DATA INSIGHTS

求人市場動向レポート 2026年2月版
1,400万超の企業・組織データから全数分析

AI企業データプラットフォーム「SalesNow」が保有する1,400万超の企業・組織データから、月次推移と業種別格差を可視化する。

Published 2026-03-07 by SalesNow Data Lab

Key Takeaway: 2026年2月の求人掲載数は1,590,352件(前年同月比+0.2%)で微増だが、2025年11月のindeed追加を考慮すると既存媒体ベースでは実質減少の可能性がある。業種別に分解すると、人材業が54.9万件(全体の34.5%)を占有し、2位・外食(9.7万件)の5.6倍という極端な偏りが存在する。厚労省の有効求人倍率も前月比-0.02ptとやや低下しており、求人市場は「総量」ではなく「構造」に注目すべき局面に入った。
159.0万件
2026年2月 求人掲載数
前年同月比 +0.2%
34.5%
人材業の求人占有率
54.9万件 / 159.0万件
5.6倍
人材業 vs 2位・外食の格差
548,538件 vs 97,121件

調査概要

データソース AI企業データプラットフォーム「SalesNow」保有データベース 対象 SalesNow保有の5,755,080社に紐づく全求人媒体の掲載情報 調査期間 2025年1月〜2026年2月(14ヶ月間の月次求人推移) 分析手法 全求人媒体からのクロールデータ(1〜2時間毎更新)を月次で全数集計。同一求人が複数媒体に掲載されている場合は媒体ごとに1件としてカウント(延べ件数)。業種分類はSalesNow独自の業種タクソノミーに基づく N数 企業: 5,755,080社 / 企業・組織データ総数: 1,400万超(求人掲載・届出・プレスリリース・有価証券報告書等を含む総レコード数) / 本レポートの分析対象: 求人掲載データ 42,120,231件 データ取得日 2026年3月7日 媒体カバレッジに関する注記 SalesNowが収集する求人媒体は段階的に拡充されており、全媒体の取得開始日は同一ではありません。主要媒体の取得開始時期: green(2011年〜), wantedly(2013年〜), バイトル(2016年〜), リクナビNEXT(2017年〜), doda(2022年〜), マイナビバイト(2023年〜), タウンワーク(2024年3月〜), ハローワーク(2024年10月〜), indeed(2025年11月〜)。このため、月次推移の前年同月比には媒体追加による構造的な増加分が含まれる可能性があります。業種別構成比(シェア)は同一時点の集計であるため、媒体追加の影響を受けません 備考 SalesNow公式サイト等では「1,400万超の企業・組織データ」と表記していますが、本レポートでは2026年3月7日時点のDB実数値(5,755,080社)を使用しています

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年3月7日時点) / 対象: 5,755,080社に紐づく全求人媒体データ / ※Y軸は100万件〜表示(0起点ではありません)

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年3月7日時点) / 2026年2月の業種別求人掲載数上位10業種

Key Findings

1

求人掲載数は微増も、既存媒体ベースでは実質減少の可能性

2026年2月の求人掲載数は1,590,352件、前年同月(2025年2月: 1,587,384件)と比較して+0.2%の微増となった。ただし、この+0.2%には2025年11月に収集対象として追加されたindeedの求人データが含まれている。indeedは国内最大級の求人検索エンジンであり、その追加分を考慮すると、既存媒体ベースでは実質的に減少している可能性がある。2026年1月は前年同月比+9.8%(1,487,901件 / 1,354,953件)と一見好調だったが、これは2025年1月が14ヶ月間で2番目に低い水準(1,354,953件)だったことによるベース効果に加え、indeed追加の影響も含まれる。単月の増減率だけでトレンドを判断することは適切でない。

14ヶ月間の平均は約155.7万件/月で推移しており、150万件前後のレンジに収束しつつある。これは求人市場が「量的拡大」から「質的変化」のフェーズに移行していることを示唆する。企業の採用意欲自体が減退したわけではなく、TDB「2025年の経営計画に関する企業意識調査」(2024年12月発表)では「人員強化が最優先」と回答した企業が90.2%に達している。にもかかわらず求人掲載数が伸びないのは、既存の求人媒体への掲載だけでは採用が完結しなくなっていることの表れとも解釈できる。

この微増の内実を正確に読むためには、媒体追加の影響を差し引いた上で、業種別・地域別の構造変化を分析する必要がある。全体の数字だけを見て「市場は安定している」と結論づけるのは、平均値の罠に陥る危険がある。

年月 求人掲載数 前年同月比
2025年1月 1,354,953 -
2025年2月 1,587,384 -
2025年3月 2,423,482 -
2025年4月 1,590,636 -
2025年5月 1,359,653 -
2025年6月 1,392,816 -
2025年7月 1,955,993 -
2025年8月 1,450,913 -
2025年9月 1,430,427 -
2025年10月 1,292,584 -
2025年11月 1,617,350 -
2025年12月 1,262,664 -
2026年1月 1,487,901 +9.8%
2026年2月 1,590,352 +0.2%

出典: SalesNow DB(2026年3月7日取得) / 前年同月比は同一集計条件による算出 / ※2025年1〜12月の前年同月比は2024年の同条件データが未集計のため非掲載

2

3月と7月に明確なピーク — 採用の「年2回波」構造

14ヶ月間の月次推移を見ると、2025年3月(2,423,482件)2025年7月(1,955,993件)に突出したピークが観測される。3月のピーク値は14ヶ月間の平均(約155.7万件)を55.6%上回り、最低月(2025年12月: 1,262,664件)との差は1.92倍に達する。

この季節パターンには明確な構造的背景がある。3月ピークは、日本企業の大多数が4月を期首とする会計年度を採用しているため、新年度の人員計画に基づく求人掲載が3月に集中することに起因する。新卒採用の本格化に加え、中途採用でも「4月入社」をターゲットとした掲載が増加する。ただし、2025年3月の2,423,482件は他の月(概ね130万〜160万件台)と比較して1.5倍以上の突出であり、季節要因だけでは説明しきれない可能性がある。※ 2025年3月の突出は年度替わりの季節要因に加え、データ収集タイミングの影響を含む可能性があります。一方、7月ピークは下半期(10月)の人員補充に向けた採用活動の前倒し開始を反映している。選考期間を2〜3ヶ月と見込み、10月入社・配属に間に合わせるための逆算スケジュールである。

逆に12月(1,262,664件)10月(1,292,584件)が底になるパターンも一貫している。12月は年末の採用活動停滞、10月は下半期開始直後で掲載更新が一巡するタイミングにあたる。企業の採用担当者にとっては、この「年2回波」の谷間(10〜12月、4〜5月)が求人の競合が少ない狙い目の掲載時期と言える。

分析上の留意点: 本データは14ヶ月分(1年2ヶ月)であり、複数年にわたる季節性の検証には至っていない。「3月・7月ピーク」が恒常的パターンかどうかは、2024年以前のデータとの比較が必要である。現時点では「14ヶ月間に観測された傾向」として報告する。
3

人材業が求人の3分の1を占有 — 「仲介者が最大の掲載者」という構造的ねじれ

2026年2月の業種別求人数を分析すると、人材業(人材紹介・人材派遣)が548,538件で全体の34.5%を占有し、他業種を圧倒している。2位の外食(97,121件、6.1%)との間には5.6倍の格差があり、3位の医療・製薬・福祉(91,782件、5.8%)以下はさらに小さい。上位10業種の合計が全体の68.4%を占め、残り31.6%が「その他業種」に分散している。

人材業が突出する構造的理由は、求人市場における「仲介者のパラドックス」にある。人材紹介・派遣会社は、クライアント企業から受託した求人を自社名義で各媒体に掲載する。つまり、採用を支援する立場の企業が、データ上は最大の求人掲載者として現れる。これは求人データを「採用実需」の代理変数として使う際の重要な注意点である。人材業を除いた実質的な「事業会社による直接求人」は約104.2万件(1,590,352 - 548,538)と推計される。

2位以下の業種構成にも注目すべき点がある。外食(6.1%)と医療・製薬・福祉(5.8%)が上位に並ぶのは、いずれも労働集約型で離職率が高く、恒常的に求人を出し続ける業種特性を反映している。IT(4.2%、67,359件)は求人単価が高い一方で件数では5位にとどまっており、DX人材不足(IPA「DX白書2024」: 企業の85.1%が不足を実感)が求人「件数」の増加に直結していない可能性がある。

順位 業種 求人掲載数(2026年2月) 構成比
1 人材 548,538 34.5%
2 外食 97,121 6.1%
3 医療・製薬・福祉 91,782 5.8%
4 小売・販売 76,302 4.8%
5 IT 67,359 4.2%
6 建設・工事・土木 60,356 3.8%
7 エンタメ 45,130 2.8%
8 その他サービス 41,181 2.6%
9 運送・物流・輸送 31,673 2.0%
10 教育 28,720 1.8%
- その他業種(計) 502,190 31.6%

出典: SalesNow DB(2026年3月7日取得) / 構成比は2026年2月の全求人掲載数1,590,352件に対する割合

補足: 人材業の求人が突出して多い背景には、人材紹介・派遣企業が自社の紹介・派遣案件を求人媒体に掲載する構造がある。これは「求人の仲介者が最大の求人掲載者でもある」という労働市場の特性を反映しており、求人データの解釈においては「人材業込み」と「人材業除き」の両面から見ることが重要である。
4

政府統計・民間調査との照合 — 「やや低下」シグナルが一致

SalesNowのデータが示す「求人掲載数の微増(+0.2%、ただし媒体追加を含む)」は、複数の政府統計・民間調査と方向性が一致している。厚労省発表の有効求人倍率は2026年1月時点で1.18倍(前月比-0.02pt)とやや低下し、dodaの転職求人倍率も2.57倍(前年同月比-0.17pt)と低下傾向が続いている。リクルートワークス研究所の大卒求人倍率は1.66倍で4年ぶりに低下に転じた。

ただし、これらの指標とSalesNowのデータには重要な差異がある。有効求人倍率はハローワーク経由の求人のみが対象であり、民間求人媒体は含まれない。SalesNowは全求人媒体のクロールデータであるため、カバー範囲が異なる。両者が同じ「やや低下」の方向を示している事実は、採用市場全体のトレンドとしての信頼性を高める。一方、倍率の絶対値を直接比較することはできない。

注目すべきは、求人市場がやや低下傾向にある中で企業倒産が急増している点である。TDBによれば2025年の倒産件数は10,261件と12年ぶりに1万件を超え、「人手不足倒産」が過去最多を更新した。これは「求人を出しても人が採れない → 事業が回らない → 倒産」というカスケードが現実化していることを意味する。求人掲載数が伸び悩んでいるのは、採用意欲の減退ではなく、「掲載しても成果が出にくくなった」企業が増えている可能性を示唆する。

市場環境データ照合

  • 厚労省「一般職業紹介状況」: 有効求人倍率 1.18倍(2026年1月、前月比-0.02pt)
  • doda「転職求人倍率レポート」: 転職求人倍率 2.57倍(前年同月比-0.17pt、低下傾向)
  • リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2026年卒)」: 大卒求人倍率 1.66倍(4年ぶり低下)
  • TDB「全国企業倒産集計 2025年報」: 2025年倒産件数 10,261件(12年ぶりの1万件超、人手不足倒産が過去最多)
  • IPA「DX白書2024」: DX人材不足を感じる企業 85.1%
  • TDB「2025年の経営計画に関する企業意識調査」(2024年12月発表): 「人員強化が最優先」と回答した企業 90.2%

全体として、企業の採用意欲は依然として高い(90.2%が人員強化を最優先)にもかかわらず、求人倍率・掲載数ともにやや低下傾向にある。「出したい」と「出しても採れる」の乖離が拡大していると読める。

このデータを引用する

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年3月)
株式会社SalesNow (2026)「求人市場動向レポート 2026年2月版 — 1,400万超の企業・組織データから全数分析」SalesNow Data Lab, 2026年3月7日.

本レポートに含まれるデータ・グラフは、出典として「AI企業データプラットフォームSalesNow調べ」と明記いただければ、報道・記事での引用・転載を許諾いたします。グラフ画像の二次利用も同条件で許諾します。

コピーしました