【イベントレポート】パーソルグループ限定 オフラインイベント
〜SalesNow Data Intelligence vol.1 〜
営業活動において、顧客との商談時間よりも「事前の情報収集やリスト作成」に多くの時間を費やしているという課題が多くの企業で見られます。特に人材業界では、企業の採用ニーズを適切なタイミングで捉えることが受注の鍵となるため、データを活用した戦略的アプローチが競争優位の源泉となります。
そうした中、2025年8月27日に赤坂の「SOCIAL SPACE AKASAKA」で、パーソルグループ限定の営業DXイベント「Sales Data Intelligence vol.1」が開催されました。パーソルキャリア社、ベネッセi-キャリア社、パーソルクロステクノロジー社の営業マネジャーが登壇し、データ活用による営業生産性向上の具体的手法から失敗談まで、通常のセミナーでは聞けない本音トークが繰り広げられました。
本記事では、パーソルグループ内で開催されたクローズドイベントの内容をダイジェストでお届けします。
目次
- セールスフォース・ジャパンによる基調講演
- 【パネルディスカッション前半】現場が抱える営業課題と、データ活用による解決アプローチ
- 【パネルディスカッション後半】営業ツールの導入・運用の壁を乗り越える組織運営術
- 営業DX成功の共通パターンと実践的な学び
- まとめ
1. セールスフォース・ジャパンによる基調講演
本イベントでは基調講演として、セールスフォース・ジャパン社の村越氏・林氏から、Tableau※1を活用した次世代のデータ分析手法についてご紹介いただきました。TableauとAI企業データクラウド「SalesNow」※2を連携させることで、従来の営業活動では実現できなかった高度なデータ分析と、意思決定の支援が可能になります。
TableauとSalesNowの連携による革新的データ活用
主要なポイント:
- シームレス連携: Salesforce画面にTableauを埋め込み、複数ツールを行き来する手間を排除
- AI活用: Tableau Pulse※3による自然言語での質問(「応募率が下がっている要因は?」)に対し、職種・部門・業界別の寄与要因を自動分析
- リアルタイム分析: SalesNowの求人データと自社データを掛け合わせ、市場トレンドと個社要因を即座に判別
人材業界での3つの具体的ユースケース
1. RA(リクルーティングアドバイザー)向けの市況把握
大手エンタープライズ企業を担当する営業が訪問前に、自社の採用実績データとSalesNowの業界データを照らし合わせ、「採用数減少が自社固有の問題か、業界全体のトレンドか」を瞬時に判断できる仕組みを実現。
2. インサイドセールス向けターゲティング分析
従業員増減率(SalesNow)×自社採用増減率の相関分析により、「従業員は増えているが自社採用が伸び悩んでいる企業」を「注力顧客」として特定し、競合他社への流出リスクを可視化。
3. マネジメント向けAI活用
複数のKPIを統合分析し、「なぜ応募率が下がったのか」という質問に対して、データ横断的な要因分析結果を自然言語で回答する機能を提供。
※1 Tableau:セールスフォース・ジャパンが提供するデータ可視化・分析プラットフォーム。複雑なデータを直感的なダッシュボードやグラフで表示し、簡単にデータ分析を行うことができる。
※2 SalesNow:全国544万社を網羅した業界最大級の企業データベースクラウドサービス。AI技術を活用して企業情報を収集・分析し、営業活動の効率化と商談数の最大化を支援する。日々230万社のデータを更新し、100万件以上の情報ソースから最新の企業情報を提供している。
※3 Tableau Pulse:Tableauの新機能の一つで、自然言語でデータに質問すると、AIが自動的に分析結果を提供する機能。様々な質問に対して、データから要因を特定し、わかりやすい説明を生成。
2. 【パネルディスカッション前半】
現場が抱える営業課題と、データ活用による解決アプローチ
登壇者紹介
50〜60名規模の大型インサイドセールス組織を統括し、新規開拓や休眠顧客の掘り起こしを推進。
2025年4月に10〜15名規模のインサイドセールス組織を内製で立ち上げ。データの分散管理とツール間の連携に注力。
2024年4月開始の新規事業で8名の営業組織を統括。従来とは異なるターゲット層への効率的なアプローチ手法を開拓。
営業活動における情報収集の課題
ーー 皆さんの営業組織では、日常の営業活動でどのような課題を感じていましたか?
天口さん: 新規開拓で最も重要なのは事前準備、特に担当者探索が大きな課題でした。従来の手法では営業アプローチ前の情報収集に膨大な工数がかかってしまう。既に退職されていたり、何度架電してもつながらない、あるいは受付でブロックされてしまうケースも多く、肝心の商談フェーズまで到達するのが困難でした。結局「リストの上から順番にかける」という非戦略的なアプローチに陥ってしまい、どうしても量を追う戦略になってしまっていたんです。
江波さん: 私たちの場合は情報の分散管理が特に課題でした。Salesforceを導入していたものの、現場では「ExcelやGoogleスプレッドシートの方が楽」という理由で併用状態になっていて、情報が散らばってしまう。これでは営業ノウハウが蓄積されないし、チーム全体でのナレッジ共有ができないと感じていました。
布施さん: お二人の課題に加えて、私たちは新規事業特有の悩みがありました。既存の派遣顧客とは異なるターゲット層、具体的にはITスタートアップ企業をターゲットにしたかったのですが、業界情報や企業の採用動向の収集が全く追いつかない状況でした。求人媒体を一つひとつ確認しながら、1日1〜2時間かけて手作業でリサーチしていましたが、これでは営業活動の本質的な部分に時間を割けません。
データ活用による解決アプローチ
ーー そうした課題に対して、どのようなアプローチで解決を図られたのでしょうか?
天口さん: 営業活動のきっかけとなる企業のアクティビティ情報、特に求人掲載や移転などの情報をタイムリーに把握できるデータソースを探していました。SalesNowのアクティビティ機能では、大手求人媒体だけでなく、アルバイト情報やハローワークの求人まで幅広くカバーしており、これまで拾えていなかった企業の採用活動を可視化できる点が魅力でした。加えて、Salesforceに蓄積された膨大なハウスリストを有効活用したいという思いもありました。
布施さん: アクティビティ情報の活用は本当に重要ですね。私たちはSalesNowの「フリーワード詳細検索」を有効活用しています。「フリーランス人材を募集している企業」や「PythonやReactの言語で求人を行っている企業」を簡単に抽出できるようになったんです。これまで1日1〜2時間かけていた手作業のリサーチが大幅に効率化され、営業活動の質的な向上につながりました。また、業界や従業員数などの企業属性データが3,000区分以上に細分化されているため、非常に精度の高いターゲティングが可能になったことも大きな要因です。
江波さん: 私たちの場合はデータの一元化が最優先課題でした。Salesforceとの連携により、複数の画面を行き来する必要がなくなり、業界や従業員規模などの企業属性情報も自動同期される。これによってマーケット分析や多軸分析が格段に楽になり、営業メンバーのストレスも大幅に軽減されました。
企業動向をリアルタイムに検知して営業に活用
ーー 具体的に、企業のアクティビティ情報をどのように営業活動に活用されていますか?
江波さん: 求人情報が更新されたタイミングでSlack通知を設定し、「リクナビに出た瞬間に電話をかける」というオペレーションを確立しています。人材サービスでは適切なタイミングでのアプローチが受注を左右するため、このリアルタイム性は非常に価値があります。
天口さん: リアルタイム通知の仕組み、私たちも同様に活用しています。採用ニーズを検知して即架電するオペレーションが獲得に直結していますね。従来は企業HPや求人媒体の情報をもとに「採用されていますか?」とストレートに聞くスタイルでしたが、今は決算期や移転などの企業アクティビティ情報をもとに仮説を立てた会話ができるようになりました。お客様の関心や課題にフィットする話題で切り込めるため、会話の深さと広がりが圧倒的に変わりましたね。
布施さん:私たちはラベル機能を活用した戦略的な顧客管理を実践しています。担当者情報や注力企業にラベルを付与し、求人情報が更新された際に通知が飛ぶように設定することで、人材募集が始まったタイミングで即座にアプローチできる体制を構築しました。これにより商談の精度向上につながっています。
営業ツール導入初期の課題と改善
ーー 導入初期はどのような課題がありましたか?
江波さん: 複数ツールの同時導入による効果の切り分けの困難さが大きな課題となりました。SalesNowとSALESCORE※4を2025年4月に同時導入してしまったため、どちらがどの効果に寄与しているかの判別が非常に難しい状況になってしまって。来年訪れるツールの更新時期を考えると、ROIの説明方法を真剣に検討する必要があります。
天口さん: 江波さんの効果切り分けの課題、よくわかります。私たちも初期の活用率の低さは共通の課題でした。IT系の知見がある人が興味本位で使う程度で、初期段階では全体としては2〜3割程度の活用率にとどまっていました。
江波さん: 私たちの場合、比較的高い利用率をキープできていますが、それでも全員が使わないと情報の量と質が担保できないため、個別指導を徹底しました。Zoomで担当者が画面を一緒に見ながら「ここはこうやって入力するんだよ」という伴走支援を直接実施し、基本的な操作から丁寧にサポートしていきました。
布施さん: 江波さんの個別指導のアプローチ、とても参考になります。私たちの場合は人数がそれほど多くなかったので、メンバーとの対話を重視したアプローチを取りました。ツールにいろいろな機能があることを知ってもらって、営業活動での有効活用方法を一緒に見つけていく。使い慣れてもらうことで、自然と活用の幅が広がっていきました。
※4 SALESCORE:営業組織の「誰もが再現性をもって売れる」ことを目的としたセールスイネーブルメントSaaS。SFAと連携して営業データの集約・分析を行い、売上向上のエッセンスを特定。エクセルライクなUIでのデータ入力機能や、KPIの進捗をリアルタイム表示するダッシュボード機能を提供する。
データ活用による成果の実現
ーー 実際にどのような成果が出ましたか?
布施さん: ターゲティング精度の向上により有効商談率が約1.4倍に向上しました。業界や従業員数といった企業属性データと求人データを掛け合わせたターゲティングにより、より適切な企業にアプローチできるようになったことが要因です。また、AIが生成する事業概要文により、初めて聞く企業であっても瞬時に事業内容を把握できるため、1社あたりの情報収集時間が1時間から10分程度に短縮されました。
天口さん: 布施さんの成果、素晴らしいですね。私たちも同様に大きな改善が見られました。1人あたり月8時間、約1営業日分の工数削減につながり、商談化率も2倍近くになりました。これまでは10件架電して1〜2件つながれば良かったのが、現在では10件中3〜4件という状況です。「この企業のこの部署にかければ話ができる」という確度が高まったことで、受付ブロックの突破率も大幅に向上しています。
江波さん: 私たちの場合は失注顧客の再活性化にも大きな効果が出ています。一度商談したけれども受注に至らなかった企業に対して、SalesNowの部署情報を活用して「商談したときは駄目だったけれども、違う部署にかけてみる」というアプローチが現場で定着しており、新たな商談機会の創出につながっています。
3. 【パネルディスカッション後半】
営業ツールの導入・運用の壁を乗り越える組織運営術
コスト承認の厳格化への対応
ーー 最近はどの企業もコスト管理が厳しくなっていると思いますが、ツール導入時の社内調整はいかがでしたか?
江波さん: コスト承認プロセスの厳格化は本当に深刻な課題です。特に新しい組織でのツール導入では、比較データがない中で費用対効果を数値で証明するのは非常に困難な状況でした。
布施さん: 江波さんのお話、よくわかります。新規事業では投資対効果への説明責任が非常に重要になります。私たちのチームはこういったツール導入自体が初めてだったため、まず現場の困りごとを具体的に数値化し、他サービスとの機能比較表を詳細に作成しました。「直接アプローチできるリストをどれだけ効率的に作れるか」という観点で投資効果を説明し、承認を得ることができました。
天口さん: お二人のコスト管理の厳しさ、私たちも同様です。予算の制約に加えて、データ管理に関するコンプライアンス要件の整理が想像以上に大変でした。非常に細かい管理体制の構築が求められており、予算以上にこの部分での調整に時間を要しました。
組織への定着を成功させる実践的手法
ーー ツールを組織に定着させるための工夫について教えてください。
天口さん: 「使ったら褒める」文化の構築が効果的でした。ログイン数の多いメンバーを称賛し、成功事例をキャッチした瞬間に共有する。定例ミーティングでのアジェンダ化まではできていませんが、成果が出たタイミングでの即時共有を心がけることで、チーム全体のモチベーション向上につながっています。
布施さん: 天口さんの称賛文化のアプローチ、とても良いですね。私たちは業務フローに組み込むのが最も確実な方法だと感じています。商談履歴の入力フォーマットに「従業員数」「募集ポジション」を必須項目として設定しました。これらを調べるにはSalesNowを使うのが一番効率的なので、自然と使わざるを得ない環境を構築できます。月1回程度の振り返り会議で「なぜ入力されてないのか」を確認することで、継続的な定着を図っています。
江波さん: 布施さんの業務フロー組み込みの手法、ぜひ参考にさせていただきたいです。私たちは成功事例からの好循環創出を意識しています。メンバーの日報で「こんなアポが取れました」「こういう使い方ができました」という成功事例を重点的に褒め、それをベンダーにも報告して「他の会社も喜んでいる」という好循環を作っています。運用ルールを先に決めるのではなく、成功体験から自然に運用が生まれるアプローチを取っています。
ROI説明の現実的な課題と対処法
ーー ROIの測定や効果の説明については、どのように対処されていますか?
天口さん: 効果の実感を基にした説明を心がけています。様々な要因が重なって成果が向上する場合が多いですが、データ活用ツールの導入前後で明確に改善が見られた部分については、その貢献度を適切に評価して説明することが重要だと考えています。
江波さん: 天口さんのお考え、なるほどですね。私たちの場合、複数ツールの同時導入による効果切り分けは本当に頭の痛い問題です。来年3月の更新時期に向けて、どのようにROIを説明するかは大きな課題となっています。ただ、定量的な効果は確実に出ているので、そこを軸に説明していく予定です。
布施さん: お二人のお話を聞いていて、ROI説明の難しさは共通課題なんだなと思いました。私たちの場合は有効商談率の向上が最も説得力のある材料になっています。また、部署直通の連絡先情報による架電効率の向上は数値として明確に現れているため、これらの定量データを中心に効果を説明しています。今後はLinkedInなどのSNSデータ活用も検討しており、機能拡張による付加価値も説得材料として活用していく予定です。
Salesforce連携による業務効率化
ーー 江波さんの会社では、Salesforceとの連携を実現されていますが、実際の使い勝手はいかがですか?
江波さん: ワンプラットフォームでの業務完結が最大のメリットです。複数画面を行き来する必要がなくなり、企業属性情報も自動同期されるため、営業メンバーの作業ストレスが大幅に軽減されました。SalesNowとの自動連携により、業界や従業員規模などの情報が全てSalesforceに統合されるため、マーケット分析や多軸分析も非常に楽になりました。
4. 営業DX成功の共通パターンと実践的な学び
全社共通の成功要因
今回のパネルディスカッションを通じて、営業DX成功のための共通パターンが明確になりました。
1. リアルタイムアクティビティの戦略的活用
3社全てが「企業の動き検知→即座通知→タイムリー架電」のオペレーションを確立。人材業界では適切なタイミングでのアプローチが受注の鍵となるため、この仕組みが競争優位の源泉となっています。
2. 業務フローへの自然な組み込み
必須入力項目化による利用促進が特に効果的。推奨ベースではなく、業務上不可欠な仕組みとして組み込むことが定着の決定要因となります。
3. 成功体験の即座共有と称賛文化
日報活用や個別称賛など、成功事例を組織全体に波及させる文化作りが定着率向上に直結しています。
4. マネジャーの率先活用
マネジャー自身が率先してツールを使い、朝の企業動向情報を即座にチーム全体に共有する習慣が組織全体への浸透に重要な役割を果たしています。
初期活用率の課題と対処法
どの組織でも初期段階では、一部のメンバーを中心に活用が進んでいきます。これを解決するアプローチとしては、以下が有効です。
- 個別指導の徹底:Zoom画面共有による伴走型指導
- 成功体験の創出:リアルタイム情報共有による成果実感
- 業務フローへの埋め込み:必須作業化による自然な利用促進
- 称賛文化の構築:成果即座共有システムの構築
効果測定の現実的アプローチ
ROI証明の困難さは共通課題ですが、以下のような実用的な測定指標で各社対応していることがわかりました。
- 情報収集時間の短縮(月1営業日分の工数削減)
- 企業動向検知→架電のリードタイム短縮
- 有効商談率の向上(1.4倍、商談化率2倍などの実績)
- 失注顧客の再活性化率(部署別アプローチによる新規機会創出)
- 架電効率の質的改善(接続率・受付突破率の向上)
5. まとめ
今回はパーソルグループ限定のクローズドイベントということで、普段のオープンセミナーでは聞けない本音の話が多く飛び出しました。
特にパネルディスカッションでは、3社のマネジャーから営業現場の生々しい体験を語っていただき、「コスト承認が年々厳しくなっている」「Excelとの併用がなかなか止められない」といった現場のリアルな課題から、SalesNowのアクティビティ機能を使った即時架電の成功事例まで、幅広い生の声を聞くことができました。
3社とも求人情報の通知機能を核にした営業フローを作っている点は共通していましたが、段階的な導入や業務フローへの組み込みなど、アプローチ方法はそれぞれ違っており興味深かったです。
また、後半のワークショップと交流会では、参加者同士で具体的な課題や解決策について情報交換をされていました。グループ内だからこそ話せる内容も多く、参加者の皆さんの満足度が非常に高かったので、今後もこうしたイベントを定期的に開催できればと思います。
※本レポートは2025年8月27日開催のイベント内容を基に作成しています。