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No.233
更新日 2025年08月08日

Salesforceと競合7社を徹底比較!あなたに最適なSFA/CRMの選び方

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「SFA/CRMを導入したいが、どのツールが自社に最適なのか分からない…」
「業界No.1のSalesforceを選んでおけば間違いないのだろうか?」
「HubSpotやkintoneなど、他の選択肢と比べて、具体的に何が違うのかを客観的に知りたい」

SFA/CRMツールの選定は、あなたの会社の営業・マーケティング活動の未来を左右する、極めて重要な経営判断です。しかし、市場には数多くのツールが溢れており、各社が自社の強みをアピールする中で、自社にとっての「正解」を見つけ出すのは至難の業です。

この記事では、特定の製品を推奨するのではなく、業界の中心であるSalesforceと、主要な競合ツールを徹底的に比較・分析します。

なぜ、SFA/CRMの比較検討が重要なのか?

SFA/CRMの導入は、もはや一部の先進的な企業だけのものではありません。しかし、その重要性が増す一方で、ツール選定の失敗による損失もまた、大きくなっています。

「とりあえずSalesforce」が危険な理由

Salesforceが業界のリーダーであり、極めて強力なツールであることは間違いありません。しかし、「No.1だから」という理由だけで安易に選択するのは危険です。オーバースペックな機能に高額な費用を払い続けたり、現場の業務にフィットせず、誰も使わない「幽霊システム」と化してしまったりするケースは後を絶ちません。

ツール選びの失敗がもたらす、3つの大きな損失

金銭的な損失

高額なライセンス費用や導入コストが無駄になる。

時間的な損失

ツール選定から導入、定着化の失敗まで、数ヶ月から数年の貴重な時間が失われる。

機会損失

本来得られるはずだった売上向上や業務効率化のチャンスを逃し、競合他社に差をつけられる。

主要ツールの「設計思想」の違い

機能や価格を比較する前に、まずは各ツールがどのような「思想(フィロソフィー)」に基づいて作られているのかを理解することが、本質的なツール選びの鍵となります。

Salesforce:“プラットフォーム”思想

Salesforceを単なるSFA/CRMアプリと考えてはいけません。その本質は、ビジネスの「OS(オペレーティングシステム)」とも言えるプラットフォームです。最初は営業支援(Sales Cloud)から始め、企業の成長に合わせて、顧客サポート(Service Cloud)、マーケティング(Marketing Cloud)と機能を追加し、さらにはAppExchangeという無数のアプリで機能を無限に拡張できます。「企業の成長に合わせて、どこまでも拡張・連携できる経営基盤を構築する」というのが、その核心的な思想です。

HubSpot:“インバウンド”思想

HubSpotは、「インバウンドマーケティング」という思想から生まれました。広告やテレアポで追いかけるのではなく、価値あるコンテンツ(ブログ記事など)で顧客を惹きつけ、信頼関係を築きながら購買へと導く、という考え方です。そのため、無料のCRMを核として、マーケティング、セールス、カスタマーサービスの各機能がシームレスに連携し、顧客を惹きつけるところからファンになってもらうまでの一貫した顧客体験を重視して設計されています。

Microsoft Dynamics 365:“統合業務”思想

Dynamics 365の思想は、「Microsoftエコシステムによる業務の完全な統合」です。多くの企業が日常的に利用するOutlook、Excel、TeamsといったOffice 365製品群や、Azureクラウドと深く連携。CRM/SFAの領域に留まらず、ERP(基幹業務システム)の機能までを包含し、営業から財務、人事まで、企業活動の全てをMicrosoft製品群で完結させることを目指しています。

kintone:“業務アプリ作成”思想

kintoneの思想は、「開発の民主化」です。プログラミングの知識がない現場の担当者でも、まるでレゴブロックを組み立てるように、自分たちの業務に必要な「業務アプリ(案件管理アプリ、日報アプリなど)」を、自分たちで簡単に作成できることを目指しています。完成されたSFA/CRMを導入するのではなく、自社の業務に合わせて、必要なものだけを自分たちで作るという文化を醸成するツールです。

Salesforceと主要競合SFA/CRMツールの比較一覧表

上記の設計思想を踏まえて、各ツールのポジショニングを一覧表で見てみましょう。

総合比較表

ツール名価格帯得意な企業規模強み・特徴(設計思想の現れ)
Salesforce中堅〜大企業プラットフォームとしての圧倒的な拡張性、エコシステム、高度なカスタマイズ性
HubSpot無料〜スタートアップ〜中堅インバウンド思想に基づく、MA一体型の使いやすいUI、豊富な無料機能
MS Dynamics 365中〜高中堅〜大企業統合業務思想に基づく、Office/Azureとのシームレスな連携、ERP機能
kintone中小〜中堅業務アプリ作成思想に基づく、圧倒的な柔軟性、非IT部門でも開発可能
Senses中小〜中堅純国産。現場の入力負荷軽減を追求した案件ボード形式のUI
e-Sales Manager中堅〜大企業純国産。日本の営業マネジメント手法への深い適合性、定着化支援
Zoho CRM低〜中中小〜中堅圧倒的なコストパフォーマンス。非常に多機能なスイート製品

【シナリオ別】あなたの会社に最適なツールはこれだ!

では、あなたの会社の状況に合わせて、どのツールが最適候補となるのか、具体的なシナリオで見ていきましょう。

ケース1:スタートアップ・中小企業で、まずは無料で始めたい

項目内容
状況創業期で、まずはExcelやスプレッドシートから脱却したい。
コストはかけられないが、将来の拡張性も少し気になる。
最適なツールHubSpot, Zoho CRM
理由HubSpotは、非常に高機能なCRMを無料で提供しており、スタートアップにとって最高の出発点です。
Zoho CRMも、低価格ながら豊富な機能を備え、コストを抑えたい企業に最適です。

ケース2:Excelからの脱却を目指す、日本の典型的な営業組織

項目内容
状況営業担当者はITに不慣れなメンバーも多い。
とにかく現場が使いやすく、入力の負担が少ないツールで、案件管理を可視化したい。
最適なツールSenses, e-Sales Manager, kintone
理由Sensesやe-Sales Managerは、日本の営業現場を深く理解して設計されており、直感的な操作性が魅力です。
また、kintoneで自社の営業プロセスに100%合致した、極めてシンプルな案件管理アプリを自作するのも強力な選択肢です。

ケース3:全社的なDX推進と、基幹システムとの連携を視野に入れる中堅・大企業

項目内容
状況営業部門だけでなく、全社的な顧客情報基盤を構築したい。
基幹システム(ERP)など、社内の他システムとのデータ連携が必須要件。
最適なツールSalesforce, Microsoft Dynamics 365
理由この領域では、プラットフォームとしての拡張性と連携性を持つこの2社が主な選択肢となります。
Salesforceの圧倒的なエコシステムを選ぶか、Microsoft製品群との親和性を取るかが大きな判断の分かれ目です。

ケース4:圧倒的な柔軟性で、営業管理以外の業務アプリも作りたい

項目内容
状況案件管理だけでなく、プロジェクト管理、日報、問い合わせ管理、備品管理など、社内の様々な業務を効率化したい。
最適なツールkintone
理由SFA/CRMという枠に収まらず、社内のあらゆる「Excel台帳」をアプリ化できるkintoneの柔軟性が、このニーズに最もフィットします。

比較検討で失敗しないための、5つのポイント

最終的な判断を下すために、以下の5つの問いを自社に投げかけてみてください。

ポイント1:自社の「目的」と「解決したい課題」は明確か?

「SFA導入」が目的になっていませんか?「商談の進捗を見える化し、受注率を10%向上させる」といった、具体的で測定可能な目的を第一に設定しましょう。

ポイント2:現場のITリテラシーと、ツールの「使いやすさ」は合っているか?

どんなに高機能でも、現場が使えなければ意味がありません。デモやトライアルを活用し、実際にツールを使うメンバーが直感的に操作できるかを確認しましょう。

ポイント3:将来の事業拡大に対応できる「拡張性」はあるか?

3年後、5年後の会社の姿を想像してみてください。その時にも、今のツールはビジネスの成長を支え続けられるでしょうか?

ポイント4:CRM/SFA以外のツールとの「連携性」はどうか?

会計ソフト、チャットツール、MAツールなど、既に社内で利用している他のツールとスムーズに連携できるかは、業務全体の生産性を左右する重要なポイントです。

ポイント5:「エコシステム」(パートナー、情報量、コミュニティ)は充実しているか?

ツールの価値は、機能だけではありません。導入を支援してくれるパートナー企業の数、使い方を学べるWeb上の情報量、ユーザー同士で質問し合えるコミュニティの活発さ。この「エコシステム」の豊かさが、導入後の成功を大きく左右します。

よくある質問 (Q&A)

Q1. 結局のところ、シェアNo.1のSalesforceを選んでおけば間違いないですか?

A1. 間違いない選択肢の一つですが、常にベストとは限りません。その強力な拡張性は、裏を返せば、シンプルな使い方をしたい企業にとっては「オーバースペックで高価」に感じられる可能性があります。自社の目的が明確で、その目的がより安価でシンプルなツールで達成できるなら、そちらの方が賢明な判断と言えます。重要なのは「No.1を選ぶこと」ではなく、「自社に合ったものを選ぶこと」です。

Q2. 導入後のサポート体制は、各社でどのような違いがありますか?

A2. 大きく異なります。無料プランではコミュニティフォーラムでのサポートが中心となることが多いです。有料プランでは、メールや電話でのサポートが提供されますが、その対応時間やレベルは価格に応じて変わります。また、Salesforceのように、本体のサポートに加えて、導入を支援する「パートナー企業」のエコシステムが充実しているかどうかも、長期的な安心感に繋がる大きな違いです。

Q3. 複数のツールを組み合わせて使うことは可能ですか?

A3. はい、可能です。例えば、マーケティングはHubSpotを使い、そこから生まれた有望な商談をSalesforceに連携させて営業が管理する、といった使い方は一般的です。ただし、ツール間のデータ連携には専門的な知識や追加コストが必要になるため、まずは一つのプラットフォームで完結できないかを検討し、その上で必要であれば連携を考えるのが良いでしょう。

まとめ

ここまで、Salesforceと主要な競合ツールを、様々な角度から比較してきました。

結論として、全ての企業にとって完璧な「最高のツール」というものは存在しません。あなたの会社にとっての最高のツールとは、あなたの会社のビジネスモデル、企業文化、そして未来の戦略に、最も深くフィットするツールのことです。

シェアNo.1という言葉に惑わされず、この記事で提示した「設計思想」や「選び方のポイント」を参考に、ぜひ自社だけの最適解を見つけ出してください。

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