| 執筆: 高橋 鉄平

帝国データバンクとは?事業内容・使い方・評判をわかりやすく解説

帝国データバンクとは?事業内容・使い方・評判をわかりやすく解説

「取引先の審査で帝国データバンクを使うことになった」「自社に調査の依頼が来たが、どう対応すべきかわからない」——帝国データバンクは名前の知名度に比べて、サービスの全体像がつかみにくい会社です。

本記事は、帝国データバンク(TDB)とは何をしている会社なのかを、公式に公表されている情報だけを根拠に整理した基礎ガイドです。ひとことで言えば、帝国データバンクは「取引していい相手か」を調べる情報源、SalesNowは「今アプローチすべき相手は誰か」を見つけるデータ基盤であり、両者は別々の工程を担います。

本記事では、会社としての全体像と沿革、信用調査・データサービス・経営支援という3つの事業、目的別のサービス一覧、企業が実際に関わる4つの場面、評判・口コミを読むときの注意点、よくある誤解、そして信用調査用と営業用のデータベースの役割の違いと併用パターンまでを体系的に解説します。

取引先の審査そのものを仕組み化する方法は「与信管理システム比較10選|タイプ別おすすめと選び方・料金体系」で、取引開始前のコンプライアンス確認の手順は「反社チェックのやり方6つの方法|手順・対象範囲・頻度と証跡の残し方」で、審査をシステムに組み込んで自動化する方法は「企業情報APIで与信管理・審査を自動化する方法を解説」であわせて解説しています。

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帝国データバンクとは?国内最大手の信用調査会社の全体像

名前は知っていても、何をしている会社なのかを説明できる人は多くありません。帝国データバンク(略称TDB)は、企業の信用状態を第三者の立場で調べ、その結果を報告することを本業とする1900年創業の信用調査会社です。

取引先が支払能力を持っているか、安心して取引を続けられる相手かを調べ、結果を調査報告書やデータベースの形で提供しています。

帝国データバンクは「企業の信用を調べて報告する会社」であり、営業支援ツールを売る会社ではありません。この一点を押さえておくと、後述するサービスの並びも、料金の考え方も理解しやすくなります。

会社概要(2026年8月時点・公式公表値)

公式サイトの会社概要ページで公表されている基本情報は次の通りです。信用調査会社という業態上、自社の情報も詳細に開示されています。

項目内容
商号株式会社帝国データバンク(TEIKOKU DATABANK, LTD.)
創業1900(明治33)年3月3日
設立1987(昭和62)年7月13日
代表者後藤 健夫
資本金9,000万円
売上高583億円(2025年9月期)
従業員数3,300名(うち調査取材部門1,700名)
事業所全国83カ所
本社東京都港区南青山2-5-20
法人番号7010401018377
営業商品企業信用調査、信用リスク管理サービス、データベースサービス、マーケティングサービス、電子商取引サポートサービス、出版
取引先一般企業、政府官公庁、自治体

出典: 株式会社帝国データバンク「会社概要」(2026年8月時点)

注目すべきは従業員構成です。総従業員3,300名のうち1,700名、つまり約半数が調査取材部門に所属しています。データを機械的に収集する会社ではなく、人が企業を訪問して情報を取ってくることを事業の中心に据えていることが、この数字から読み取れます。

1900年創業|日本の信用調査業とともに歩んできた歴史

帝国データバンクの前身は、1900年に後藤武夫が創業した「帝国興信社」です。1902年に「帝国興信所」へ改称し、1981年に現在の「帝国データバンク」へと社名を変更しました。信用調査という業態が日本に定着していく過程そのものを、社史がなぞっている格好です。

出来事
1900年後藤武夫が帝国興信社を創業
1902年帝国興信所に改称
1908年『帝国信用録』創刊
1913年信用調査報告書の様式を統一
1958年評点を導入
1964年全国企業倒産集計の月次発表を開始
1973年データベースサービスを開始
1981年帝国データバンクへ社名変更
1988年オンライン企業情報サービス「COSMOSNET」開始
2007年帝国データバンク史料館を開館

出典: 株式会社帝国データバンク「帝国データバンクの歴史」(2026年8月時点)

1958年の評点導入と1964年の倒産集計の月次発表開始は、今日まで続く2つの看板の起点です。前者は取引判断の共通言語を、後者は経済統計としての存在感を生みました。1973年にはすでにデータベースサービスを開始しており、企業情報をデータとして流通させる発想は50年以上の蓄積があることになります。

公表されている規模と網羅性

公式サイトの「数字でみる帝国データバンク」では、事業規模を示す数値が公開されています。市場シェアは60%、日本企業のデータ網羅率は70%、把握している企業間取引データは1,500万、海外企業のデータ件数は6億件とされています。国内の事業所は83カ所で、47都道府県すべてに拠点を持つ体制です。

これらはいずれも同社が自ら公表している数値であり、第三者機関による測定値ではない点は理解しておく必要があります。ただし、調査取材部門に1,700名を配置し、全国83拠点を維持しているという構造そのものが、他社が短期間で模倣しにくい参入障壁になっていることは事実として指摘できます。

もう1社の大手である東京商工リサーチとの拠点網・データ・公表統計の違いは「東京商工リサーチとは?帝国データバンクとの違いと使い分けを解説」で解説しています。

帝国データバンクの3つの事業|信用調査・データサービス・経営支援

サービス名を先に覚えようとすると混乱します。まず「事業が3本に分かれている」という骨格から入ると、個々の商品の位置づけが一気に整理されます。帝国データバンクは公式に、事業内容を信用調査・データサービス・経営支援の3つに区分しています。

事業内容主な利用部門
信用調査依頼を受けて調査員が企業を訪問し、定量・定性の両面から調べて調査報告書にまとめる与信管理・審査・購買
データサービス調査で得た情報をデータベース化し、ファイルやWebサービス、APIの形で提供する与信管理・情報システム・マーケティング
経営支援データを使った分析・コンサルティング、研修、認証・証明サービスなどを提供する経営企画・総務

信用調査|「現地現認」を掲げた訪問調査

信用調査とは、取引の可否や条件を判断するために、対象企業の実態を第三者が調べて報告する業務を指します。帝国データバンクはこの調査において「現地現認」というポリシーを掲げ、調査員が現地に赴いて直接確認した情報を提供することを明示しています。

全国47都道府県に83カ所の事業所を配置しているのは、この訪問体制を支えるためです。

調査報告書には、決算などの定量情報だけでなく、事業内容や特色、業界における位置づけ、代表者の経営力といった定性情報が含まれます。公的な商業登記簿の情報、入手できた決算書、そして同社が蓄積してきた過去データを総合して分析する構成です。

数字だけでは見えない「その会社がどういう会社か」を言語化して残す点が、公開情報の集約とは決定的に異なります。

調査は依頼を受けてから実施されるため、結果が出るまでには相応の日数がかかります。急ぎの取引判断に間に合わせたい場合は、過去に作成済みの報告書を取り寄せる方法も用意されています。調査を依頼する側・受ける側それぞれの実務については、公式サイトの信用調査事業のページで説明されています。

依頼の手続きと費用の内訳、調査の訪問連絡を受けた側の対応は「帝国データバンクの信用調査とは?依頼の流れ・費用と調査を受けた側の対応」で解説しています。

データサービス|調査結果をデータベース化して提供する

データサービスとは、信用調査で得た情報をデータベース化し、企業が自社のシステムや業務で使える形にして提供する事業を指します。公式サイトでは、全国企業への直接訪問調査で得た「約100近い調査項目」をデータ化していると説明されており、公開情報のみを収集した情報源との違いをここに置いています。

提供形態は大きく3つに分かれます。データファイルとして一括で受け取る形(COSMOS2などのデータベース商品)、Webサービスにログインして1社ずつ照会する形(COSMOSNETなど)、そして自社システムから呼び出すAPI連携の形です。

同じ元データでも、どの形で受け取るかによって費用も運用も変わります。

データサービスには、調査データを加工した独自指標も含まれます。倒産予測値、休廃業予測モデルQP、売上成長性予測値SP、実質的支配者データ、商流圏、取引シェア推計データなどが公式のラインナップに並びます。単なる企業名簿ではなく、判断の材料になる指標まで作り込んでいる点が特徴です。

経営支援|分析・研修・認証まで

経営支援は、データと調査ノウハウを応用したサービス群です。取引先ポートフォリオ分析、財務分析サービス、コンサルティング、与信管理の研修・育成プログラムのほか、TDBサーバ証明書発行サービスやTDB電子認証サービスTypeAといった電子商取引の基盤サービスも含まれます。

信用調査会社がなぜ電子証明書を発行しているのかは一見わかりにくいところですが、「実在する法人であることを第三者として確認する」という機能は、信用調査と本質的に同じです。事業の広がりは、この「第三者確認」という軸で一貫していると理解すると腑に落ちます。

帝国データバンクの主なサービス一覧|目的別にできることを整理

サービス名は数十にのぼるため、名前から入ると迷子になります。ここでは「何をしたいか」から逆引きできる形で、代表的なサービスを整理します。

やりたいこと主なサービス概要
1社を深く調べる企業信用調査調査員が訪問して調査報告書を作成する。海外企業向けの調査も用意されている
Webで1社ずつ照会するCOSMOSNET調査報告書や企業概要、決算、倒産情報などをインターネット経由で閲覧する会員制サービス
取引先を継続監視するC-モニタリング/SAFETY登録した取引先の情報更新や変化を継続的に捕捉する
大量の企業データを持つCOSMOS2/COSMOS1企業概要と財務のデータベース。ファイル単位で自社に取り込んで利用する
グループ関係を調べるC-tree親会社・子会社の連結関係を把握するためのデータベース
新設法人を追うENTRY新規に設立された企業の情報を提供する
自社システムに連携するCOSMOSNET APIサービス/DataDrive企業データを自社システムから呼び出す、または運用を委託する
海外企業を調べるOrbis/海外企業信用調査グローバル企業情報データベースと、現地調査会社による報告書
1社だけ手軽に見るTDB企業サーチWeb上で企業を検索し、企業概要を単発で購入できる
市況・業界を把握する倒産速報/景気動向調査/業界レポート公式サイトで公開されるレポート群。無料で読めるものが多い

出典: 株式会社帝国データバンク「サービス一覧」(2026年8月時点)

企業概要データベース COSMOS2

COSMOS2とは、全国全業種の企業情報を収録した帝国データバンクの企業概要データベースを指します。公式サイトによれば、年に1回以上のメンテナンスを実施した企業情報151万社を収録し、信用度・業績・業種・所在地などの条件で企業をリストアップできます。

収録内容はファイル単位で分かれており、企業概要ファイル(商号・所在地・電話番号・業種・資本金・株主・仕入先・得意先・評点など)のほか、事業所ファイル、倒産ファイル、学校ファイル、病院ファイル、英文企業概要ファイル、上場区分ファイルなどが用意されています。

与信管理だけでなく、顧客管理の基礎データや営業リストの母集団としても使われるデータベースです。

TDB企業サーチと「評点」

TDB企業サーチは、契約なしでも使える入口にあたるサービスです。

企業コード・企業名・住所・業種などを検索でき、インターネット決算公告サービスに掲載中の企業については、決算公告や開示情報(企業コード、企業名、住所、電話番号、ホームページURL、代表者名、PRメッセージ)を無料で閲覧できます。

加えて、所在地・代表者・従業員数・業績など約20項目を収録した「TDB会社情報」を、1社500円(税込)で単発購入できます。

企業データに付与される「評点」は、企業の信用度を100点満点で点数化した指標です。公式サイトでは、9項目の信用要素から信用度を点数化したものと説明されています。

取引可否や与信限度額を検討する際の共通の物差しとして、金融機関や事業会社の審査部門で広く参照されています。点数の目安や評価項目の内訳は「帝国データバンクの評点とは?100点満点の見方・目安・評価項目」で解説しています。

無料で読めるレポート群

帝国データバンクは、企業向けの有料サービスとは別に、公式サイトで多くのレポートを無料公開しています。代表的なものが、1964年から続く全国企業倒産集計と倒産速報、そして景気動向調査です。景気動向調査は全国2万社超の企業を対象にした独自の景況感アンケートで、毎月結果が公表されています。

物価・価格動向、雇用・人材、休廃業、業界の動向と展望といったテーマ別のレポートも継続的に公開されており、市場環境を把握する二次情報として契約なしで参照できます。営業企画やマーケティングの立場でまず触れるのは、この無料レポート群であることが多いはずです。

帝国データバンクの使い方|企業が関わる4つの場面

ここからは「自社は帝国データバンクとどう関わるのか」という視点に切り替えます。関わり方は、大きく4つの場面に整理できます。自社がどの立場にいるかで、必要なサービスも費用感もまったく変わります。

場面立場使うサービスと押さえどころ
①取引先を審査する依頼する側企業信用調査・COSMOSNET・評点。取引開始前と条件見直し時に使う
②調査を受ける調べられる側調査員の取材に応じるかを判断する。回答内容が評点や掲載情報に反映される
③市場を調べる情報の読み手倒産集計・景気動向調査・業界レポート。無料で読めるものが多い
④データを業務で使うデータ利用者COSMOS2・API・DataDrive。自社システムやリストに取り込む

①取引先を審査するとき(依頼する側)

もっとも典型的なのは、新規取引の開始前や取引条件の見直し時に、相手企業の信用状態を確認する場面です。まずWebサービスで蓄積済みの企業概要と評点を確認し、判断がつかない場合や金額が大きい場合に個別の調査を依頼する、という二段構えが基本形になります。

ここで押さえておきたいのは、調査には日数がかかるという性質です。取引の話が具体化してから依頼したのでは、意思決定に間に合わないことがあります。

審査プロセスの設計段階で、どの金額・どの条件のときに調査を依頼するのかをルールとして決めておくと、現場が止まりません。

取引先の審査そのものを仕組みとして設計する方法は「与信管理システム比較10選|タイプ別おすすめと選び方・料金体系」で詳しく解説しています。

②自社が調査を受けるとき(調べられる側)

取引先や金融機関からの依頼を受けて、自社に調査員が訪問してくることがあります。この場合、自社は「顧客」ではなく「調査対象」です。取材への協力は法律上の義務ではありませんが、回答した内容や提出した資料は、その後に第三者が閲覧する企業情報の元データになります。

実務的な論点は、どこまで開示するかの線引きです。決算書や取引条件は自社の機微情報でもあるため、社内で開示範囲の方針を決めておかないと、担当者の判断で情報の粒度がぶれます。

逆に、開示できる範囲で丁寧に説明したほうが、実態に近い情報が残るという側面もあります。取材の受け方や事前準備の考え方は、公式サイトの案内も確認したうえで、自社の方針として文書化しておくのが安全です。

③市場・業界を調べるとき(無料レポートの活用)

契約がなくても使えるのが、先ほど挙げた無料公開のレポート群です。この立場で押さえるべきなのは、「どう読み、どう引用するか」の作法です。

営業やマーケティングの企画資料に外部データを引くとき、この無料レポートは有力な選択肢です。ただし引用する際は、調査対象・調査時点・集計方法を必ず明記してください。

「帝国データバンク調べ」とだけ書いて数字を出すと、母集団が読者に伝わらず、社内外での議論がかみ合わなくなります。

景気動向調査であれば「全国2万社超を対象とした景況感アンケート」であること、倒産集計であれば集計対象となる倒産の定義まで含めて添えるのが安全です。

④データを業務システムやリストに使うとき

4つ目が、データそのものを自社の業務に取り込む使い方です。COSMOS2のようなデータベース商品をファイルで受け取って社内システムに取り込む、APIサービスで必要なタイミングだけ照会する、あるいはDataDriveのようにデータ運用そのものを委託する、といった選択肢があります。

この使い方では、費用よりも先に「更新の粒度」を確認することが重要です。調査ベースのデータは網羅性と正確性を重視した設計であり、日次で変化を追う用途とは前提が異なります。自社がデータに求めるのが「正確さ」なのか「速さ」なのかを先に決めておかないと、導入後に期待とのずれが表面化します。

4つの場面に共通する費用の考え方

料金体系は、大きく「無料で読めるレポート」「1社単位の単発購入」「会員制のWebサービス」「データベース商品・調査の個別見積」の4層に分かれます。

入口はTDB企業サーチのTDB会社情報(1社500円・税込)で、そこから継続利用や大量利用に進むと、利用量に応じた契約形態に移ります。

詳細な料金や無料でできることの範囲は、公式サイトの各サービスページで最新の条件を確認してください。

ルート別の公式料金と、無料で確認できる範囲の線引きは「帝国データバンクの料金と無料でできること|公式料金表・500円の中身・個人利用の可否」で解説しています。

審査の前提となる取引先マスタ側の重複や情報の欠落が気になる方は、SalesNowのサービス資料 をご覧ください。1,400万件超の企業・組織データと独自のJCコードを基準とした名寄せ・情報付与で、社内に散らばった取引先情報をそろえる方法を解説しています。

帝国データバンクの評判・口コミはどう読むか|公開情報からわかること

「帝国データバンク 評判」と検索する人の関心は、実際には3方向に分かれています。サービスの利用者としての評価、調査を受ける側としての対応可否、そして情報源としての信頼性です。ここでは出典を確認できる公開情報だけを材料に、それぞれを整理します。

公式が公表している規模・網羅性の数値

評判を検討する土台として、まず一次情報にあたる自社公表値を確認します。公式サイトでは市場シェア60%、日本企業のデータ網羅率70%、企業間取引データ1,500万、海外企業データ6億件という数値が公開されています。冒頭で触れた調査体制の規模も、同じページで公表されているものです。

これらは自社公表値であり、独立した第三者による検証値ではありません。評判を判断する際は「同社が主張する規模」と位置づけたうえで、後述する外部での採用実績と合わせて読むのが妥当です。

公的資料での採用状況

外部から検証しやすい評価軸が、公的資料での採用実績です。中小企業庁が公開している「2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」では、複数の図表の資料出典として、株式会社帝国データバンクが実施した「令和7年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」が用いられています。

政策検討の基礎資料に調査結果が使われているという事実は、単なる知名度とは別種の信頼性を示します。会社概要で取引先に「政府官公庁、自治体」が明記されていることとも整合します。

出典: 中小企業庁「2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」(2026年8月時点で確認)

レビューサイトの情報は母数を確認してから読む

BtoBのレビューサイトでは、帝国データバンクのWebサービスも掲載対象になっています。ITreviewでは「COSMOSNET」が企業データベースのカテゴリに掲載されていますが、投稿件数はごく少数にとどまります。レビュー件数が一桁のスコアは、傾向として扱えません。

与信管理や信用調査の領域は、利用部門が限られ、契約内容も個社ごとに異なるため、そもそも公開レビューが集まりにくい構造にあります。

星の数を根拠に良し悪しを判断するのではなく、自社の利用目的(何社を、どの頻度で、どこまで深く調べたいのか)に照らして、必要な機能が提供されているかを個別に確認するほうが確実です。

調査を受ける側から見た論点

もう一方の評判、つまり「調査に応じるべきか」という論点は、良し悪しの話ではなく、方針決定の問題です。

取材に協力すれば実態に即した情報が残りやすくなり、協力しなければ、限られた公開情報だけをもとに企業像が構成されます。どちらを選ぶにせよ、対応を担当者の判断に任せず、社内ルールとして決めておくことが実務上の答えになります。

なお、検索結果には従業員の待遇や採用に関する口コミサイトも混在しますが、これらは企業としての労働環境の話であり、サービスの品質評価とは別の情報です。取引判断の材料を探しているのであれば、混同しないよう情報源を分けて読む必要があります。

帝国データバンクをめぐるよくある誤解3つ

評判の読み方と並んで、判断を狂わせるのが前提の思い込みです。実務の相談を受けていると、同じところでつまずくケースが繰り返し出てきます。ここでは特に多い3つの誤解を、事実に照らして解いておきます。

誤解1:無料ですべての企業情報が見られる

公式サイトで無料公開されているのは、統計・レポート類と、TDB企業サーチにおける基本的な検索結果・開示情報です。開示情報はインターネット決算公告サービスに掲載中の企業に限られるため、任意の企業について詳細を無料で見られるわけではありません。

企業概要は1社500円(税込)の単発購入、詳細な調査報告書は個別の依頼という整理になります。

「無料で調べられる」と聞いて期待値が上がったまま実務に入ると、必要な情報にたどり着けずに時間を失います。無料で確認できるのは実在確認と基本属性の範囲、と割り切っておくのが正確です。

誤解2:評点が高い企業=営業で狙うべき企業

評点は企業の信用度、つまり「安全に取引できるか」を示す指標です。信用度が高いことと、自社の商材を今買う可能性が高いことは、まったく別の話です。

財務が安定した老舗企業は評点が高く出やすい一方で、新しい投資には慎重かもしれません。逆に、設立から日が浅く評点が付きにくい企業が、拡大投資の真っ最中ということもあります。

評点は与信の物差しとして設計された指標であり、営業の優先順位付けに転用すると判断を誤ります。営業側で見るべきは、従業員数の増減、求人の出稿、資金調達やサービス開始のニュースといった、企業が今どう動いているかを示すシグナルです。

誤解3:企業データベースがあれば営業もできる

企業データベースを導入すれば営業リストが完成する、という理解も実態とずれています。与信目的のデータベースは、法人単位で正確な属性を持つことに主眼が置かれています。一方、営業で必要になるのは、どの部署の誰に、どのタイミングで、どの番号にかけるのかという情報です。

どちらが優れているという話ではありません。何のために集められたデータなのかが違うだけです。この違いは次のセクションで、比較表を使って詳しく整理します。

信用調査のデータベースと営業用データベースは役割が違う

ここが本記事でもっとも実務的な論点です。信用調査のデータベースと営業活動用のデータベースは、競合ではなく、担当する工程が違います。同じ「企業データベース」という言葉で括られるために混同されがちですが、設計の出発点がそもそも異なります。

観点信用調査系のデータベース営業活動用のデータベース
主な目的取引していい相手かを判断する今アプローチすべき相手を見つける
問いの立て方この会社は支払えるかこの会社は今動いているか
収録の単位法人単位。正確性を最優先に構築する法人に加えて組織・部署単位まで持つ
重視する情報財務・沿革・代表者・取引条件・信用度部署直通の連絡先・組織図・求人・ニュース
更新の考え方調査に基づく定期更新。正確性を優先する変化の検知を優先し、高頻度で更新する
主な利用部門与信管理・審査・購買・経営企画営業・インサイドセールス・マーケティング

「正確性」と「鮮度」はトレードオフになりやすい

調査員が訪問して確認した情報は精度が高い一方、全国の全企業を毎月訪問することは物理的に不可能です。そのため、調査ベースのデータベースは「正確だが更新間隔が長い」という特性を持ちます。COSMOS2について公式が「年に1回以上のメンテナンス」と説明しているのは、この設計思想の表れです。

一方、営業活動で必要な情報は変化が速いものばかりです。担当者は異動し、部署は再編され、採用の動きは数週間で変わります。営業用のデータベースが更新頻度を最優先に設計されるのは、鮮度が落ちた瞬間に価値がゼロになる情報を扱っているからです。

SalesNowは国内1,400万件超の企業・組織データを収録し、日次230万件以上の更新を行っています。データソースは100万件以上にのぼり、企業の基本情報だけでなく、従業員数の推移、求人の出稿状況、ニュース・プレスリリースといった活動シグナルまでを継続的に取得しています。

出典: SalesNow公式サービス情報(2026年8月時点)

どちらか一方では埋まらない情報がある

取引先の与信を判断するのに、求人の出稿状況だけでは足りません。反対に、アポイントを取るのに評点だけを見ても、誰に電話をかければよいかはわかりません。与信の問いと営業の問いは、必要なデータの粒度が違います。

実務では、この2つを別々のシステムで持ちながら、同じ企業を指していることが認識できない状態が頻繁に起こります。審査部門が「A商事株式会社」として管理している会社を、営業部門が「株式会社エー商事」として持っている、といった具合です。次のセクションでは、この分断を前提にした併用の設計を説明します。

与信と営業をつなぐ実務フロー|どの工程でどちらを使うか

役割が違うとわかっても、実務では「結局どの順番で何を使うのか」が決まらないと動けません。ここでは、新規開拓から取引開始後までの流れを4工程に分け、それぞれで参照すべき情報源を整理します。

工程やること主に使う情報源
1ターゲットを決める営業用データベース(業種・規模・所在地・活動シグナルで母集団を作る)
2アプローチする営業用データベース(部署・担当者・直通連絡先)
3取引開始前に審査する信用調査(評点・調査報告書)+反社チェック
4取引開始後に監視する信用調査系のモニタリング+与信管理システム

工程1:ターゲットを決める

商談につながる可能性の高い企業群を絞り込む工程です。ここで信用調査データを主軸に据えると、母集団が「安全な会社」に偏ります。安全性と購買意欲は別の軸だからです。この段階では、業種・規模・地域といった静的な属性に、企業の動きを示す変化のシグナルを掛け合わせて母集団を作ります。

母集団の作り方そのものを検討している段階であれば、カテゴリ全体を見比べられる「企業データベース比較12選【2026年最新】目的別おすすめ・選び方・比較表付き」も参考になります。

工程2:アプローチする

リストができたら、次は誰に接触するかです。代表電話にかけて取り次いでもらう方法は、受付での離脱率が高く、担当者にたどり着く前に工数を消費します。部署直通の番号や組織図があると、この工程の歩留まりが大きく変わります。

ベルシステム24では、部署直通電話番号付きの営業リストを整備したことで商談獲得率が173%増、営業生産性が20〜30%向上しました。

工程3:取引開始前に審査する

商談が進み、契約が視野に入った段階で初めて、信用調査の出番が来ます。ここが帝国データバンクのようなサービスの本領です。

評点や調査報告書で支払能力を確認し、必要に応じて取引条件(前払い、限度額、保証)を設計します。

並行して、コンプライアンス面の確認も必要です。反社会的勢力との関係がないかを確認する手順は「反社チェックのやり方6つの方法|手順・対象範囲・頻度と証跡の残し方」で解説しています。

この工程を営業の初期段階に前倒ししてしまうと、まだ商談化していない企業にまで調査コストがかかります。審査は、絞り込んだ後にかけるコストです。順番を守るだけで、調査費用の総額は大きく変わります。

工程4:取引開始後に監視する

取引が始まったら、そこからは継続監視の世界です。取引先の状況は時間とともに変わるため、一度の審査結果を固定して使い続けるとリスクを取りこぼします。

信用調査系のモニタリングサービスや与信管理システムを使い、変化を検知したときにだけ人が判断する運用に寄せるのが現実的です。

監視と判断を仕組みにする方法は「与信管理システム比較10選|タイプ別おすすめと選び方・料金体系」で、自社システムに組み込んで自動化する方法は「企業情報APIで与信管理・審査を自動化する方法を解説」で詳しく解説しています。

併用が成立する条件は「同じ会社だと認識できること」

4工程を通じて最大の障害になるのが、企業の同定です。営業のリストと審査の台帳で表記が揺れていると、営業が追いかけている会社が、実は審査で条件付きになっている会社だった、という事故が起こります。

解決策は、法人番号を共通のキーに据えることです。法人番号は国税庁が全法人に付番している13桁の番号で、国税庁の法人番号公表サイトから誰でも無償で確認できます。営業側のデータと与信側のデータを法人番号で突き合わせられる状態にしておけば、部門をまたいだ情報の共有が成立します。

SalesNowを営業活動側のデータ基盤として使う

4工程のうち、SalesNowが担うのは工程1と工程2——ターゲットを決め、実際にアプローチできる状態を作るところです。工程3・工程4で必要になる信用調査の情報源を置き換えるものではありません。

SalesNowは国内1,400万件超の企業・組織データを収録した企業データベースで、法人単位の基本情報に加えて、部署・組織の情報や部署直通の連絡先まで保有しています。

帝国データバンクのような信用調査会社が「取引していい相手か」に答えるのに対し、SalesNowは「今アプローチすべき相手は誰か」に答えるための情報を提供します。

SalesNowは企業データベース収録件数No.1・法人網羅率No.1(※)の評価を得ています。導入企業では商談数2.3倍、売上1.5倍、1人あたり月8.6時間の工数削減といった成果が報告されています。

※2025年10月期_企業データベースにおける市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構

営業側で使える3つの機能

工程1・工程2で使える機能を、3つに絞って紹介します。いずれも「企業が今どう動いているか」を捉えるための機能です。

  • ターゲティング:業種・規模・地域といった属性に加えて、求人の出稿、従業員数の推移、ニュース・プレスリリースの配信状況といった活動シグナルで企業を絞り込めます
  • 部署直通のアプローチ情報:部署単位の連絡先と組織図を保有しているため、代表電話からの取り次ぎに頼らずに、決裁に近い相手へ直接接触できます
  • 名寄せ・情報付与:独自のJCコードを基準とした名寄せに対応しており、社名の表記が揺れた台帳同士でも同一企業として突き合わせる前提を整えられます

SalesNowスコアで「今動いている企業」を見る

SalesNowスコアは、企業の活発度を100点満点で示す独自指標です。会社情報の更新、従業員数の推移、求人の出稿状況、ニュース・プレスリリースの配信、上場状況という5つの一次データから算出しています。利用者の受注データを学習するものではなく、「企業が今動いているかどうか」を測る汎用指標です。

信用度を示す評点とは、見ている対象が異なります。評点が「この会社と取引して大丈夫か」を示すのに対し、SalesNowスコアは「この会社は今、何かに投資しているか」を示します。両者は代替関係ではなく、営業と与信のそれぞれの問いに答えるための、別々の物差しです。

SalesNow本体の料金は利用範囲によって変わるため、要問い合わせとなります。

まずは業種・地域・従業員数といった基礎属性でのリスト作成だけを試したい場合は、580万社以上の法人データベースから必要な分だけ購入できるSalesNow Lite(1件50円・税込55円/月額0円)から始める方法もあります。

なお、SalesNow Liteは法人単位の基本データを提供するサービスで、部署直通の連絡先や組織図は含まれません。

SalesNow MCPで自然言語×企業情報の取得を実装する

2026年に入り、企業情報を扱う場所は管理画面から自然言語のプロンプトへ移りつつあります。

「東京都の従業員100名以上で、直近3か月に営業職の求人を出している企業」といった条件を、検索フォームではなく文章で指定し、AIに答えさせる使い方です。SalesNow MCPは、この流れに対応するための接続方式にあたります。

MCP(Model Context Protocol)は、AIアシスタントが外部のデータソースへ接続するための標準仕様です。SalesNow MCPを設定すると、ClaudeなどのAIアシスタントから直接、1,400万件超の企業・組織データを参照できるようになります。

ユースケース1:企業の基本情報を会話で確認する

商談前の下調べで、企業名を挙げて「この会社の所在地・従業員数・事業内容と、直近のニュースをまとめて」と依頼すると、AIが企業データを参照して回答を組み立てます。複数のサイトを行き来する時間を、そのまま削減できます。

ユースケース2:条件を会話で詰めながらリストを作る

「もう少し規模を絞って」「関西だけにして」といった修正を会話で重ねながら、ターゲットの母集団を詰めていけます。検索条件をフォームで作り直す必要がないため、仮説検証のサイクルが速くなります。

ユースケース3:企業の動きを定点で確認する

求人の出稿状況やニュースの配信状況を、企業リスト単位で確認できます。工程1のターゲティングにおける「今動いている企業」の判定を、AIとの対話の中で完結させられます。

具体的な接続手順と設定方法は「Claudeで法人検索する3つの方法|MCPで1,400万社にアクセス」で詳しく解説しています。

まとめ

帝国データバンクとは何かを、会社の全体像・3つの事業・サービス一覧・使い方・評判の読み方の順に整理しました。要点は次の通りです。

  • 帝国データバンクとは、1900年創業の信用調査会社。従業員3,300名のうち1,700名が調査取材部門に所属し、全国83カ所の事業所で「現地現認」による訪問調査を行っている(2026年8月時点・公式公表)
  • 事業は信用調査・データサービス・経営支援の3本柱。調査で得た情報をデータベース化し、ファイル・Webサービス・APIの形で提供する構造になっている
  • 企業が関わる場面は「取引先を審査する」「調査を受ける」「市場を調べる」「データを業務で使う」の4つ。自社がどの立場かで必要なサービスが変わる
  • 評判は、公式公表値・公的資料での採用状況・レビューサイトの3つを区別して読む。レビュー件数が一桁のスコアは傾向として扱えない
  • 評点は信用度を示す指標であり、営業の優先順位付けには転用できない。安全に取引できることと、今買う可能性が高いことは別の軸である
  • 信用調査のデータベースと営業用データベースは競合ではなく、担当する工程が違う。ターゲティングとアプローチは営業用、取引開始前の審査と開始後の監視は信用調査系、という併用が実務的
  • 併用が成立する条件は、法人番号を共通キーにして同じ会社だと認識できる状態を作ること

SalesNowは信用調査サービスではありませんが、1,400万件超の企業・組織データによって、営業活動側——誰を狙い、誰に接触するか——のデータ基盤を担えます。与信の情報源はすでに整っているものの、営業側のリストの精度や鮮度に課題がある場合は、工程を分けて設計し直す価値があります。

与信の情報源とは別に、営業側のデータ基盤を整える

SalesNowは国内1,400万件超の企業・組織データを収録し、部署直通の連絡先・組織図、求人やニュースといった活動シグナル、独自のJCコードを基準とした名寄せ・情報付与に対応しています。営業のターゲティングとアプローチの精度を上げる方法を、サービス資料でご確認ください。

よくある質問

Q. 帝国データバンクとは何をしている会社ですか?

帝国データバンクとは、企業の信用状態を調査・報告することを主な事業とする、1900年創業の信用調査会社です。事業は信用調査・データサービス・経営支援の3つに分かれます。公式サイトによれば、従業員3,300名のうち1,700名が調査取材部門に所属し、全国83カ所の事業所を通じて「現地現認」による訪問調査を行っています(2026年8月時点)。

Q. 帝国データバンクの使い方にはどのようなものがありますか?

企業が関わる場面は大きく4つあります。①取引先を審査するとき(企業信用調査やCOSMOSNETで信用度を確認する)、②自社が調査を受けるとき(調査員の取材に応じるかを判断する)、③市場や業界を調べるとき(倒産集計や景気動向調査などの無料レポートを読む)、④データを業務で使うとき(COSMOS2やAPIで自社システムに取り込む)です。自社がどの立場にいるかで、必要なサービスと費用の考え方が変わります。

Q. 帝国データバンクの評判はどう判断すればよいですか?

出典を確認できる情報だけで判断することをおすすめします。公式サイトでは市場シェア60%、日本企業のデータ網羅率70%といった自社公表値が公開されています。外部からの検証材料としては、中小企業庁の「2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」で、同社が実施した調査が複数の図表の資料出典として使われている点が挙げられます。一方、BtoBレビューサイトでの投稿件数はごく少数にとどまるため、星の数を傾向として扱うことはできません。

Q. 帝国データバンクの評点は営業リストの優先順位に使えますか?

評点は企業の信用度を100点満点で示す指標であり、営業の優先順位付けには適していません。信用度が高いことと、自社の商材を今検討する可能性が高いことは別の軸だからです。営業側で見るべきなのは、求人の出稿、従業員数の増減、資金調達やサービス開始のニュースといった活動シグナルです。SalesNowでは、会社情報の更新・従業員数推移・求人出稿・ニュース配信・上場状況という5つの一次データから、企業の活発度を100点満点で示すSalesNowスコアを提供しています。

Q. 信用調査会社のデータベースがあれば営業リストも作れますか?

目的が異なるため、そのままでは営業リストとしては機能しにくいのが実情です。信用調査系のデータベースは法人単位の正確な属性を持つことに主眼があり、営業で必要な部署直通の連絡先や組織図、変化の早いシグナルは対象外であることが一般的です。実務では、ターゲティングとアプローチは営業用データベース、取引開始前の審査と開始後の監視は信用調査系、という併用が現実的です。SalesNowは1,400万件超の企業・組織データで前者を担い、独自のJCコードを基準とした名寄せ・情報付与で両者の突き合わせを支援します。

高橋 鉄平

執筆者

高橋 鉄平

株式会社SalesNow マーケティング部門

国内1,400万件超の企業・組織データを保有するSalesNowのマーケティング担当。BtoB営業組織700社以上への導入支援を通じて蓄積した、企業データ活用の実践知見をお届けします。

※本記事は情報提供を目的としており、特定のサービスの購入を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいています。編集ポリシーについて

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