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更新日 2025年08月11日

BtoBとBtoCの違いとは?マーケティング・営業からキャリアまで徹底比較

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「会議で当たり前のように使われるBtoB、BtoCという言葉。実は、その違いを正確に説明できない…」
「就職活動中だけど、BtoB企業とBtoC企業、どっちが自分に合っているんだろう?」

ビジネスの世界に足を踏み入れたばかりの若手社員の方や、キャリアの岐路に立つ就活生の方にとって、BtoBBtoCの違いは、必ず理解しておくべき必須知識です。

この2つのビジネスモデルは、単に「取引相手が法人か、個人か」というだけでなく、マーケティング戦略、営業スタイル、求められるスキル、そして働きがいやキャリアパスに至るまで、あらゆる面で大きく異なります。

この記事では、BtoBとBtoCの基本的な定義とビジネスモデル働く上でのメリット・デメリット、向いている人の特徴など徹底的に解説します。

BtoBとBtoCの定義とビジネスモデル

全ての基本となる、それぞれの言葉の定義から確認しましょう。

BtoB(Business to Business)とは?

BtoBとは「Business to Business」の略で、企業(Business)が、他の企業(Business)に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルのことです。法人向け取引、企業間取引とも呼ばれます。

例えば、自動車メーカーに部品を供給する部品メーカー、企業の経理業務を効率化する会計ソフトを販売するIT企業、オフィスのコピー機を法人にリースする事務機器メーカーなどがBtoBにあたります。顧客は、自社の事業活動(生産、販売、管理など)を円滑に進めるために、商品やサービスを購入します。

BtoC(Business to Consumer)とは?

BtoCとは「Business to Consumer」の略で、企業(Business)が、一般消費者(Consumer)個人に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルのことです。一般消費者向け取引と呼ばれます。

スーパーやコンビニ、百貨店、アパレルショップ、レストラン、家電メーカーなど、私たちが普段の生活で利用するお店やサービスのほとんどがBtoCです。顧客は、自身の個人的な欲求(食べたい、おしゃれしたい、楽しみたいなど)を満たすために、商品やサービスを購入します。

【早見表】BtoBとBtoCの全体像をサクッと理解

詳細な比較に入る前に、まずは両者の全体像を比較表で掴んでおきましょう。

比較項目BtoB(企業向け)BtoC(消費者向け)
顧客企業・組織一般消費者・個人
購買の動機合理的(課題解決、利益向上)情緒的・感覚的(欲求、好み)
意思決定者複数人(担当者、上長、役員など)個人または家族
取引額高額になる傾向少額になる傾向
顧客との関係中長期的・継続的短期的・都度
マーケティング課題解決の提示、関係構築ブランドイメージ向上、認知拡大
営業スタイル提案型(ソリューション営業)接客型(カウンターセールス)

【徹底比較】ビジネスを多角的に理解する8つの違い

それでは、早見表の内容をさらに深掘りし、8つの具体的な違いを詳しく見ていきましょう。

違い①【顧客】企業 vs 一般消費者

これは最も基本的な違いです。BtoBの顧客は組織であり、BtoCの顧客は個人です。この違いが、以下の全ての差異を生み出す源泉となります。

違い②【意思決定プロセス】合理的・論理的 vs 感覚的・情緒的

BtoB

企業が商品を購入する目的は、「売上向上」「コスト削減」「生産性向上」など、事業課題の解決です。そのため、購買の意思決定は「価格は妥当か」「費用対効果はどうか」「導入後のサポートは万全か」といった合理的・論理的な視点で慎重に行われます。

BtoC

個人が商品を購入する動機は、「美味しそう」「デザインが可愛い」「みんなが持っているから欲しい」といった感覚的・情緒的な欲求が大きく影響します。もちろん価格や機能も考慮しますが、最終的には個人の好みや気分が決め手になることも少なくありません。

違い③【購買に関わる人数】複数人 vs 個人(または家族)

BtoB

数百万円、数千万円といった高額な取引になることも多いため、購入の意思決定には複数の関係者が関わります。現場の担当者が製品を選定し、課長や部長が承認、最終的に役員が決裁を下す、といった多段階のプロセスを経るのが一般的です。

BtoC

基本的に購入者本人が意思決定を行います。高価な住宅や自動車などを除けば、家族に相談する程度で、多くの場合はその場で個人の判断で購入が決まります。

違い④【価格と取引額】高額・継続的 vs 少額・単発

BtoB

専門的な機械設備やシステム、大量の原材料など、一度の取引額が高額になる傾向があります。また、導入後も保守契約や追加発注など、継続的な取引に発展しやすいのが特徴です。

BtoC

日用品や食品、衣類など、比較的少額な商品が多く、取引は単発で終わることが多いです。リピート購入もありますが、BtoBほどの継続性は求められません。

違い⑤【顧客との関係性】中長期的・パートナー vs 短期的・不特定多数

BtoB

顧客の事業課題を解決するパートナーとして、購入後も手厚いサポートやコンサルティングを提供し、中長期的な信頼関係を築くことが非常に重要です。顧客の数は限られますが、一社一社と深く付き合います。

BtoC

顧客は不特定多数であり、一人一人と深い関係を築くのは困難です。そのため、ブランドイメージや口コミを通じて、多くの顧客と短期的かつ広範な関係を構築することを目指します。

違い⑥【マーケティング手法】リード育成・セミナー vs マス広告・SNS

BtoB

購買検討期間が長いため、Webサイトの専門的な記事やホワイトペーパー、セミナーなどを通じて見込み客(リード)を育成し、徐々に購買意欲を高めてもらうコンテンツマーケティングが主流です。

BtoC

より多くの人にブランドや商品を知ってもらうため、テレビCMやWeb広告といったマスマーケティングや、Instagram、X(旧Twitter)などを活用したSNSマーケティングで、認知度向上や話題性を狙います。

違い⑦【営業スタイル】ソリューション営業 vs カウンターセールス

BtoB

顧客企業が抱える課題をヒアリングし、自社の商品を組み合わせて最適な解決策(ソリューション)を提案する営業スタイルが求められます。高度な専門知識と課題発見能力が必要です。

BtoC

店舗などで顧客の来店を待ち、ニーズに合わせて商品を説明・販売するカウンターセールス(プル型営業)が中心です。高いコミュニケーション能力や接客スキルが重要になります。

違い⑧【代表的な企業例】キーエンス、セールスフォース vs トヨタ、ユニクロ

BtoB企業の例

企業名内容
キーエンス工場の自動化に不可欠なセンサーや測定器などを製造・販売。
セールスフォース・ジャパン企業の営業活動を支援するCRM(顧客関係管理)システムを提供。
伊藤忠商事鉄鋼、食料、化学品など、幅広い分野で企業間の貿易を仲介。

BtoC企業の例

企業名内容
トヨタ自動車一般消費者向けに自動車を製造・販売。
ユニクロ一般消費者向けに衣料品を製造・販売。
サントリー一般消費者向けに飲料や酒類を製造・販売。

【応用編】マーケティング・営業担当者なら知っておきたい戦略の違い

BtoBとBtoCでは、具体的なマーケティング戦略も大きく異なります。

Webサイトや広告運用の考え方の違い

BtoBサイト

目的は「見込み客情報の獲得(リードジェネレーション)」。専門的な課題解決コンテンツや導入事例、ホワイトペーパーを用意し、問い合わせや資料ダウンロードに繋げます。広告も、役職や業種でターゲティングできるFacebook広告や、課題解決キーワードでの検索広告が中心です。

BtoCサイト

目的は「直接的な販売(ECサイト)」や「ブランドイメージの向上」。魅力的な商品写真や動画、キャンペーン情報で購買意欲を刺激します。広告も、認知拡大のためのディスプレイ広告や、インフルエンサーを起用したSNS広告などが多用されます。

SNS(Facebook, X, Instagram等)活用の違い

BtoBのSNS

主に企業の信頼性向上や、業界の専門家としてのブランディング、セミナー集客などに活用されます。ビジネスネットワーキングに強いFacebookLinkedInが有効です。

BtoCのSNS

写真や動画で世界観を伝えやすいInstagram、リアルタイム性や拡散力に優れたX(旧Twitter)が中心。キャンペーンやユーザーとの交流を通じて、ファンを増やし、エンゲージメントを高めることが目的です。

BtoCの手法をBtoBに応用する「BtoBマーケティング2.0」

近年、BtoBにおいても、意思決定者が個人として情報収集を行うのが当たり前になりました。そのため、「顧客の感情に訴えかけるストーリーテリング」や「動画コンテンツの活用」など、従来BtoCが得意としてきたマーケティング手法をBtoBに応用する動きが活発化しています。これも重要なトレンドとして押さえておきましょう。

【キャリア編】BtoB企業とBtoC企業、働くならどっち?

ビジネスモデルの違いは、そこで働く人々のキャリアにも大きく影響します。ここでは、就職や転職を考えている方に向けて、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

BtoB企業で働くメリット・デメリット

メリット

専門性が身につく:特定の業界や製品に関する深い知識が身につき、プロフェッショナルとして成長できます。

高額な案件に携われる:社会的インパクトの大きな、ダイナミックな仕事に携わるチャンスがあります。

安定した経営基盤:顧客との長期的な関係が基本なため、景気の変動に比較的強く、安定した経営の企業が多い傾向にあります。年収もBtoCに比べて高い傾向が見られます。

デメリット

成果が見えにくい:自分の仕事が、最終的に社会にどう貢献しているのか実感しにくい場合があります。

地味な印象:一般的な知名度が低い企業が多く、友人や家族に仕事内容を説明しにくいことも。

意思決定の遅さ:多くの関係者が関わるため、物事が進むスピードが遅いと感じることがあります。

BtoC企業で働くメリット・デメリット

メリット

成果が分かりやすい:自分の仕事に対する顧客の反応(売上、SNSでの反響など)がダイレクトに分かり、やりがいを感じやすいです。

知名度の高い企業が多い:自分が関わった商品やサービスを、家族や友人が使っている場面に遭遇することも。

トレンドの最前線で働ける:世の中の流行や消費者の動向を肌で感じながら仕事ができます。

デメリット

競争が激しい:競合が多く、価格競争に巻き込まれやすいです。

顧客の移り変わりが早い:ブランドへの忠誠心が低く、顧客がすぐに離れてしまう可能性があります。

クレーム対応:不特定多数の顧客を相手にするため、クレーム対応に追われることもあります。

それぞれのビジネスに「向いている人」の特徴

BtoBに向いている人

  • 論理的思考力が高く、物事を深く掘り下げて考えるのが好きな人
  • 長期的な視点で、顧客とじっくり信頼関係を築きたい人
  • 専門知識を身につけ、特定の分野のプロフェッショナルになりたい人

BtoCに向いている人

  • 世の中のトレンドや人々の感情の動きに敏感な人
  • 自分の仕事の成果をダイレクトに感じたい人
  • 多くの人とコミュニケーションを取るのが好きな人

【最新トレンド】注目される「BtoBtoC」モデルとは

最後に、近年注目を集める「BtoBtoC」モデルを紹介します。これは「Business to Business to Consumer」の略で、企業(B1)が、別の企業(B2)を介して、最終的な一般消費者(C)に価値を提供するビジネスモデルです。

BtoBtoCモデルの仕組みと具体例

ぐるなび、食べログ

飲食店(B2)の情報を集約し、プラットフォームとして消費者(C)に提供。飲食店から掲載料を得る(B1→B2)、消費者からは利用料を得ない(B2→C)。

リクルート(SUUMO、ゼクシィ)

不動産会社や結婚式場(B2)の情報を集め、家を探す人や結婚を考えている人(C)に提供。掲載企業から広告料を得る(B1→B2)。

このように、BtoBとBtoCの要素を併せ持つことで、新たな価値を生み出しています。

【必須】BtoBとBtoCに関するQ&A

Q. BtoBからBtoC(またはその逆)への転職は難しいですか?

A. 不可能ではありませんが、簡単ではありません。 なぜなら、これまで見てきたように、求められるスキルや思考法が大きく異なるからです。ただし、マーケティングのデータ分析スキルや、営業における課題解決能力など、共通して活かせるスキルもあります。転職を考える際は、これまでの経験で得たポータブルスキルをどう活かせるかを明確にアピールすることが重要です。

Q. 良いBtoB企業、BtoC企業を見分けるポイントはありますか?

A. BtoB企業の場合、一般知名度よりも「業界内でのシェアが高いか」「特定の技術でトップを走っているか」といった点が重要です。BtoC企業の場合は、「強力なブランド力があるか」「顧客とのエンゲージメントをどう築いているか」などがポイントになります。いずれの場合も、財務状況の健全性は必ず確認しましょう。

Q. スタートアップはどちらのモデルから始めるべきですか?

A. 一概には言えませんが、BtoBモデルの方が、特定の課題を持つ顧客に直接アプローチでき、単価も高いため、少ない顧客数でも事業を成立させやすい傾向があります。一方、BtoCモデルで成功するには、多額の広告宣伝費や、強力なブランド構築が必要となるため、より難易度が高いと言えるでしょう。

まとめ

今回は、BtoBとBtoCの違いについて、定義から具体的な戦略、さらにはキャリアの視点まで、多角的に解説しました。

両者は単なるビジネスモデルの違いに留まらず、その根底にある顧客との向き合い方、価値提供の方法が本質的に異なります。

あなたが今いるビジネスの現場、あるいはこれから飛び込もうとしている世界が、BtoBなのか、BtoCなのか。その特性を深く理解することで、日々の業務における戦略の精度は格段に上がり、キャリア選択においても、より自分に合った道を見つけることができるはずです。

この記事が、あなたのビジネスとキャリアを考える上での、確かな羅針盤となれば幸いです。

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