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No.248
更新日 2025年08月08日

これ1記事でマスター!SalesforceのKPI設定・レポート作成・ダッシュボード活用のすべて

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「Salesforceを導入したが、顧客管理にしか使えていない」「会議資料は未だにExcel頼みだ」。

そんな悩みを抱えていませんか?Salesforceに眠る膨大なデータは、活用すればビジネスの現状を正確に把握できる貴重な資産です。Excelでの手作業による集計から脱却し、データに基づいた迅速な意思決定を実現しませんか。

本記事では、Salesforceの「レポート」と「ダッシュボード」機能を使い、KPIを可視化して管理するための具体的な手順と考え方を、初心者にも分かりやすく徹底解説します。

ExcelによるKPI管理の限界とは?

これまで多くの企業で使われてきたExcelでのKPI管理には、いくつかの限界があります。

リアルタイム性の欠如

各担当者が手作業でデータを入力・更新するため、常に最新の状況を反映しているとは限りません。会議の直前に慌てて数字をまとめる、といった光景も珍しくありません。

データの分断と属人化

ファイルが個人のPCや部署のサーバーに散在し、全社で統一された指標を見るのが困難です。また、「あのデータは〇〇さんしか持っていない」といった属人化も引き起こします。

入力ミスや集計の手間

手作業によるコピー&ペーストは、入力ミスや計算式のズレを生む原因となります。また、毎週・毎月同じ集計作業を繰り返すのは大きな時間的コストです。

深掘り分析の難しさ

グラフ化はできても、「なぜこの数字になったのか?」という要因を深掘りするために、元のデータを探し直すといった手間が発生します。

これらの課題は、ビジネスのスピードが求められる現代において、企業の成長を阻害する要因となり得ます。

SalesforceでKPI管理を行うメリット

Excelでの管理には限界がある一方で、Salesforceを活用すると以下のような大きなメリットが得られます。

1. データドリブンな意思決定の実現

SalesforceでKPI管理を行う大きなメリットは、データに基づいた客観的で迅速な意思決定(データドリブンな意思決定)が可能になることです。Salesforceでは、営業担当者が入力した商談情報や活動履歴がリアルタイムでデータベースに蓄積されます。この一元化された正確なデータをもとにKPIを可視化することで、「勘」や「経験」だけに頼るのではなく、事実に基づいた戦略立案や改善アクションにつなげることができます。

2. 営業活動のボトルネックを即座に発見

例えば、「チーム全体の受注率は高いのに、なぜか売上目標に届かない」といった課題があったとします。SalesforceのダッシュボードでKPIを管理していれば、「特定の営業担当者の商談化率が低い」「商談の特定フェーズでの滞留日数が長い」といったボトルネックを瞬時に発見できます。問題の原因を早期に特定し、具体的な改善策を打つことで、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

SalesforceでKPI管理を始める前の準備

効果的なKPI管理を実現するためには、いきなりレポートやダッシュボードを作成し始めるのではなく、事前の準備がとても重要です。この「上流工程」を丁寧に行うことで、形だけのKPI管理に終わらせず、本当にビジネスの成果につながる仕組みを構築できます。

1. KGIから逆算してKPIを設定する

まず、最終的に達成したい目標であるKGI(Key Goal Indicator: 重要目標達成指標)を明確にします。これは通常、企業や部門の最上位目標(例:「年間売上〇〇円達成」)となります。次に、そのKGIを達成するための中間指標となるKPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)に分解していきます。

KGI(重要目標達成指標)KPI(重要業績評価指標)の例
年間売上1億円達成・新規商談獲得数
・商談化率(リードから商談になった割合)
・平均商談単価
・受注率
・受注までの平均日数

このように、目標から逆算して具体的なアクションにつながるKPIを設定することが、データドリブンな活動の第一歩です。

2. 誰が、いつ、何を見るための指標か明確にする

設定したKPIを、誰が、どのタイミングで、何のために見るのかを定義します。これにより、作成すべきレポートやダッシュボードの構成が明確になります。

対象者(Who)確認頻度(When)主な指標(What)
経営者毎週/毎月(週次・月次報告)全社の業績、事業部ごとの進捗
営業マネージャー毎日/毎週(朝会・週次定例)チーム全体のパイプライン、担当者別の実績、目標達成率
営業担当者毎日(始業時)自身の担当案件の進捗、目標達成状況、活動量

例えば、営業マネージャーであれば、「毎週月曜の朝会で、チーム全体の先週の活動量と現在の売上予測をダッシュボードで確認し、今週の戦略を立てる」といった具体的な利用シーンを想定します。

3. Salesforceに必要なデータが入力されているか確認する

KPIの元となるデータがSalesforceに入力されていなければ、正確なレポートやダッシュボードは作成できません。データの品質を担保することは、KPI管理において非常に重要です。

必要な項目の確認

KPIの算出に必要な項目(フィールド)がオブジェクト(例:商談、取引先)に存在するか確認します。なければ、カスタム項目として追加する必要があります。

データ入力の正確性

「商談のフェーズ」や「完了予定日」が常に最新の状態に更新されているか、「失注理由」がきちんと選択されているかなど、データの品質が重要です。

入力ルールの徹底

入力規則や必須項目設定を活用し、データの入力漏れを防ぐ仕組みを作ることも検討しましょう。

Salesforceレポート&ダッシュボードでのKPI管理手順

準備が整ったら、いよいよSalesforceの標準機能を使ってKPIを可視化していきます。基本的な流れは以下の3ステップです。

STEP1: 「レポート」でKPIの元データを作成する

レポートは、ダッシュボードに表示するグラフや数値の元ネタとなる集計表です。

レポートタイプの選択(つまずきやすいポイント)

レポート作成で初心者が最もつまずきやすいのが「レポートタイプ」の選択です。これは「どのオブジェクト(データの箱)から情報を取得するか」を定義するもので、作りたいレポートに必要な情報がどのオブジェクトにあるかを意識して選択しましょう。

項目、検索条件、グルーピングの設定

レポートタイプを選択したら、レポートビルダー画面で表示したい項目、絞り込みたい条件、集計したい軸(担当者別など)を設定し、KPIとして見たい数値を集計したレポートを作成します。

STEP2: 「数式項目」を活用して独自の指標を作成する

Salesforceの標準項目だけでは計算できない独自のKPI(例:受注率)を作りたい場合は、「数式項目」やレポート内で使える「カスタム集計項目」が役立ちます。例えば、受注率を算出するには、「成立した商談の件数」を「完了した商談(成立+失注)の件数」で割る数式をカスタム集計項目として設定します。

STEP3: 「ダッシュボード」でKPIを可視化する

レポートで作成したデータを使って、直感的に状況を把握できるダッシュボードを作成します。

コンポーネントの選び方

どのコンポーネントを選ぶかによって、情報の伝わり方が大きく変わります。目的に合わせて最適なものを選択しましょう。

コンポーネント最適な用途
横棒/縦棒グラフ項目ごとの数値を比較する(例:担当者別の売上実績)
ゲージ目標に対する進捗状況を示す(例:売上目標達成率)
総計値一つの重要な数値を大きく表示する(例:今月の受注総額)
テーブル詳細なデータリストを表示する(例:進行中の大型商談リスト)
じょうごグラフプロセスの各段階での推移を示す(例:商談パイプライン)

ダッシュボードの更新設定と共有

作成したダッシュボードは、手動で更新するほか、「登録」機能でスケジュール(毎日、毎週など)を設定して自動更新し、関係者にメール通知することも可能です。また、フォルダの共有設定で閲覧・編集権限を管理できます。

【部門別・目的別】のKPI設定例とダッシュボード作成例

具体的な利用シーンをイメージすることで、自社での活用方法がより明確になります。

営業部門:商談の進捗とパイプライン管理

営業マネージャーがチームの健全性を測り、目標達成に向けた軌道修正を行うためのダッシュボードです。

指標カテゴリ具体的なKPI例
活動量新規商談数、当月のアポイント獲得数
パイプラインフェーズ別商談数・金額、フェーズ別平均滞留日数
実績/予測当月の受注金額(実績)、当月の売上予測(確度別)
効率性担当者別受注率、平均商談単価

ダッシュボードを作成する際は、左上に最も重要なKPI(売上実績ゲージなど)を配置し、中央にはパイプラインの状況を示すじょうごグラフを置くと、ボトルネックが特定しやすくなります。担当者別のランキングや売上予測も加えると、より実践的なダッシュボードになります。

カスタマーサポート部門:顧客満足度と対応効率の管理

顧客からの問い合わせ(ケース)を管理している部門向けです。サービス品質の維持・向上を目的とします。

指標カテゴリ具体的なKPI例
対応量新規問い合わせ件数、クローズ件数
対応品質顧客満足度スコア(CSAT)、NPS®
対応効率初回応答時間、平均解決時間
担当者パフォーマンス担当者別クローズ件数

ダッシュボードでは、「未対応ケース」や「対応遅延ケース」をリスト表示して対応漏れを防ぎ、問い合わせ種別ごとの件数から製品・サービスの改善点を探る、といった活用が考えられます。

経営層部門:全社の業績を俯瞰する経営ダッシュボード

経営層が会社全体の健康状態を多角的に把握し、重要な経営判断に役立てるためのダッシュボードです。

指標カテゴリ具体的なKPI例
売上売上実績(月次/四半期/年次)、前年同月比、事業部別売上
利益粗利益、営業利益
顧客新規顧客獲得数、解約率(チャーンレート)、顧客生涯価値(LTV)
製品/サービス主要製品別売上構成比

経営ダッシュボードでは、数値を過去のデータ(前年同期など)と比較したり、実績値と将来の予測値を並べて表示したりすることが重要です。SaaSビジネスの場合は、特にチャーンレートやLTVといった継続性を示す指標を重視します。

SalesforceでのKPI管理をさらに高度化する方法

Salesforceの標準機能は高機能ですが、さらに進んだ分析や可視化を行いたい場合、以下の方法があります。

AppExchangeアプリの活用

AppExchangeは、Salesforceの機能を拡張するアプリの公式ストアです。KPI管理やデータ可視化に特化したアプリを利用することで、開発の手間なく、より洗練されたダッシュボードを構築できる場合があります。

Tableau連携で実現する高度なデータ分析と可視化

Tableauは、Salesforce社が提供するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。Salesforceの標準機能と比べて、より高度な分析能力と表現力豊かなビジュアライゼーションが特徴です。Salesforce上のデータだけでなく、基幹システムなど社内外の様々なデータを統合して分析したい場合や、より複雑な経営分析を目指す場合に有効な選択肢となります。

SalesforceのKPI管理に関するよくある質問(Q&A)

Q1. Salesforceのどのライセンスからレポートやダッシュボードは使えますか?

A. レポートとダッシュボードの基本機能は、Professional Edition以上のライセンスで利用可能です。ただし、クロス条件や結合レポートといった、より高度な機能を利用するにはEnterprise Edition以上が必要になる場合があります。

Q2. リアルタイムでKPIを更新できますか?

A. ダッシュボード画面で「更新」ボタンを押せば、その時点での最新データが反映されます。これは「オンデマンド」更新です。自動更新はスケジュール設定が可能ですが、厳密な意味でのリアルタイム同期とは異なる点に留意が必要です。

Q3. 他のシステムのデータと統合してKPIを管理したい場合はどうすれば良いですか?

A. MuleSoftなどのツールで外部システムのデータをSalesforceに連携・統合する方法と、TableauなどのBIツール上でSalesforceと外部システムの両方に接続し、データを統合・可視化する方法があります。

Q4. 作成したレポートやダッシュボードがうまく表示されません。何を確認すれば良いですか?

A. いくつかの原因が考えられます。以下の点を確認してみてください。

レポート・ダッシュボードが表示されない場合の確認事項

確認項目確認内容
権限設定レポートやダッシュボードが保存されているフォルダ、および元データとなっているオブジェクトや項目へのアクセス権限はありますか?
レポートの検索条件検索条件が厳しすぎて、表示対象のデータが0件になっていませんか?
レポートタイプの選択目的のデータを取得できる正しいレポートタイプを選択していますか?
元データの有無そもそもSalesforceに表示されるべきデータが入力されていますか?

まとめ

本記事では、Salesforceを活用したKPI管理の重要性から、具体的な設定手順、部門別の実践例までを網羅的に解説しました。Excelによる手作業の管理から脱却し、SalesforceでKPI管理を自動化・可視化することは、単なる業務効率化に留まりません。それは、組織全体でデータに基づいた対話し、迅速に意思決定を行う「データドリブンな文化」を醸成するための第一歩です。

まずは自社の最も重要なKPIを一つ、簡単なレポートとダッシュボードで可視化することから始めてみませんか?その小さな一歩が、あなたのビジネスを成長させるきっかけとなるはずです。

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