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No.81
更新日 2025年08月26日

商談の進め方!成果を出す5つのステップとコツ

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「お客様との会話は盛り上がったはずなのに、なぜかいつも『検討します』で終わってしまう…」
「初めての商談、何から話せばいいのか分からず、頭が真っ白になりそうだ…」
「自分の商談の進め方が正しいのか、客観的に見直したい…」

営業担当者にとって、「商談」は自らの価値を証明する最も重要な舞台です。しかし、多くの営業担当者が、自己流の進め方で思うような成果を出せず、自信を失いかけています。

本記事では、BtoB営業の成果を左右する「商談」について、その戦略的な準備から、各フェーズでの具体的な進め方、そして成約に繋げるためのクロージングまでの一連のプロセスを、網羅的かつ体系的に解説します。

商談とは?

まず、商談に対する根本的な考え方をアップデートしましょう。

商談の本当の目的を再定義する

多くの営業担当者が、商談を「自社製品の素晴らしさを説明し、売り込む場」だと誤解しています。しかし、商談の本当の目的は、「顧客が抱える課題と、その解決策について、顧客と『合意形成』を行う場」です。

主役は、あなたやあなたの製品ではありません。あくまで「顧客」です。顧客の成功という共通のゴールに向かって、対等なパートナーとして対話を進める。この意識改革が、成果を出すための第一歩です。

失敗する商談に共通する3つの間違い

自分が話すぎている

営業担当者が商談時間の8割以上を話している場合、その商談はほぼ失敗します。主役である顧客に話をさせなければ、課題もニーズも分かりません。

準備不足

顧客のビジネスや課題について何も調べず、「何かお困りごとはありますか?」という漠然とした質問から始めてしまう。これでは、顧客から「プロではない」と見なされてしまいます。

ゴールが曖昧

商談の終わりに、「では、また何かあればご連絡ください」といった曖昧な形で締めくくってしまう。これでは、永遠に「検討中」のままです。

【5ステップで完全解説】成約率を高める商談の進め方

成果を出す営業担当者は、例外なく、商談を体系的なプロセスとして捉えています。ここでは、その普遍的な5つのステップを紹介します。

STEP1:【事前準備】商談の成果は、訪問前に9割決まる

商談は、顧客のオフィスに入室するずっと前から始まっています。入念な事前準備こそが、商談の成否を9割決めると言っても過言ではありません。

STEP2:【冒頭】最初の5分で、商談の主導権を握る

商談開始後の最初の5分間は、その後の流れを決定づける極めて重要な時間です。ここで、アイスブレイクを通じて信頼関係(ラポール)を築き、アジェンダを提示して、商談の主導権を握ります。

STEP3:【ヒアリング】顧客の「痛み」と「理想」を深掘りする

商談の中で最も重要なフェーズです。ここで、単なる「御用聞き」に終わるか、顧客の「真のパートナー」になれるかが決まります。徹底的なヒアリングを通じて、顧客が抱える課題(痛み)と、その先にある理想の姿を深掘りしていきます。

STEP4:【提案・プレゼン】解決策を「ストーリー」として語る

ヒアリングで明らかになった顧客の課題と理想に対し、自社の製品・サービスがどのように貢献できるかを提示します。単なる機能説明ではなく、顧客が成功する未来をありありと描けるような「ストーリー」として語ることが重要です。

STEP5:【クロージング】次のアクションを明確に合意する

商談の締めくくりです。提案内容に対する顧客の合意を確認し、契約や次のステップに向けた、具体的で、期限の切られた「次のアクション」を明確に合意します。

【準備編】トップセールスが実践する、鉄壁の事前準備術

顧客のリサーチ:何をどこまで調べるべきか?

情報カテゴリ内容
企業情報Webサイトの事業内容、中期経営計画、プレスリリース、IR情報(上場企業の場合)
担当者情報相手の部署、役職、可能であれば過去の経歴やSNSでの発信内容
業界動向顧客が属する業界の最新ニュース、競合の動き、市場全体のトレンド

商談のゴール設定(理想・最低限)

今回の商談で達成したいゴールを、2段階で設定しておきましょう。

ゴール区分内容
理想のゴールその場で受注(契約)の意思決定をもらう。
最低限のゴール次回の決裁者同席のプレゼンテーションのアポイントを取り付ける。

想定問答集とアジェンダの作成

商談で聞かれるであろう質問を予測し、その回答を準備しておきます(想定問答集)。また、「本日はこの3点についてお話しします」というアジェンダ(議題)を用意し、可能であれば事前にメールで共有しておくと、議論がスムーズに進みます。

【ヒアリング編】「検討します」を撲滅する、戦略的質問の技術

顧客の本音を引き出す「SPIN話法」とは?

SPIN(スピン)話法は、顧客自身に課題の重要性を気づかせ、自発的な購買意欲を引き出すための、世界的に有名なヒアリングのフレームワークです。

状況質問(Situation Questions)

「現在、〇〇の業務はどのような体制で行われていますか?」といった、顧客の現状を把握するための質問

問題質問(Problem Questions)

「その業務プロセスの中で、何か不便な点や、課題に感じている点はございますか?」といった、顧客が抱える問題点(痛み)を明らかにさせる質問

示唆質問(Implication Questions)

「その問題が解決されないと、将来的にはどのようなリスクや、さらなる問題に繋がる可能性があるでしょうか?」といった、問題の影響の深刻さ(痛みの大きさ)を示唆する質問。ここが最も重要です。

解決質問(Need-payoff Questions)

「もし、その問題が解決され、〇〇という状態になったとしたら、貴社にとってどれだけの価値があるでしょうか?」といった、顧客自身の口から、解決後の理想の状態(価値)を語らせる質問

ヒアリングで絶対にやってはいけないこと

  1. 尋問のように質問攻めにしない。
  2. 相手の話を途中で遮らない。
  3. すぐに自社製品の話に結びつけようとしない。

【提案・クロージング編】顧客が「買いたい」と思う、心を動かす技術

機能ではなく「価値(ベネフィット)」を伝えるプレゼンテーション

ヒアリングで明らかになった顧客の「痛み」と「理想」に対し、「弊社の〇〇という機能を使えば、あなたの△△という痛みが解消され、□□という理想の状態が手に入ります」というように、機能(Feature)と価値(Benefit)を結びつけて語ります。

自然な流れで契約に導く、クロージングのテクニックとトーク例

顧客が前のめりになってきたら、自然な形で意思決定を促します。「もし、他に大きな懸念点がないようでしたら、ぜひ前向きにご導入を検討いただけると嬉しく思いますが、いかがでしょうか?」といったテストクロージングで、相手の温度感を確かめながら進めるのが有効です。

商談の最後に、必ず「次の具体的な約束」を取り付ける

商談の最後には、必ず「誰が」「いつまでに」「何をするか」を明確に合意します。「では、本日の内容を踏まえた正式な御見積書を、明日の午前中までに私から〇〇様宛にメールでお送りしますので、来週の水曜日までにご確認いただけますでしょうか」といった、具体的で期限の切られた約束を取り付けましょう。

オンライン商談特有のコツ

対面との違いを理解し、コミュニケーションを最適化する

非言語情報が伝わりにくいオンラインでは、普段より3割増しのリアクション(うなずき、相槌)を心がけましょう。また、相手の表情が見えにくい分、「ここまでで、何かご不明な点はございませんか?」と、こまめに相手の理解度を確認することが重要です。

画面共有やチャット機能の効果的な使い方

資料を画面共有する際は、マウスカーソルをレーザーポインターのように使い、今どこを説明しているのかを視覚的に示しましょう。URLや補足情報をチャットで送ることで、相手は後からでも確認しやすくなります。

商談の進め方に関するQ&A

Q. 相手が全く話してくれません。どうすればいいですか?

A. クローズドクエスチョン(はい/いいえで答えられる質問)から始めるのが有効です。「〇〇でお困りですか?」といくつか質問し、「はい」という回答を積み重ねる中で、徐々にオープンクエスチョンに移行していくと、相手も話しやすくなります。

Q. 商談が長引いてしまい、いつも時間オーバーします。

A. 商談の冒頭で、アジェンダと時間配分を相手と合意することが最も効果的です。「本日は1時間の予定ですので、最初の30分でヒアリング、次の20分でご提案、最後の10分で質疑応答とさせていただければと思いますが、いかがでしょうか?」と、最初に主導権を握りましょう。

Q. 複数の決裁者がいる商談で、気をつけることは何ですか?

A. 参加者それぞれの「立場」と「関心事」を事前に把握しておくことが重要です。現場の担当者は「使いやすさ」、マネージャーは「管理のしやすさ」、経営者は「投資対効果(ROI)」など、関心事は異なります。それぞれの関心事に合わせたメリットを、バランス良く伝えることが求められます。

まとめ

本記事では、商談を成功に導くための、具体的な5つのステップと、各段階でのコツを解説しました。

優れた商談とは、もはやどちらかが勝ち、どちらかが負けるという「駆け引き」の場ではありません。それは、顧客とあなたが、顧客の成功という共通のゴールに向かって、共に課題を解決していく「共同プロジェクト」なのです。

顧客の最高のパートナーとして、その未来を共に描き出す。その意識こそが、あなたの商談を、そしてあなたの営業としてのキャリアを、次のステージへと押し上げる、最も確実な力となるでしょう。

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