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No.46
更新日 2025年08月17日

営業企画とは?仕事内容や必要なスキルを徹底解説

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「トップセールスとして成果は出しているが、個人の力だけでは限界を感じる…」
「営業チームの成果が、個々の担当者の能力に依存してしまっている…」
「『売れる仕組み』を構築し、組織全体の営業力を底上げしたいが、どこから手をつければいいか分からない…」

このような課題意識を持つ、意欲の高い営業担当者や経営者の方が次に行き着く、最も重要な役割。それが「営業企画」です。単に営業活動を支援するだけでなく、データと戦略に基づいて営業組織全体を成功に導く、まさに「プロフェッショナル職」として、その重要性は年々高まっています。

この記事では、強い営業組織の「頭脳」とも言える「営業企画」という職務について、その本質的な役割から、具体的な仕事内容、求められるスキル、そしてキャリアパスまでを網羅的かつ体系的に解説します。

営業企画とは?

まず、営業企画という仕事の本質的な役割と、関連する言葉との違いを明確に理解しましょう。

営業企画の定義

営業企画とは、営業組織全体のパフォーマンスを最大化するために、戦略立案からプロセスの設計、データ分析、ツール導入、人材育成まで、あらゆる側面から営業活動を計画・支援する専門職、またはその機能・部署を指します。

最前線で戦う営業担当者が、個人の能力を最大限に発揮し、チームとして最高の成果を出せるように、その**「仕組み」と「環境」を整える**のが最大のミッションです。

「営業戦略」との決定的な違い

「営業戦略」と「営業企画」は密接に関連しますが、その役割は異なります。

区分内容
営業戦略何を(What)」「誰に(Who)」売るのかという、事業の方向性や目標を定めること。「今期は、中小企業向けに新製品Aを投入し、シェア20%を獲得する」
営業企画営業戦略で定められた目標を達成するために、「どのように(How)」実行するのか、という具体的な戦術や計画に落とし込むこと。「目標達成のため、営業プロセスを5段階に標準化し、SFAを導入してKPIを週次で管理する」

つまり、営業戦略が「目的地」を示すのに対し、営業企画はそこへ至るための「地図とコンパス」を用意する役割と言えます。

なぜ営業企画が重要視されるのか?

近年、営業の世界でもデータ活用(SFA/CRM)が当たり前になり、営業活動はますます科学的・専門的になっています。このような環境下で、個人の経験と勘だけに頼る営業は通用しません。データ分析やプロセス設計といった専門的なスキルを持ち、営業組織全体の生産性を向上させる「セールスオペレーションズ(Sales Ops)」としての営業企画の役割が、企業の競争力を左右するほど重要になっているのです。

営業企画の具体的な仕事内容

営業企画の仕事は多岐にわたりますが、ここでは代表的な7つのミッションを紹介します。

ミッション1:営業戦略の具体化とアクションプランへの落とし込み

経営層や事業責任者が策定した抽象的な「営業戦略」を、営業担当者が日々実行できるレベルの、具体的で明確な「アクションプラン」にまで分解し、落とし込みます。

ミッション2:営業プロセスの設計・標準化

リード獲得から受注、そしてアフターフォローに至るまでの一連の営業プロセスを設計し、誰がやっても一定の成果を出せるように「標準化」します。これにより、営業活動の属人化を防ぎます。

ミッション3:KPIの設定・予実管理とパフォーマンス分析

売上目標(KGI)を達成するための中間指標(KPI)を設定し、SFAなどのツールを用いて予実管理を行います。そして、実績データを分析し、目標達成に向けたボトルネックの特定や、改善策の立案を行います。

ミッション4:SFA/CRMなどの営業ツールの導入・定着・活用推進

営業活動の効率化とデータ活用を促進するため、SFA/CRMをはじめとする各種営業ツールを選定・導入し、現場の担当者がスムーズに使いこなせるように、トレーニングや運用ルールの策定を通じて定着を支援します。

ミッション5:営業担当者の教育・研修プログラムの企画

営業担当者全体のスキルを底上げするため、新人研修や製品研修、営業スキル研修といった教育プログラムを企画・実行します。

ミッション6:市場・競合調査と、営業への情報提供

市場の最新トレンドや、競合他社の動向などを常に調査・分析し、営業担当者が商談で有利に戦えるための有益な情報を提供します。

ミッション7:マーケティング部門との連携強化

マーケティング部門が獲得したリードの質や量について、営業現場からのフィードバックを基に連携を強化し、リードから商談、受注までの一連の流れ(ファネル)を最適化します。

営業企画に求められる5つのスキル

営業企画として活躍するためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。

スキル1:データを読み解き、示唆を導き出す「分析能力」

SFA/CRMに蓄積された膨大なデータの中から、営業組織が抱える課題や、成功の要因を客観的に見つけ出すためのデータ分析能力は不可欠です。

スキル2:複雑な課題を整理し、仕組みを構築する「論理的思考能力」

属人化している営業プロセスや、複雑に絡み合った課題を構造的に理解し、誰もが実践できる「仕組み」へと落とし込むための論理的思考力が求められます。

スキル3:営業現場や経営層を巻き込む「コミュニケーション能力」

新しいプロセスの導入や、ツールの活用を推進するためには、営業担当者からの協力を得る必要があります。また、分析結果を基に経営層へ提言を行う場面も多く、多様なステークホルダーと円滑に合意形成を行うコミュニケーション能力が重要です。

スキル4:プロジェクトを推進する「プロジェクトマネジメント能力」

ツールの導入や、新しい営業プロセスの展開は、まさに一つのプロジェクトです。目的を設定し、計画を立て、関係者を調整しながら、プロジェクトを完遂させる能力が求められます。

スキル5:常に現場に寄り添う「フォロワーシップ」

営業企画は、現場から離れた「評論家」であってはなりません。常に営業担当者の声に耳を傾け、彼らが直面するリアルな課題を理解し、その成功を支援するという「フォロワーシップ」のマインドが、現場からの信頼を勝ち取る上で最も重要です。

ゼロから始める営業企画の立ち上げ方

自社に営業企画の機能がない場合、どこから手をつければ良いのでしょうか。

STEP1:ミッションの定義と経営層との合意形成

まず、新設する営業企画に「何を期待するのか」というミッションを明確に定義し、経営層と合意形成します。「売上データの分析とレポーティング」「営業プロセスの標準化」など、最初のミッションは具体的で、達成可能なものに絞り込むのが成功の鍵です。

STEP2:現状の営業課題の可視化(ヒアリングとデータ分析)

営業担当者やマネージャーにヒアリングを行い、「何に困っているか」「どこに非効率を感じているか」といった現場の課題を徹底的に洗い出します。同時に、既存の売上データや案件データを分析し、客観的なデータからも課題を可視化します。

STEP3:解決すべき課題の優先順位付けと、短期計画の策定

洗い出した課題の中から、最もインパクトが大きく、かつ比較的短期間で解決できそうなものに優先順位をつけます。そして、その課題を解決するための具体的なアクションプランと、3ヶ月程度の短期的な目標を設定します。

STEP4:小さな成功(Quick Win)を積み重ね、信頼を獲得する

例えば、「Excelで行っていた週報の集計を自動化する」「商談でよく使う資料をテンプレート化し、共有フォルダに整理する」など、現場の負担を軽減するような、目に見える「小さな成功(Quick Win)」を積み重ねていきましょう。これが、営業企画という役割の価値を社内に示し、現場からの信頼と協力を得るための最も確実な方法です。

成果を出す営業企画の年間活動カレンダー

営業企画は、年間を通じてどのような活動を行うのでしょうか。その一例を紹介します。

1Q(4-6月):年度計画の浸透、KPIモニタリング体制の構築

新年度の営業戦略や目標(KGI)を、チーム全体に分かりやすく説明し、浸透させます。各担当者のKPIを設定し、SFA上でその進捗を誰もが確認できるダッシュボードを構築します。

2Q(7-9月):上半期の実績レビュー、営業プロセスの改善

上半期の実績をデータで分析し、計画との差異(予実差)の原因を特定します。特にボトルネックとなっている営業プロセスがあれば、改善のためのワークショップなどを企画・実行します。

3Q(10-12月):次年度の戦略策定、営業ツールの活用研修

市場環境や競合の動向、今年度の実績データを基に、次年度の営業戦略の策定に着手します。また、SFA/CRMの応用的な使い方など、メンバーのスキルアップのための研修を実施します。

4Q(1-3月):年度末の目標達成支援、年間実績の総括

年度末の目標達成に向けて、ラストスパートをかける営業チームをデータ分析の側面から支援します。同時に、年間の実績を総括し、次年度計画の最終調整を行います。

営業企画のキャリアパスと将来性

営業企画からのキャリアパス

営業の最前線と経営層の両方と密接に関わる営業企画の経験は、多様なキャリアに繋がります。

  • 営業部長、事業責任者
  • 経営企画、事業開発
  • マーケティング責任者(CMO)
  • セールスオペレーションズ(Sales Ops)のスペシャリスト

データとテクノロジーを操る、市場価値の高い専門職へ

営業活動のDXが加速する中で、SFA/CRMを使いこなし、データに基づいて営業組織を最適化できる営業企画のスキルは、今後ますます市場価値が高まっていきます。まさに、これからの時代を代表する、専門性の高いプロフェッショナル職と言えるでしょう。

営業企画に関するQ&A

Q. 営業企画は、未経験からでも挑戦できますか?

A. 特に営業経験者にとっては、非常に有力なキャリアチェンジの選択肢です。 現場の営業担当者の気持ちが分かることは、営業企画として現場の信頼を得る上で大きな武器になります。まずは現職で、チームのデータ分析や業務改善といった、営業企画に近い役割を自主的に担ってみることから始めるのがお勧めです。

Q. 営業企画は、どの部署に所属するのが最適ですか?

A. 企業の組織体制によりますが、営業部門の直下に置かれるケースや、経営企画室のような全社横断的な部署に置かれるケースが一般的です。重要なのは、経営層と営業現場の両方と密に連携できるポジションであることです。

Q. 営業現場から「余計な仕事が増えた」と反発されませんか?

A. その可能性は十分にあります。 だからこそ、STEP4で述べた「小さな成功(Quick Win)」が重要になります。新しいルールやツールを導入する際は、それが「管理のための管理」ではなく、「現場の営業担当者の活動を楽にし、成果を出すための支援」であることを、具体的なメリットと共に丁寧に伝え、実感してもらう努力が不可欠です。

まとめ

本記事では、営業企画という仕事の全体像から、具体的な業務内容、そして組織での立ち上げ方までを網羅的に解説しました。

優れた営業企画は、営業担当者を管理・監視する存在ではありません。彼らが持つ能力を最大限に引き出し、日々の活動を円滑にし、スポットライトが当たる舞台を整える。そして、そこで最高のパフォーマンスを発揮した営業担当者を「ヒーロー」にする、最高のパートナーであり、プロデューサーなのです。

この記事が、あなたのキャリアや、あなたの会社の営業組織を、次のステージへと押し上げる一助となれば幸いです。

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