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No.4
更新日 2025年08月12日

【2025年版】インサイドセールスとは?役割・メリットから成功の5つの秘訣まで徹底解説

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「営業担当者が一日中外回りしているが、なかなか成果に結びつかない」
「もっと効率的に、データに基づいて営業活動を進めたい」

多くの企業の営業マネージャーが、このような課題を抱えています。従来の足で稼ぐ営業スタイルが、変化の激しい現代市場では通用しづらくなっているのです。

この課題を解決する鍵として、今、「インサイドセールス」が急速に注目を集めています。

本記事では、インサイドセールスという言葉は聞いたことがあるものの、その実態を詳しく知らない方のために、インサイドセールスの基本的な役割やメリット・デメリット、成功に不可欠な5つの重要ポイントなどを網羅的に解説します。

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、電話、メール、Web会議システムなどの非対面ツールを活用して、社内(インサイド)で行う営業活動のことです。見込み客(リード)の創出から育成、商談化までを主な役割とします。

フィールドセールスやテレアポとの明確な違い

インサイドセールスは、しばしばフィールドセールスやテレアポと混同されがちですが、その役割は明確に異なります。

インサイドセールスフィールドセールステレアポ
主な目的見込み客の育成、関係構築、商談の創出商談のクロージング(成約)アポイントメントの獲得
活動場所社内(オフィス)顧客先社内(オフィス)
コミュニケーション中〜長期的・継続的対面中心・集中的短期的・単発
評価指標 (KPI)商談化数、商談化率、パイプライン創出額など受注数、受注額、受注率などアポイント獲得数、架電数など

フィールドセールス(外勤営業)が、有望な見込み客と対面で商談し、契約を獲得する「クロージング」を主戦場とするのに対し、インサイドセールスはその前段階を担います。

また、単にアポイントを獲得することだけが目的のテレアポとは異なり、インサイドセールスは顧客と継続的にコミュニケーションを取り、情報提供を通じて信頼関係を築き、購買意欲が高まった「質の高い商談」を創出することがミッションです。

営業プロセスにおける位置付け「The Model(ザ・モデル)」

インサイドセールスの役割を理解する上で欠かせないのが、セールスフォース社が提唱した営業プロセスモデル「The Model(ザ・モデル)」です。これは、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまでの一連のプロセスを分業し、各部門が連携して顧客の成功を支援する考え方です。

1. マーケティング(Marketing)

Web広告やセミナーなどで見込み客(リード)を獲得する。

2. インサイドセールス(Inside Sales)

獲得したリードにアプローチし、育成(ナーチャリング)を行い、有望な商談機会(オポチュニティ)を創出する。

3. フィールドセールス(Field Sales / Account Executive)

インサイドセールスが創出した商談を引き継ぎ、具体的な提案を行い、契約を締結(クロージング)する。

4. カスタマーサクセス(Customer Success)

契約後の顧客に対して、サービスの活用支援やアップセル・クロスセルの提案を行い、長期的な関係を築く。

このように、インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスを繋ぐ「架け橋」として、営業プロセス全体の効率を最大化する上で極めて重要な役割を担っています。

なぜインサイドセールスが注目されているのか?

そもそも、なぜこれほどまでにインサイドセールスが重要視されるようになったのでしょうか。その背景には、大きく3つの時代の変化があります。

変化する顧客の購買行動

現代の顧客は、BtoB取引においても、営業担当者から話を聞く前にインターネットで自ら情報収集を行うのが当たり前になりました。製品サイトや比較サイト、SNS、レビューなどを通じて購入の意思決定をほとんど固めています。つまり、営業担当者が初めて接触する頃には、顧客はすでに豊富な知識を持っているのです。この状況で、従来型の製品説明を中心とした営業は効果が薄くなります。

テクノロジーの進化と働き方の多様化

CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)といったツールの進化は、インサイドセールスの活動を強力に後押ししています。顧客情報や行動履歴をデータで一元管理し、最適なタイミングでアプローチすることが可能になりました。

また、Web会議システムが普及したことで、遠隔地にいる顧客とも対面と遜色ないコミュニケーションが取れるようになりました。これにより、働き方の多様化にも対応しやすくなっています。

営業生産性の向上が急務に

少子高齢化による労働人口の減少は、多くの企業にとって深刻な問題です。限られたリソースで最大限の成果を上げる「生産性向上」は、営業部門においても最重要課題となりました。移動時間のかからないインサイドセールスは、営業担当者がより多くの顧客と接点を持つことを可能にし、組織全体の生産性を飛躍的に高めるポテンシャルを秘めています。

インサイドセールスの2つの主要モデル「SDR」と「BDR」

インサイドセールスは、そのアプローチ方法によって大きく2つのモデルに分類されます。自社の商材やターゲット顧客に合わせて、適切なモデルを選択・組み合わせることが重要です。

SDR (Sales Development Representative) - 反響型

SDRは、反響型のインサイドセールスです。マーケティング部門が獲得した、Webサイトからの問い合わせや資料請求、セミナー参加者といった「インバウンド」のリードに対してアプローチを行います。

項目内容
特徴既に自社製品やサービスにある程度の興味を持っているリードが対象のため、比較的スムーズに会話が進みやすい。
主な役割リードの課題やニーズをヒアリングし、商談化の基準を満たしているかを見極める(リードクオリフィケーション)。
向いている商材比較的単価が低く、多くのリードを獲得できる商材。

BDR (Business Development Representative) - 新規開拓型

BDRは、新規開拓型のインサイドセールスです。自社で定めたターゲット企業リストに基づき、こちらから能動的にアプローチを行う「アウトバウンド」の手法です。

項目内容
特徴相手が自社を認知していない状態からアプローチするため、高いコミュニケーション能力と戦略的なアプローチが求められる。エンタープライズ(大企業)攻略など、特定のターゲットを狙い撃ちにする際に有効。
主な役割企業の課題を仮説立て、電話や手紙、SNSなどを駆使してキーパーソンとの接点を作り、商談機会を創出する。
向いている商材比較的高単価で、導入に多くの関係者の合意が必要となるエンタープライズ向けの商材。

インサイドセールス導入のメリットとデメリット

インサイドセールスは多くの利点をもたらしますが、導入を成功させるためにはデメリットも正しく理解しておく必要があります。

【メリット】営業活動を劇的に効率化

生産性の向上

営業担当者は移動時間を削減できるため、その分を顧客とのコミュニケーションに充てられます。1日あたりにアプローチできる顧客数が飛躍的に増加します。

コスト削減

交通費や出張費などの経費を大幅に削減できます。

データに基づいた営業活動

CRM/SFAといったツールに活動履歴がデータとして蓄積されるため、個人の感覚ではなく、データに基づいた分析や改善活動が可能になります。

営業人材の育成効率化

業務が標準化しやすく、成功事例の共有も容易なため、新人でも早期に立ち上がりやすくなります。また、オフィス内で活動するため、マネージャーがすぐにサポートできる体制を築きやすいです。

営業部門の専門化

「育成」と「クロージング」を分業することで、各担当者が自身のミッションに集中でき、専門性を高めることができます。

【デメリット】導入・運用には工夫が必要

非対面ならではの難しさ

対面に比べて、顧客の細かな表情や場の空気を読み取りにくく、深い信頼関係を築くのに時間がかかる場合があります。

ツールの導入・運用コスト

効果的な活動を行うには、CRM/SFAやMA、Web会議システムといったITツールへの投資が不可欠です。

部門間の連携不全リスク

インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担や連携ルールが曖昧だと、「質の悪い商談ばかり渡される」「渡した後のフォローがない」といった対立が生まれ、かえって非効率になる可能性があります。

モチベーション維持の難しさ

内勤で数字を追い続ける業務のため、担当者が孤独感を感じたり、目標達成へのプレッシャーからモチベーションを維持するのが難しい場合があります。

インサイドセールスの具体的な業務内容

インサイドセールス担当者は、日々どのような業務を行っているのでしょうか。主な業務内容を3つ紹介します。

見込み客(リード)の精査と育成(ナーチャリング)

マーケティング部門から受け取ったリード情報をもとに、電話やメールでアプローチを開始します。まずは、顧客が抱える課題やニーズ、予算、導入時期などをヒアリングし、自社のサービスで解決できる見込みがあるかを判断します(リードの精査)。

すぐに商談化しない場合でも、そこで終わりではありません。定期的に有益な情報(導入事例、関連する業界のレポート、お役立ち資料など)を提供し、中長期的に関係を構築しながら、顧客の購買意欲を高めていく「ナーチャリング」が非常に重要な業務となります。

Web会議システムを使ったオンライン商談

ヒアリングやナーチャリングを通じて顧客の関心が高まった段階で、Web会議システムを使い、より詳細なサービス説明やデモンストレーションを行います。フィールドセールスに引き継ぐ前の、初期段階の商談をインサイドセールスが担当することもあります。画面共有機能を使い、その場で資料を見せながら説明できるため、電話だけでは伝わらない情報も効果的に伝えられます。

CRM/SFA/MAなど各種ツールの活用と情報管理

インサイドセールスの活動は、ツール活用と表裏一体です。

CRM/SFA

顧客情報、過去のコンタクト履歴、商談の進捗状況などを記録・管理します。この情報があるからこそ、フィールドセールスへのスムーズな情報連携が可能になります。

MA

リードのWebサイト閲覧履歴やメール開封率などをスコアリングし、アプローチの優先順位付けを自動化します。ナーチャリングメールの一斉配信など、効率化にも貢献します。

これらのツールに正確な情報を入力し、常に最新の状態に保つことも、インサイドセールスの重要な責務です。

インサイドセールスを成功に導く5つの重要ポイント

インサイドセールスを単なる「内勤の電話部隊」で終わらせず、組織のエンジンとして機能させるためには、以下の5つのポイントが不可欠です。

ポイント1:明確なKPI(重要業績評価指標)の設定

何をゴールとして活動するのかを明確に定義することが、成功の第一歩です。単なる「架電数」や「アポイント獲得数」だけをKPIに設定すると、質を無視したアポイントの量産に繋がり、後工程のフィールドセールスの負担を増やすだけになってしまいます。

設定すべきKPIの例

項目内容
有効会話数担当者と meaningful な会話ができた件数
商談創出数(SQL数)フィールドセールスに引き渡す条件を満たした商談の数
商談化率アプローチしたリードのうち、商談に繋がった割合
受注貢献額(パイプライン創出額)創出した商談から生まれた受注見込み金額

これらのKPIを、チームと個人、両方のレベルで設定し、定期的に進捗を確認する仕組みを作りましょう。

ポイント2:フィールドセールスとの強力な連携体制

インサイドセールスは、フィールドセールスと対立する組織ではなく、共通のゴール(売上最大化)を目指すパートナーです。成功のためには、両部門間の強力な連携が欠かせません。

項目内容
定期的な情報交換会週次や月次でミーティングを行い、引き継いだ商談の進捗や、市場の反応、顧客からのフィードバックなどを共有します。
お互いの業務への理解お互いがどのような業務を行い、何に困っているのかを理解することで、より円滑な連携が生まれます。ジョブローテーションなども有効な手段です。
共通の目標設定両部門が共通で追うKPI(例:部門合計の受注額)を設定することで、一体感が醸成されます。

ポイント3:質の高いリードを定義・共有する「SLA」

部門間の連携不全を防ぐ最も効果的な方法の一つが、SLA(Service Level Agreement)の締結です。これは、「マーケティング部門がどのような状態のリードを」「いつまでにインサイドセールスに渡し」「インサイドセールスは、どのような基準を満たした商談をフィールドセールスに渡すのか」といった、部門間のサービス品質に関する約束事を明確に定義したものです。

「質の高いリード」の定義を全員で合意形成することで、「こんな質の悪いリードばかり渡されても困る」といった不満を防ぎ、各部門が自身の役割に集中できます。

ポイント4:継続的に改善するトークスクリプトとコンテンツ

トークスクリプトは、担当者を縛るための台本ではありません。顧客との会話の質を一定以上に保ち、成功パターンを形式知化するための「たたき台」です。

重要なのは、一度作って終わりにしないこと。うまくいった言い回し、顧客からの反応が良かった質問などを常に収集し、チームで共有しながらスクリプトを継続的にアップデートしていく文化を育てましょう。

また、顧客の検討フェーズに合わせて提供できる有益なコンテンツ(ブログ記事、ホワイトペーパー、導入事例集など)を整備しておくことも、ナーチャリングの質を高める上で極めて重要です。

ポイント5:自社に合ったツールの選定と活用

前述の通り、インサイドセールスの成功はツール活用にかかっています。しかし、多機能で高価なツールを導入すれば成功するわけではありません。

  • 自社の規模や課題に合っているか?
  • 既存のシステムと連携できるか?
  • 現場の担当者が直感的に使えるか?

これらの視点を持ち、まずはスモールスタートで試してみるのが良いでしょう。MA、SFA、CRMが一体となったツールもあれば、それぞれに特化したツールもあります。自社の目的を明確にし、それに合ったツールを選定することが成功への近道です。

【必須】インサイドセールスに関するQ&A

最後に、インサイドセールスに関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q. インサイドセールスに向いている人はどんな人ですか?

A. インサイドセールスに向いているのは、まず論理的思考力を持ち、顧客の課題を丁寧にヒアリングしたうえで、解決策を筋道立てて考えられる人です。また、傾聴力が高く、自分が話すよりも相手の話を深く聞く姿勢があることも重要です。加えて、目標達成意欲と粘り強さを持ち、数値目標に対して強いコミットメントを持てる人、たとえ断られても気持ちを切り替えて次のアクションに移れるようなメンタルの強さも求められます。

さらに、日々の活動データを正しく読み解き、改善策を導き出せるデータ分析力、そして担当する業界や顧客のビジネスに対して継続的に学び続けることができる知的好奇心も、インサイドセールスとして活躍するためには欠かせない資質です。

Q. 未経験からでもインサイドセールスに転職できますか?

A. 可能です。インサイドセールスは、未経験者にとって営業キャリアの入り口として非常に魅力的な職種です。

まず、ポータブルスキルの活用が可能である点です。たとえ業界や商材の経験がなくても、コミュニケーション能力や課題解決能力といった汎用的なスキルを活かして活躍することができます。

次に、教育体制の充実も大きな魅力です。多くの企業では業務フローが標準化されており、研修やOJTなどを通じて段階的にスキルを習得できる仕組みが整っています。

さらに、キャリアパスの多様性も見逃せません。インサイドセールスとして経験を積んだ後は、フィールドセールスやマーケティング、カスタマーサクセスなど、さまざまな職種にキャリアを広げていくことが可能です。

Q. おすすめのツール(MA/SFA/CRM)は何ですか?

A. 特定のツールを推奨することは難しいですが、選定の考え方として、市場で評価の高い代表的なツールをいくつか紹介します。

種類代表的なツール名特徴・適しているケース
オールインワン型(CRM/SFA/MA一体型)HubSpot, Salesforce Sales Cloud一つのプラットフォームで多くの機能を使いたい場合に適しています。
SFA/CRM特化型Salesforce Sales Cloud, kintone, Zoho CRM営業活動管理を主軸に置きたい場合に適しています。
MA特化型Marketo Engage, Pardotより高度なマーケティングオートメーションを実現したい場合に適しています。

まずは無料トライアルなどを活用し、自社の業務フローに合うか、操作性は良いかなどを実際に試してみることをお勧めします。

まとめ

本記事では、インサイドセールスの基本的な役割から、具体的な業務内容、成功のための重要なポイントまでを解説しました。

インサイドセールスは、もはや一部の先進的なIT企業だけのものではありません。顧客の購買行動が変化し、データ活用が当たり前となった現代において、あらゆるBtoB企業にとって不可欠な、未来の営業組織のスタンダードとなりつつあります。

営業の生産性に課題を感じているマネージャーの方も、自身のキャリアを見つめ直している営業担当者の方も、この記事をきっかけに、ぜひインサイドセールスという選択肢を具体的に検討してみてください。それは、あなたのビジネスやキャリアを、次のステージへと押し上げる大きな一歩となるはずです。

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