【初心者でも簡単】5ステップで完成!問い合わせを劇的に減らすFAQの作り方
目次
同じような内容の問い合わせ対応に、貴重な時間や人件費を奪われていませんか?その根深い課題、「FAQページ」の作成や見直しで解決できるかもしれません。
本記事では、問い合わせを削減し顧客満足度を高めるFAQの作り方を、初心者にも分かりやすく5つのステップで解説します。BtoBやECサイトですぐに使える豊富な質問例、便利なテンプレート情報も満載。この記事を読むだけで、成果につながるFAQ作成の具体的な進め方がすべて分かります。
FAQを設置することで得られる3つのメリット
そもそも、なぜFAQページがこれほど重要視されているのでしょうか。それは、FAQが企業と顧客の双方に大きなメリットをもたらす、非常にコストパフォーマンスの高い施策だからです。
メリット1:問い合わせ対応の工数を大幅に削減できる
最大のメリットは、問い合わせ対応業務の効率化です。電話やメールでの問い合わせの中には、「営業時間を知りたい」「パスワードを忘れた」といった、定型的な質問が数多く含まれています。
これらの「よくある質問」をFAQページにまとめておくことで、顧客は担当者に連絡するまでもなく、自分で回答を見つけられるようになります。結果として、カスタマーサポートや営業担当者の負担が軽減され、より複雑な問題や、本来注力すべきコア業務に時間を使えるようになります。
メリット2:顧客満足度の向上につながる
顧客は、疑問や問題が発生したとき、「すぐに」「自分のタイミングで」解決したいと考えています。企業の営業時間を待って電話をかけたり、メールの返信を待ったりするのは、顧客にとってストレスです。
よく整備されたFAQページがあれば、顧客は24時間365日、好きな時に自己解決できます。この「すぐに解決できた」という体験は、顧客満足度の向上に直結し、製品やサービスへの信頼感を高める効果も期待できます。
メリット3:24時間365日対応の「営業担当」になる
FAQは、単に質問に答えるだけの「守り」のツールではありません。購入を検討している見込み客の疑問を解消し、購買意欲を高める「攻め」のツールにもなり得ます。
例えば、ECサイトで「この服の素材は何ですか?」「他の色と迷っているのですが…」といった購入前の疑問に先回りして回答できれば、顧客の不安が解消され、購入の最後の一押しにつながります。FAQは、文句も言わずに働き続けてくれる、優秀なWeb上の営業担当なのです。
誰でもできる!FAQ作成の5ステップ
それでは、実際に成果の出るFAQはどのように作れば良いのでしょうか。ここでは、誰でも実践できる5つのステップに分けて、具体的に解説していきます。
ステップ1:顧客の声を集める【質問の収集】
最初に行うべきは、FAQに掲載する「質問」の元となるデータを集めることです。担当者の頭の中だけで質問を考えると、顧客が本当に知りたいこととズレが生じてしまいます。以下の様な場所から、顧客のリアルな声を集めましょう。
問い合わせ履歴
メールや電話の対応履歴、問い合わせ管理システムのログは、質問の宝庫です。特に、複数のお客様から寄せられている質問は、最優先でFAQ化すべき項目です。
営業担当者・カスタマーサポートへのヒアリング
日々お客様と接している担当者は、よく聞かれる質問や、お客様が躓きやすいポイントを熟知しています。
Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイト
自社の製品名やサービス名で検索すると、ユーザーが抱えるリアルな疑問が見つかることがあります。
サジェストキーワード
Googleなどの検索窓に製品名などを入力した際に出てくる候補(サジェスト)は、ユーザーの関心が高いキーワードのヒントになります。
ステップ2:情報を整理・分類する【カテゴリ分け】
集めた質問を、闇雲に並べるだけでは非常に使いにくいFAQになってしまいます。ユーザーが自分の探している情報にたどり着きやすいよう、質問を整理し、カテゴリに分けましょう。
質問のグルーピング
似たような内容の質問をまとめます。例えば、「送料はいくら?」「いつ届く?」「配送業者は?」といった質問は、「配送について」というグループにまとめられます。
カテゴリの設定
グルーピングした質問を元に、大きなカテゴリを設定します。ECサイトであれば「注文について」「お支払いについて」「配送について」「返品・交換について」といった形です。
優先順位付け
全ての質問を一度に掲載する必要はありません。まずは「問い合わせ件数が多いもの」「顧客の購入判断に大きく関わるもの」から優先的に作成しましょう。
ステップ3:誰でも分かる回答を作成する【ライティングのコツ】
質問が決まったら、次はいよいよ回答を作成します。ここで最も重要なのは、「専門家ではない、初めてサイトを訪れた人でも理解できるか?」という視点です。
結論から書く(PREP法)
まず質問に対する直接的な答え(結論)を書き、その後に理由や具体例、手順などを説明します。(Point → Reason → Example → Point)
専門用語を避ける
業界用語や社内用語は使わず、誰にでも分かる平易な言葉で説明しましょう。どうしても使う必要がある場合は、必ず注釈を入れます。
1文は短く、簡潔に
長々とした文章は読みにくさの原因になります。主語と述語を明確にし、シンプルな文章を心がけましょう。
画像や動画を活用する
文字だけでは分かりにくい操作手順などは、スクリーンショットや短い動画を挿入すると、理解度が格段に上がります。
悪い例
Q. 注文のキャンセルはできますか?
A. 当社ECサイトの利用規約第15条3項に基づき、お客様都合によるご注文のキャンセルは、原則として商品発送手続きが完了する前であれば、マイページ内の購入履歴一覧から当該注文を選択し、キャンセルボタンを押下することで手続きが可能です。ただし、予約商品や受注生産品など一部商品においては、この限りではございません。
良い例
Q. 注文のキャンセルはできますか?
A. はい、商品の発送前であればキャンセルが可能です。
【キャンセル手順】
ステップ4:見やすく使いやすいページをデザインする【UI/UX】
どんなに回答が分かりやすくても、ページ自体が見にくかったり、使いにくかったりしては意味がありません。ユーザーがストレスなく目的の情報にたどり着けるデザイン(UI/UX)を意識しましょう。
検索窓を設置する
ユーザーがキーワードで直接質問を探せるように、検索窓は目立つ場所に必ず設置しましょう。
カテゴリを分かりやすく配置する
設定したカテゴリをページの冒頭に一覧で表示し、ユーザーが目的のカテゴリにすぐにジャンプできるようにします。
アコーディオン形式を活用する
最初は質問だけを表示し、クリックすると回答が展開される「アコーディオン形式」は、ページ全体がスッキリし、ユーザーが情報を探しやすい人気のデザインです。
スマートフォン表示に対応する(レスポンシブデザイン)
今や多くのユーザーがスマートフォンでサイトを閲覧します。PCだけでなく、スマートフォンでも見やすいレイアウトになっているか必ず確認しましょう。
ステップ5:定期的に分析・改善する【運用】
FAQページは、一度公開したら終わりではありません。むしろ、公開してからがスタートです。継続的に効果を分析し、改善していくことで、その価値を最大化できます。
アクセス解析
Google Analyticsなどのツールを使い、「どのFAQがよく見られているか」を分析します。よく見られているFAQは、それだけ多くのユーザーが抱えている疑問である証拠です。
検索キーワードの分析
FAQページの検索窓で、どのようなキーワードが入力されているかを分析します。検索されているにも関わらず回答が用意されていないキーワードがあれば、それは新たに追加すべきFAQのヒントです。
フィードバック機能の設置
各FAQの回答の下に「この記事は役に立ちましたか?(はい/いいえ)」といった簡単なアンケートを設置します。「いいえ」が多かった回答は、内容が分かりにくい、情報が不足しているなどの可能性がありますので、優先的に見直しましょう。
情報の更新
新サービスや仕様変更、制度改定などに合わせて、FAQの情報も常に最新の状態に保つことが重要です。
【シーン別】すぐに使えるFAQの質問・回答例
ここでは、BtoB、BtoC(ECサイト)、そして社内向けという3つのシーン別に、具体的なFAQの質問・回答例をご紹介します。自社のFAQを作成する際の参考にしてください。
BtoBサイト向けのFAQ例(仕様、価格、導入プロセスなど)
BtoBの場合、検討期間が長く、機能や価格、サポート体制などがシビアに比較される傾向があります。見込み客の不安を解消し、問い合わせや資料請求につなげるための質問を用意しましょう。
製品・サービスについて
- Q. 詳しい料金プランを教えてください。
- Q. 無料トライアルはありますか?トライアル期間や機能制限について教えてください。
- Q. 導入を検討しています。他社製品との違いは何ですか?
導入・運用について
- Q. 申し込みから利用開始までの流れを教えてください。
- Q. 導入にあたり、専門的な知識は必要ですか?
- Q. 導入後のサポート体制について教えてください。
セキュリティについて
- Q. セキュリティ対策はどのようになっていますか?
BtoC(ECサイト)向けのFAQ例(送料、返品、支払い方法など)
ECサイトでは、顧客が安心して購入できるよう、注文や支払い、配送に関する疑問を解消することが重要です。
注文・お支払いについて
- Q. どのような支払い方法がありますか?
- Q. 注文後に支払い方法を変更できますか?
- Q. 領収書は発行できますか?
配送について
- Q. 送料はいくらですか?
- Q. 注文してからどのくらいで届きますか?
- Q. 海外への発送は可能ですか?
返品・交換・キャンセルについて
- Q. 商品を返品・交換したいです。どうすればよいですか?
- Q. 注文のキャンセルはできますか?
商品について
- Q. サイズが合わなかった場合、交換は可能ですか?
- Q. ラッピングはしてもらえますか?
社内向けのFAQ例(経費精算、ITシステムの使い方など)
FAQは、顧客向けだけでなく、社内の業務効率化にも非常に有効です。総務や経理、情報システム部門への定型的な問い合わせを削減できます。
経費精算・各種申請について
- Q. 経費精算の締め日と提出方法を教えてください。
- Q. 出張費の仮払いはどのように申請すればよいですか?
IT・システム関連
- Q. 社内Wi-Fiへの接続方法を教えてください。
- Q. パソコンの動作が遅いのですが、どうすればよいですか?
- Q. 新しいソフトウェアをインストールしたいのですが、申請は必要ですか?
福利厚生について
- Q. 年次有給休暇の残日数はどこで確認できますか?
- Q. 健康診断の予約方法を教えてください。
FAQ作成を効率化する便利ツール&テンプレート
FAQを一から作るのは大変そう…と感じるかもしれません。しかし、便利なツールやテンプレートを活用すれば、効率的に作成を進められます。
【手軽に始めたい方向け】Excelテンプレート
「まずはコストをかけずに始めたい」「掲載したい質問数がまだ少ない」という場合には、ExcelやGoogleスプレッドシートのテンプレートで十分です。
以下の項目を入れたシンプルな表を作成し、ステップ1で集めた質問と回答を入力していきましょう。
| No. | カテゴリ | 質問 | 回答 | 更新日 | 担当者 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 配送について | 送料はいくらですか? | 全国一律550円です。ただし、1回のご注文金額が5,000円(税込)以上の場合は送料無料となります。 | 2025/08/18 | 佐藤 |
| 2 | 支払いについて | どのような支払い方法がありますか? | クレジットカード、コンビニ決済、代金引換、… | 2025/08/18 | 佐藤 |
このリストを元に、Webサイトのページに転記していけば、基本的なFAQページの完成です。
【本格的な運用を目指す方向け】おすすめFAQシステム3選
「質問数が100件を超える」「もっと高度な分析をしたい」「デザイン性の高いページを作りたい」という場合は、専用のFAQシステムの導入がおすすめです。
Helpfeel(ヘルプフィール)
検索性の高さが最大の特徴。「スペルミス」や「感覚的な言葉」でも意図を汲み取って適切な回答を提示する『意図予測検索』により、ユーザーの自己解決率を劇的に向上させます。
Zendesk(ゼンデスク)
世界的なシェアを誇るカスタマーサービスプラットフォーム。FAQ作成はもちろん、問い合わせ管理やチャットボットなど、顧客対応に関する機能を一元管理できます。
Tayori(タヨリ)
無料プランから利用できる手軽さが魅力。FAQ、お問い合わせフォーム、チャットサポートを簡単に作成・設置でき、中小企業やスタートアップに人気です。
【Q&A】FAQの作り方に関するよくある質問
最後に、FAQ作成に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q. FAQとQ&Aの違いは何ですか?
A. FAQは「Frequently Asked Questions」の略で、「頻繁に尋ねられる質問」とその回答集を指します。一方、Q&Aは「Question and Answer」の略で、単なる「質問と回答」の一対を意味します。
一般的に、FAQは多数のQ&Aの中から、特に問い合わせが多いものを厳選して掲載したものを指すことが多いです。
Q. 質問はいくつくらい用意すれば良いですか?
A. 一概に「何個以上」という基準はありません。重要なのは数よりも質です。まずは、問い合わせ件数の多い上位10~20件の質問から始めるだけでも、十分に効果を実感できるはずです。その後、運用しながら徐々に拡充していきましょう。
Q. 作成時に最も注意すべき点は何ですか?
A. 「顧客目線」を徹底することです。企業側が伝えたいことではなく、「顧客が何に困っていて、どんな言葉で検索し、どんな回答を求めているか」を常に念頭に置いて作成することが、成果の出るFAQへの一番の近道です。
まとめ
本記事では、FAQの重要性から、具体的な5つの作成ステップ、便利なツール、そして継続的な改善方法までを解説しました。
質の高いFAQページは、単なるコスト削減ツールではありません。顧客満足度を高め、見込み客を実際の購入へと導き、さらには社内の生産性をも向上させる、ビジネスを支える重要な資産となります。
この記事を読んで「自分にもできそうだ」と感じていただけたなら、まずは第一歩として、あなたの部署に届いているメールや電話の履歴を見返すところから始めてみませんか? そこには、お客様のリアルな声と、あなたのビジネスを成長させるための貴重なヒントが眠っているはずです。