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No.94
更新日 2025年08月27日

競合分析フレームワーク7選!目的別に使い分ける実践ガイド

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「事業計画を立てるために、競合分析が必要だと言われたが、何から手をつければいいのだろう…」
「3C分析やSWOT分析という言葉は知っているけど、結局どれを、どう使えばいいのか分からない…」
「分析をしても、当たり前の結論しか出てこず、具体的な戦略に繋がらない…」

変化の激しい現代のビジネス環境において、自社の進むべき道筋を定め、競合に打ち勝つためには、客観的な事実に基づいた「戦略」が不可欠です。その戦略策定の精度を劇的に高めるための思考の武器、それが「競合分析フレームワーク」です。

本記事では、ビジネス戦略の策定に不可欠な「競合分析フレームワーク」について、代表的な手法の概要から、具体的な使い方、そして戦略への繋げ方までを、網羅的かつ体系的に解説します。

なぜ、戦略思考に「フレームワーク」という武器が必要なのか?

まず、なぜ私たちは「型」にはめて考える必要があるのでしょうか。

競合分析フレームワークとは?思考を整理し、分析の精度を高める「型」

競合分析フレームワークとは、複雑で膨大な市場や競合の情報を、特定の切り口や枠組み(フレーム)に沿って整理・分析するための思考の「型(テンプレート)」です。先人たちが築き上げてきた、ビジネス分析における知恵の結晶とも言えます。

フレームワークを使う3つのメリット

網羅性の向上

思考の「型」があることで、考慮すべき要素を抜け漏れなく、網羅的に洗い出すことができます。

客観性の担保

個人の経験や勘といった主観的な要素だけでなく、客観的な視点から自社や市場を分析することができます。

共通言語の獲得

チームや組織内でフレームワークを共有することで、「3CのCompetitorの観点では…」といったように、議論のベースとなる「共通言語」が生まれ、コミュニケーションが円滑になります。

あなたの「目的」は何か?

数あるフレームワークを前にして、多くの人が「どれを使えばいいの?」と迷ってしまいます。しかし、最も重要なのは、どのフレームワークを使うか、ではなく、「何のために、何を明らかにしたいのか」という分析の「目的」を最初に設定することです。

目的によって、使うべきフレームワークは全く異なる

例えば、「業界全体の構造を理解したい」のか、「自社の新製品の価格を決めたい」のかによって、使うべき道具(フレームワーク)は全く異なります。料理で言えば、肉を切りたい時に果物ナイフを使ってもうまくいかないのと同じです。

3つの主要な分析目的

競合分析の目的は、大きく以下の3つのレベルに分類できます。

環境理解

自社が置かれている市場全体の構造や力関係を、マクロな視点で把握したい。

戦略立案

環境理解を踏まえ、自社がどの市場で、どのような強みを活かして戦うべきか、という大きな方向性(事業戦略)を定めたい。

施策検討

定められた戦略に基づき、製品、価格、プロモーションといった、具体的なマーケティング施策(戦術)を考えたい。

実践的な競合分析フレームワークの使い方

それでは、3つの目的に合わせ、代表的な7つのフレームワークを分類し、それぞれの使い方を解説します。

目的1:【外部環境を把握したい】マクロな市場の構造を理解する

フレームワーク①:3C分析

Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から、事業の成功要因を見つけ出す、最も基本的で万能なフレームワーク。

フレームワーク②:PEST分析

Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つのマクロな外部環境要因が、自社にどのような影響を与えるかを分析します。

フレームワーク③:ファイブフォース分析

業界内の「5つの力(脅威)」、すなわち①競合、②新規参入、③代替品、④売り手の交渉力、⑤買い手の交渉力を分析し、その業界の収益性や魅力度を測ります。

目的2:【自社の立ち位置を分析したい】強み・弱みを客観視する

フレームワーク④:SWOT分析

自社の内部環境であるStrength(強み)、Weakness(弱み)と、外部環境であるOpportunity(機会)、Threat(脅威)を整理・分析します。

フレームワーク⑤:VRIO分析

自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)が、Value(経済的価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織)という4つの観点から、持続的な競争優位の源泉となり得るかを分析します。

目的3:【具体的なマーケティング戦略を練りたい】施策を具体化する

フレームワーク⑥:4P/4C分析

マーケティング施策の4つの要素、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)を企業視点(4P)と顧客視点(4C)の両方から分析・検討します。

フレームワーク⑦:STP分析

市場を細分化し(Segmentation)、狙うべき市場を定め(Targeting)、その市場における自社の独自の立ち位置を明確にする(Positioning)ためのフレームワークです。

【実践ワークシート】主要フレームワークの具体的な使い方

ここでは、特に利用頻度の高い「3C分析」と「SWOT分析」について、具体的な分析の問い(ワークシート)を紹介します。

【3C分析】で考えるべきこと

Customer(市場・顧客)

  • 市場規模や成長性は?
  • 顧客は誰で、どのようなニーズや課題を抱えているか?
  • 顧客の購買決定プロセスは?

Competitor(競合)

  • 競合は誰で、そのシェアや特徴は?
  • 競合の強み(製品、価格、販売チャネルなど)と弱みは何か?
  • 競合は、どのようなマーケティング戦略をとっているか?

Company(自社)

  • 自社の企業理念やビジョンは?
  • 自社の強みと弱みは何か?(競合と比較して)
  • 自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)は?

【SWOT分析】で考えるべきこと

Strength(強み)

競合他社にはない、自社独自の資産や技術、ブランド力は何か?

Weakness(弱み)

競合他社に比べて、劣っている点や、改善すべき課題は何か?

Opportunity(機会)

市場の成長、規制緩和、技術革新など、自社にとって追い風となる外部環境の変化は何か?

Threat(脅威)

競合の台頭、代替品の出現、市場の縮小など、自社にとって逆風となる外部環境の変化は何か?

クロスSWOT分析で、具体的な戦略を導き出す方法

強み × 機会

自社の強みを活かして、市場の機会を最大限に活用する戦略は?

強み × 脅威

自社の強みを活かして、外部の脅威を切り抜ける戦略は?

弱み × 機会

自社の弱みを克服し、市場の機会を掴むための戦略は?

弱み × 脅威

自社の弱みと外部の脅威による最悪の事態を回避する戦略は?

複数のフレームワークを組み合わせ、分析を深化させる方法

フレームワークは、単体で使うだけでなく、複数を組み合わせることで、より深い洞察を得ることができます。例えば、PEST分析でマクロ環境を把握し、3C分析で市場環境を整理、そしてSWOT分析で具体的な戦略オプションを洗い出す、といったように、分析の目的に合わせて、複数のフレームワークを地図のように繋ぎ合わせていくことが重要です。

競合分析フレームワークに関するQ&A

Q. どのフレームワークから始めるのがおすすめですか?

A. まずは「3C分析」から始めることを強くお勧めします。市場・顧客、競合、自社という3つの視点は、あらゆるビジネス分析の基本であり、この3つの関係性を整理するだけで、多くの気づきが得られるはずです。

Q. フレームワークを使っても、当たり前の結論しか出てきません。

A. それは、情報の収集・分析が、まだ表層的である可能性が高いです。例えば、「競合の強みは価格が安いこと」で終わるのではなく、「なぜ、競合は安くできるのか?(生産プロセス?仕入れ?)」と、一歩深く掘り下げて考えることが重要です。また、分析は一人で行わず、多様な視点を持つチームで行うことで、新たな発見が生まれやすくなります。

Q. 分析結果を、どのように報告書にまとめれば良いですか?

A. 分析の「過程」ではなく、「結論(So What?)」から先に示すことが鉄則です。「この調査と分析の結果、我々が取るべき戦略は〇〇です。その根拠は…」というように、分析から得られた「示唆」と、具体的な「次へのアクション提案」を明確に伝えることを心がけましょう。

まとめ

本記事では、競合分析に役立つ代表的なフレームワークを、目的別の使い方や、具体的な実践ワークシートを交えて解説しました。

フレームワークは、あなたの思考を停止させるための「答え」ではありません。それは、複雑な現実を構造的に捉え、思考を深めるための、いわば「思考の補助輪」です。

最も重要なのは、フレームワークに振り回されるのではなく、明確な目的意識を持って、それらを「道具」として使いこなすこと。そして、最終的には、フレームワークから得られた示唆を基に、あなた自身の頭で考え抜いた、独自の戦略を導き出すことです。この記事が、そのための力強い一助となれば幸いです。

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