DATA FLASH Vol.8

上場企業 業種別 収益性ランキング 2026年6月版
ROE 1位はIT/Web系20.60%、最下位 美容・服飾4.50%、業種間ギャップ4.6倍

2026年6月時点の上場全社3,886社のうち、業種が判明する28業種についてROE・営業利益率・自己資本比率の中央値を集計した収益性ランキングを公開する。

ROE中央値はIT/Web・通信・インターネット系の20.60%が1位で、最下位の美容・服飾4.50%との間に4.6倍の差がある。営業利益率では金融業が20.68%で突出する一方、商社・小売・販売・食品は3〜4%台にとどまるなど、業種ごとのビジネスモデルが収益構造に直結している構図が浮き彫りとなった。

本レポートでは上場全社の決算データから業種別の中央値ランキングを3軸(収益性・効率性・安全性)で集計し、AI企業データプラットフォーム「SalesNow」が保有する1,400万超の企業・組織データを背景に、業種別の収益構造を可視化する。

Published 2026-06-22 by SalesNow Data Lab

Key Takeaway: 2026年6月時点の上場全社3,886社のうち業種が判明する28業種について収益性指標の中央値を集計した結果、業種間の収益構造に明確な差異が観測された。

ROE(自己資本利益率)の中央値は、1位がIT/Web・通信・インターネット系の20.60%、2位がIT 12.47%、3位が人材 12.30%。最下位は美容・服飾の4.50%で、1位との差は4.6倍に達する。営業利益率の中央値では金融業が20.68%で突出する一方、商社(3.74%)・食品(3.59%)・小売・販売(3.69%)はいずれも3〜4%台にとどまり、ビジネスモデルの違いが収益構造に直結している。

自己資本比率の中央値では、ゲーム(72.50%)・マスコミ(71.02%)・美容・服飾(67.80%)の3業種が70%前後で高い安全性を示す一方、金融業は5.36%と特異な水準で推移している。本Findingでは収益性・効率性・安全性の3軸で業種別ランキングを提示し、業種ごとの構造的特徴を可視化する。
20.60%
ROE 1位 IT/Web・通信・インターネット系
28業種で唯一の20%超。2位IT 12.47%との差は8.13pt
4.6倍
業種間ROEギャップ(最高 / 最低)
最高 IT/Web系 20.60% vs 最下位 美容・服飾 4.50%
3,886社
分析対象 上場全社(28業種別中央値)
2026年6月16日時点で全社の財務指標を月次更新済み

調査概要

データソース AI企業データプラットフォーム「SalesNow」保有データベース(上場全社3,886社の決算データ、EDINET有報ベース) 対象 上場全社3,886社のうち、業種が判明し中央値算出に十分な社数(25社以上)が揃う28業種。集計対象社数の合計は3,287社 分析期間 各社の最新決算期(多くは2025年4月期〜2026年3月期)の本決算データ。本決算発表は5月中旬に集中するため、6月時点で本決算が反映された状態のスナップショット 分析手法 業種別に上場全社のROE・PBR・営業利益率・純利益率・自己資本比率を集計し、それぞれの中央値(メディアン)を算出。N=25社以上の業種のみランキング対象とする。集計対象が25社未満の業種は外れ値の影響を受けやすいため、本レポートからは除外 N数 企業・組織データ総数: 1,400万超 / 上場全社: 3,886社 / 業種別集計対象: 3,287社(25社以上の28業種) データ取得日 業種別中央値: 2026年6月22日 / 個社決算: 2026年6月16日時点の月次更新済みスナップショット 外部統計 EDINET有価証券報告書、日本経済新聞「上場企業決算ランキング」、東京商工リサーチ「全国企業財務分析」、各業種別の業界統計を補助統計として参照

Key Findings

1

ROEランキング — 1位 IT/Web系20.60%、最下位 美容・服飾4.50%、業種間ギャップ4.6倍

上場全社3,886社のうち業種別の集計対象となる28業種についてROE(自己資本利益率)の中央値を集計した結果、1位はIT/Web・通信・インターネット系の20.60%となった。

2位以下を見ると、IT 12.47%、人材 12.30%、コンサル 11.05%、通信・PC 11.00% と続き、上位5業種はすべて知識集約型・情報サービス系で占められた。最下位の美容・服飾4.50%と1位を比較すると4.6倍の差があり、業種間で資本効率に大きな格差があることが示された。

ROE上位5業種

20.60%
1位 IT/Web・通信・インターネット系
2位 IT 12.47% / 3位 人材 12.30%
4位 コンサル 11.05% / 5位 通信・PC 11.00%
上位5業種はすべて知識集約型サービス

ROE下位3業種

4.50%
28位 美容・服飾
27位 金融 5.62% / 26位 車・乗り物 6.50%
設備投資型・店舗集約型の業種が下位
1位との差は4.6倍に達する
順位 業種 企業数 ROE中央値 備考
1 IT/Web・通信・インターネット系 32 20.60% 28業種で唯一の20%超
2 IT 392 12.47% 大手SIerを含む
3 人材 95 12.30% 労働集約型でも高ROE維持
4 コンサル 204 11.05% 戦略・IT・M&A各種を含む
5 通信・PC 33 11.00% 大手通信キャリアを含む
6 教育 35 10.76% -
7 不動産 109 9.70% その他サービスも同率
8 エンタメ 109 9.40% -
9 外食 102 8.75% -
10 小売・販売 / 医療・製薬・福祉 205 / 140 8.40% 同率10位

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年6月22日時点) / 上場全社3,886社のうち業種別の中央値算出対象(25社以上)となる28業種 / EDINET有価証券報告書ベースの最新本決算データ

IT/Web系の20.60%が突出する背景には、ストック型ビジネスモデルによる高い限界利益率、無形資産中心の事業構造、急速な事業成長による自己資本の効率的活用がある。一方、美容・服飾は店舗網への設備投資、在庫リスク、季節変動による回転率の低さがROE水準に反映されていると考えられる。

金融業のROE 5.62%(27位)には注意が必要である。金融業は自己資本比率が5.36%と極めて低く、レバレッジを効かせたビジネスモデルのため、ROE指標単独では他業種と直接比較できない。Finding 2の営業利益率では金融業が20.68%で1位となり、ビジネスモデルの差異が指標ごとに異なる順位を生む構造が浮かび上がる。

リサーチノート: ROEは中央値で算出しているため、業種内の上位企業(高ROE)や下位企業(低ROE)の影響を平準化している。同じ業種内でも個社差は大きく、本ランキングは業種全体の傾向を捉えるものであり、特定企業の評価ではない。また、ROE水準が高い業種が必ずしも投資対象として優れているとは限らず、本レポートは事実の提示を目的とする。
2

営業利益率ランキング — 金融が20.68%で突出、業種ごとのビジネスモデル差が明確化

続いて営業利益率の中央値を業種別に集計した結果、1位は金融業の20.68%となった。金融業は手数料・運用収益が中心のビジネスモデルで、製造業のような売上原価が小さいため、構造的に高い営業利益率を計上しやすい。

金融業を除いた実質的な1位はIT/Web・通信・インターネット系の12.20%。ストック型課金モデル、ソフトウェアの限界費用ゼロ性質が高い利益率を支えている。3位はコンサル8.18%、4位は不動産8.82%、5位は人材8.00%と続き、上位は知識集約型・サービス型業種が中心となった。

順位 業種 企業数 営業利益率
中央値
特徴
1 金融 82 20.68% 手数料・運用収益型ビジネス
2 IT/Web・通信・インターネット系 32 12.20% ストック型・限界費用ゼロ
3 不動産 109 8.82% 賃料収益型
4 コンサル 204 8.18% 知識集約型
5 人材 95 8.00% 人材紹介・派遣型
6 その他サービス 85 7.62% -
7 生活用品 36 7.57% -
8 IT 392 9.59% 大手SIer・SaaSを含む
9 機械系 343 7.28% -
10 エネルギー 68 7.23% -

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年6月22日時点) / 上場全社3,886社のうち業種別の中央値算出対象(25社以上)となる28業種 / EDINET有価証券報告書ベースの最新本決算データ

下位3業種は商社(3.74%)・小売・販売(3.69%)・食品(3.59%)。いずれも売上高は大きいが、原材料コスト・仕入価格・物流コストといった変動費の比率が高く、薄利多売の構造になりやすい業種である。

Finding 1のROEランキングと比較すると順位の入れ替わりが目立つ。金融業はROE 27位(5.62%)から営業利益率1位(20.68%)へ、不動産はROE 7位(9.70%)から営業利益率3位(8.82%)へと上昇する一方、ITはROE 2位(12.47%)から営業利益率8位(9.59%)に後退する。

この入れ替わりは、ROEが「自己資本に対する利益効率」を測るのに対し、営業利益率は「売上に対する利益率」を測るという指標性質の違いに起因する。金融業のように低自己資本・高レバレッジのビジネスモデルでは営業利益率が高くてもROEは低く出る一方、IT業界のように自己資本の効率的活用が進んだ業種ではROEが高く出る構造がある。

業種別ランキングを利用する際には、収益性のどの側面を測りたいかによって参照すべき指標が変わる。投資家は ROE と PBR、経営者は売上高営業利益率と自己資本比率、というように使い分けが必要である。

リサーチノート: 営業利益率は損益計算書上の「営業利益 ÷ 売上高」で算出。金融業の20.68%は手数料・運用収益型のビジネスモデルに起因する構造的な高水準で、製造業や小売業の利益率と直接比較するものではない。本ランキングは業種特性を踏まえて参照することが重要である。
3

自己資本比率ランキング — ゲーム72.50%・マスコミ71.02%・美容服飾67.80%が高位、金融5.36%は構造特殊

最後に企業の財務安全性を測る自己資本比率の中央値を業種別に集計した。1位はゲーム業の72.50%、2位マスコミ71.02%、3位美容・服飾67.80%と、これら3業種が70%前後の高水準で並ぶ。

4位ゲーム以外の70%超業種を見ると、5位通信・PC 48.40%まで20pt以上の差があり、上位3業種が際立って高い自己資本構成となっている。逆に最下位の金融業は5.36%で、銀行・保険業の構造特性を反映している。

観点 運送・物流・輸送 業種平均(参考: 全業種ベース) 解釈
1 ゲーム 31 72.50% 無形資産中心・低設備投資
2 マスコミ 25 71.02% 歴史的蓄積による厚い自己資本
3 美容・服飾 55 67.80% 在庫管理型・現金商売
4 IT 392 63.25% 無形資産・SaaS型
5 製造 190 61.40% 長期積み上げ型
6 化学 120 61.15% -
7 生活用品 36 60.80% -
8 医療・製薬・福祉 140 60.45% -
9 機械系 343 59.80% -
10 IT/Web・通信・インターネット系 32 58.90% ROE 1位だが自己資本比率は10位

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年6月22日時点) / 上場全社3,886社のうち業種別の中央値算出対象(25社以上)となる28業種 / EDINET有価証券報告書ベースの最新本決算データ

上位3業種に共通するのは「無形資産・コンテンツ・在庫を中心とした事業構造」である。ゲーム業はソフトウェア・IP(知的財産)が主要資産で、設備投資が小さい。マスコミ業は長年の事業継続による内部留保の蓄積、美容・服飾は店舗ベースだが在庫回転と現金商売により負債依存度が低い。

一方、下位の金融業(5.36%)、不動産業(40.90%)、外食業(43.65%)は、いずれも借入や預金などの他人資本を活用するビジネスモデルを持つ。特に金融業は、預金を負債側に計上する銀行業の構造特性に起因しており、製造業の自己資本比率と直接比較できない。

注目すべきは、ROE 1位のIT/Web・通信系(20.60%)の自己資本比率が58.90%で10位にとどまる点である。Finding 1で最高ROEを叩き出した業種でも、自己資本比率の高さでは中位どまり。高ROE業種が必ずしも財務的に「最強」とは限らないことを示している。

3つの指標を統合すると、業種別の収益構造には「収益効率(ROE)」「利益率(営業利益率)」「安全性(自己資本比率)」という3軸が存在し、業種ごとに強みのある軸が異なることが見えてくる。

3指標を統合した業種別マトリクス

本Vol.8で集計した3指標(ROE・営業利益率・自己資本比率)を統合し、業種別の強みを整理した。

  • 3指標すべて上位(バランス型): IT、IT/Web・通信系、人材、コンサル — 知識集約型サービスは収益性・効率性・安全性のいずれも高水準
  • 営業利益率と自己資本比率が高位(安定収益型): マスコミ、ゲーム、医療・製薬・福祉 — 無形資産・継続収益モデル
  • ROEと営業利益率が高位(収益重視型): 金融、不動産 — レバレッジ型ビジネスモデル
  • 3指標すべて中位以下(薄利多売型): 商社、小売・販売、食品 — 大規模売上の低利益率業種
  • 自己資本比率のみ突出(保守安定型): 美容・服飾、生活用品 — 店舗在庫型ながら借入依存度が低い

反対解釈: 本マトリクスは2026年6月時点の中央値ランキングに基づく分類であり、業種内の個社差は大きい。同じ業種でも企業ごとの戦略・成長フェーズ・資本構成により大きく異なる数値を取る可能性がある。本レポートは業種全体の傾向を捉えることが目的であり、特定企業の評価や投資判断を目的としていない。また、業種分類はSalesNow独自基準であるため、業界団体・業界調査機関の分類とは一部異なる場合がある。

リサーチノート

データの特性と限界について:
  • 本レポートの財務指標は上場全社3,886社の最新決算データ(EDINET有価証券報告書ベース)から、業種別に中央値を算出したものである。ROE・PBR・営業利益率・純利益率・自己資本比率の5指標について業種別中央値を集計し、N=25社以上の業種のみランキング対象とした
  • 本レポートでは中央値(メディアン)を採用しているため、業種内の上位企業(高収益)や下位企業(低収益)の影響を平準化している。同じ業種内でも個社差は大きく、本ランキングは業種全体の傾向を捉えるものである
  • 業種分類はSalesNow独自基準に基づく。日本標準産業分類(JSIC)や業界団体・業界調査機関の分類とは一部異なる場合がある。例えば「IT/Web・通信・インターネット系」と「IT」は別業種としてカウントしている
  • 金融業の指標(ROE 5.62% / 営業利益率 20.68% / 自己資本比率 5.36%)は、銀行・保険業の構造特性に起因する。預金・保険料を負債側に計上する金融業のビジネスモデルは、製造業・サービス業と直接比較できる性質ではない
  • 本レポートで提示した「業種別の3指標統合マトリクス」は本Vol.8独自の分類であり、業界標準の分類ではない。業種特性を理解する補助的フレームワークとして参照されたい
  • 本レポートに記載した数値は2026年6月22日時点の集計結果であり、決算発表のタイミング・会計基準の改定・業績修正等により変動する可能性がある。継続的な参照には最新版の確認が必要
  • 本レポートは公開情報に基づく独自分析であり、特定企業の信用評価や投資判断を目的としたものではない。投資判断にあたっては個別企業の有価証券報告書・決算短信および専門家への相談を推奨する

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出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年6月)
株式会社SalesNow (2026)「SalesNow Data Flash Vol.8: 上場企業 業種別 収益性ランキング 2026年6月版 — ROE 1位はIT/Web系20.60%、業種間ギャップ4.6倍」SalesNow Data Lab, 2026年6月22日. https://salesnow.jp/insights/data-flash-vol-8/

本レポートに含まれるデータ・グラフは、出典として「AI企業データプラットフォームSalesNow調べ」とURLを明記することを条件に、報道・記事での引用・転載を許諾する。グラフ画像の二次利用も同条件で許諾する。引用時はURLの掲載を必須とする。

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