SalesNowDB Logo
No.91
更新日 2025年08月29日

後追い営業のコツは?しつこいと思われずに成果を出す方法

メイン画像

「手応えのあった商談が、『検討します』の一言で止まってしまう…」
「お客様に嫌われたくなくて、フォローの電話をかける勇気が出ない…」
「一度断られたら、もう終わり。次のアプローチ方法が分からない…」

営業担当者であれば、誰もが一度は経験する、このもどかしく、そして気まずい瞬間。商談後の「後追い営業(フォローアップ)」は、成果を大きく左右する極めて重要なプロセスでありながら、多くの営業担当者が苦手意識を持ち、膨大な機会損失を生んでいます。

本記事では、商談後の成果を最大化するための「後追い営業(フォローアップ)」について、その戦略的な考え方から、顧客に嫌われないための具体的なテクニック、そしてそのまま使えるメール例文までを、網羅的かつ体系的に解説します。

後追い営業とは?

まず、後追い営業に対するあなたの「思い込み」をアップデートすることから始めましょう。

後追い営業(フォローアップ)の定義と、その重要性

後追い営業とは、商談や問い合わせの後、顧客に対して追加の情報提供や状況確認を行い、関係性を維持・深化させながら、次のステップ(受注や再検討など)へと繋げる、能動的なコミュニケーション活動のことです。「フォローアップ」とも呼ばれます。

これは、単に返事を「催促」する行為ではありません。顧客が抱える疑問や懸念を解消し、安心して意思決定ができるように「支援」する、極めて重要なプロセスなのです。

なぜ、トップセールスほど、後追い営業を徹底するのか?

トップセールスは、顧客が一度の商談で全てを理解し、即決することなど滅多にないと知っています。彼らは、商談後の丁寧なフォローアップを通じて、徐々に顧客との信頼関係を深め、競合他社との差別化を図り、最終的に「あなたから買いたい」という状況を創り出すのです。商談後のプロセスこそが、凡庸な営業とトップセールスを分ける最大の分岐点と言えるでしょう。

「しつこい営業」と「熱心な営業」を分ける、たった一つの違い

多くの人が恐れる「しつこい」という印象。これを分ける境界線は、たった一つです。

種類内容例文
しつこい営業自分の都合で、同じ内容の催促を繰り返す。「いかがでしょうか?」「その後どうなりましたか?」
熱心な営業相手のメリットを考え、毎回新しい価値を提供する。「お役立ちそうな資料を見つけましたので、お送りします」

後追い営業の全ての基本は、「相手にとって有益な情報を提供する」という姿勢にあります。

後追い営業を成功に導くための5つの基本原則

原則1:必ず「価値提供」をセットで行う

状況確認の連絡をする際は、必ず何か一つ、相手にとって有益な「手土産(価値)」を持っていきましょう。関連する業界ニュース、お役立ち資料、他社の成功事例など、相手が「連絡をもらって良かった」と思える情報を提供することが、関係を良好に保つ秘訣です。

原則2:相手に「次のアクション」を委ねない

「ご検討ください」で終わらせてはいけません。「来週水曜日の午前中に、改めてお電話させていただいてもよろしいでしょうか?」というように、常に次のアクションをこちらから具体的に提案し、主導権を握りましょう。

原則3:接触するタイミングと頻度を、事前に計画する

商談直後、1週間後、1ヶ月後…というように、どのようなタイミングで、どのような内容のフォローを行うか、あらかじめ計画(フォローアップシナリオ)を立てておきましょう。これにより、場当たり的で感情的なアプローチを防ぎ、戦略的な関係構築が可能になります。

原則4:複数のチャネル(メール、電話、SNS)を組み合わせる

メールだけでアプローチし続けるのではなく、時には電話で直接声を聞いたり、SNSで近況を伝えたりと、複数のコミュニケーションチャネルを組み合わせることで、より人間味のある、多角的な関係性を築くことができます。

原則5:SFA/CRMを活用し、活動を記録・管理する

いつ、誰に、どのようなフォローを行ったか、その結果どうだったかを、SFA/CRM(営業支援/顧客管理システム)に必ず記録しましょう。これにより、フォローの抜け漏れを防ぎ、組織全体で顧客との関係性を管理・分析できるようになります。

今すぐ使える、後追い営業の実践プレイブック

ビジネスで頻繁に遭遇する4つのシーン別に、具体的なフォローアップの例文を紹介します。

シーン1:「検討します」と言われた後(ペンディング案件)のフォロー

最も多いこの状況では、焦らず、しかし主導権は手放さず、価値提供を通じて再接触の機会を創出します。

1週間後のフォローメール例文(有益な情報の提供)

件名

【株式会社〇〇】先日の打ち合わせの件と、△△に関する最新情報のご共有

本文

…先日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
その後のご検討状況はいかがでしょうか。

さて、先日の商談で〇〇様が課題としてお挙げになっていた△△について、ご参考にしていただけそうな調査レポートを見つけましたので、ご共有いたします。
[資料のURLや添付]

何かご不明な点などございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。
来週あたりに、改めてお電話させていただいてもよろしいでしょうか。

電話で状況をヒアリングする際のトーク例

「お世話になっております、〇〇です。先週お送りしたレポートはご覧いただけましたでしょうか?…ところで、社内でのご検討状況について、もし何か私の方でお手伝いできること(追加資料のご提出など)がございましたら、ぜひお申し付けください」

シーン2:見積書・提案書を送った後のフォロー

資料を送付した後は、相手の理解を促し、懸念点を解消するためのアクションが重要です。

送付直後の確認メール例文

「先ほど、〇〇の件で見積書をメールでお送りいたしました。無事届いておりますでしょうか。ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。」

期限を区切って返信を促すリマインドメール例文

「先日お送りいたしました御見積書の件、その後いかがでしょうか。こちらの御見積書の有効期限が今週末となっておりますので、一度ご連絡させていただきました。何かご懸念点などございますでしょうか。」

シーン3:失注した後のフォロー

失注は終わりではありません。ここでの対応が、未来の顧客を創ります。

感謝を伝え、関係維持を打診するメール例文

件名

【株式会社〇〇】先日のご提案の件につきまして
本文

…この度は、お忙しい中、弊社の提案をご検討いただき、誠にありがとうございました。
今回はご期待に沿えず残念ではございますが、〇〇様が△△社様を選ばれた決め手など、もし差し支えなければ、今後の参考にさせていただきたく、お聞かせいただけますと幸いです。

今回はご縁がございませんでしたが、今後とも〇〇様のお役に立てる情報がございましたら、ぜひご提供させていただければと存じます。
引き続き、情報交換をさせていただけますと幸いです。

シーン4:しばらく接点のない休眠顧客へのフォロー

売り込み色をゼロにし、純粋な価値提供で、関係を再構築します。

相手の記憶を呼び覚ます、さりげない情報提供メール例文

件名

【ご無沙汰しております】〇〇業界の最新動向レポートのご共有(株式会社△△・□□)
本文

…ご無沙汰しております。以前、〇〇の件でお世話になりました、株式会社△△の□□です。
その節はありがとうございました。

本日は、〇〇様のお仕事のヒントになるかと思い、最近弊社でまとめました「△△業界の最新動向レポート」をお送りさせていただきます。
[資料ダウンロードURL]

季節の変わり目ですので、どうぞご自愛ください。

相手の心を動かす、後追いメールの件名と書き方のコツ

開封率を高める件名の作り方

  1. 【株式会社〇〇】と相手の社名を入れる
  2. 【〇〇の件】と用件を具体的に示す
  3. 〇月〇日のお打ち合わせの御礼、など日付を入れる

本文で「返信しなくては」と思わせる3つの要素

  1. パーソナライズ: 前回の会話内容に触れ、「あなたのためだけに」書いたことを示す。
  2. 価値提供: 相手にとって有益な情報を提供する。
  3. 明確なCTA: 次に何をしてほしいのかを、具体的で簡単なアクションで示す。

最適なタイミングはいつ?曜日・時間帯の考え方

一般的に、ビジネスメールは火曜〜木曜日の午前10時〜11時、または午後14時〜16時が最も読まれやすいとされています。ただし、最も重要なのは、商談直後など、相手の記憶が新しいうちに送ることです。

後追い営業に関するQ&A

Q. 何回くらいまでフォローアップして良いですか?引き際は?

A. 一般的には3〜5回が一つの目安です。毎回異なる価値提供をしても全く反応がない場合は、「また何かお役に立てることがございましたら、いつでもご連絡ください」というメールを送り、一旦区切りをつけるのがスマートな引き際です。

Q. 電話とメール、どちらでフォローするのが効果的ですか?

A. 両方を組み合わせるのが最も効果的です。メールで事前に用件や資料を送っておき、「先ほどメールをお送りした件ですが…」と電話をすれば、スムーズに本題に入れます。重要なのは、相手の状況や好みに合わせてチャネルを使い分けることです。

Q. 担当者が不在・退職してしまいました。どうすれば?

A. 絶好のチャンスと捉えましょう。 丁寧に後任の方の連絡先を伺い、「前任の〇〇様には大変お世話になりました。改めて、弊社のサービスについてご挨拶とご説明をさせていただきたく…」と、ゼロから関係を再構築する機会になります。

まとめ

本記事では、後追い営業の考え方から、具体的なシーン別の実践テクニックまでを網羅的に解説しました。

後追い営業は、単なる「追いかける」行為ではありません。それは、一度生まれた顧客との縁を大切に育み、対話を通じてその意思決定を支援し、長期的な信頼関係へと深化させていく、極めて高度で、誠実なコミュニケーション活動です。

「検討します」と言われた後、あなたが送る次の一通のメール、かける一本の電話が、その顧客との未来を大きく変えるかもしれません。この記事が、その勇気ある一歩を踏み出すための、確かな羅針盤となれば幸いです。

後追い営業を支援する企業データベース「SalesNow」

顧客との縁を深め、信頼関係を育てる後追い営業を成功させるには、相手の状況を正しく把握し、適切なタイミングで寄り添うことが欠かせません。

「SalesNow」は全国540万社を網羅した業界最大級の企業データベースで、部署・拠点・人物単位の連絡先情報までを掲載。顧客理解を支え、後追い営業を成果につなげるための強力な基盤となります。

CTA