解決でき、オペレーターは同じ質問に何度も答える手間が省けます。
③ 電話・メール・チャットなどを統合するオムニチャネル対応
前述の通り、あらゆるチャネルからの問い合わせを一つのコンソール画面で対応可能にします。オペレーターAさんは、複数の画面を切り替えることなく、一人の顧客の全てのコンタクト履歴を把握しながら、最適なサポートを提供できます。
④ AIチャットボットによる24時間365日の自動応答
WebサイトにAIチャットボットを設置し、簡単な質問や定型的な問い合わせに24時間365日、自動で応答させることができます。これにより、オペレーターはより複雑で高度な問い合わせに集中でき、顧客は夜間や休日でもすぐに回答を得られます。
⑤ AI(Einstein)による最適な回答の推薦と業務自動化
AI(Einstein)が、問い合わせ内容を分析し、ナレッジベースから最適な回答候補をオペレーターに推薦してくれます。これにより、新人オペレーターでも、ベテランのように迅速で正確な回答が可能になり、サービス品質の標準化が実現します。
⑥ リアルタイムな応対状況の可視化と分析(レポート&ダッシュボード)
チーム全体の問い合わせ件数、平均処理時間、未解決ケース数などをリアルタイムでダッシュボードに可視化します。これにより、マネージャーはチームの状況を正確に把握し、データに基づいた人員配置や業務改善を行うことができます。
Service Cloudの価格プランを解説!
Service Cloudには、Sales Cloudと同様に主に4つのエディションが用意されています。
【価格表】4つのエディション(Starter, Professional, Enterprise, Unlimited)の違い
[ここに4エディションの価格と主要機能の比較表を挿入]
| エディション | 月額料金(1ユーザーあたり) | 主なターゲット | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Starter | 3,000円 | スタートアップ・小規模チーム | 基本的なケース管理とナレッジ機能をパッケージ化。 |
| Professional | 12,000円 | 中小企業 | 本格的なサービスコンソールと電話連携(CTI)が可能。 |
| Enterprise | 24,000円 | 中堅・大企業 | AI(Einstein)機能や高度なワークフロー自動化が利用可能。最も人気のプラン。 |
| Unlimited | 48,000円 | 大規模サポートセンター | 無制限のカスタマイズ、24時間365日のサポートを提供。 |
※価格は2025年7月現在の税抜価格です。正確な情報は必ず公式サイトでご確認ください。
導入前に知っておきたいプラン選びのポイント
基本的な問い合わせ管理から始めたい場合は「Professional」で十分なケースが多いです。AIによる自動化や高度な分析で、サポート業務を抜本的に改革したい場合は「Enterprise」が最適です。自社のサポート部門の規模と、将来的に目指す姿を基に検討しましょう。
Service Cloudがもたらす4つメリット
メリット1:問い合わせ対応の迅速化とオペレーターの生産性向上
ナレッジ機能やAIによる回答推薦により、オペレーター一人ひとりの問題解決スピードが向上。同じ時間でより多くの問い合わせに対応できるようになり、生産性が劇的に改善します。
メリット2:属人化の解消と、全社でのサービス品質の標準化
ベテランのノウハウをナレッジベースに蓄積することで、チーム全体の応対品質が底上げされます。誰が対応しても、常に一定レベル以上の質の高いサービスを提供できるようになります。
メリット3:データに基づいた先回りなサポートと顧客体験(CX)の向上
蓄積された問い合わせデータを分析することで、「顧客がどこでつまずきやすいか」を特定し、問題が発生する前に先回りして情報提供する、といったプロアクティブなサポートが可能になり、顧客体験を大きく向上させます。
メリット4:オペレーターの満足度向上と離職率の低下
繰り返し同じ質問に答えるストレスや、答えが見つからない焦りから解放されることで、オペレーターの業務満足度が向上します。働きやすい環境は、優秀な人材の定着、ひいては離職率の低下に繋がります。
Service Cloudの導入を成功させるための3つのポイント
ポイント1:「何のために導入するのか」という目的の明確化
「顧客満足度を5ポイント向上させる」「平均応答時間を20%短縮する」など、導入によって達成したいゴールを、具体的な数値目標と共に設定することが、プロジェクト成功の第一歩です。
ポイント2:成功の鍵を握る「ナレッジベース」の整備計画
Service Cloudの効果を最大化するには、AIやオペレーターが参照する「ナレッジベース」の質が極めて重要です。「誰が、いつ、どのようにしてナレッジを蓄積・更新していくのか」という運用計画を、導入初期にしっかりと立てましょう。
ポイント3:スモールスタートと段階的な機能拡張
いきなり全ての機能を使いこなそうとする必要はありません。まずは問い合わせ管理(ケース管理)から始めるなど、スモールスタートで成功体験を積み、徐々にチャットボットやAI機能へと活用範囲を広げていくのが、定着化への近道です。
よくある質問(Q&A)
Q. Sales Cloudと連携して使うことはできますか?
A. はい、シームレスに連携できます。営業担当者がSales Cloudで確認している顧客情報に、サポート担当者がService Cloudで受けた問い合わせ履歴を表示させることが可能です。これにより、営業とサポートが一体となった、きめ細やかな顧客対応が実現します。
Q. 電話システム(CTI)との連携は可能ですか?
A. はい、可能です。CTI(Computer Telephony Integration)連携を行うことで、顧客から電話がかかってきた際に、その顧客の情報をService Cloudの画面に自動でポップアップ表示させることができます。これにより、顧客を待たせることなく、スムーズな応対が可能になります。
Q. 導入後のサポート体制はありますか?
A. はい、充実しています。Salesforceの公式サポートに加え、導入や定着化を専門に支援する数多くのパートナー企業が存在します。自社の状況に合わせて、専門家のサポートを受けながらプロジェクトを進めることができるので安心です。
まとめ
本記事では、Service Cloudの基本から、Sales Cloudとの違い、具体的な機能、そして導入成功の秘訣までを網羅的に解説しました。
Service Cloudは、単なる問い合わせ管理ツールではありません。それは、顧客の声に真摯に耳を傾け、一貫した質の高い体験を提供し、長期的な信頼関係を築き上げるための「信頼の基盤」です。
顧客サポートをコストセンターから、企業の成長を牽引するプロフィットセンターへと変革させたいなら、Service Cloudは間違いなくその最強のパートナーとなるでしょう。