SalesNowDB Logo
No.254
更新日 2025年08月08日

Salesforceの顧客セグメントを徹底活用!作成方法からマーケティング応用まで解説

メイン画像

Salesforceに蓄積された顧客データを「もっと売上につなげたい」と思いつつも、膨大な情報の中から本当にアプローチすべき顧客を絞り込めていない、ということはありませんか?その課題を解決する鍵が「顧客セグメント」です。

本記事では、Salesforceの標準機能だけでできる顧客セグメントの具体的な作成手順を、初心者にも分かりやすく解説します。休眠顧客の掘り起こしや優良顧客へのアプローチなど、明日から使える活用事例も満載です。データ活用の第一歩を踏み出し、成果の出る施策を実現しましょう。

なぜ、Salesforceでの顧客セグメントが重要なのか?

そもそも、なぜ顧客セグメントがこれほどまでに重要視されるのでしょうか。それは、顧客のニーズが多様化し、画一的なアプローチでは成果が出にくくなった現代のビジネス環境において、顧客一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションが不可欠だからです。Salesforceで顧客セグメントを行うことには、主に3つの大きなメリットがあります。

顧客へのアプローチを最適化し、エンゲージメントを高める

すべての顧客に同じメッセージを送っても、心には響きません。例えば、「最近購入した顧客」と「半年間購入のない休眠顧客」では、送るべきメッセージは全く異なります。

Salesforceの顧客セグメント機能を活用すれば、顧客の属性、行動履歴、関心度などに応じてグループ分けし、それぞれのグループに最適なメッセージや情報を提供できます。これにより、顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じ、企業やブランドへの信頼感、すなわちエンゲージメントが高まります。

マーケティング活動の費用対効果(ROI)を最大化する

広告配信やメールマーケティング、セミナー開催など、あらゆる施策にはコストがかかります。闇雲にアプローチを続けていては、無駄なコストが増えるばかりです。

セグメンテーションによって、特定の製品に関心を持つ可能性が高い見込み客グループや、アップセルの可能性がある既存顧客グループなど、確度の高いターゲットリストを作成できます。これにより、限られた予算とリソースを最も効果的な場所に集中投下でき、マーケティング活動全体の費用対効果(ROI)を劇的に改善することが可能です。

LTV(顧客生涯価値)の向上に繋がる

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、一人の顧客が取引期間全体を通じて企業にもたらす利益の総額を指します。LTVを向上させるには、顧客に長く、継続的に自社の製品やサービスを愛用してもらう必要があります。

顧客セグメントを通じて、顧客の状況(新規顧客、リピート顧客、優良顧客、休眠顧客など)を正確に把握し、それぞれのステージに合わせたフォローアップを行うことで、顧客満足度を高め、長期的な関係性を築くことができます。例えば、優良顧客には限定特典を提供する、休眠顧客には特別なクーポンで再訪を促すといった施策が、結果としてLTVの向上に直結するのです。

Salesforceにおける顧客セグメントの主な切り口

Salesforceで顧客セグメントを作成する際、どのような切り口(条件)で分けるかが重要です。ここでは、代表的なセグメントの切り口を4つご紹介します。

顧客属性(デモグラフィック)による基本的なセグメント

最も基本的なセグメンテーション手法で、顧客の客観的な属性データに基づいています。これらの情報は、取引先オブジェクトやリードオブジェクトの標準項目・カスタム項目として管理されているデータを活用します。

対象セグメント項目の例
BtoC年齢、性別、居住地(都道府県)、職業、家族構成
BtoB企業の所在地、業種、従業員規模、売上規模

購買・行動履歴(ビヘイビアル)に基づいたセグメント

顧客が過去にどのような行動をとったかに基づいて分類する、非常に効果的な手法です。顧客データ分析の中核とも言えるでしょう。

分類セグメント項目の例
購入状況最終購入日、累計購入金額、平均購入単価、購入製品・サービス
Web行動特定ページの閲覧、資料ダウンロード、動画視聴時間(※MAツール連携)
反応メールの開封・クリック、イベント参加履歴、問い合わせ履歴

RFM分析を活用した優良顧客セグメント

RFM分析は、顧客の価値を測るための代表的な分析手法です。以下の3つの指標を組み合わせて顧客をランク付けし、優良顧客や離反予備軍などを特定します。

  • Recency(最新購入日): いつ最後に購入したか
  • Frequency(購入頻度): どれくらいの頻度で購入しているか
  • Monetary(累計購入金額): どれくらいの金額を使っているか

例えば、「Rが高く、FもMも高い顧客」は最優良顧客であり、特別な施策の対象となります。一方、「Rが低く(最終購入から時間が経過)、FもMも高い顧客」は、かつては優良顧客だった休眠顧客であり、掘り起こしの優先順位が高いと言えます。Salesforceのレポート機能を使えば、このRFMに基づいたセグメントも作成可能です。

BtoBで特に有効な企業属性によるセグメント

BtoBビジネスでは、個人の属性以上に企業としての属性が重要になります。以下のような切り口でセグメントを作成することで、業界特有の課題に合わせたアプローチが可能になります。

分類セグメント項目の例
企業情報業種・業界、企業規模(従業員数、売上)、設立年数
取引状況導入済み製品・サービス、契約プラン、年間取引額
担当者情報役職(決裁権の有無)、部署、職種

【実践編】Salesforceの標準機能で顧客セグメントを作成する3つの方法

ここからは、いよいよSalesforceの画面操作をイメージしながら、具体的なSalesforce セグメント 作成方法を見ていきましょう。特別なツールを追加しなくても、標準機能で十分に効果的なセグメンテーションが可能です。

方法1:柔軟な条件設定が可能な「レポート」機能

最も効果的で汎用性が高いのが「レポート」機能です。複雑な条件を組み合わせたり、集計結果をグラフで可視化したりと、詳細な顧客データ分析とリスト作成に適しています。

ステップ1:目的に合ったレポートタイプを選択する

まず、Salesforceのナビゲーションバーから「レポート」タブを選択し、画面右上の「新規レポート」ボタンをクリックします。次に表示される画面で、どのオブジェクトのデータを分析したいか(例:「取引先責任者と取引先」「商談」など)に合ったレポートタイプを選択し、「続行」をクリックします。

ステップ2:「検索条件」でセグメントのルールを定義する

レポートビルダー画面の左側にある「検索条件」タブで、セグメントのルールを定義します。「検索条件を追加...」をクリックし、項目(例:「最終活動日」)、演算子(例:「次の値より前」)、値(例:「過去180日間」)を設定します。複数の条件を組み合わせたり、「検索条件ロジックを追加」で「(1 AND 2) OR 3」のような複雑なルールを設定したりすることも可能です。

ステップ3:レポートを保存し、キャンペーンやリストに活用する

条件設定後に「実行」ボタンで結果を確認し、問題なければ「保存 & 実行」でレポートを保存します。保存したレポートは、ドロップダウンメニューから「キャンペーンに追加」してマーケティングリストにしたり、「エクスポート」してCSVファイルとしてダウンロードしたりできます。

方法2:動的なリストが作れる「リストビュー」機能

「リストビュー」は、取引先やリードといった各オブジェクトのタブで、レコードを一覧表示するための機能です。レポートよりも手軽で、日々の業務の中で特定の顧客グループを素早く確認・操作したい場合に非常に便利です。

ステップ1:オブジェクトのリストビューを新規作成する

「取引先」などのオブジェクトタブに移動し、歯車アイコン(リストビューコントロール)から「新規」を選択します。リストビュー名を入力し、表示範囲を選択して保存します。

ステップ2:「検索条件ロジック」で複雑な条件を組み合わせる

作成したリストビューの右側に表示される「検索条件」パネル(漏斗アイコン)で条件を設定します。レポートと同様に、項目、演算子、値を設定し、必要であれば「検索条件ロジック」でAND/ORを組み合わせます。

ステップ3:日々の営業活動や簡易的なリスト共有に活用する

リストビューは、条件に合うレコードが更新されると自動で最新の状態が反映される「動的」なリストです。日々のタスク管理や、複数レコードの一括編集、簡易的な一括メール送信などに活用できます。

方法3:「キャンペーンメンバー」を活用した施策連動セグメント

「キャンペーン」オブジェクトは、セミナーやWeb広告といったマーケティング施策を管理する機能です。このSalesforce キャンペーンメンバーを活用することで、施策に反応した顧客を簡単にセグメントできます。

イベント参加者や資料請求者などを一元管理

まず、「2025年夏 新製品セミナー」のようなキャンペーンを作成します。そのキャンペーンに関連するリードや取引先責任者を「キャンペーンメンバー」として追加します。Webフォームと連携すれば、申込者を自動でキャンペーンメンバーにすることも可能です。

特定のキャンペーンに反応した顧客リストの作成

キャンペーンメンバーとして登録された顧客は、「特定の施策に興味を示したグループ」として明確にセグメントされています。これにより、セミナー参加者へのお礼メールや、資料請求者への電話フォローなど、顧客の具体的なアクションに基づいた、タイムリーで関連性の高いアプローチが可能になります。

【応用編】Marketing Cloud Account Engagement (旧Pardot) を使った高度なセグメンテーション

Salesforceとマーケティングオートメーションツールである「Marketing Cloud Account Engagement (旧Pardot)」を連携させると、さらに高度で自動化されたセグメンテーションが実現します。

プロファイルとスコアリングによる見込み客の絞り込み

スコアリングでは、Webページの閲覧やメールの開封といった見込み客の行動を自動で点数化し、関心度を測ります。プロファイルでは、業種や役職といった属性が、自社の理想的な顧客像とどれだけ一致しているかをグレードで評価します。この2つを組み合わせることで、「ターゲットに合致し、かつ関心も高い有望な見込み客」といった質の高いセグメントを自動で作成できます。

「ダイナミックリスト」による条件合致者の自動セグメント

Pardot セグメントの中核機能が「ダイナミックリスト」です。あらかじめ設定したルール(例:「スコアが100点以上」)に基づいて、条件に合致する見込み客を自動でリストに追加・削除します。これにより、手動でのリスト更新が不要になり、特定の行動をとった見込み客へのフォローアップなどを完全に自動化できます。

作成したセグメントの活用シナリオ例

セグメントは作成して終わりではありません。活用してこそ価値が生まれます。ここでは、具体的な顧客セグメンテーション 事例として、3つの活用シナリオを紹介します。

シナリオ1:休眠顧客への掘り起こしメールキャンペーン

ターゲット

Salesforceレポートで「最終購入日(または最終活動日)が1年以上前」の顧客を抽出。

目的

サービスの再利用を促し、売上を回復させる。

アクション

抽出したリストに「お久しぶりです!〇〇様だけの特別なクーポンをご用意しました」といったメールを配信。反応があった顧客にインサイドセールスがフォローアップする。

シナリオ2:優良顧客(ロイヤルカスタマー)向けの限定セミナー案内

ターゲット

SalesforceレポートでRFM分析を行い、「累計購入金額と購入頻度が高い」優良顧客を抽出。

目的

顧客満足度とロイヤリティをさらに高め、アンバサダーになってもらう。

アクション

抽出したリストの顧客を、新機能の先行体験会や開発責任者が登壇するクローズドなセミナーに招待し、特別感を演出する。

シナリオ3:特定製品の導入企業へのアップセル・クロスセル提案

ターゲット

Salesforceレポートで「製品Aを導入済み」かつ「関連製品Bは未導入」の取引先を抽出。

目的

既存顧客の単価を向上させる。

アクション

抽出したリストを担当営業に共有し、「製品Aと製品Bを連携すれば、さらに〇〇な効果が見込めます」といった具体的な導入事例を交えて提案を行う。

【Q&A】顧客セグメントに関するよくある質問

ここでは、Salesforceの顧客セグメントに関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. セグメントの条件はいくつまで設定できますか?

A. レポートでは最大20個、リストビューでは最大10個の項目検索条件を追加できます。さらに検索条件ロジックを使えばより複雑な絞り込みも可能で、通常、ほとんどのセグメンテーションはこれらの上限内で十分に実現できます。

Q2. 作成したセグメント(レポート)は自動で更新されますか?

A. 更新されます。レポートは実行するたびに最新のデータで結果を表示します。レポートの「登録」機能を使えば、指定したタイミングで自動実行し、結果をメールで受け取ることも可能です。リストビューは常にリアルタイムで最新の状態が反映されます。

Q3. セグメント作成時に注意すべきデータクレンジングのポイントはありますか?

A. 非常に重要なポイントです。セグメントの精度は、元となるデータの品質に大きく依存します。日頃からデータの品質を維持するために、入力ルールの統一が欠かせません。「(株)」と「株式会社」のような表記揺れを防ぐために選択リストを活用したり、部署名の命名規則を定めたりすることが有効です。また、セグメントに必要な項目(業種など)は入力必須に設定し、データが空欄になるのを防ぎましょう。定期的に重複したリードや取引先を統合し、古いデータを精査することも、正確なセグメンテーションの土台となります。

まとめ

本記事では、Salesforceの顧客セグメントの重要性から、具体的な作成方法、そしてビジネス成果に繋げるための活用シナリオまでを網羅的に解説しました。

顧客セグメントは、顧客エンゲージメントやROI、LTVを向上させるための重要な施策です。まずはSalesforceの「レポート」や「リストビュー」といった標準機能を使いこなし、休眠顧客の掘り起こしや優良顧客へのアプローチなど、目的を持った施策を実行することが大切です。

Salesforceは、顧客を深く理解し、一人ひとりに最適なアプローチを行うための優れたプラットフォームです。まずは本日ご紹介した方法で、あなたの会社にとって最も重要な顧客セグメントは何かを考え、一つのターゲットリストを作成することから始めてみませんか?その一歩が、あなたのビジネスを大きく前進させるきっかけになるはずです。

ターゲットリストの作成には企業データベース「SalesNow」

Salesforceで効果的な顧客セグメントを作るには、精度の高い営業リストが不可欠です。

「SalesNow」は全国540万社を網羅した業界最大級の企業データベースで、部署・拠点・人物単位の連絡先情報まで取得可能。ターゲットに応じたリスト作成に活用できます。

CTA