【回答率アップ】アンケート改善術15選!コピペで使える依頼文テンプレート付
目次
「時間とコストをかけたアンケートなのに、回答率が目標にまったく届かない…」
企業のマーケティングや人事担当者様なら、誰もが一度は抱える悩みではないでしょうか。回答率の低さは、データの信頼性を損なうだけでなく、重要な意思決定を誤らせる危険性もはらんでいます。
しかし、ご安心ください。アンケートの回答率は、いくつかの重要なコツを押さえるだけで劇的に改善できます。
本記事では、明日から使える15の改善策から、そのまま使える依頼文テンプレートまで、回答率向上の全ノウハウを網羅的に解説します。あなたのアンケートが「無視される」状態から「協力が集まる」状態へと変わるお手伝いをいたします。
アンケート回答率の平均と目標設定
具体的な施策に移る前に、まずは自分たちが実施しているアンケートの回答率が、一般的な水準と比べてどうなのかを客観的に把握することが重要です。
アンケート回答率の平均値は?
アンケートの回答率は、対象者や実施方法によって大きく異なります。一般的な目安は以下の通りです。
| 調査の種類 | 対象者 | 実施方法 | 回答率の平均・目安 |
|---|---|---|---|
| マーケティング調査 | 顧客・一般消費者 | Webアンケート | 5% ~ 30% |
| 顧客・一般消費者 | 郵送調査 | 30% ~ 50% | |
| BtoB(取引先企業) | Webアンケート | 15% ~ 40% | |
| 社内アンケート | 従業員 | Webアンケート | 50% ~ 85% |
社外向けのWebアンケートの場合、回答率は数%から高くても30%程度に収まるのが一般的です。回答に協力する義務がないため、インセンティブ(謝礼)の有無やテーマへの関心度が回答率を大きく左右します。
一方、業務の一環として依頼されることが多い社内アンケートでは、比較的高い回答率が期待できます。しかし、それでも80%を超えるのは容易ではなく、従業員の協力なしには高い回答率は実現できません。もし社内アンケートの回答率が50%を下回るようであれば、何らかの改善策が必要です。
Webアンケートなら目標は30%を目指そう
様々な調査方法がある中で、現在主流となっているWebアンケートの場合、まずは目標回答率を30%に設定することをおすすめします。
国の調査においても、内閣府が回答率30%未満の調査は品質が確保されていないとして見直しを検討するとしており、一つの信頼性の基準とされています。
もちろん、これはあくまで一般的な目標です。ロイヤルティの高い顧客層が対象であればより高い目標を設定できますし、逆に未接触のリストに対しては10%でも十分な成果と言える場合もあります。自社の状況に合わせて、現実的な目標を設定しましょう。
回答率の計算方法
回答率は、以下の簡単な式で算出できます。現状の数値を正確に把握しておきましょう。
回答率(%)=全体の依頼件数有効回答数×100
例:5,000人にアンケートを依頼し、1,000人から有効回答が得られた場合
(1,000÷5,000)×100=20%
アンケートの回答率が低くなる5つの主な原因
目標を設定したら、次になぜ回答率が低くなってしまうのか、その原因を探りましょう。主な原因は以下の5つに集約されます。
原因1:アンケートのテーマ・対象者が適切でない
回答者は「自分に関係ない」と感じるアンケートには協力してくれません。例えば、新卒社員に管理職向けの制度に関するアンケートを送っても、関心が持てず回答には繋がりません。アンケートの目的を明確にし、その目的に合致した対象者に依頼することが基本です。
原因2:設問数が多すぎる・回答しにくい
「設問30問(所要時間15分)」と書かれたアンケート依頼を見て、積極的に回答しようと思う人は稀です。回答者の時間は有限であり、負担が大きいと感じた瞬間に離脱してしまいます。また、専門用語が多い、自由記述ばかりで答えにくい、といった設問設計も回答率を著しく低下させる原因となります。
原因3:依頼の仕方が一方的で分かりにくい
「アンケートにご協力ください」という一文だけでは、回答者の心は動きません。なぜこのアンケートに答える必要があるのか(目的)、回答するとどんないいことがあるのか(メリット)、どのくらい時間がかかるのか、といった情報が明記されていない一方的な依頼は、無視されてしまう可能性が高いです。
原因4:回答するメリット(インセンティブ)がない
特に社外向けのアンケートでは、回答者にとって「時間を割いて協力するだけの価値」が感じられないと、回答率は上がりません。抽選で当たるプレゼントやポイント付与といった直接的な謝礼(インセンティブ)がない場合、よほどその企業やサービスに愛着がある人でなければ、協力は得にくいのが現実です。
原因5:回答方法が面倒・分かりにくい
アンケートURLをクリックしたら、個人情報の入力画面が何ページも続いたり、サイトの表示が遅かったり、スマホ表示に対応していなかったりすると、回答者はストレスを感じて途中でやめてしまいます。回答開始から完了まで、スムーズな体験を提供できているかどうかも重要なポイントです。
【明日から使える】アンケートの回答率を上げる15の具体的施策
原因が分かったら、いよいよ具体的な改善策です。「設計」「依頼」「促進・謝礼」の3つのフェーズに分けて、合計15のテクニックを、その理由とともに解説します。
【設計編】回答者の負担を減らす5つの工夫
まずはアンケートそのものを作成する「設計」段階での工夫です。ここで回答者の負担をいかに減らせるかが、最初の関門となります。
設問数は10問以内、回答時間は3~5分に収める
回答の心理的ハードルを最も下げる効果的な方法です。「短い時間で済みそうだ」と感じてもらうことが、回答開始のクリックを押すかどうかの分かれ目になります。どうしても設問数が多くなる場合は、アンケートを分割するなどの工夫も検討しましょう。
回答形式は「選択式」を8割以上にする
自由記述は回答者の思考と入力の負担が非常に大きくなります。できる限り「はい/いいえ」やラジオボタン、チェックボックス、マトリクス形式などを活用し、直感的にサクサク回答できる設問を中心に構成しましょう。
必須項目は本当に必要なものだけに絞る
「すべて必須」のアンケートは回答者に窮屈な印象を与え、離脱の原因になります。特に個人情報に関する項目は、任意回答にするか、なぜその情報が必要なのかを丁寧に説明することで、回答者の不安を和らげることができます。
回答しやすい順番で質問を並べる
人は簡単な質問から答えていくことで、アンケートにリズムよく取り組めます。最初に「はい/いいえ」で答えられるような簡単な質問を配置し、徐々に具体的な内容へ。そして、自由記述や個人情報に関する質問は最後に持ってくるのが鉄則です。
スマートフォンでの見やすさ・操作性を確認する
現在、Webアンケートの回答者の多くはスマートフォンを利用しています。PC画面で作成していても、必ずスマホの実機で表示崩れがないか、ボタンは押しやすいか、文字サイズは適切かなどを確認しましょう。この一手間が回答完了率を大きく変えます。
【依頼編】思わず回答したくなる依頼の5つのコツ
アンケートの設計が完了したら、次は回答をお願いする「依頼」のフェーズです。ここでいかに「自分ごと」として捉えてもらえるかが鍵となります。
件名だけで「誰から」「何の」「いつまでの」依頼か分かるようにする
多くのビジネスパーソンは、毎日大量のメールを受け取っています。件名で内容が判断できないメールは開封すらされません。「【株式会社〇〇】△△に関するアンケートご協力のお願い(〜M/DDまで)」のように、具体的で分かりやすい件名をつけましょう。
「あなた」に語りかけるパーソナライズを行う
「お客様各位」という一斉送信の文面よりも、「〇〇様」と名前が記載されているだけで、「自分に向けられた依頼だ」と認識されやすくなります。可能であれば、「〇〇をご購入いただいた皆様へ」のように、対象者の属性に合わせた呼びかけを行いましょう。
アンケートの目的と回答メリットを明確に伝える
人は「何のためにやるのか」が分からないことには協力しにくいものです。「今後のサービス改善のため」「より働きやすい環境づくりのため」といった目的を正直に伝え、回答がどのように活かされるのかを示すことで、協力意欲を引き出します。
回答の所要時間と締切日時を必ず明記する
先が見えない作業は誰でも不安になります。「所要時間:約3分」「回答締切:〇月〇日(〇)23:59まで」と具体的に示すことで、回答者は見通しを立てやすくなり、隙間時間での回答を促すことができます。
差出人を明確にし、信頼性を高める
見知らぬ相手からの依頼には警戒心が先に立ちます。「株式会社〇〇 マーケティング部」のように部署名を明記し、可能であれば担当者名を記載することで、アンケートの信頼性と安心感を高めることができます。
【促進・謝礼編】回答を後押しする5つのテクニック
依頼を送った後も、回答率を最大化するための施策は残っています。最後の一押しで、目標達成を目指しましょう。
適切なタイミングでリマインダーを送る
依頼メールを見逃していたり、「後で回答しよう」と思って忘れてしまったりする人は意外と多いです。締切の3日前〜前日などに、未回答者に対して「再度のお願い」としてリマインダーを送ることで、回答率を5%〜10%上乗せできる可能性があります。
魅力的なインセンティブ(謝礼)を用意する
やはり謝礼は、特に社外向けアンケートにおいて最も強力な動機付けの一つです。「もれなく全員に」「抽選で〇〇名様に」といったインセンティブを用意することで、「協力してみよう」という気持ちを喚起します。詳細はQ&Aで後述します。
アンケート結果のフィードバックを約束する
「回答した結果がどうなったのか知りたい」という知的好奇心も、回答の動機になります。「ご回答いただいた皆様には、後日集計結果のサマリーをお送りします」と一言添えるだけで、特にBtoBや社内アンケートで効果を発揮します。
複数のチャネルで告知する(社内アンケート向け)
社内アンケートの場合、メールだけでなく、社内ポータルやビジネスチャットツールなど、従業員が日常的に目にする複数の場所で告知することで、依頼の見逃しを防ぎ、アンケートの重要性を浸透させることができます。
回答状況の進捗を共有する
「現在回答率70%!目標まであと少しです!」のように、中間時点で進捗を共有することで、まだ回答していない人に対して「自分も協力しなければ」という集団心理(バンドワゴン効果)が働き、回答を促す効果が期待できます。
【コピペOK】そのまま使える!回答率を高めるアンケート依頼文テンプレート
ここでは、すぐに使える3つのシーン別の依頼文テンプレートをご紹介します。自社の状況に合わせて適宜修正してご活用ください。
社外向け(顧客・一般消費者)メール文例
件名:【〇〇(自社名)】サービス改善に向けたアンケートご協力のお願い(謝礼あり)
〇〇様
BtoB向けメール文例
件名:【株式会社〇〇】貴社の業務効率化に関するアンケートご協力のお願い
株式会社△△
〇〇部 〇〇様
社内向け(従業員)メール文例
件名:【ご協力のお願い】従業員満足度(ES)調査アンケート(〜M/DD締切)
社員の皆様
【Q&A】アンケート回答率に関するよくある質問
ここでは、アンケート担当者が抱きがちな疑問についてお答えします。
Q. 謝礼(インセンティブ)は現金とポイントどちらが良い?相場は?
A. 謝礼の種類は、対象者やアンケートの負担度によって使い分けるのが効果的です。
| 謝礼の種類 | 特徴 | 特に有効なケース |
|---|---|---|
| ポイントやギフト券(デジタルギフト) | 少額から設定でき、オンラインで手軽に配布可能。汎用性が高く、多くの人に喜ばれる。 | Webアンケート全般 |
| 現金 | 回答者の負担が大きい調査に見合った、直接的な謝礼として機能する。 | 会場調査、インタビューなど拘束時間が長い調査 |
| 自社製品やクーポン | コストを抑えつつ、顧客満足度やブランドへの愛着を高める効果も期待できる。 | 自社サービスのファンや既存顧客向けの調査 |
謝礼の相場は、アンケートの所要時間や内容によって変動しますが、一般的なWebアンケートであれば50円〜500円相当が目安です。負担の大きい専門的なアンケートやインタビューの場合は、数千円から1万円以上になることもあります。
Q. 最適なアンケートの回答期間はどのくらい?
A. 一般的には1週間〜2週間が目安です。
短すぎると回答の機会を逃す人が増え、長すぎると「後でやろう」と思われて忘れ去られてしまいます。BtoBアンケートであれば、対象者が多忙な週末や週明けを避け、週の半ばに依頼・リマインドするなどの配慮も有効です。社内アンケートであれば、業務の繁閑を考慮して設定しましょう。
Q. 匿名アンケートと記名アンケート、どちらが回答率は高い?
A. 一般的に、匿名アンケートの方が回答率は高くなる傾向にあります。
特に、人事評価や職場環境、サービスへの不満など、本音を引き出したいテーマの場合は、匿名にすることで回答の心理的ハードルが下がり、率直な意見が集まりやすくなります。
一方、記名アンケートは、回答のインセンティブを個別配布する場合や、回答内容について後で深掘りしたい場合、誰がどのような意見を持っているかを把握したい場合に有効です。
アンケートの目的に合わせて、「本音の収集」を優先するなら匿名、「個別の意見の把握」を優先するなら記名、と使い分けるのが良いでしょう。
まとめ
本記事では、アンケートの回答率を向上させるための具体的な方法を、原因の分析から実践的なテクニックまで網羅的に解説しました。
最も重要な心構えは、回答者の視点に立ち、その負担を限りなく減らすことです。設問を工夫する「設計」、心を動かす「依頼」、そして回答を後押しする「促進」。この3つのフェーズで丁寧な配慮を重ねることで、回答率は着実に向上します。
抽選で当たる謝礼やアンケート結果の共有も、回答者の協力意欲を高める有効な手段です。ぜひ、この記事で紹介したポイントを参考に、信頼性の高い価値あるデータ収集を実現してください。