SalesNowDB Logo
No.64
更新日 2025年08月24日

顧客コミュニケーションのコツを徹底解説!

メイン画像

「お客様との会話が、なぜかいつも弾まない…」
「クレーム対応になると、頭が真っ白になってしまう…」
「良かれと思って説明しているのに、『事務的だ』と言われてしまった…」

営業、カスタマーサポート、販売員…。顧客と接する全てのビジネスパーソンにとって、「顧客コミュニケーション」は、成果を左右する最も重要なスキルです。しかし、その一方で、多くの担当者が顧客との対話に苦手意識を持ち、知らず知らずのうちに信頼関係を損なう「事故」を起こしてしまっています。

本記事では、あらゆるビジネスの土台となる「顧客コミュニケーション」について、その本質的な重要性から、信頼関係を築くための基本原則、そして日々の業務で即使える実践的なテクニックまでを、網羅的かつ体系的に解説します。

顧客コミュニケーションとは?

まず、顧客コミュニケーションの本質と、その重要性を理解することから始めましょう。

顧客コミュニケーションの定義

顧客コミュニケーションとは、電話、メール、対面、チャットなど、あらゆるチャネルを通じて行われる、顧客との全ての対話(コミュニケーション)を指します。そして、その究極の目的は、単なる情報伝達ではなく、対話を通じて顧客との間に長期的な「信頼関係」を築くことにあります。

商品知識や専門スキルがいかに優れていても、この信頼関係なくして、顧客が心を開き、あなたから商品を買ったり、あなたのファンになったりすることは決してありません。

なぜ顧客コミュニケーションが重要なのか?

情報が溢れ、商品やサービスの機能だけでは差別化が難しい現代において、顧客が最終的に購入を決める要因は、「誰から買うか」という「人」の要素がますます大きくなっています。心地よいコミュニケーションを通じて、「この人から買いたい」「この会社を応援したい」と思ってもらうこと。それこそが、企業の競争力を左右する生命線なのです。

信頼関係を築く5つの基本原則

優れたコミュニケーターは、例外なく以下の5つの基本原則を無意識に実践しています。

原則1:【傾聴】まず、相手を理解することに全力を注ぐ

コミュニケーションの基本は、「話すこと」よりも「聞くこと」です。相手の話を遮ったり、自分の意見を押し付けたりせず、まずは相手が「何を言おうとしているのか(事実)」そして「何を感じているのか(感情)」を、全身全霊で理解しようとする姿勢(傾聴)が、信頼の扉を開く最初の鍵です。

原則2:【共感】相手の感情に寄り添う

傾聴を通じて相手の感情を理解したら、次にその感情に寄り添う「共感」を示します。「〇〇だったのですね。それは大変でしたね」と、相手の気持ちを言葉にして受け止めることで、相手は「この人は、私のことを分かってくれる」と心を開き始めます。

原則3:【承認】相手の意見や存在を肯定する

たとえ相手の意見に同意できなくても、まずは「そうお考えなのですね」「〇〇というお気持ち、よく分かります」と、相手の意見や感情、そして存在そのものを、一度まるごと肯定的に受け止める(承認)ことが重要です。人は、自分を認めてくれる相手にしか、心を開きません。

原則4:【論理】分かりやすく、簡潔に伝える

信頼関係の土台を築いたら、次はこちらが伝える番です。専門用語を避け、結論から先に話す(PREP法など)など、相手が理解しやすいように、論理的で、分かりやすく、簡潔に伝えることを心がけましょう。

原則5:【誠実】嘘をつかず、約束を守る

どんなに優れたテクニックも、この「誠実さ」がなければ意味がありません。分からないことを知ったかぶりしない、できない約束はしない、そして一度した約束は必ず守る。この当たり前の積み重ねこそが、揺るぎない信頼を築き上げます。

明日から使える実践コミュニケーション術

基本原則を理解した上で、具体的なビジネスシーンでの実践方法を会話例と共に見ていきましょう。

シーン1:初対面の顧客との距離を縮める(ラポール形成)

ラポールとは、相手との間に築かれる「心の架け橋」のことです。

項目内容
NG例(名刺交換後すぐ)「それでは早速ですが、本日のご提案内容は…」
OK例「本日はお時間をいただきありがとうございます。それにしても、素敵なオフィスですね。こちらの窓から見える景色は、素晴らしいですね!」
ポイント本題に入る前に、天気の話や相手の持ち物、オフィスの様子など、当たり障りのないポジティブな雑談(アイスブレイク)を挟むことで、お互いの緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作ります。

シーン2:顧客の真のニーズを引き出す(ヒアリング)

顧客が口にする要望(顕在ニーズ)の奥にある、本質的な課題(潜在ニーズ)を引き出すことが重要です。

項目内容
NG例「何かお困りごとはありますか?」
OK例「〇〇様が、この業務において『こうなったら理想的だな』と感じる状態は、具体的にどのような状態でしょうか?」
ポイント「はい/いいえ」で終わらないオープンクエスチョン(開かれた質問)を使い、相手に自由に話してもらうことを促します。「なぜ?」「具体的には?」と5回繰り返す「5回のなぜ」も、深掘りに有効です。

シーン3:複雑な内容を分かりやすく説明する(ティーチング)

専門的な内容を、相手の知識レベルに合わせて説明するスキルです。

項目内容
NG例「このシステムは、API連携によってSaaS間のデータをシームレスに同期し…」
OK例「例えるなら、このシステムは、バラバラのアプリの間に『自動翻訳機』を置くようなものです。Aというアプリに入力した顧客情報が、自動で翻訳されて、Bというアプリにも反映される、といったイメージですね」
ポイント専門用語を避け、身近なものに例えたり、比喩を使ったりすることで、相手は直感的に内容を理解できます。

シーン4:顧客からのクレームを、信頼に変える(クレーム対応)

クレームは、信頼を勝ち取る最大のチャンスです。

項目内容
NG例「しかし、それはお客様の使い方の問題でして…」(否定・言い訳)
OK例「この度は、ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした(謝罪)。よろしければ、どのような状況だったのか、詳しくお聞かせいただけますでしょうか?(傾聴)」
ポイントまずは真摯に謝罪し、相手の感情(怒りや不安)に共感します。そして、言い分を最後まで遮らずに聞くことに徹します。相手が話し終えた後で、初めて事実確認と解決策の提示に移ります。

シーン5:難しい要求を、角を立てずに断る(交渉・謝絶)

できないことを正直に伝える、誠実なコミュニケーションです。

項目内容
NG例「できません」「無理です」
OK例「ご期待に添えず大変心苦しいのですが、そのご要望にお応えすることは、現時点では難しい状況です(謝罪+正直に伝える)。ただ、〇〇という形であれば、ご期待に近いことが実現できるかもしれません(代替案の提示)」
ポイントただ断るだけでなく、謝罪の言葉、できない理由、そして代替案をセットで伝えることで、相手の不満を和らげ、前向きな関係を維持できます。

顧客コミュニケーションのチャネル別ポイント

対面・オンライン商談でのポイント

表情や声のトーン、身振り手振りといった非言語情報が伝わりやすいのが特徴です。特にオンラインでは、普段より少し大きめのリアクション(うなずきなど)を心がけると、感情が伝わりやすくなります。

電話応対でのポイント

表情が見えない分、「声の表情」が全てです。普段より少し明るめのトーンで、ゆっくり、はっきりと話すことを意識しましょう。相手の話のペースに合わせる「ペーシング」も有効です。

メール・チャットでのポイント

感情が伝わりにくく、冷たい印象を与えがちです。「〇〇様、いつもお世話になっております。」といった挨拶や、「ご確認のほど、よろしくお願いいたします。」といったクッション言葉を意識的に使うことで、文章に温かみが生まれます。

チーム全体のコミュニケーションレベルを上げる方法

コミュニケーションマニュアルの作成と共有

本記事で紹介したような基本原則や、シーン別の応対フレーズなどをマニュアルとして整備し、チームで共有することで、対応品質のばらつきをなくし、組織全体のレベルを底上げできます。

定期的なロールプレイングの実施

クレーム対応などの難しい状況を想定したロールプレイング(模擬練習)を定期的に行うことで、いざという時に冷静に対応できる実践的なスキルが身につきます。

CRM/顧客管理ツールを活用した情報共有

CRM(顧客関係管理)ツールに、顧客との全てのやり取りの履歴を記録・共有することで、担当者以外でも顧客の状況を把握できます。これにより、誰が対応しても一貫性のある、質の高いコミュニケーションが可能になります。

顧客コミュニケーションに関するQ&A

Q. どうしても顧客との会話が続きません。どうすればいいですか?

A. 自分から話そうとせず、相手に質問することに集中してみてください。特に、相手の過去の経験や、未来の希望に関する質問(例:「この仕事を始められたきっかけは何だったのですか?」「今後、この事業をどのように発展させていきたいですか?」)は、相手が話しやすく、会話が弾みやすいテーマです。

Q. 相手が怒っていて、全く話を聞いてくれません。

A. まずは、相手の怒りという感情を、クールダウンさせることに全力を注ぎます。 こちらから何かを話す前に、「お怒りはごもっともです」「大変ご不快な思いをさせてしまいました」と、徹底的に謝罪と共感の言葉を伝え、相手が話せる状態になるまで待ちます。 相手の感情が落ち着いて初めて、対話のスタートラインに立てます。

Q. 自分のコミュニケーションスキルを客観的に知る方法はありますか?

A. 上司や同僚に、自分の顧客対応に同席してもらい、フィードバックをもらうのが最も効果的です。また、顧客との会話を(許可を得て)録音し、後から自分で聞き返してみると、「自分はこんなに早口だったのか」「相手の話を遮ってしまっているな」といった、客観的な気づきを得ることができます。

まとめ

本記事では、顧客との信頼関係を築くための、コミュニケーションの基本原則から、具体的な実践テクニックまでを網羅的に解説しました。

優れた顧客コミュニケーションは、単に顧客を満足させるだけでなく、顧客を自社のファンに変え、口コミやリピート購入を生み出します。それは、多額の広告費をかけるよりもはるかに強力な、最高のマーケティング活動と言えるでしょう。

小手先のテクニックに走る前に、まずは目の前の一人のお客様を深く理解しようと努めること。その誠実な姿勢こそが、あなたのコミュニケーションを、そしてあなたのビジネスを、次のステージへと導く、最も確実な一歩となるはずです。

顧客理解を深める企業データベース「SalesNow」

信頼関係を築く第一歩は、相手を正しく理解することから始まります。

「SalesNow」は全国540万社を網羅した業界最大級の企業データベースで、部署・拠点・人物単位の連絡先情報まで掲載。顧客とのコミュニケーションをより深く、より実りあるものにするための強力な情報基盤です。

CTA