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更新日 2025年08月08日

【2025年版】Salesforceベストプラクティス15選!

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「Salesforceを導入したものの、いまいち活用しきれていない気がする…」
「これから導入プロジェクトを始めるが、絶対に失敗したくない。押さえるべき勘所は何か?」
「成果を出している企業は、Salesforceを一体どのように『運用』しているのだろうか?」

Salesforceは、導入するだけで魔法のように成果が出るツールではありません。その真価を最大限に引き出すためには、先人たちが見つけ出してきた「型」、すなわちベストプラクティスの実践が不可欠です。

しかし、多くの企業が、そのベストプラクティスを知らない、あるいは知っていても実践できていないために、多額の投資対効果(ROI)を十分に得られていないのが現実です。

この記事では、単なる小手先のテクニックではない、ビジネス成果を最大化するための普遍的な「成功の原則」を15個、厳選して解説します。

なぜ「ベストプラクティス」を知ることが重要なのか

ベストプラクティスの重要性を理解するために、まずSalesforceが持つ特性と、成功の本質について触れておきましょう。

Salesforceは「自由度の高さ」という罠を抱えている

Salesforceの最大の強みは、あらゆる業種・業務に合わせて柔軟にカスタマイズできる「自由度の高さ」です。しかし、この強みは、裏を返せば「明確な指針なしに使い始めると、すぐに複雑で使いにくいシステムが出来上がってしまう」という罠にもなります。家を建てるのに、設計図なしで、思いつきで増改築を繰り返すようなものです。

ベストプラクティスとは、成功企業が辿り着いた「共通の正解」

ベストプラクティスとは、この罠を避け、Salesforceという強力なツールを正しく活用し、確実に成果を出してきた数多くの成功企業が見つけ出した「共通の正解」であり、「守るべき原則」です。これを道標とすることで、あなたの会社は無駄な遠回りをせず、最短ルートで成功へとたどり着くことができます。

失敗を防ぐ5つのベストプラクティス

プロジェクトの成否は、始まる前にその8割が決まります。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、最初に押さえるべき5つの原則です。

1.【戦略】「導入目的」ではなく「ビジネス目標(KGI/KPI)」を定義する

なぜ重要か?

「情報共有のため」のような曖昧な目的では、何をもって成功とするか判断できず、プロジェクトは迷走します。

どう実践するか?

売上を前年比120%に成長させる(KGI)」ために、「商談化率を5%向上させ、平均受注単価を10%引き上げる(KPI)」というように、具体的で測定可能なビジネス目標レベルまで落とし込み、経営層から現場まで全員で合意形成します。

2.【体制】経営層を巻き込んだ「推進体制」を構築する

なぜ重要か?

Salesforce導入は、全社の業務プロセスを変革する一大プロジェクトです。現場の抵抗や部門間の利害調整には、経営層の強力なリーダーシップが不可欠です。

どう実践するか?

プロジェクトのオーナー(最終意思決定者)として経営層の役員を任命し、定期的な進捗報告会への出席を義務付けます。トップが本気であるという姿勢が、プロジェクトの推進力を生み出します。

3.【設計】標準機能を最大限に活用し、「アドオンよりアダプト」を心掛ける

なぜ重要か?

自社の現行業務に合わせようと過度なカスタマイズ(アドオン)を行うと、開発コストが増大し、将来のアップデートに対応できなくなるなど、システムの複雑化・陳腐化を招きます。

どう実践するか?

まずはSalesforceが提供する標準機能を「グローバルスタンダードの業務プロセス」と捉え、自社の業務をそれに合わせる(アダプト)という発想を持ちましょう。本当に必要なカスタマイズは、最小限に留めるのが鉄則です。

4.【設計】拡張性を考慮した「命名規則」と「データモデル」を設計する

なぜ重要か?

初期段階で場当たり的な項目作成や設定を行うと、将来機能を追加したり、レポートを作成したりする際に、一貫性がなくなり、手戻りや混乱の原因となります。

どう実践するか?

オブジェクトや項目のAPI参照名、レポートフォルダなどの命名規則(例:「オブジェクト名_項目名__ja」)を事前に定義します。また、データモデル(オブジェクト間のリレーション)は、将来的な拡張性を考慮して、できるだけシンプルで汎用的な構造を心掛けます。

5.【体制】「データガバナンス」の責任者を任命する

なぜ重要か?

データの品質はSalesforceの生命線です。誰がデータの品質に責任を持つのかが曖昧なままでは、データはすぐに陳腐化し、信頼性を失います。

どう実践するか?

全社のデータ品質を維持・向上させる責任者として「データスチュワード」を任命します。データ入力ルールの策定や、定期的なデータ品質のモニタリングなどを主導する役割を担います。

日々の価値を高める、6つのベストプラクティス

システムが稼働してからが本番です。Salesforceを「使われる」ツールにするための6つの原則です。

6.【データ】「データ入力規程」を策定し、品質を維持する

なぜ重要か?

入力ルールがなければ、「(株)」と「株式会社」が混在するなど、データの重複や表記揺れが多発し、正確な分析ができなくなります。

どう実践するか?

「誰が、いつ、どの項目を、どのような形式で入力するのか」を定めた、シンプルで分かりやすい入力規程を作成し、全ユーザーに周知徹底します。

7.【データ】定期的な「データクレンジング」を仕組み化する

なぜ重要か?

どれだけルールを徹底しても、データの陳腐化や重複は必ず発生します。放置すれば、データの品質は下がる一方です。

どう実践するか?

四半期に一度など、定期的に重複レコードのマージや、古い情報の棚卸しを行う「データクレンジングDAY」を設けるなど、大掃除を仕組みとして定着させます。

8.【ユーザー】継続的な「トレーニング」と「サポート」の場を提供する

なぜ重要か?

導入時の研修だけでは、必ず内容は忘れ去られます。また、新入社員は何も知らない状態で使い始めることになります。

どう実践するか?

新入社員向けの研修プログラムを整備するほか、月一の「活用相談会」や、気軽に質問できる社内チャットチャネルを設けるなど、継続的に学び、疑問を解消できる場を提供します。

9.【ユーザー】レポートとダッシュボードを「会議のインフラ」にする

なぜ重要か?

データが実際のビジネスの意思決定に使われて初めて、入力する文化が根付きます。

どう実践するか?

営業会議などの定例会議では、Excelの報告書を禁止し、必ず全員でSalesforceのリアルタイムのダッシュボードを見て議論することをルールにします。

10.【ユーザー】活用優良者(チャンピオン)を見つけ、成功体験を共有する

なぜ重要か?

現場の仲間からの「こう使ったら、こんなに楽になったよ」という声は、どんな研修よりも説得力を持ちます。

どう実践するか?

部署内でSalesforceをうまく活用しているメンバーを「チャンピオン」として称賛し、その活用方法を社内報や勉強会で共有してもらいましょう。小さな成功体験の横展開が、全体の活用レベルを押し上げます。

11.【セキュリティ】「プロファイル」と「権限セット」で適切な情報アクセスを制御する

なぜ重要か?

誰でも全ての情報にアクセスできる状態は、情報漏洩のリスクを高め、ユーザーにとっても不要な情報が多くて使いにくいシステムになります。

どう実践するか?

役職や職務に応じて、閲覧・編集できる情報を厳密に制御します。基本となる権限を「プロファイル」で設定し、追加の権限を「権限セット」で付与するのが、柔軟で管理しやすいベストプラクティスです。

投資対効果を最大化する、4つのベストプラクティス

Salesforceの真価は、ビジネスの変化に合わせて進化し続けられる点にあります。

12.【改善】「利用状況レポート」で、使われていない機能や課題を特定する

なぜ重要か?

感覚的にではなく、データに基づいて改善の優先順位を判断するためです。

どう実践するか?

「最終ログイン日」や「作成されたレコード数」などを分析し、ログインしていないユーザーや、全く使われていないオブジェクト・項目を特定します。ヒアリングを通じて、その原因を深掘りし、改善策に繋げます。

13.【改善】現場からの「改善要望」を収集・管理するプロセスを構築する

なぜ重要か?

システムを最もよく知るのは、日々それを使っている現場のユーザーです。彼らの声は、システムを改善するための宝の山です。

どう実践するか?

現場からの改善要望を投稿できる専用のフォームやChatterグループを用意し、寄せられた要望の対応状況(検討中、対応済みなど)をオープンに共有するプロセスを構築します。

14.【拡張】「AppExchange」を活用し、車輪の再発明を避ける

なぜ重要か?

自社で必要とする機能が、既に高品質なアプリとして提供されている場合が多々あります。独自開発は、時間とコストの無駄になりかねません。

どう実践するか?

新しい機能要件が生まれたら、まずAppExchangeで類似のアプリがないか検索することを習慣にしましょう。

15.【拡張】定期的に新機能を学び、「リリースノート」をチェックする習慣をつける

なぜ重要か?

Salesforceは年に3回、大規模なバージョンアップを行い、常に進化しています。最新の機能を知らないままでは、機会損失に繋がります。

どう実践するか?

システム管理者は、バージョンアップごとに公開される「リリースノート」に目を通し、自社にメリットのある新機能がないかをチェックする習慣をつけましょう。

アンチパターンから学ぶ、やってはいけないこと

ベストプラクティスの重要性は、失敗例である「アンチパターン」から学ぶことで、より深く理解できます。

アンチパターン1:現場のExcelを、そのままSalesforceで再現しようとする

これは最もよくある失敗です。非効率なExcelの運用をそのままシステム化しても、非効率なシステムが生まれるだけです。Salesforce導入を機に、業務プロセスそのものを見直しましょう。

アンチパターン2:「とりあえず全項目」で、入力負荷を増大させる

「後で使うかもしれないから」と、不要な入力項目を大量に作成してしまうケース。入力は、現場にとって直接的な負荷です。項目は「本当に必要なもの」だけに絞り込み、シンプルに保つべきです。

アンチパターン3:システム管理者を「一人情シス」に丸投げする

Salesforceの運用・改善は、IT部門だけの仕事ではありません。ビジネスの成果に責任を持つ事業部門が主体となり、IT部門と二人三脚で推進すべきものです。

よくある質問 (Q&A)

Q1. これら全てを最初から実践するのは難しいです。何から始めるべきですか?

A1. もちろんです。まず【導入準備フェーズ】の5つのベストプラクティス、特に「1. ビジネス目標(KGI/KPI)を定義する」から始めることを強くお勧めします。目的が定まらなければ、他の全ての活動が意味をなさなくなってしまいます。既に運用中の場合は、「6. データ入力規程を策定する」「9. レポートとダッシュボードを会議のインフラにする」の2つから着手すると、効果を実感しやすいでしょう。

Q2. ベストプラクティスを実践するための、具体的な学習方法はお勧めですか?

A2. Salesforceが提供する無料のオンライン学習プラットフォーム「Trailhead」が最適です。この記事で紹介したようなデータガバナンスや、運用管理に関するベストプラクティスを、ゲーム感覚で体系的に学ぶことができます。また、地域のユーザーグループ(Trailblazer Community Groups)に参加し、他社の活用担当者と情報交換することも非常に有益です。

Q3. 外部のパートナーに、ベストプラクティスに基づいた運用支援をお願いすることも可能ですか?

A3. 可能です。多くの導入支援パートナーが、「運用・定着化支援サービス」や「活用コンサルティング」といった形で、導入後の支援を提供しています。専門家の客観的な視点から、自社の運用状況を評価してもらい、ベストプラクティスに沿った改善提案を受けることは、活用のレベルを飛躍的に高める上で非常に有効な選択肢です。

まとめ

Salesforceの活用成功とは、導入時に一度だけ完璧なシステムを作ることではありません。

それは、ビジネス環境や組織の変化に合わせて、Salesforceという「生き物」を、対話し、改善し、育て続ける、終わりのない継続的な営み(ジャーニー)そのものです。

今回ご紹介した15のベストプラクティスは、その長い旅路で道に迷わないための、信頼できるコンパスとなるでしょう。ぜひ、自社の現在地を確認し、できることから一つずつ、実践を始めてみてください。

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