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No.237
更新日 2025年08月08日

Salesforceで残業がゼロになる?2025年最新の自動化ツール「フロー」徹底解説

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Salesforceには、プログラミングの知識がない非エンジニアの方でも、クリック操作で業務プロセスを自動化できる非常に便利な機能が標準で備わっています。

本記事では、Salesforceの運用担当者やマネージャーの方々に向けて、自動化の基本から、今すぐ使える具体的な業務改善事例、そして最新の推奨ツールである「フロー」の実践的な使い方まで、体系的に解説します。

Salesforceの自動化を実現する主要ツール

Salesforceの自動化ツールにはいくつかの種類がありますが、ご安心ください。現在、新しく自動化を始める際にあなたが主に使うのは、実質2つのツールだけです。

ここでは、これから使うべき主要ツールと、今はもう使わない旧世代のツールについて、その役割と関係性を整理して解説します。

これから使うべき2つの主要ツール

自動化の目的別に、以下の2つのツールを使い分けるのが基本です。

ツール名主な役割主な用途
フロー (Flow Builder)汎用的な自動化ツール・レコード更新、メール送信、タスク作成
・複数のステップから成る複雑な処理
・ユーザーが入力する画面の作成
承認プロセス承認業務の専用ツール・稟議や申請など、決まったルートでの承認
・割引申請や経費精算のワークフロー

フロー

フローは、現在のSalesforceの自動化における中心的かつ最も多機能なツールです。

レコードの作成・更新・削除から、メール送信、外部システムとの連携まで、承認プロセスが担う業務以外の、ほとんどすべての自動化をこれ一つで実現できます。 画面上でパーツを組み合わせる視覚的な操作で、簡単なものから複雑なものまで、幅広い業務プロセスを構築できるのが特徴です。

Salesforce社も「今後の自動化機能はフローに一本化する」と公式に発表しているため、今から学ぶべき最も重要なツールと言えます。

承認プロセス

一方の承認プロセスは、その名の通り、割引申請や経費精算、稟議といった「承認」のプロセスを自動化するための専用ツールです。

「誰が、どの順番で承認するか」といった決まったルート(承認フロー)を管理することに特化しており、承認に関する業務の場合は、フローを使うよりも簡単かつ適切に設定できます。

補足:現在は使わない「旧世代のツール」について

では、よく聞く「プロセスビルダー」や「ワークフロールール」とは何なのでしょうか。

これらは、フローが登場する前に使われていた旧式の自動化ツールです。かつては広く利用されていましたが、現在ではフローがこれらのツールの機能をすべてカバーできるようになりました。

そのため、Salesforce社はこれらの旧世代ツールの新規作成を停止し、既存のものもフローへ移行することを強く推奨しています。 これからあなたが新しく自動化を作成する際に、これらを選ぶ必要はありません。

【早見表】ツールの使い分け

ここまでの話をまとめると、2025年現在のツールの使い分けは非常にシンプルです。以下の表を参考にしてください。

用途推奨ツール備考
稟議、割引申請などの承認業務承認プロセス承認フローに特化した専用ツールとして今後も利用。
上記以外のすべての自動化業務フロー今後の主流。プロセスビルダー/ワークフローからの移行先。

【業務別】Salesforce自動化の具体例5選

理論がわかったところで、次は「具体的にどんな業務を自動化できるのか」を見ていきましょう。ここでは、多くの企業で共通して発生する業務を中心に、フローで実現できる自動化の具体例を10個ご紹介します。

例1:リード対応

課題 (Before)

Webサイトのフォームから問い合わせが入るたびに、マネージャーが内容を確認し、手動で担当者を割り振っていました。対応が遅れ、機会損失に繋がることもありました。

改善後 (After)

問い合わせが入った瞬間に、地域や製品などの条件に応じて最適な担当者が自動で割り当てられ、担当者には即座に通知が飛ぶようになります。

実現方法

フロー(レコードトリガーフロー)を使い、「リードが新規作成された時」をトリガーに、特定のルールに基づいて所有者を更新します。

例2タスク管理

課題 (Before)

商談が「提案」フェーズに進んだら、上長へのレビュー依頼や見積作成など、やるべきことが担当者任せになっており、タスクが漏れることがありました。
改善後 (After)

商談のフェーズが「提案」に更新されたら、関連するToDo(「上長へレビュー依頼」「見積書作成」など)が担当者に自動で割り当てられます。
実現方法

フロー(レコードトリガーフロー)で、「商談のフェーズが"提案"に変更された時」をトリガーに、ToDoレコードを自動で作成します。

例3:情報共有

課題 (Before)

大きな商談が受注できても、関係者への共有が遅れたり、担当者からの報告を待つ必要がありました。

改善後 (After)

受注金額が一定以上の商談が「成立」になった瞬間に、指定のSlackチャンネルなどにメッセージが自動投稿され、関係者全員がリアルタイムで成功を分かち合えます。

実現方法

フローのアクション機能を使い、SlackやChatterへの投稿をプロセスに組み込みます。(※別途連携設定が必要な場合があります)

例4:報告業務

課題 (Before)

毎週金曜日の夕方、営業担当者が各自でレポートを作成し、上長にメールで報告。作成に時間がかかり、形式もバラバラでした。

改善後 (After)

毎週月曜日の朝、前週の活動状況をまとめたレポートが自動で作成され、上長のメールボックスに届きます。

実現方法

Salesforceの「レポートの登録」機能を使います。指定したレポートを、スケジュールに合わせて指定したユーザーにメールで自動配信できます。

例5:データ精度

課題 (Before)

取引先のオフィスが移転した際、「取引先」の住所は更新したが、「請求先情報」の住所を更新し忘れ、請求書が旧住所に送られてしまいました。

改善後 (After)

「取引先」の住所が更新されたら、「請求先情報」の住所も自動で同じ内容に更新されるようになります。

実現方法

フロー(レコードトリガーフロー)で、「取引先レコードの住所項目が変更された時」をトリガーに、関連する請求先情報レコードの住所項目を更新します。

Salesforceフローで自動化を始める3ステップ

「具体例はわかったけど、何から手をつければ…」という方のために、非エンジニアの方がフローで自動化を始めるための基本的な3つのステップをご紹介します。

Step1:自動化したい業務プロセスを具体的に洗い出す

まず、テクノロジーありきで考えないことが重要です。PCから離れ、普段の業務を振り返ってみましょう。例えば、「毎日・毎週繰り返している単純作業はないか?」「複数の場所に同じ情報を手で入力していないか?」あるいは「『〜したら、必ず〜する』という決まったルールの業務はないか?」といった観点で、ミスや漏れが発生しがちな業務を特定します。これらの業務内容を「誰が」「いつ」「何をきっかけに」「何をしているか」という視点で整理することが、効果的な自動化への第一歩です。

Step2:最適なフローの種類を選択する

自動化したい業務が決まったら、フローの種類を選択します。初心者がまず覚えるべきは以下の2つです。どちらが適しているか、下の表で確認しましょう。

フローの種類起動タイミング主な用途
レコードトリガーフローレコードの作成・更新・削除時(自動裏側で動く自動処理(通知、項目更新など)
画面フローユーザーのボタンクリック時など(手動対話型の入力画面(アンケート、ウィザードなど)

「商談が成立したら通知する」のような裏側の処理はレコードトリガーフロー、「アンケートに回答させる」のようにユーザー操作を伴うものは画面フロー、と覚えるのが分かりやすいでしょう。

Step3:フローを構築・テスト・有効化する

フローの種類を決めたら、いよいよフロービルダーの画面で自動化のプロセスを組み立てていきます。

トリガーの設定

まず、「いつ」フローを動かすかの条件を設定します。(例: 商談オブジェクトで、フェーズが「成立」に変更された時)

要素の配置

次に、実行したい処理(要素)をキャンバスに配置し、線で繋いでプロセスの流れを作ります。(例: ①レコードを取得 → ②条件で分岐 → ③Slackに通知)

テスト(デバッグ)

作成したフローが意図通りに動くか、必ずテストをします。フローには、実際のデータを変更せずに動きを確認できる便利なデバッグ機能があります。

有効化

最後に、テストで問題がなければフローを「有効化」します。これで、本番環境で自動化が動き始めます。

Salesforce自動化で失敗しないための3つの注意点

手軽に始められるSalesforceの自動化ですが、いくつか注意すべき点があります。これらを知っておくだけで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

1. いきなり複雑な自動化を目指さない(スモールスタートが鍵)

自動化の可能性に気づくと、あれもこれもと壮大なプロセスを一度に構築したくなりますが、これは失敗の元です。最初は、影響範囲が狭く、かつ効果が分かりやすいシンプルな業務から始めましょう(これをスモールスタートと言います)。小さな成功体験を積み重ねることで、知見がたまり、より複雑な自動化へ安全にステップアップできます。

2. 処理の順番と無限ループに気をつける

一つのレコードに対して複数の自動化ルールが設定されている場合、それらが実行される順番を意識しないと、予期せぬ結果を招くことがあります。また、最も注意すべきは「無限ループ」です。例えば、お互いを更新し合うようなフローを作ってしまうと、処理が無限に繰り返されシステムに大きな負荷をかけます。こうした事態を避けるためにも、シンプルな設計を心がけましょう。

3. 定期的なメンテナンスとエラー管理を怠らない

自動化は一度設定すれば終わりではありません。ビジネスプロセスや組織の変更に伴い、ルールの見直しが必要になることがあります。フローがエラーになった際に誰に通知が飛ぶか(エラーメールの送信先)を必ず設定し、定期的に既存のフローを見直すメンテナンスの習慣をつけることが、安定した運用の秘訣です。

【Q&A】Salesforceの自動化に関するよくある質問

Q. プログラミングの知識は必要ですか?

A. 必要ありません。
本記事で紹介した「フロー」や「承認プロセス」は、基本的にマウス操作で設定が可能です。プログラミング言語(Apex)を使えば、さらに高度で複雑な自動化も可能ですが、大半の業務は標準機能でカバーできます。

Q. 自動化でできないことは何ですか?

A. 複雑なUIの作成や、Salesforceの標準の動きを根本から変えるような処理は苦手です。
例えば、全く新しい独自の画面レイアウトをゼロから作ったり、非常に複雑な計算ロジックを実装したりする場合は、プログラミングが必要になることがあります。ただし、これはかなり高度な要件です。

Q. 外部ツール(SlackやMAなど)との連携も自動化できますか?

A. できます。
フローには、外部システムとデータをやり取りするための機能が備わっています。また、AppExchangeというSalesforceの公式アプリストアには、多くの外部サービスと連携するための便利な拡張機能が多数公開されており、活用することで簡単に連携を自動化できます。

まとめ

今回は、Salesforceの自動化をテーマに、その重要性から具体的なツール、今すぐ使える業務改善事例、そして実践のためのステップまでを網羅的に解説しました。

この記事の重要なポイントは、自動化がもたらす3つの大きなメリット今後の主流となる『フロー』への一本化、そしてスモールスタートで実践することの3点です。

Salesforceの自動化は、単なる「時短テクニック」ではありません。従業員を単純作業から解放し、より創造的な仕事に集中させることで、企業全体の競争力を高める、業務改革に不可欠な基盤となります。

この記事を参考に、ぜひあなたの会社でも「最初の自動化」にチャレンジしてみてください。その一歩が、ビジネスを大きく前進させるきっかけになるはずです。

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