SalesNowDB Logo
No.229
更新日 2025年07月28日

Marketing Cloudとは?初心者向けに徹底解説!

メイン画像

「お客様一人ひとりに合わせた、最適なアプローチができていない…」
「SalesforceのMAツールには、Marketing CloudとPardotがあるけど、結局何が違うの?」

デジタル化が進む現代において、顧客との接点は多様化し、企業は「マス(大衆)」ではなく「個(個人)」と向き合うマーケティング、すなわち1to1(ワントゥワン)マーケティングの実践を迫られています。

その実現の鍵を握るのが、Salesforceが提供するMA(マーケティングオートメーション)プラットフォーム、「Marketing Cloud」です。

この記事では、「Marketing Cloudとは何か?」という基本的な問いに答えるだけでなく、多くの人が混乱する「Account Engagement (旧Pardot)」との違い、そして自社にはどちらが最適なのかまで、専門用語を避け、図解を交えながら初心者の方にも分かりやすく解説します。

Marketing Cloudとは?

Marketing Cloudとは、ひと言でいえば、顧客一人ひとりの興味や行動に合わせて、最適なメッセージを、最適なタイミングで、最適なチャネル(メール、LINE、SNS、アプリ通知など)に届けることを自動化する、主にBtoCビジネス向けのMAプラットフォームです。

不特定多数に同じメッセージを送るのではなく、まるで優秀な販売員が一人のお客様と対話するように、きめ細やかなコミュニケーションを大規模に実現します。

Marketing Cloudが解決するマーケティングの課題

  • 画一的なメルマガで、開封率やクリック率が低い
  • 顧客の行動(Webサイト訪問、購買など)に合わせたアプローチができていない
  • メール、LINE、SNSなど、チャネルごとに顧客情報が分断されている
  • 広告の効果が分からず、勘に頼った出稿になっている

主要な「Studio」と「Builder」の役割

Marketing Cloudは、単一のツールではなく、様々な専門機能を持つ「Studio」や「Builder」と呼ばれるモジュールの集合体です。これらを組み合わせることで、多岐にわたるマーケティング施策を実行します。

Marketing Cloudの主要機能でできること

では、具体的にどのような機能があり、何ができるのでしょうか。代表的な機能と、その活用例を見ていきましょう。

Journey Builder

Marketing Cloudのまさに心臓部と言える機能です。顧客の行動を起点に、「もし〇〇したら、Aというアクションを実行」「3日後に反応がなければ、Bというアクションを実行」といった一連のコミュニケーションの流れ(カスタマージャーニー)を、あらかじめ設計し、完全に自動化します。

具体例

「ECサイトで商品をカートに入れたまま離脱した顧客に、24時間後にリマインドメールを自動送信する」

Email Studio

ただメールを送るだけではありません。顧客の属性や過去の購買履歴などに応じて、表示する商品やメッセージの内容を一人ひとり動的に変える、高度にパーソナライズされたメールを作成・配信できます。

具体例

「顧客の誕生日に、名前入りのバースデークーポンを自動で送付する」

Mobile Studio

メールだけでなく、スマートフォンのSMS(ショートメッセージ)やアプリのプッシュ通知といった、よりダイレクトなチャネルでのアプローチを可能にします。

具体例

「アプリユーザー限定のタイムセール開始を、プッシュ通知で一斉にお知らせする」

Social Studio

X (旧Twitter)、Facebook、Instagramなどの主要なSNSアカウントを一元管理。投稿の予約やコメントへの返信、自社や競合に関する口コミの分析(ソーシャルリスニング)まで、このツール一つで完結します。

具体例

「Xで自社製品に関する質問ツイートを検知し、迅速にリプライを送る」

Advertising Studio

自社が保有する顧客リスト(メールアドレスなど)を活用し、Facebook広告やGoogle広告と連携。既存顧客に絞った広告配信や、既存顧客と似た層にアプローチする「類似オーディエンス広告」などを実現し、広告費用対効果を最大化します。

具体例

「優良顧客リストを使い、Facebook上でその顧客層とよく似たユーザーにだけ広告を表示する」

Einstein for Marketing Cloud

SalesforceのAI「Einstein」が、膨大な顧客データを分析。「この顧客が最もメールを開封する可能性が高い時間帯」や「この顧客が次に興味を持つであろう商品」などを予測し、マーケティング施策の最適化をサポートします。

具体例

「AIの予測に基づき、顧客ごとにメールの送信時間を最適化し、開封率を向上させる」

Marketing CloudとAccount Engagement (旧Pardot) の違い

Salesforceには、Marketing Cloudの他にもう一つ、「Marketing Cloud Account Engagement (旧Pardot)」というMAツールが存在します。この2つの違いを理解することが、ツール選定で失敗しないための最も重要なポイントです。

BtoC向けがMarketing Cloud、BtoB向けがAccount Engagement

非常にシンプルに言えば、以下のように棲み分けられています。

ツール内容
Marketing CloudECサイトや小売、旅行、金融など、不特定多数の個人顧客(BtoC)と、メール・LINE・SNS・広告など多様なチャネルでコミュニケーションを取りたい場合に最適。
Account Engagement (Pardot)IT製品やコンサルティングなど、検討期間が長く高単価な法人顧客(BtoB)を対象に、有望な見込み客(リード)をじっくりと育成し、営業部門へ引き渡したい場合に最適。

比較表で見る!機能・得意領域・価格感の違い

両者の違いを一覧表にまとめました。

比較軸Marketing CloudAccount Engagement (Pardot)
得意な領域BtoC (多対多のコミュニケーション)BtoB (少対少のリード育成)
主なチャネルメール, SMS, LINE, SNS, アプリ, 広告メール, Webサイト(フォーム)
リードの質顧客とのエンゲージメントを重視リードのスコアリング・グレーディングが得意
価格感高(機能・ボリュームに応じた従量課金)中(エディション別の固定料金)

シナリオ別・最適なツールの選び方

では、あなたの会社にはどちらが適しているのでしょうか。具体的なシナリオで考えてみましょう。

シナリオ1:ECサイトやアプリで、大量の個人顧客にアプローチしたい

項目内容
課題数万人〜数百万人の会員がおり、購入履歴や閲覧履歴に基づいたレコメンドメールを送りたい。
LINEやアプリのプッシュ通知も活用して、セール情報などを届けたい。
最適なツールMarketing Cloud(多様なチャネルと Journey Builder による複雑なシナリオ自動化が強み)

シナリオ2:高単価な法人向け商材で、有望な見込み客をじっくり育てたい

項目内容
課題Webサイトからの資料請求者は月に数十件程度。
その中から、本当に購買意欲の高い「ホットな見込み客」を見つけ出し、営業担当者が効率的にアプローチできるようにしたい。
最適なツールAccount Engagement (Pardot) — 見込み客の行動を点数化するスコアリング機能で、有望なリードを的確に絞り込み、営業へ引き渡しやすくする。

Sales Cloud/Service Cloudとの連携で生まれる相乗効果

Marketing Cloudの真価は、SalesforceのCRM(Sales Cloud)やカスタマーサービス(Service Cloud)と連携することで、さらに高まります。

営業担当者の活動履歴を基に、マーケティング施策を出し分ける

Sales Cloudに記録された「失注」の理由をトリガーに、Marketing Cloudから自動で別の角度からのアプローチメールを送る、といった連携が可能です。

問い合わせ内容に応じて、最適なサポート情報やアップセルオファーを送る

Service Cloudに「製品Aの操作方法」に関する問い合わせが来たら、Marketing Cloudからその操作方法に関するFAQページのURLを自動送信する。さらに、製品Aの上位版である「製品B」の案内を適切なタイミングで送る、といった一貫した顧客体験を創出できます。

よくある質問 (Q&A)

Q1. Marketing Cloudの料金はどのくらいですか?

A1. Marketing Cloudの料金は、利用する機能(エディション)や管理する顧客(連絡先)の数、メールの送信ボリュームなどによって大きく変動する従量課金制です。一般的に、Account Engagement (Pardot)よりも高額になる傾向があります。正確な料金は、自社の要件を整理した上で、Salesforce社に直接問い合わせて見積もりを取得する必要があります。

Q2. 導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A2. 導入する機能の範囲や、既存システムとの連携の有無によって大きく異なりますが、基本的なメール配信の設定から、一つのシンプルなカスタマージャーニーを構築するまでで、一般的に3ヶ月〜半年程度が一つの目安となります。

Q3. 中小企業でも導入するメリットはありますか?

A3. メリットはありますが、慎重な判断が必要です。Marketing Cloudは非常に高機能で高価なため、管理する顧客数が多く、LTVの高いビジネスモデル(例:顧客単価の高いECサイト、サブスクリプションサービスなど)でなければ、投資対効果が見合わない可能性があります。まずは自社のマーケティング課題を明確にし、本当にその機能が必要かを検討することが重要です。

まとめ

Marketing Cloudとは何か、その機能からAccount Engagement (Pardot)との違いまで解説してきました。

Marketing Cloudは、もはや不特定多数の「マス」に向けてメッセージを送る時代を終わらせ、顧客一人ひとり、すなわち「個客」と深く向き合うための、最強の武器です。

自社のビジネスモデルと顧客の特性を理解し、最適なツールを選ぶことができれば、顧客とのエンゲージメントは劇的に向上し、LTVの最大化、ひいては事業の持続的な成長へと繋がるでしょう。

個客マーケティング強化には企業データベース「Sales Now」

個客一人ひとりの興味・関心に応じた最適なセグメント設定とコンタクトリスト作成には、高精度な企業・担当者データが欠かせません。
「Sales Now」は全国540万社を網羅した業界最大級のデータベースで、部署・拠点・担当者単位の最新連絡先情報をワンクリックで取得できます。

まずはTOPページでサービス内容をご確認いただき、顧客一人ひとりに深く寄り添うマーケティング基盤を整えてみませんか?

CTA