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No.89
更新日 2025年08月26日

リファラル営業のコツは?紹介が自然に生まれる最強の営業術

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「お客様との関係は良好なのに、なぜか新しいお客様を紹介してもらえない…」
「『誰かいい人いたら紹介してください』とお願いしても、『そうだね、機会があれば』で終わってしまう…」
「紹介がビジネスの生命線なのに、その発生が運任せになっている…」

新規開拓営業のコストが高騰し、広告の効果も薄れゆく現代において、最も成約率が高く、最も低コストで、最も質の高い見込み客を獲得できる手法。それが、既存の顧客から新たな顧客を紹介してもらう「リファラル営業(紹介営業)」です。しかし、多くの営業担当者や事業主が、その計り知れないパワーに気づきながらも、「お願いするのが気まずい」という心理的な壁を越えられずにいます。

本記事では、BtoBビジネスにおいて最も成約率が高く、かつ低コストな営業手法である「リファラル営業」について、その本質的な考え方から、具体的な依頼のテクニック、そして紹介を「仕組み化」する方法までを、網羅的かつ体系的に解説します。

リファラル営業とは?

リファラル営業の定義

リファラル営業とは、既存の顧客やパートナーから、新たな見込み客を紹介(Referral)してもらい、それを起点として行う営業活動のことです。「紹介営業」と全く同じ意味です。

テレアポや飛び込み営業のように、全く接点のない相手にアプローチするのではなく、「〇〇様からのご紹介でご連絡いたしました」という、信頼のバトンを手にスタートできるのが最大の特徴です。

なぜ、リファラル営業は圧倒的に成約率が高いのか?

その理由はシンプルで、「信頼」という最強の追い風が吹いているからです。見ず知らずの営業担当者からの提案には警戒心を抱く顧客も、信頼する友人や取引先からの紹介であれば、「良いものに違いない」と、最初から好意的な姿勢で話を聞いてくれます。商談化率、そして最終的な成約率が、他のどんな手法よりも圧倒的に高くなるのは当然と言えるでしょう。

目的は「紹介依頼」ではなく、自然に「紹介が生まれる」関係づくり

多くの人がリファラル営業を、「紹介を『お願いする』技術」だと誤解しています。しかし、その本質は異なります。本当のゴールは、あなたが「紹介してください」と頼まなくても、顧客が「ぜひ、私の友人にも〇〇さんを紹介したい!」と、自発的に思ってくれるような、圧倒的な信頼関係を築くことにあるのです。

【大前提】リファラル営業を成功させるための土台作り

紹介は、テクニックだけで生まれるものではありません。日々の誠実な活動という「土台」があって初めて、自然な形で芽生えるものです。

期待を超える価値を提供し、顧客を「ファン」にする

約束した納期や品質を守るのは当たり前。その上で、相手の期待をほんの少しでも超えるような、プラスアルファの価値を提供し続けることが、顧客を「満足」から「感動」のレベルへと引き上げ、熱心な「ファン」に変えていきます。

顧客の成功(カスタマーサクセス)に、とことんコミットする

特にBtoBにおいては、顧客のビジネスの成功にどこまでも寄り添い、伴走するパートナーとなることが重要です。「この人は、ただ商品を売るだけでなく、私たちの成功を本気で考えてくれている」。そう感じてもらえた時、顧客はあなたを他の誰かに紹介したくなるのです。

定期的なコミュニケーションで、忘れられない存在になる

契約後、全く連絡を取っていなければ、顧客はあなたのことを忘れてしまいます。有益な情報提供や、近況伺いの連絡を定期的に行い、顧客の記憶に残り続ける「忘れられない存在」であり続けることが、いざという時に思い出してもらうための鍵です。

【5ステップで実践】リファラル営業の具体的な進め方

強固な土台を築いた上で、紹介を依頼するための具体的な5つのステップを見ていきましょう。

STEP1:【対象者の選定】誰に紹介を依頼すべきかを見極める

誰にでもお願いすれば良いわけではありません。①自社の熱心なファンであり、②あなたの活動を高く評価してくれており、③紹介してほしい層と繋がりを持っていそうな人を見極めます。日々のコミュニケーションの中で、こうした「紹介のキーパーソン」候補を見つけておきましょう。

STEP2:【タイミングの見極め】顧客が最も満足している瞬間を狙う

依頼の成否は、タイミングで決まります。狙うべきは、顧客があなたのサービスや対応に、最も満足し、感謝してくれている瞬間です。そのポジティブな感情が、紹介という行動へのハードルを大きく下げてくれます。

STEP3:【依頼】感謝と敬意を込めて、具体的にお願いする

依頼する際は、まず日頃の感謝を伝えます。そして、「厚かましいお願いで恐縮ですが…」と前置きした上で、「〇〇様のように、△△という課題をお持ちの経営者の方をご存知でしたら、ぜひご紹介いただけないでしょうか」と、どのような人を紹介してほしいのかを具体的に伝えます。

STEP4:【情報提供】紹介の手間を最小限にする、完璧な準備

紹介は、紹介者にとって「手間のかかる面倒な作業」です。その負担を最小限にするために、「もしご紹介いただけるようでしたら、こちらのメールを、そのまま転送いただけると幸いです」というように、紹介用のメール文面や、サービス概要資料をあらかじめこちらで用意しておく配慮が、成功率を大きく高めます。

STEP5:【報告と感謝】紹介の進捗を必ず報告し、改めて感謝を伝える

紹介してもらったら、それで終わりではありません。「〇〇様にご紹介いただいた△△様と、本日お会いすることができました。誠にありがとうございました」というように、進捗状況を必ず報告します。これにより、紹介者は安心し、「また次も紹介しよう」という気持ちになってくれます。もちろん、紹介が成約に至った場合は、改めて丁重にお礼を伝えるのがマナーです。

紹介依頼の成功率を高める、具体的なトークとメール文例

依頼のベストタイミングTOP3

1. 導入プロジェクト成功・成果が出た直後

「今回のプロジェクト成功は、ひとえに〇〇様のご協力のおかげです。本当にありがとうございました。つきましては…」

2. お客様から感謝の言葉をいただいた直後

「そのように言っていただけて、本当に嬉しいです。実は、そのお言葉を励みに、一つお願いがございまして…」

3. 契約更新のタイミング

「今期もご継続いただき、誠にありがとうございます。〇〇様とのご縁に、心より感謝しております。もしよろしければ…」

対面・オンラインでの依頼トーク例

「〇〇様、本日はありがとうございました。〇〇様にいつも良くしていただいている中で、大変厚かましいお願いとは存じますが、もし、〇〇様と同じように、現在△△という課題でお悩みの経営者仲間の方がいらっしゃいましたら、ぜひ私をご紹介いただけないでしょうか。もちろん、無理にとは申しません。もし、どなたかのお顔が思い浮かんだ際で構いませんので」

メールでの依頼文例

件名

【株式会社△△・□□】いつもお世話になっております。〇〇様へのお願い

本文

株式会社A
部長 〇〇様

いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の□□です。

平素より弊社サービスをご愛顧いただき、また、私個人としましても〇〇様には公私にわたり大変良くしていただき、心より感謝申し上げます。

さて、本日は、〇〇様とのご信頼関係があってこそと存じますが、一つお願いがありご連絡させていただきました。

現在弊社では、〇〇様にご活用いただいているサービス「XXXX」を通じて、より多くの企業の△△という課題解決に貢献したいと考えております。

つきましては、もし〇〇様の周りで、同様に△△の課題をお持ちの企業様をご存知でしたら、大変恐縮ですが、私どもをご紹介いただくことは可能でしょうか。

もちろん、〇〇様にご負担をおかけするつもりはございません。
もしご紹介いただける企業様がいらっしゃいましたら、このメールを転送いただく形でも全く問題ございません。

大変厚かましいお願いとは存じますが、ご検討いただけますと幸いです。
今後とも、〇〇様のビジネスの成功に貢献できるよう、一層尽力して参ります。

紹介された方への、最初のコンタクトメール文例

件名

株式会社Aの〇〇様よりご紹介いただきました、株式会社△△の□□と申します。

「紹介」を仕組み化する、リファラルプログラムの作り方

リファラルプログラムとは?

個人のスキルに依存せず、組織としてリファラルを安定的に創出するための公式な「紹介制度」のことです。

魅力的なインセンティブ(謝礼)の設計方法

紹介してくれた顧客(紹介元)と、紹介された顧客(紹介先)の双方にメリットがあるインセンティブを設計するのがポイントです。

紹介元へのインセンティブ例

ギフトカード、サービス利用料の割引、限定イベントへの招待など。

紹介先へのインセンティブ例

初回利用料の割引、無料コンサルティングなど。

運用をスムーズにするためのツール活用

リファラルプログラム専用の管理ツールなどを活用することで、誰が誰を紹介したのか、その後の進捗はどうなっているのか、といった情報を効率的に管理できます。

リファラル営業に関するQ&A

Q. 紹介を依頼するのは、失礼にあたりませんか?

A. 信頼関係が構築できていれば、決して失礼にはあたりません。 むしろ、「あなたのことを信頼しているからこそ、お願いしたい」というメッセージにもなります。ただし、関係性が浅いうちや、相手が不満を抱えているタイミングで依頼するのは、関係を悪化させるだけなので絶対にやめましょう。

Q. 紹介してもらったのに、失注してしまいました。紹介元にはどう報告すれば?

A. 正直に、そして誠実に報告することが鉄則です。 「ご紹介いただいた〇〇様ですが、残念ながら今回はご期待に沿えませんでした。しかし、素晴らしいご縁をいただき、心から感謝しております」と、結果に関わらず、まずは紹介してくれたことへの感謝を伝えましょう。

Q. 顧客は満足してくれているはずなのに、紹介が生まれません。

A. 顧客が「誰に、どう紹介すれば良いか分かっていない」可能性があります。STEP3で述べたように、「〇〇という課題をお持ちの、△△業界の方」というように、紹介してほしい人物像を具体的に伝えることで、顧客は「ああ、それなら友人のAさんがいるな」と、紹介相手を思い浮かべやすくなります。

まとめ

本記事では、リファラル営業を成功させるための、土台作りから具体的なテクニック、そして仕組み化までを網羅的に解説しました。

リファラル営業の成功の鍵は、小手先の依頼テクニックではありません。その根底にあるのは、日々の業務を通じて、いかに顧客と真摯に向き合い、その成功に貢献し、揺るぎない信頼を勝ち得ているか、というあなたの「顧客への誠実さ」そのものです。

顧客との信頼の絆を育むこと。それこそが、紹介という最高の果実を、あなたのビジネスにもたらしてくれる、唯一無二の方法なのです。

リファラル営業を後押しする企業データベース「SalesNow」

紹介のチャンスを広げ、確実に成果へとつなげるには、信頼のネットワークを活かしつつ、的確にターゲット企業へアプローチできる仕組みが重要です。

「SalesNow」は全国540万社を網羅した業界最大級の企業データベースで、部署・拠点・人物単位の連絡先情報までを掲載。リファラル営業の成果を高め、顧客との信頼関係をさらに強固にするための強力な基盤となります。

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