Salesforceとは?できること・価格・主要製品を初心者向けに徹底解説!
目次
「最近、Salesforceという言葉をよく聞くけれど、一体何がそんなにすごいの?」
「営業や顧客管理の非効率をなんとかしたい。Salesforceで解決できるのだろうか?」
「DX推進の担当になったが、まず何から学べばいいかわからない…」
企業の経営者から現場の担当者まで、今や「Salesforce」はビジネスに携わる多くの人にとって無視できない存在となっています。しかし、その全体像はあまりに壮大で、どこから理解すれば良いのか戸惑ってしまう方も少なくないでしょう。
この記事では、そんなあなたのために、世界No.1の顧客管理プラットフォームであるSalesforceの全貌を、初心者の方にも分かりやすく、体系的に解き明かしていきます。
「Salesforceで何ができるのか?」「なぜ世界中の企業に選ばれるのか?」という本質的な問いへの答えから、主要製品の役割、価格体系、そして導入で失敗しないための秘訣まで、この記事一本で、あなたのSalesforceに関する全ての疑問を解消します。
Salesforceとは?
まずは、Salesforceの基本的な概念から押さえていきましょう。
一言でいえば「顧客とつながるための統合プラットフォーム」
Salesforceとは、一言で表現するなら、営業、カスタマーサービス、マーケティングなど、顧客と接する全ての部門の情報を一元化し、あらゆる場所で顧客と繋がり、ビジネスを成長させるための統合プラットフォームです。
顧客に関するあらゆる情報を一つの場所に集約することで、部門間の壁を取り払い、会社全体で一貫した、質の高い顧客体験を提供することを目指します。
まずは知っておきたい「CRM」と「SFA」との関係
Salesforceを理解する上で欠かせないのが、「CRM」と「SFA」という2つのキーワードです。
CRM (Customer Relationship Management) / 顧客関係管理
顧客と良好な関係を長期的に築き、その価値(LTV)を最大化するための考え方や仕組み。
SFA (Sales Force Automation) / 営業支援システム
営業活動を効率化・自動化し、生産性を高めるための仕組み。
Salesforceは、このCRMとSFAの両方の機能を併せ持ち、それらを中核としながら、企業のあらゆる顧客接点を網羅する、より広範なプラットフォームへと進化を続けています。
単なる「ツール」ではない
Salesforceが他の多くの業務ツールと一線を画すのは、それが単なる「アプリケーションソフト」ではなく、「プラットフォーム」であるという点です。
これは、パソコンにおけるWindowsやmacOSのような「OS(オペレーティングシステム)」をイメージすると分かりやすいでしょう。私たちはOSの上に、WordやExcel、Webブラウザといった様々なアプリケーションをインストールして、自分の仕事に合わせてパソコンをカスタマイズしていきます。
同様に、Salesforceというプラットフォームの上には、営業支援(Sales Cloud)や顧客サポート(Service Cloud)といった純正アプリケーションが乗り、さらにAppExchangeというマーケットプレイスから無数のサードパーティ製アプリを追加することで、自社のビジネスに合わせて無限に機能を拡張・進化させることができるのです。
[ここにSalesforceプラットフォームの概念図を挿入:土台にPlatformがあり、その上にSales Cloud, Service Cloud, AppExchangeアプリなどが乗っているイメージ]
なぜSalesforceは世界No.1であり続けるのか?
IDC社の調査によれば、Salesforceは世界のCRM市場において圧倒的なシェアを誇り、長年トップの座を維持しています。なぜ、これほどまでに多くの企業に選ばれ続けるのでしょうか。その理由は、単なる機能の優劣だけではない、3つの本質的な強みにあります。
強み1:ビジネスの成長に合わせて進化する「拡張性(AppExchange)」
前述の通り、Salesforceの最大の強みはAppExchangeというビジネスアプリの巨大なエコシステムにあります。日本の複雑な帳票出力アプリ、名刺管理アプリ、業界特化型の業務アプリなど、7,000を超えるアプリケーションが揃っており、これらを活用することで、開発コストをかけずに、自社の要件に合わせてSalesforceを柔軟にカスタマイズできます。会社の成長や市場の変化に合わせて、システム自体が進化し続けられるのです。
強み2:AIや最新技術を常に取り込む「先進性(Einsteinなど)」
Salesforceは、AI、データ分析、IoTといった最新技術への投資を惜しみません。同社のAI技術「Einstein」は、プラットフォームの至る所に組み込まれており、営業担当者への「次の最適なアクション」の提案、顧客からの問い合わせへの自動応答、マーケティングメールの最適な送信タイミングの予測など、人の能力を拡張するインテリジェンスを提供します。常に時代の最先端技術を利用できることも、大きな魅力の一つです。
強み3:世界最大のユーザーコミュニティと学習環境「Trailblazer」
Salesforceには、「Trailblazer(トレイルブレイザー:先駆者)」と呼ばれる、世界で数百万人規模の巨大なユーザーコミュニティが存在します。ユーザー同士がオンラインやイベントで活発に情報交換を行い、互いに学び合い、高め合う文化が根付いています。
また、「Trailhead(トレイルヘッド)」という無料のオンライン学習プラットフォームが提供されており、初心者から開発者まで、誰もがゲーム感覚で楽しく、体系的にSalesforceのスキルを習得できます。この強力な学習・共助の仕組みが、導入後の定着化と活用を強力に後押しします。
【製品まとめ】Salesforceの主要クラウドの役割
Salesforceは、企業の様々な部門の課題を解決するための、多彩な「クラウド(製品群)」を提供しています。ここでは、その中でも特に中核となる3大クラウドの役割をご紹介します。
①【営業部門向け】営業支援(SFA)の核となる「Sales Cloud」
「営業活動を科学し、生産性を最大化したい」という課題を解決します。顧客情報や案件の進捗、活動履歴を一元管理し、営業プロセス全体を可視化。AIによる売上予測や、日報作成の自動化など、営業担当者が本来のコア業務に集中できる環境を創出します。
(例:A社では、Sales Cloud導入により、営業担当者一人ひとりの案件進捗がリアルタイムで共有され、マネージャーは的確な指示が出せるようになり、チーム全体の受注率が20%向上した。)
②【サポート部門向け】顧客サポートを革新する「Service Cloud」
「顧客満足度を高め、サポート業務を効率化したい」という課題を解決します。電話、メール、チャットなど、あらゆるチャネルからの問い合わせを一元管理し、迅速で一貫性のあるサポートを提供。AIチャットボットによる自動応答や、オペレーターへの最適な回答の推薦機能などで、サポート品質と効率を劇的に向上させます。
(例:B社では、Service Cloudのナレッジ機能を活用し、顧客の自己解決率が向上。問い合わせ件数が30%削減され、オペレーターはより複雑な問題に注力できるようになった。)
③【マーケティング部門向け】One to Oneマーケティングを実現する「Marketing Cloud」
「見込み客を優良顧客へと育成し、エンゲージメントを高めたい」という課題を解決します。
顧客の行動履歴や興味関心に合わせて、一人ひとりに最適化されたメールやメッセージを、最適なタイミングで自動的に配信。見込み客の購買意欲を醸成し、質の高い商談を営業部門へ供給します。
(例:C社では、Marketing Cloudを活用し、顧客のWebサイト閲覧履歴に応じて配信するメールの内容を出し分けた結果、メール開封率が2倍になり、商談化数が1.5倍に増加した。)
【比較表】あなたの課題はどれ?目的別のクラウドの選び方
| あなたの課題 | 最適なクラウド |
|---|---|
| 営業活動を効率化し、売上を伸ばしたい | Sales Cloud |
| 顧客満足度を高め、サポート品質を向上させたい | Service Cloud |
| 見込み客を育成し、商談を創出したい | Marketing Cloud |
その他にも広がるSalesforceの世界(Commerce Cloud, Platformなど)
Salesforceには上記以外にも、Eコマースサイトを構築する「Commerce Cloud」や、独自のアプリケーションを開発できる「Salesforce Platform」など、企業のあらゆるニーズに応える製品群が揃っています。
Salesforceの価格体系はどうなっている?
Salesforceの価格体系は、一見複雑に見えるかもしれませんが、基本的な構造はシンプルです。
基本は「エディション(プラン)」×「ユーザー数」の月額課金
各クラウド製品には、機能に応じて複数の「エディション(プラン)」が用意されています(例:Starter, Professional, Enterprise, Unlimitedなど)。企業の規模や必要な機能レベルに応じてエディションを選び、利用するユーザー数分のライセンスを月額(年払い契約)で購入するのが基本です。
ライセンス費用以外に考慮すべきコストとは?(導入支援・定着化支援など)
Salesforceを効果的に活用するためには、ライセンス費用以外にも、以下のようなコストを考慮する必要があります。
導入支援費用
自社の業務に合わせた初期設定や、既存システムからのデータ移行などを、専門のパートナー企業に依頼する場合の費用。
定着化支援・トレーニング費用
導入後に社員がツールを使いこなせるようにするための、研修やコンサルティングの費用。
AppExchangeアプリ利用料
有料のアプリを導入する場合の費用。
Salesforce導入で失敗しないために、経営者が知っておくべき3つのこと
Salesforceは強力なプラットフォームですが、導入すれば自動的に成果が出る魔法の杖ではありません。導入プロジェクトを成功に導くために、特に経営層が意識すべき3つのポイントがあります。
ポイント1:「何のために導入するのか」という経営としての目的が最も重要
「競合が導入したから」「DXが必要だから」といった曖昧な理由で導入プロジェクトを進めてはいけません。「3年後に、顧客との関係性をこう変え、売上をこう伸ばす。そのためにSalesforceをこう活用する」という、経営としての明確な目的とビジョンを最初に設定し、全社で共有することが成功の絶対条件です。
ポイント2:スモールスタートで成功体験を積む(いきなり全社導入を目指さない)
いきなり全社で、全ての機能を完璧に使いこなそうとすると、現場の負担が大きくなり、プロジェクトは頓挫しがちです。まずは特定の部門や、特定の課題解決からスモールスタートし、「Salesforceを使ったら、本当に仕事が楽になった」「成果が上がった」という小さな成功体験を意図的に作ることが重要です。その成功が、全社展開への推進力となります。
ポイント3:伴走してくれるパートナー企業の選定が成否を分ける
Salesforceの導入・定着化には、専門的な知識とノウハウが必要です。自社のビジネスや文化を深く理解し、導入から定着まで、親身になって伴走してくれる信頼できるパートナー企業を見つけることが、プロジェクトの成否を大きく左右します。
よくある質問(Q&A)
Q. 中小企業でも導入メリットはありますか?
A. はい、大いにあります。かつてはSalesforceは大企業向けというイメージがありましたが、現在は月額数千円から利用できるプランも登場し、多くの中小企業が導入し成果を上げています。限られたリソースで効率的に成果を出す必要がある中小企業にとってこそ、その価値は大きいと言えます。
Q. 他の国産CRM/SFAツールとの一番の違いは何ですか?
A. 機能面での違いは多々ありますが、最も本質的な違いは、前述した「プラットフォームとしての圧倒的な拡張性・先進性」と「世界最大のユーザーコミュニティ」にあります。自社の成長や市場の変化に合わせてシステムを進化させ続けられる点、そして世界中のユーザーの知見を無料で学べる点が、他にはない大きな魅力です。
Q. 導入前に、無料で学習する方法はありますか?
A. はい、あります。Salesforceが提供する無料のオンライン学習プラットフォーム「Trailhead(トレイルヘッド)」が最適です。専門知識がなくても、ゲーム感覚でSalesforceの基本から応用まで、自分のペースで楽しく学ぶことができます。まずはTrailheadでSalesforceの世界に触れてみることを強くお勧めします。
まとめ
本記事では、Salesforceの全体像から、その本質的な強み、主要な製品群、そして導入を成功させるための考え方までを体系的に解説しました。
もはやSalesforceは、単なる営業・顧客管理ツールではありません。それは、企業のあらゆる活動の基盤となり、顧客中心の経営思想を組織に根付かせ、ビジネスのあり方そのものを変革する「ビジネスOS」と言えるでしょう。
この壮大なプラットフォームをどう活用し、自社の成長エンジンとするか。この記事が、その可能性を探るための確かな「地図」となれば幸いです。