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No.30
更新日 2025年08月18日

ルートセールスとは?仕事内容や成功のコツを徹底解説

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「ルートセールスって、具体的にどんな仕事?」
「新規開拓営業とどう違うの?楽そうだけど、やりがいはある?」
「毎日同じお客様を回るだけの『御用聞き』になってしまっている…このままでいいのだろうか?」

営業職を目指す就職・転職活動中の方から、日々の業務に課題を感じている現役の担当者まで、「ルートセールス」という仕事には、多くの関心と同時に、様々な疑問や悩みが寄せられます。

この記事では、「ルートセールス」という職種について、その基本的な仕事内容から、新規開拓営業との違い、そして現代において求められる役割や成功の秘訣までを、網羅的かつ体系的に解説します。

ルートセールスとは?

まず、ルートセールスという仕事の基本的な定義から確認していきましょう。

ルートセールスの定義

ルートセールスとは、既に取引のある既存の顧客を対象に、決められたルート(順路)に沿って定期的に訪問し、受注活動や納品、新商品の提案などを行う営業スタイルのことです。「ルート営業」とも呼ばれます。

常に新しい顧客を探し続けるのではなく、お付き合いのある顧客と長期的に良好な関係を築き、その関係性を維持・深化させていくことが、最も重要なミッションとなります。

【最重要】「新規開拓営業」との決定的な違い

ルートセールスを理解する上で、対極にある「新規開拓営業」との比較は欠かせません。

比較項目ルートセールス新規開拓営業
対象顧客既存顧客新規顧客
主な目的関係維持、リピート受注、売上拡大新規契約の獲得
求められるスキル関係構築力、傾聴力、提案力アプローチ力、精神的な強さ、交渉力
営業スタイル信頼関係を基盤とした深耕型未知の相手にアプローチする狩猟型

新規開拓営業が、まだ取引のない企業にゼロからアプローチする「狩猟型」のスタイルであるのに対し、ルートセールスは、既に取引のある顧客という畑を丁寧に耕し、より大きな実りを育てる「農耕型」のスタイルと言えるでしょう。

BtoBとBtoC、それぞれのルートセールス

ルートセールスは、BtoB(企業向け)、BtoC(消費者向け)の両方に存在します。

区分内容
BtoBの例食品メーカーがスーパーや飲食店に商品を納品・提案する。
事務機器メーカーがオフィスのコピー機のメンテナンスや消耗品を届ける。
BtoCの例製薬会社の営業担当者(MR)が病院を訪問する。
宅配サービスの担当者が個人宅に商品を届ける。

ルートセールスの具体的な仕事内容

ルートセールスの担当者は、日々どのような業務を行っているのでしょうか。ここでは、食品メーカーの営業担当者を例に、一日の流れを見てみましょう。

午前:訪問準備と事務処理

出社後、まずはメールチェックや、その日の訪問スケジュールの最終確認を行います。訪問する顧客の過去の購買データや、前回の商談内容をSFA/CRMなどのツールで確認し、持っていく資料や提案内容を準備します。見積書や報告書などの事務処理もこの時間に行うことが多いです。

午後:担当顧客への巡回訪問

社用車などで、担当エリアの顧客(スーパー、飲食店など)を1日に5〜10件ほど訪問します。定番商品の在庫を確認して追加の注文を受けたり(受注活動)、新商品の案内やキャンペーンの提案を行ったりします。時には、商品の陳列方法についてアドバイスをしたり、売れ行きに関する悩み相談に乗ったりすることも。単なる納品だけでなく、顧客のビジネスに貢献する情報提供が重要です。

夕方:帰社後の報告と翌日の準備

帰社後、その日の活動内容を日報としてシステムに入力します。受注した商品の発注処理を行い、翌日の訪問準備を整えて業務終了です。

ルートセールスのやりがいと、きつい点

どんな仕事にも、良い面と厳しい面があります。ルートセールスのリアルな姿を見ていきましょう。

【やりがい・メリット】

顧客と深い信頼関係を築ける

定期的に顔を合わせることで、顧客と個人的なレベルでの深い信頼関係を築くことができます。「〇〇さんだから買うよ」と言ってもらえた時の喜びは、この仕事ならではの醍醐味です。

安定した成果を出しやすい

既存顧客が相手のため、売上の基盤が安定しており、毎月コンスタントに成果を出しやすい傾向があります。精神的なプレッシャーは新規開拓営業に比べて少ないと言えるでしょう。

ワークライフバランスを保ちやすい

訪問ルートやスケジュールを自分で管理しやすいため、残業が少なく、プライベートとのバランスを取りやすい企業が多いのも特徴です。

【きつい点・デメリット】

仕事が単調(マンネリ化)になりやすい

毎日同じ顧客、同じルートを回るため、意識しないと仕事が単調になり、やりがいを見失ってしまう可能性があります。

御用聞きで終わってしまう可能性がある

顧客との関係にあぐらをかいてしまうと、ただ注文を聞いて届けるだけの「御用聞き」や「配送担当」になってしまい、営業としてのスキルアップが望めません。

大きな成果を出しにくいと感じることがある

新規開拓営業のように、大型契約をゼロから勝ち取るといったドラマチックな成果は生まれにくいかもしれません。

ルートセールスに「向いている人」の特徴

ルートセールスで活躍できるのは、どのような資質を持った人なのでしょうか。

特徴1:人と話すのが好きで、聞き上手な人

顧客と長期的な関係を築く上で、コミュニケーション能力は不可欠です。自分が話すことよりも、むしろ相手の話に真摯に耳を傾け、課題やニーズを引き出す「傾聴力」が特に重要になります。

特徴2:誠実で、コツコツと物事を続けるのが得意な人

ルートセールスは、派手さよりも、地道な活動の積み重ねが信頼に繋がる仕事です。約束を必ず守る、依頼に迅速に対応するといった誠実な姿勢で、コツコツと関係を築いていける人が向いています。

特徴3:細やかな気配りができ、相手の小さな変化に気づける人

「店長、最近少しお疲れではないですか?」「この商品、最近少し売れ行きが鈍っていませんか?」といった、相手の様子の変化や、店舗の細かな変化に気づける観察眼と気配りが、新たな提案のきっかけや、より深い信頼関係に繋がります。

【現役担当者必見】「御用聞き営業」から脱却し、成果を出す5つのコツ

日々の業務がマンネリ化し、「御用聞き」になってしまっていると感じているあなたへ。一つ上のレベルを目指すための5つのコツを紹介します。

コツ1:単なる「納品」を、「情報提供」の機会に変える

商品を届けるだけで終わっていませんか?「最近、〇〇という商品がテレビで紹介されて、他の店舗ではすごく売れているんですよ」「この新商品は、貴店の△△というメニューと組み合わせると、すごく相性が良いと思います」といった、顧客の売上アップに繋がる情報を一つでも提供することを習慣にしましょう。

コツ2:雑談の中に、顧客の課題(ニーズ)を発見するヒアリング術

何気ない雑談は、顧客の本音や課題を引き出す宝の山です。「最近、アルバイトの採用に苦労していて…」「近所に新しい競合店ができて…」といった会話の中から、自社が貢献できる新たなビジネスチャンス(ホワイトスペース)の芽を見つけ出しましょう。

コツ3:アップセル・クロスセルを自然に提案する

顧客の状況を深く理解していれば、アップセル(より上位の商品提案)やクロスセル(関連商品の合わせ買い提案)は、決して「押し売り」にはなりません。「いつもA商品をご利用いただいていますが、Aがお好きなら、きっとこちらの新商品Bも気に入っていただけると思います」といった、善意のレコメンデーションとして、自然に提案できるようになります。

コツ4:SFA/CRMを活用し、効率的で戦略的な顧客管理を行う

勘や記憶に頼るのではなく、SFA/CRM(営業支援/顧客管理システム)を活用しましょう。過去の購買履歴や前回の会話内容をデータとして記録・分析することで、訪問前に戦略を立て、よりパーソナライズされた提案が可能になります。

コツ5:担当者だけでなく、その上司や関連部署とも関係を築く

いつも話している担当者だけでなく、その上司や、他の部署の人とも意識的に関係を築いておきましょう。これにより、組織全体のニーズを把握でき、より大きな取引に繋がる可能性があります。担当者の異動や退職があっても、関係が途切れるリスクを減らすことができます。

ルートセールスのキャリアパスと将来性

ルートセールスで培った経験は、多様なキャリアに繋がります。

キャリアパスの例

キャリアパス内容
営業マネージャー/リーダーチームをまとめる管理職として、後進の育成やエリア戦略の立案を担います。
新規開拓営業関係構築力を武器に、よりチャレンジングな新規開拓の領域へ進む道もあります。
マーケティング職/商品企画職顧客の声を最もよく知る立場として、その知見を活かし、商品の企画や販促戦略を担います。
カスタマーサクセス既存顧客との関係を深め、その成功を支援するという点で親和性が高く、特にSaaS業界などで人気のキャリアです。

これからのルートセールスに必要なスキル

単純な受注・配送業務は、今後AIやシステムに代替される可能性があります。しかし、顧客の潜在的な課題を発見し、解決策を提案する「コンサルティング能力」や、人間的な「信頼関係構築力」は、AIには決して代替できません。御用聞きから脱却し、顧客のパートナーとなることが、将来を生き抜く鍵です。

ルートセールスに関するQ&A

Q. ルートセールスにノルマはありますか?

A. 多くの場合は目標(ノルマ)が設定されます。 ただし、新規開拓営業のような厳しいものではなく、「前年比〇%増」「担当エリアでの売上〇〇円」といった、既存顧客からの売上目標が中心となります。目標達成の難易度は、業界や企業によって様々です。

Q. 未経験でもルートセールスに転職できますか?

A. 未経験者歓迎の求人が非常に多い職種です。 専門知識よりも、人柄やコミュニケーション能力が重視される傾向があるため、異業種からの転職者も多く活躍しています。充実した研修制度を設けている企業も少なくありません。

Q. 運転免許は必須ですか?

A. 必須である場合がほとんどです。 多くの企業で、社用車を使って担当エリアを巡回するため、普通自動車運転免許が応募条件となっていることが多いです。

まとめ

本記事では、ルートセールスの仕事内容から、そのリアルな実態、そして「御用聞き」で終わらないための成功のコツまでを網羅的に解説しました。

ルートセールスは、決して単調で楽な仕事ではありません。それは、顧客一人ひとりと深く向き合い、日々の地道な活動を通じて、企業の製品やサービス、そして企業そのものへの「信頼」を、最前線で創り上げていく、極めて重要で誇り高い仕事です。

この記事が、あなたのキャリア選択や、日々の営業活動を、より豊かで実りあるものにするための一助となれば幸いです。

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