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No.65
更新日 2025年08月24日

カスタマーサポートとは?仕事内容から必要なスキルまで解説

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「お客様から直接『ありがとう』と言われる仕事がしたい」
「でも、カスタマーサポートって、クレーム対応ばかりで精神的にきつそう…」
「チームの対応品質にばらつきがあって、顧客満足度が上がらない…」

企業の「顔」として、顧客と最も近い場所で向き合う、カスタマーサポート。それは、企業の信頼を創り出し、ファンを育てる、極めて重要でやりがいの大きな仕事です。しかしその一方で、「きつい」「大変」といったネガティブなイメージや、具体的な仕事内容が知られていないことも事実です。

本記事では、企業の「顔」として顧客と最前線で向き合う「カスタマーサポート」という職務について、その本質的な役割から、具体的な仕事内容、求められるスキル、そしてキャリアパスまでを網羅的かつ体系的に解説します。

カスタマーサポートとは?

まず、カスタマーサポートという仕事の基本的な定義と、関連する職種との違いを明確にしましょう。

カスタマーサポートの定義

カスタマーサポートとは、自社の製品・サービスを利用している顧客からの問い合わせや相談、時にはクレームに対し、電話、メール、チャットなどのチャネルを通じて対応し、その問題を解決に導く専門職、またはその部署を指します。

顧客が抱える「困った」というネガティブな状態を、「解決した」「助かった」というポジティブな状態へと転換させることが、最大のミッションです。この一連の対応を通じて、顧客満足度を高め、企業やブランドへの信頼を築き上げていきます。

【徹底比較】「カスタマーサクセス」「コールセンター」との決定的な違い

職種カスタマーサポートカスタマーサクセスコールセンター
スタンス受動的(リアクティブ)能動的(プロアクティブ)受動的・能動的の両方
主な目的問題解決・満足度向上顧客の成功支援・LTV最大化電話による顧客対応全般
役割守り(問題解決)攻め(売上貢献)業務による

カスタマーサクセスとの違い

カスタマーサポートが問題発生後に対応する「守り」の役割であるのに対し、カスタマーサクセスは問題が発生する前に「攻め」の姿勢で顧客の成功を支援し、LTV(顧客生涯価値)の向上を目指します。

コールセンターとの違い

コールセンターが「電話」というチャネルでの顧客対応全般(受信・発信)を指すのに対し、カスタマーサポートはメールやチャットなども含み、より「問題解決」という目的に特化した職務を指すことが多いです。

カスタマーサポートの具体的な仕事内容

カスタマーサポートの業務は、単に電話を取るだけではありません。多岐にわたるミッションを担っています。

問い合わせ対応(電話、メール、チャットなど)

顧客からの製品の操作方法、仕様、契約内容、トラブルなどに関する様々な問い合わせに対し、適切な情報を提供し、疑問を解消します。

トラブルシューティングと問題解決

「製品が動かない」「エラーが出る」といった技術的なトラブルに対し、状況を正確にヒアリングし、原因を特定して解決策を提示します。時には、技術部門など他部署との連携も必要となります。

顧客からのフィードバック(VoC)の収集と社内連携

日々の対応の中で得られる、顧客からの貴重な意見や要望、不満の声(VoC:Voice of Customer)を収集・記録し、製品開発部門や営業部門にフィードバックします。これは、サービス改善に繋がる極めて重要な業務です。

FAQやマニュアルなどのサポートコンテンツ作成

よくある質問とその回答をまとめた「FAQ(Frequently Asked Questions)」ページや、顧客向けのオンラインマニュアルを作成・更新します。顧客が自己解決できる環境を整えることで、問い合わせ件数を減らし、業務全体の効率化を図ります。

カスタマーサポートのメリットとデメリット

やりがい・メリット

顧客から直接「ありがとう」と感謝される喜び

困難な問題を解決した際に、顧客から直接感謝の言葉をもらえることは、何物にも代えがたい大きなやりがいです。

問題解決能力の向上

日々、多種多様な課題解決に取り組む中で、論理的思考力や分析力といった、ポータブルな問題解決能力が飛躍的に向上します。

自社製品・サービスの専門家になれる

誰よりも製品・サービスに詳しくなり、会社の「顔」として顧客に頼られる存在になれます。

安定したキャリア

多くの企業で必須の職種であり、オフィスワークが中心のため、比較的安定して長く働きやすい環境です。

きつい点・デメリット

クレーム対応による精神的負荷

時には、理不尽な要求や厳しい言葉を投げかけられることもあり、精神的な負担を感じることがあります。

常に冷静さと忍耐力が求められる

どのような状況でも、感情的にならず、冷静かつ丁寧に対応し続ける忍耐力が求められます。

成果が数値で見えにくい

営業職のように、成果が売上という明確な数値で表れにくいため、評価に繋がりにくいと感じることがあります。

カスタマーサポートに求められる5つの必須スキル

スキル1:相手の話を正確に理解する「傾聴力」

顧客が本当に伝えたいことは何か、その言葉の背景にある感情は何かを、深く正確に聴き取るスキル。これが全ての基本です。

スキル2:相手の感情に寄り添う「共感力」

顧客の不安や怒りといった感情を「自分ごと」として受け止め、「お困りですよね」「ご不便をおかけしました」と寄り添う姿勢が、相手の心を和らげ、信頼関係の第一歩となります。

スキル3:問題を根本から解決に導く「課題解決能力」

目の前の事象だけでなく、その根本原因を特定し、再発防止策まで含めて考え、解決に導く論理的な思考力です。

スキル4:冷静さを保ち、ストレスを管理する「精神的な強さ」

厳しい言葉を受けても、それを個人的な攻撃と捉えず、あくまで「顧客の困りごと」として客観的に対処できる冷静さと、自身の感情をコントロールするセルフマネジメント能力が求められます。

スキル5:自社製品・サービスに関する「深い知識」

顧客のあらゆる質問に、正確かつ迅速に答えるための、自社製品・サービスに関する誰にも負けない深い知識は、プロとしての大前提です。

【実践編】サポート品質を劇的に向上させるコミュニケーション術

基本の型:「結論ファースト」と「PREP法」

顧客は、まず「答え」を知りたがっています。最初に結論を伝え、その後に理由や具体例を説明する「結論ファースト」や、「PREP法(Point:結論 → Reason:理由 → Example:具体例 → Point:結論の繰り返し)」を意識することで、コミュニケーションは格段に分かりやすくなります。

難しいクレームを「信頼」に変える、プロの対応5ステップ

1. 謝罪と傾聴

まずは真摯に謝罪し、相手の言い分を遮らずに全て聴き切る。

2. 共感と事実確認

相手の感情に寄り添いながら、「〇〇という状況でお間違いないでしょうか?」と事実関係を整理・確認する。

3. 原因の提示

なぜその問題が起きたのか、原因を誠実に説明する。

4. 解決策・代替案の提示

具体的な解決策や、可能な限りの代替案を提示する。

5. 感謝と再発防止の約束

貴重な意見をもらえたことへの感謝を伝え、再発防止に努めることを約束して締めくくる。

感謝を伝え、ポジティブな印象で終えるためのクロージングトーク

問題が解決したら、それで終わりではありません。「その他に、何かお困りの点はございませんか?」「今後とも弊社サービスをよろしくお願いいたします」といった一言を添え、ポジティブな印象で対話を終えることが、次回の良好な関係に繋がります。

【マネージャー向け】強いカスタマーサポートチームの作り方

チームで追うべき重要指標(KPI)の設定

チームの目標を明確にするために、KPIを設定しましょう。

平均応答時間、一次解決率、顧客満足度スコア(CSAT)、NPS®など。

属人化を防ぐ、ナレッジ共有の仕組み作り

優れた応対事例や、難しい問い合わせへの回答などを、FAQシステムや社内Wikiといったツールに「ナレッジ」として蓄積・共有する仕組みを作りましょう。これにより、チーム全体の対応品質が標準化され、向上します。

メンバーのモチベーションを高め、燃え尽きを防ぐためのケア

日々の業務で感謝の言葉を伝え合う、顧客からのお褒めの言葉をチーム全体で共有する、定期的な1on1ミーティングで悩みを聞く、といったケアが、メンバーのモチベーション維持と、精神的な燃え尽き(バーンアウト)の防止に繋がります。

カスタマーサポートのキャリアパスと将来性

キャリアパスの例

カスタマーサポートの経験は、多様なキャリアに繋がります。

キャリアパス内容
SV(スーパーバイザー)、マネージャーチームをまとめる管理職。
カスタマーサクセスより能動的な顧客支援を行う専門職。
品質管理(QA)応対品質の分析や改善、マニュアル作成などを担う専門職。
研修担当新人教育などを担うトレーナー。
営業・マーケティング顧客理解の深さを活かし、他部門へ。

AI時代に、人にしかできないサポートの価値

単純な質問への回答は、AIチャットボットなどに代替されていくでしょう。しかし、顧客の複雑な感情に寄り添い、予期せぬトラブルに臨機応変に対応し、根本的な課題解決に導くといった、高度なコミュニケーションとホスピタリティは、AIには決して真似できない、人間にしかできない価値であり、その重要性は今後ますます高まっていきます。

カスタマーサポートに関するQ&A

Q. 未経験からでも、カスタマーサポートになれますか?

A. 未経験者歓迎の求人が非常に多い職種です。 業界や製品知識は入社後に学べるため、それ以上に「人と接することが好き」「人の役に立ちたい」という気持ちや、基本的なコミュニケーション能力が重視されます。

Q. どのような業界で需要が高いですか?

A. IT・ソフトウェア、SaaS、EC・通販、金融、メーカーなど、顧客との継続的な関係が重要となる、あらゆる業界で需要があります。特に、サブスクリプションモデルのビジネスでは、その重要性が非常に高いです。

Q. ストレスを溜めないための、良い方法はありますか?

A. 仕事とプライベートのオン・オフを意識的に切り替えることが重要です。終業後は仕事のことは考えず、趣味に没頭したり、友人と話したりする時間を作りましょう。また、クレーム対応などで理不尽な思いをした際は、「これは会社の課題であり、私個人の問題ではない」と課題を分離して考えることも、精神的な安定を保つ上で有効です。

まとめ

本記事では、カスタマーサポートという仕事のリアルな姿と、その専門性、そして未来への可能性について解説しました。

カスタマーサポートは、単にクレームを受ける「守り」の部署ではありません。顧客の最も切実な声に耳を傾け、問題を解決し、安心と満足を提供する。その一つひとつの誠実な対応を通じて、顧客を企業の熱狂的な「ファン」に変えることができる、攻めの「信頼創造部門」なのです。

この記事が、あなたのキャリアやチームマネジメントにおいて、カスタマーサポートという仕事の価値を再発見し、その誇りを胸に前進するための一助となれば幸いです。

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