【2025年版】Salesforceの機能一覧!何ができるかを目的別に徹底解説!
目次
「Salesforceってよく聞くけど、結局何ができるの?」
「機能が多すぎて、どこから見ればいいか分からない…」
「自社の課題は、Salesforceで本当に解決できるのだろうか?」
CRM/SFAの導入を検討する中で、業界の巨人であるSalesforceの名前は誰もが耳にするでしょう。しかし、その圧倒的な機能の豊富さゆえに、全体像が掴みにくく、このような疑問を抱く方も少なくありません。
ご安心ください。Salesforceの全機能を一度に覚える必要は全くありません。
この記事では、Salesforceの専門家である筆者が、あなたの会社の「目的」や「課題」から、必要な機能を逆引きできるように、膨大な機能を分かりやすく整理しました。単なる機能の羅列ではなく、「その機能でどんな課題が解決できるのか」という視点で徹底解説します。
Salesforceの基本構造と「できること」の全体像
個別の機能を見る前に、まずはSalesforceの大きな構造を理解しましょう。ここを掴むと、この後の話がスムーズに入ってきます。
主要クラウド製品の役割
多くの方がSalesforceを一つのソフトウェアだと思っていますが、それは少し違います。
正確には、Salesforceは「Salesforce Platform」という強固な土台(プラットフォーム)の上に、「Sales Cloud」や「Service Cloud」といった専門的な機能を持つクラウド製品が乗っている構造をしています。
レゴブロックを想像してみてください。Salesforce Platformが基礎となる大きな緑の板で、その上に、営業部門向けのブロック(Sales Cloud)や、カスタマーサービス部門向けのブロック(Service Cloud)などを組み合わせて、自社だけのオリジナルの城(ビジネス基盤)を作り上げていくイメージです。
この構造により、企業は必要な機能だけを選んでスモールスタートし、事業の成長に合わせて機能を追加・拡張していくことが可能なのです。
全ての基本となる「プラットフォーム」としての共通機能
どのクラウド製品を選ぶにしても、土台となるプラットフォームには、以下の強力な共通機能が備わっています。これらがSalesforceの価値の源泉です。
オブジェクト管理
顧客情報や商談情報などを格納する「デジタルな棚」のようなものです。この「棚」の項目を、プログラミング知識なしで自社の業務に合わせて自由に設計できるのがSalesforceの最大の強みです。
レポート&ダッシュボード
「棚」に入れた様々なデータを、グラフや表で瞬時に可視化する機能です。これにより、リアルタイムで売上状況や顧客動向を把握し、データに基づいた迅速な意思決定が可能になります。
自動化(フローなど)
日々の単純な繰り返し作業(例:上長への承認依頼、顧客へのサンクスメール送信、タスクの割り当てなど)を自動化します。これにより、社員はより付加価値の高い創造的な仕事に集中できます。
モバイル対応(Salesforce Mobile)
スマートフォンやタブレットから、いつでもどこでも顧客情報にアクセスし、報告書の作成や商談の更新ができます。これにより、移動時間や待ち時間を有効活用し、ビジネスのスピードを加速させます。
AI機能(Einstein)
AI(人工知能)が、蓄積されたデータから未来を予測したり(売上予測)、次に取るべき最適なアクションを提案してくれたりします。まるで、あなたの会社に優秀なデータサイエンティストが加わったかのようなインサイトを得られます。
AppExchange
Salesforce版の「App Store」です。世界中のパートナー企業が開発した便利なアプリケーションを追加し、標準機能だけでは足りない部分を補強できます。例えば、日本の商習慣に特化した名刺管理アプリや経費精算アプリなど、数千種類ものアプリが揃っています。
【目的別】主要クラウド製品の機能一覧と解決できる課題
さて、ここからは本題です。あなたの会社の「目的」や「課題」に合わせて、どのクラウド製品にどんな機能があるのかを見ていきましょう。
営業支援・SFAなら「Sales Cloud」
こんな課題に・・・
営業活動が各担当者の勘と経験に頼っており属人化している、商談の進捗状況がブラックボックス化している、Excelでの売上予測の精度が低く手間もかかる…。
Sales Cloudは、営業活動の標準化・効率化・可視化を実現する、世界No.1のSFA(営業支援システム)です。
| 主要機能 | できること(ベネフィット) |
|---|---|
| リード管理 | 展示会やWebサイトから獲得した見込み客情報を一元管理。 これにより、リードの取りこぼしを防ぎ、最適な担当者へ迅速に割り振ることで、商談化の機会を最大化します。 |
| 取引先・取引先責任者管理 | 顧客企業の基本情報、担当者、過去の対応履歴などを一元的に管理。 これにより、「誰でも」「いつでも」その顧客に関する全ての情報を把握でき、担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能です。 |
| 商談管理 | 各商談のフェーズ、金額、確度、関連する活動などをリアルタイムで可視化。 これにより、どの商談が順調で、どれが停滞しているか一目で分かり、的確なネクストアクションを指示できます。 |
| 売上予測 | 各担当者が入力した商談データに基づき、AIも活用して精度の高い売上予測を自動で算出。 これにより、経営層は正確な着地見込みを把握し、的確な経営判断を下せます。 |
| Salesforce Engage | 営業担当者がマーケティング部門の作成したメールテンプレートを使い、顧客の反応(開封・クリック)を追跡できる機能。 これにより、顧客の興味度合いに応じた効果的なアプローチが可能になります。 |
カスタマーサービス強化なら「Service Cloud」
こんな課題に・・・
問い合わせへの対応が遅れがちで顧客満足度が低い、同じような質問に何度も答えておりサポート担当者が疲弊している、電話やメールなどチャネルごとに対応がバラバラ…。
Service Cloudは、問い合わせ対応の品質と効率を向上させ、顧客満足度を高めるためのプラットフォームです。
| 主要機能 | できること(ベネフィット) |
|---|---|
| ケース管理 | 電話、メール、チャット、Webフォームなど、あらゆるチャネルからの問い合わせを「ケース」として一元管理。 これにより、「誰がどの問い合わせに対応中か」が明確になり、対応漏れや二重対応を防ぎます。 |
| ナレッジベース | よくある質問とその回答を蓄積し、社内担当者向けのFAQや顧客向けのセルフサービスサイトを簡単に構築。 これにより、担当者は迅速に回答を見つけられ、顧客は自己解決できるため、問い合わせ件数そのものを削減できます。 |
| オムニチャネルルーティング | 問い合わせ内容や担当者のスキル、対応状況に応じて、システムが自動で最適な担当者にケースを割り振り。 これにより、顧客を待たせることなく、最も適切な担当者が迅速に対応できます。 |
| CTI連携 | 電話システムと連携し、着信時にPC画面に顧客情報を自動で表示。 これにより、担当者は顧客の名前を呼びかけながら、過去の履歴を踏まえたスムーズな応対が可能になり、顧客満足度が向上します。 |
| チャットボット | 24時間365日、定型的な質問に自動で応答するチャットボットをWebサイトに設置。 これにより、夜間や休日でも顧客の簡単な疑問を解決し、有人対応が必要な複雑な問い合わせにリソースを集中できます。 |
BtoBマーケティング自動化なら「Marketing Cloud Account Engagement (旧Pardot)」
こんな課題に・・・
獲得した見込み客を放置してしまい商談に繋がっていない、マーケティング施策がやりっぱなしで効果測定ができていない、営業部門に渡すリードの質が低いと言われる…。
Account Engagementは、見込み客(リード)を顧客へと育成するMA(マーケティングオートメーション)ツールです。
| 主要機能 | できること(ベネフィット) |
|---|---|
| リード育成(ナーチャリング) | 顧客の行動(Web閲覧、メール開封など)に応じて、あらかじめ設定したシナリオに基づき、最適なタイミングで最適な情報を自動で提供。 これにより、時間をかけて見込み客との関係を構築し、購買意欲を高めます。 |
| スコアリング | 見込み客の属性や行動に点数を付け、購買意欲を数値化。これにより、営業部門はスコアの高い「本当にホットな見込み客」だけに集中してアプローチでき、活動の効率が飛躍的に向上します。 |
| メールマーケティング | 高度なセグメンテーションに基づき、顧客一人ひとりにパーソナライズされたメールを配信。 一斉配信メールとは比較にならない高い開封・クリック率を実現します。 |
| ランディングページ・フォーム作成 | プログラミング知識なしで、資料請求やセミナー申し込み用の高品質なWebページと入力フォームを作成できます。 |
| ROIレポート | どのマーケティング活動が、どれだけの売上(ROI:投資対効果)に繋がったかを可視化。 これにより、データに基づいた予算配分や施策の改善が可能になります。 |
BtoC向けマーケティングなら「Marketing Cloud」
こんな課題に・・・
顧客一人ひとりの興味や購買履歴に合わせた、きめ細やかなコミュニケーションが取れていない、メール、SMS、LINE、SNSなどチャネルがバラバラで一貫したメッセージを送れていない…。
Marketing Cloudは、主にBtoCビジネスにおいて、顧客一人ひとりとの1to1コミュニケーションを実現するプラットフォームです。
| 主要機能 | できること(ベネフィット) |
|---|---|
| Journey Builder | 顧客の行動(購入、アプリ起動、Web訪問など)をトリガーに、「もし〇〇したら、Aというメールを送る」「3日後に反応がなければ、Bというプッシュ通知を送る」といった複雑なカスタマージャーニーを設計・自動化します。 |
| Email Studio | 大量のメール配信を、高度なパーソナライズと共に行うためのツール。 AIによる最適な送信タイミングの提案なども可能です。 |
| Mobile Studio | SMS(ショートメッセージ)やスマートフォンのプッシュ通知、LINEなどを活用したメッセージ配信を行います。 |
| Social Studio | X (旧Twitter)やFacebookなどのSNSアカウントを一元管理し、投稿の予約、コメントへの返信、ソーシャルリスニング(口コミ分析)などを行います。 |
どのプランを選べばいい?エディションによる主要機能の違い
Salesforceの主要製品には、それぞれ機能や価格が異なる複数の「エディション(料金プラン)」が用意されています。ここではSales Cloudを例に、主要な4エディションの概要と、選択のポイントを解説します。
主要4エディションの概要と比較表
一般的に、Essentials → Professional → Enterprise → Unlimited の順に機能が豊富になり、価格も上がります。
【Sales Cloud エディション別 主要機能 比較表】
| 機能 | Essentials | Professional | Enterprise | Unlimited |
|---|---|---|---|---|
| ユーザー数上限 | 10名 | 制限なし | 制限なし | 制限なし |
| リード・商談管理 | ● | ● | ● | ● |
| 売上予測 | - | ● | ● | ● |
| ワークフロー/自動化 | - | - | ● | ● |
| APIによる外部連携 | - | - | ● | ● |
| フルSandbox | - | - | - | ● |
| サポート | 標準 | 標準 | 24/365 | 24/365 |
(注) この表は2025年7月時点の情報を基にした簡略版です。正確な情報は公式サイトでご確認ください。
「自社に最適なエディション」を選ぶための3つのポイント
1:現在の課題と将来の拡張性で選ぶ
まずは現在の最優先課題を解決できる最小限のエディション(多くの中小企業ではProfessional)から始めるのが定石です。ただし、3年後に他システムとの連携や高度な自動化を見据えているなら、将来的なアップグレードを前提にEnterpriseを検討する価値はあります。
2:自動化・連携のレベルで選ぶ
「単純なルールに基づく自動化や、外部ツールとのAPI連携が必要か?」が、ProfessionalとEnterpriseの大きな分かれ目になります。業務効率化を強力に推進したい場合は、Enterprise以上が必要です。
3:ユーザー数と予算で選ぶ
当然ながら、ユーザー数と月額費用は重要な判断基準です。ただし、目先のコストだけでなく、導入によって得られる売上向上や業務効率化の効果(ROI)を総合的に判断することが重要です。
よくある質問 (Q&A)
Q1. たくさん機能がありますが、全て使いこなせるか不安です。
A1. ご安心ください。その心配はもっともですが、多くの企業は、まず自社の最優先課題(例:商談管理の徹底)を解決するための機能からスモールスタートしています。Salesforceの強みは、会社の成長や習熟度に合わせて、後から機能を追加・拡張していける点にあります。全てを一度に使いこなす必要は全くありません。
Q2. AppExchangeとは何ですか?具体的にどんなことができますか?
A2. Salesforce版の「App Store」や「Google Play」を想像していただくと分かりやすいです。Salesforceの標準機能だけではカバーしきれない、業界特有のニーズや、日本の商習慣に合わせた便利なアプリケーションを追加できます。例えば、日本の名刺管理サービスと連携するアプリや、複雑な見積書・請求書を日本形式で出力するアプリなどが人気です。
Q3. 料金はどのくらいかかりますか?
A3. 料金は、利用するクラウド製品、エディション、ユーザー数によって大きく異なります。例えば、この記事で紹介した営業支援向けの「Sales Cloud」のProfessionalエディションは、1ユーザーあたり月額12,000円(税抜、2025年7月時点の参考価格)です。ただし、これはあくまで一例であり、自社に必要な構成での正確な料金は、公式サイトで確認するか、直接問い合わせて見積もりを取得することをお勧めします。
まとめ
この記事では、Salesforceの膨大な機能を「目的別・課題解決別」という切り口で整理し、解説してきました。
お分かりいただけたように、Salesforceにはビジネスを成長させるための無数の機能が用意されています。しかし、最も重要なことは、これらの機能は全て、あなたの会社の「課題を解決するための手段」に過ぎないということです。
多機能さに目を奪われ、「あれもこれも」と導入するのではなく、「自社の最優先課題は何か?」「そのために本当に必要な機能はどれか?」と、目的を明確にすること。それこそが、Salesforce導入を成功させる最大の鍵です。
この記事が、あなたの会社にとって最適な機能を見つけ出し、ビジネスを次のステージへと進める一助となれば幸いです。