企業情報APIと個人情報保護法の関係

企業情報APIとは、法人の基本情報や財務データをプログラム経由で取得・連携する仕組みを指します。CRM連携やデータエンリッチメント、与信管理など幅広い業務で活用が進んでおり、国内では年間数千社規模の企業がAPI経由で企業データを取得しています。

企業情報APIを導入する際、多くの企業担当者が最初に直面するのが「取得するデータは個人情報保護法の対象になるのか」という疑問です。結論から言えば、法人の基本情報(社名・所在地・資本金・業種など)は個人情報には該当しないが、代表者名や担当者の氏名・連絡先が含まれる場合は個人情報保護法の規制対象となります。

個人情報保護法の基本的な枠組み

個人情報保護法は、生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものを「個人情報」と定義しています。2022年の改正では漏洩時の報告義務が強化され、違反した場合の罰則も引き上げられました。さらに2026年には3年ごとの見直しに基づく改正が予定されており、課徴金制度の導入や不適正利用の防止強化が検討されています。

企業情報APIを提供する事業者、および利用する企業の双方が、個人情報保護法の規制内容を正確に理解しておく必要があります。APIで取得したデータの利用目的を明確にし、目的外利用を防止する体制を構築することが求められます。

API経由のデータ取得が法的に問題になるケース

企業情報APIの利用自体は違法ではありませんが、以下のケースでは法的リスクが生じる可能性があります。

  • 取得したデータに含まれる個人情報を、利用規約で定められた目的以外に使用した場合
  • APIで取得した個人データを本人の同意なく第三者に提供した場合
  • セキュリティ対策が不十分で個人データが漏洩した場合
  • オプトアウト申請を受けたにもかかわらずデータの利用を継続した場合

SalesNow APIでは、国内1,400万件超の企業・組織データを法人番号ベースで管理しており、取り扱うデータの範囲と利用目的が明確に定義されています。APIを安全に利用するための第一歩は、データの性質を正確に把握することです。

取り扱うデータの範囲|法人情報と個人情報の違い

法人情報と個人情報の違いを理解することは、API利用におけるコンプライアンス対応の基盤となります。適切なデータ分類ができなければ、過剰な規制対応によるコスト増や、逆に対策不足による法的リスクが発生します。

法人情報(個人情報に該当しないデータ)

法人情報とは、企業・団体に関する情報であり、特定の個人を識別できない情報を指します。以下のデータは原則として個人情報保護法の対象外です。

データ項目 具体例 個人情報該当性
法人番号 13桁の法人番号 非該当
企業名・商号 株式会社〇〇 非該当
所在地 本社・支店住所 非該当
資本金・売上高 1億円、50億円 非該当
従業員数 500名 非該当
業種・業態 情報通信業 非該当
設立年月日 2019年8月 非該当
代表者名 個人の氏名 該当
担当者の連絡先 個人メール・直通番号 該当

個人情報に該当するデータの取り扱い

企業情報APIの中には、代表者名や役員名などの個人を特定できる情報が含まれるサービスもあります。このようなデータを取り扱う場合、個人情報保護法に基づく適切な管理が必要になります。具体的には、利用目的の特定と公表、安全管理措置の実施、第三者提供時の本人同意取得またはオプトアウト手続きの整備が求められます。

一方、法人の代表電話番号や企業の公式メールアドレス(info@など)は、特定の個人を識別できないため個人情報には該当しません。APIで取得するデータの範囲を事前に確認し、個人情報が含まれるかどうかを把握しておくことが重要です。

データ分類の実務的なポイント

企業情報APIの選定時には、提供されるデータ項目を一覧で確認し、個人情報に該当するフィールドを特定します。SalesNow APIでは取得可能なデータ項目が明確に定義されており、法人番号を基準とした企業・組織データを中心に提供しています。データ項目ごとに個人情報該当性を判定し、社内のデータガバナンスポリシーに反映させることで、法的リスクを最小化できます。

企業情報APIのセキュリティ対策チェックポイント

APIセキュリティ対策とは、API通信における不正アクセス・データ漏洩・改ざんを防止するための技術的・運用的な措置を指します。企業情報APIでは大量の企業データを扱うため、セキュリティ対策の不備は深刻な情報漏洩事故につながりかねません。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の調査によると、2024年に報告されたセキュリティインシデントのうち、APIに関連する脆弱性を突いた攻撃は前年比で約35%増加しています。APIの普及に伴い、攻撃対象としてのリスクも高まっています。

通信の暗号化(TLS/SSL)

API通信におけるデータの盗聴・改ざんを防止するため、TLS(Transport Layer Security)による暗号化は必須です。現在の標準はTLS 1.2以上であり、TLS 1.3の採用が推奨されています。TLS 1.0/1.1は既に非推奨となっており、多くのブラウザやAPIクライアントでサポートが終了しています。

通信の暗号化は「転送中のデータ保護」を担い、APIサーバー側では「保存中のデータ暗号化」も併せて実施する必要があります。AES-256などの対称暗号化方式を用いたデータベース暗号化が一般的です。

認証・認可の仕組み

APIの認証方式は、セキュリティレベルと利便性のバランスで選択します。主要な認証方式を以下に整理します。

認証方式 セキュリティ強度 特徴 適用場面
APIキー シンプルな実装 サーバー間通信
OAuth 2.0 スコープベースの権限制御 ユーザー認可が必要な場面
JWT トークンにペイロード含有 マイクロサービス間通信
mTLS 最高 双方向証明書認証 金融・医療等の高セキュリティ環境

企業情報APIの利用においては、最低限APIキー認証を導入し、可能であればOAuth 2.0やJWTによるトークンベースの認証を採用することが望ましいです。

レート制限とアクセス制御

レート制限(Rate Limiting)とは、一定時間内のAPIリクエスト数を制限する仕組みを指します。DDoS攻撃やブルートフォース攻撃からAPIを保護するために不可欠な対策です。一般的には、1分あたり60〜600リクエスト程度の制限を設けるケースが多いです。

加えて、IP制限(ホワイトリスト方式)やVPN経由のアクセスに限定する方法も有効です。これらの多層防御を組み合わせることで、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。

ログ管理と監視体制

APIへのアクセスログを記録・監視することで、不正アクセスの早期検知とインシデント発生時の原因特定が可能になります。ログに記録すべき項目は、リクエスト元IP、タイムスタンプ、エンドポイント、レスポンスコード、認証情報(トークンID等)の5つが基本です。

ログの保持期間は、個人情報保護法の観点から最低1年間を推奨します。不正検知アラートと組み合わせることで、インシデント対応のスピードを向上させることが可能です。

API利用時のコンプライアンス対応

コンプライアンス対応とは、法令・規制・業界基準に準拠した形でAPIを利用するための組織的な取り組みを指します。企業情報APIの利用では、個人情報保護法だけでなく、不正競争防止法や各業界の自主規制にも注意が必要です。なお、APIではなくWebスクレイピングでデータを取得する場合はさらに多くの法的リスクが存在するため、「スクレイピングvs API|企業情報取得の法的リスクを比較」もあわせて確認しておきたい。

利用目的の明確化と記録

企業情報APIで取得したデータの利用目的を事前に明確化し、社内で文書化しておくことが求められます。個人情報保護法第17条では、個人情報の利用目的をできる限り特定することが義務付けられています。法人情報であっても、データガバナンスの観点から利用目的を明確にしておくことが望ましいです。

具体的には、以下の項目を記録として残しておくべきです。

  • APIで取得するデータの種類と範囲
  • データの利用目的(営業リスト作成、与信管理・審査、市場分析など)
  • データのアクセス権限を持つ部署・担当者の範囲
  • データの保持期間と廃棄ルール
  • 第三者提供の有無と提供先の管理方法

データの第三者提供に関する規制

APIで取得した企業データを社外のパートナーや関連会社に共有する場合、第三者提供の規制に注意が必要です。個人情報に該当するデータ(代表者名等)を第三者に提供する際は、原則として本人の同意が必要となります。

ただし、委託・共同利用・事業承継に該当する場合は、第三者提供には当たりません。例えば、SalesNow APIで取得したデータを自社のSalesforceやHubSpotに連携する用途であれば、自社内の業務利用として問題ありません。

2026年改正法への対応

2026年の個人情報保護法改正では、以下の変更が予定されています。API利用企業は、改正内容を踏まえた運用体制の見直しが求められます。

改正項目 概要 API利用への影響
課徴金制度の導入 違反行為に対する金銭的制裁 データ管理体制の厳格化が必要
罰則の強化 悪質な違反への刑事罰強化 不適正利用の防止策の徹底
委託先管理の整理 委託元・委託先の責任分担明確化 API提供事業者との契約見直し
漏洩報告義務の見直し 報告対象・期限の調整 インシデント対応フローの更新

改正法の施行に先立ち、現行の運用体制を棚卸しし、不足している対策を特定しておくことが重要です。SalesNow APIは法改正の動向を踏まえたデータ品質・セキュリティ基準を維持しており、利用企業のコンプライアンス負荷を軽減する設計となっています。

プライバシーポリシー・利用規約の確認事項

プライバシーポリシーとは、企業が個人情報やデータの取り扱いに関する方針を明文化した文書を指します。企業情報APIを導入する際は、API提供事業者のプライバシーポリシーと利用規約を事前に精査し、自社の利用目的との整合性を確認する必要があります。

API提供事業者側のチェックポイント

API提供事業者の利用規約では、以下の項目を重点的に確認すべきです。確認漏れがあると、意図せず利用規約に違反するリスクがあります。

  • データの利用範囲:取得したデータの利用目的に制限がないか
  • 再配布・二次利用の可否:取得データを社外に提供できるか
  • データの保持期間:取得データの保存期限やキャッシュの制限があるか
  • SLA(サービスレベル合意):稼働率保証やレスポンスタイムの基準
  • インシデント対応:データ漏洩等の発生時における通知義務と対応フロー
  • 契約解除時のデータ処理:解約後のデータ削除義務の有無

自社のプライバシーポリシーへの反映

企業情報APIで取得したデータを自社のサービスやプロダクトで利用する場合、自社のプライバシーポリシーにもデータの取得元・利用目的を反映させる必要があります。特に、エンドユーザーに対してデータの出所を説明する義務がある場合には、プライバシーポリシーの更新が不可欠となります。

また、API経由で取得したデータをCRMに統合する場合は、CRM上での個人情報管理ポリシーとAPI利用ポリシーを統一的に管理することが望ましいです。SalesNow APIはSalesforceやHubSpotとの連携を前提とした設計になっており、導入手順の中でデータガバナンスの設定もガイドされています。

データ処理契約(DPA)の締結

個人情報を含むデータをAPI経由で取得・処理する場合、API提供事業者とのデータ処理契約(Data Processing Agreement)の締結を検討すべきです。DPAでは、データの処理目的、セキュリティ要件、データ侵害時の通知義務、契約終了時のデータ削除方法などを定めます。

特にEU域内の企業データを取り扱う場合はGDPR(一般データ保護規則)への対応も必要となるため、越境データ移転の条件をDPAに盛り込む必要があります。国内のみの利用であっても、DPAの締結によって双方の責任範囲が明確になり、トラブル発生時のリスクを軽減できます。

SalesNow APIのセキュリティ対策

SalesNow APIとは、国内1,400万件超の企業・組織データをAPI経由で安全に取得できる企業データプラットフォームを指します。CRM連携、データエンリッチメント、与信管理、市場分析など幅広い用途に対応しており、セキュリティとデータ品質の両面で信頼性の高い運用体制を整備しています。ROBOT PAYMENTの導入事例でも、SalesNowの企業データ活用によるセキュアなデータ運用が実践されています。

データ管理体制

SalesNow APIでは、法人番号を基準としたデータ管理を行っており、データの正確性と一意性を担保しています。日次230万件以上のデータ更新処理を実施し、100万件以上のデータソースから情報を収集・検証しています。データの鮮度と精度を維持するための多層的な品質管理プロセスが構築されています。

また、企業データベース収録件数No.1・法人網羅率No.1(※2025年10月期 企業データベースにおける市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構)の実績を持ち、データの網羅性においても高い水準を維持しています。

API通信のセキュリティ

SalesNow APIの通信は、以下のセキュリティ要件を満たしています。

  • TLS 1.2以上による全通信の暗号化
  • APIキー認証によるアクセス制御
  • レート制限による過負荷・不正リクエストの防止
  • アクセスログの記録と定期的な監視
  • IP制限オプションによる接続元の限定

これらの対策により、データの機密性・完全性・可用性(情報セキュリティの3要素)を確保しています。APIの料金体系と費用についてはカスタム見積りとなるため、セキュリティ要件を含めて個別にご相談いただけます。

コンプライアンスへの取り組み

SalesNowは、個人情報保護法をはじめとする国内の法令に準拠したデータ運用体制を構築しています。プライバシーポリシーの公開、オプトアウト申請の受付体制の整備、定期的なセキュリティ監査の実施など、包括的なコンプライアンス体制を維持しています。

API利用企業にとっては、データ提供元のコンプライアンス体制が自社のリスク管理に直結します。SalesNow APIを選択することで、データの信頼性とセキュリティの両面で安心して企業データの活用が可能となります。

実践事例:スマートドライブがセキュアなAPI連携でSalesforce上の企業情報を自動付与した取り組み

外部データとの連携でセキュリティ面の懸念があった

モビリティデータを活用したSaaSを提供するスマートドライブ(従業員104名)では、Salesforceに蓄積された顧客データの情報量を充実させるため外部データの取り込みを検討していましたが、セキュリティの担保が重要な判断要素でした。個人情報を含まない法人データに限定した連携ができるか、データの取り扱いポリシーが自社基準を満たすかが焦点となりました。

法人番号基準のSalesforce連携で安全にデータを自動付与

同社はSalesNowのSalesforce連携機能を採用し、法人番号をキーとした企業情報の自動付与を実装しました。連携されるデータは業種・従業員数・売上高・求人動向など、すべて公開法人情報に基づく項目であり、個人情報を一切含みません。Salesforceの標準セキュリティ機能と組み合わせることで、外部データの取り込みに伴うリスクを最小化しました。

セキュリティ基準を満たしながらデータ品質を向上

セキュアなAPI連携により、Salesforce上のデータ品質が向上し、ターゲティング精度の改善と営業効率の向上を同時に実現しました。企業情報APIのセキュリティ対策において、法人データに限定した連携と既存SFAのセキュリティ基盤を組み合わせるアプローチが有効であることを示した事例です。

まとめ

企業情報APIの導入にあたっては、個人情報保護とセキュリティ対策の両面から適切な準備が不可欠です。本記事のポイントを以下に整理します。

  • 法人情報と個人情報の区別:企業の基本情報は個人情報に該当しないが、代表者名・担当者情報が含まれる場合は個人情報保護法の対象となる
  • セキュリティ対策の5要素:TLS暗号化、認証・認可、レート制限、アクセスログ、APIキーのローテーションが基本
  • コンプライアンス対応:利用目的の明確化、第三者提供ルールの整備、2026年改正法への対応準備が必要
  • 利用規約の精査:API提供事業者の利用規約とプライバシーポリシーを事前に確認し、自社ポリシーとの整合性を担保する
  • 信頼できるAPI提供事業者の選定:データ品質・セキュリティ体制・コンプライアンスの3軸で評価する

SalesNow APIは、1,400万件超の企業・組織データを安全な環境で提供しており、個人情報保護法への対応とセキュリティ対策の両面で信頼できるデータパートナーとして活用できます。企業データのAPI連携を検討している方は、まずは資料をダウンロードしてSalesNow APIの詳細をご確認ください。

よくある質問

Q. 企業情報APIで取得できるデータは個人情報に該当しますか?

企業情報APIが提供する法人名・所在地・資本金・従業員数などの法人情報は、原則として個人情報保護法上の「個人情報」には該当しません。ただし、代表者名や担当者名など特定の個人を識別できる情報が含まれる場合は個人情報に該当するため、API提供事業者がどの範囲のデータを提供しているかを事前に確認することが重要です。SalesNow APIでは法人番号ベースの企業・組織データを提供しており、データの取り扱い範囲が明確に定義されています。

Q. 企業情報APIのセキュリティ対策として最低限必要なことは何ですか?

最低限必要なセキュリティ対策は、(1)TLS 1.2以上による通信の暗号化、(2)APIキーまたはOAuth 2.0による認証・認可、(3)レート制限の設定、(4)アクセスログの記録と監視、(5)APIキーの定期的なローテーションの5つです。これらを満たした上で、IP制限やWAFの導入など多層防御を構築することが推奨されます。

Q. 2026年の個人情報保護法改正はAPI利用にどう影響しますか?

2026年の改正では、課徴金制度の導入や罰則強化が検討されており、データの不適正利用に対する規制が強化される見込みです。API経由で取得したデータの利用目的の明確化や、委託先管理の厳格化が求められる可能性があります。特にデータの第三者提供や目的外利用については、より厳格な管理体制が必要になると見込まれます。

Q. 企業情報APIの選定時にセキュリティ面で確認すべきポイントは?

選定時には、(1)ISO 27001やSOC 2などのセキュリティ認証の取得状況、(2)データセンターの所在地と冗長構成、(3)SLA(稼働率保証)の内容、(4)インシデント発生時の通知・対応体制、(5)データの暗号化方式(通信時・保存時)を確認することをお勧めします。SalesNow APIは国内1,400万件超の企業データを安全な環境で提供しており、セキュリティ基準を満たした運用体制を整備しています。