DATA INSIGHTS

業界別雇用動態レポート 2026年3月版
284.3万社・4,370万人の従業員データから読む15業界の雇用トレンド

284.3万社・4,370万人の従業員データから15業界の雇用動態を分析。日本の就業者6,806万人(自営業者等含む)に対し社会保険被保険者ベースで64.2%(4,370万人)を捕捉。雇用者ベースでは約71.6%のカバレッジに相当する。成長企業率50%超の業界は2月版の3業界(IT・コンサル・医療)からITのみに縮小しており、雇用拡大の勢いが弱まっている。

Published 2026-04-20 by SalesNow Data Lab

Key Takeaway: SalesNowが追跡する4,370万人は日本の就業者6,806万人(自営業者等含む)の64.2%に相当する(社会保険被保険者ベース。雇用者ベースでは約71.6%)。このうち業界タグ付き71.0万社・2,406万人を分析した結果、成長企業率(従業員がYoYで増加した企業の割合)が50%を超えたのはIT(50.1%)のみ。2月版で過半を占めていたコンサル(50.4%→48.0%)、医療・製薬・福祉(50.3%→48.6%)が50%を割り込み、3業界→1業界へと縮小した。雇用拡大の勢いが弱まっていることを示すシグナルである。
4,370万人
追跡中の従業員総数
284.3万社(社保被保険者ベースで就業者の64.2%)
50.1%
IT業界の成長企業率(唯一の50%超)
2月版3業界 → 3月版1業界に縮小
71.0万社
業界別分析対象企業数
284.3万社のうち業界タグ付き上位15業界(25.0%)

調査概要

データソース AI企業データプラットフォーム「SalesNow」保有データベース(284.3万社・4,370万人) 対象 284.3万社のうち、業界分類が付与された上位15業界・709,951社(25.0%)を業界別分析の対象とした 分析期間 2024年3月〜2026年3月(半期ごとの4時点スナップショット + 最新月のYoY成長企業率) 従業員数 社会保険被保険者数に基づく(年金機構データの月次クロール)。パートタイム等で社会保険未加入の従業員は含まない可能性がある 業界分類 SalesNow独自の業界分類体系(大業界30区分)のうち、従業員データの豊富な上位15業界を分析 データ取得日 2026年4月20日 備考 業界分類はSalesNow独自基準であり、日本標準産業分類(JSIC)とは対応が異なる場合がある。成長企業率は従業員数がYoYで増加した企業の割合(成長企業数 ÷(成長企業数+縮小企業数)で算出)。SalesNowが追跡する従業員総数4,370万人(社会保険被保険者数ベース)は、総務省労働力調査(2025年12月)の就業者数6,806万人(自営業者等含む)の約64.2%に相当する。雇用者数(約6,100万人)ベースでは約71.6%のカバレッジとなる。2月版(4,512万人)から今回(4,370万人)にかけて従業員総数が約142万人減少しているが、これはDB側の社会保険離脱者データ反映(精緻化)によるものであり、実態的な雇用減ではない

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 対象: 709,951社(上位15業界) / 成長企業率 = 従業員数がYoYで増加した企業 ÷(成長企業+縮小企業)

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 成長企業=従業員数がYoYで増加した企業、縮小企業=YoYで減少した企業

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 主要5業界の従業員総数推移(半期スナップショット、2024年3月〜2026年2月)

Key Findings

0

SalesNowが追跡する4,370万人は日本の就業者の64.2%(雇用者ベースでは約71.6%) — データカバレッジの全体像

総務省労働力調査(2025年12月)によれば、日本の就業者数は6,806万人(自営業者・家族従業者等を含む)。SalesNowが従業員データを保有する284.3万社の従業員総数は4,370万人(社会保険被保険者数ベース)であり、就業者全体の64.2%を捕捉している。なお、同調査の雇用者数(約6,100万人)を母数とした場合、カバレッジは約71.6%に相当する。

SalesNowデータカバレッジ vs 日本の就業者数(6,806万人、自営業者等含む)
64.2%(4,370万人)
うち業界タグ付き上位15業界: 2,406万人(就業者の35.3%) / その他: 1,965万人(就業者の28.9%) ※社会保険被保険者ベース

このうち業界タグが付与された上位15業界の71.0万社(25.0%)・2,406万人が本レポートの業界別分析対象である。その他の企業(業界タグなし・16位以下の業界含む)は業界別の集計には含まれないが、全体のカバレッジ計算には含まれる。

SalesNowのデータと日本の就業者数との差分である約2,440万人には、自営業者、家族従業者、公務員、農業従事者、社会保険未加入の短時間労働者等が含まれると推定される。SalesNowのデータは社会保険被保険者数ベースであるため、これらの層は構造的に捕捉されにくい。なお、総務省「労働力調査」の雇用者数(約6,100万人、自営業者等を除く)を母数とした場合のカバレッジは約71.6%となる。

区分 企業数 従業員数 就業者に対する割合
(社保被保険者ベース)
SalesNow全体 2,843,489 43,704,937 64.2%
 うち上位15業界 709,951 24,055,553 35.3%
 その他(タグなし・16位以下含む) 2,133,538 19,649,384 28.9%
日本の就業者数(参考、自営業者等含む) - 68,060,000 100%

出典: SalesNowデータは2026年4月20日時点スナップショット(社会保険被保険者数ベース) / 日本の就業者数は総務省「労働力調査」2025年12月分(季節調整値、自営業者等含む) / 雇用者数(約6,100万人)ベースではカバレッジ約71.6%

従業員総数の前月版からの変化について

SalesNow全体の従業員総数は2月版の45,120,412人から、3月版では43,704,937人へ約142万人減少した。ただしこれは実態的な雇用減ではなく、DB側の精緻化(社会保険離脱者・退職者データの反映、重複・異常値の除去)によるものである。業界別の従業員数も同様にDB精緻化の影響を受けている。実態的な雇用動態は、個社レベルの前年同月比で見た「成長企業率」(Finding 1・Finding 2)で判断することが適切である。

1

成長企業率50%超えの業界がITのみに縮小 — 3業界→1業界、雇用拡大の勢いが弱まるシグナル

2026年3月(最新スナップショット)における業界別の成長企業率(従業員がYoYで増加した企業の割合)を見ると、50%を超えたのはIT(50.1%)のみとなった。2月版では3業界(IT 51.7%、コンサル 50.4%、医療・製薬・福祉 50.3%)が50%超だったが、コンサルと医療・製薬・福祉が50%を割り込み(48.0%、48.6%)、「過半数の企業が雇用を増やしている」状態は3業界から1業界に縮小した。ITも51.7%→50.1%と低下しており、全業界で成長企業の比率が下落する傾向が見られる。

15業界を俯瞰すると、成長企業率40%台後半に集中している(43〜48%のレンジ)。最低は小売・販売の42.6%、最高はITの50.1%であり、業界間の格差は5ポイント程度に収まる。これは2月版(小売44.9%〜IT51.7%の6.8pt幅)からレンジが僅かに狭まっており、業界横断的に雇用動態が「縮小寄り」に揃ってきている構造を示唆する。

個社レベルの実態として、縮小企業数が成長企業数を上回る業界が14/15業界(ITのみ逆転)。医療・製薬・福祉やコンサルのような従来「成長側」だった業界も含めて、ほとんどの業界で「一部の伸びる企業が全体の従業員総数を支え、過半数は前年比マイナス」という雇用集約の構造が強化されている。

業界 企業数 従業員総数 成長企業 縮小企業 成長企業率
建設・工事・土木 212,393 3,520,109 40,992 53,564 43.4%
小売・販売 69,439 2,777,490 11,867 16,007 42.6%
人材 15,793 2,340,237 4,577 5,338 46.2%
機械系 35,958 2,146,652 8,373 10,728 43.8%
運送・物流・輸送 30,171 1,909,346 9,270 10,732 46.3%
その他サービス 54,384 1,553,109 12,347 14,695 45.7%
医療・製薬・福祉 26,288 1,456,940 7,864 8,315 48.6%
製造 45,218 1,444,603 9,819 12,791 43.4%
車・乗り物 24,838 1,288,729 5,074 5,958 46.0%
食品 30,220 1,280,996 7,370 8,239 47.2%
IT 18,733 1,271,412 5,078 5,062 50.1%
コンサル 25,692 1,059,193 5,621 6,084 48.0%
外食 13,802 868,366 3,707 4,063 47.7%
不動産 46,739 830,184 6,293 7,943 44.2%
教育 7,493 302,023 1,712 2,094 45.0%

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 従業員総数は2026年4月20日時点のスナップショット / 成長企業率 = 成長企業数 ÷(成長企業数+縮小企業数)
※ 人材派遣業の従業員数には派遣社員を含む。派遣先企業の従業員数にも計上されている場合があり、業界間で一部二重計上の可能性がある
※ 2月版「エンタメ」は3月版の業界別集計対象から外れ、代わりに「教育」が15位に新規ランクインした

成長企業率の読み方

成長企業率は「従業員数がYoYで増加した企業の割合」を示す。50%を超えていれば、その業界では「過半数の企業が雇用を増やしている」ことを意味する。3月版ではITのみが50.1%で唯一50%を超える業界となった。2月版で50%超だったコンサル(50.4%→48.0%)と医療・製薬・福祉(50.3%→48.6%)はいずれも50%を割り込んでおり、雇用拡大の裾野が狭まっている。建設(43.4%)や小売(42.6%)はレンジの下端に位置し、「縮小企業が成長企業を上回る」状態が続く。ITの50.1%も薄氷の差であり、次月以降で50%を維持できるかが焦点となる。

2

IT業界の成長企業率は50.1%で辛うじて50%超をキープ — 2月版からは1.6pt低下

2026年3月時点で成長企業率が50%を超えた業界はITのみ(50.1%)。IT業界は成長企業5,078社に対し縮小企業5,062社と、わずか16社差で50%超をキープしている。2月版では336社差の51.7%だったため、差が大幅に縮小し、50%ラインに急接近している状況である。

他の上位業界でも成長企業率は低下傾向にある。医療・製薬・福祉は50.3%→48.6%、コンサルは50.4%→48.0%と、それぞれ1.7pt・2.4pt低下して50%を割り込んだ。2月版で「3業界が過半の雇用拡大」という構図から、3月版ではIT一強かつIT自身もリスク状態という構図に変化している。DX・AI関連の需要は継続しているとされるが、個社レベルではIT業界でも縮小企業が成長企業に迫る水準まで増えてきている。

業界別従業員総数ランキングでは、IT業界の従業員総数は3月版で127.1万人、15業界中11位(2月版は136.3万人で9位)。建設業(352.0万人)や小売業(277.7万人)と比較すると規模は小さい。一方、外食業界は成長企業率47.7%(成長3,707社 vs 縮小4,063社)と2月版の50.0%から縮小側に転じており、個社ベースの雇用集約がさらに進んだ。

留意点: 成長企業率は成長企業数÷(成長企業数+縮小企業数)で算出。従業員数に変化がなかった企業は分母に含まない。3月版では従業員総数が2月版比で減少しているが、これはDB側の精緻化(社会保険離脱者データ反映等)によるものであり、実態的な雇用減ではない。個社レベルの成長企業率の低下は、DB精緻化とは独立した指標であるため、純粋な雇用動態のシグナルとして読み取れる。
3

半期推移 — 2026年3月スナップショットはDB精緻化により低下、長期トレンドは実態と分離して解釈

2024年3月から2026年3月までの6時点の半期推移を分析する。最右列「2026年3月」は今回の更新で新規追加した直近スナップショット値(2026年4月20日時点のDB値)であり、既存の半期時点(2024年3月〜2026年2月、過去レポート掲載値)とはデータソースの更新タイミングが異なる。そのため24M変化率は純粋な雇用動態ではなく、DB精緻化(社会保険離脱者データ反映・重複除去など)の影響を含む値となっている。

実態的な雇用動態の読み方: 従業員総数の絶対値は過去時点(2024/3〜2026/2)との単純比較は不適切である。実態としての雇用動態は Finding 1・Finding 2 で扱った個社ベースの成長企業率(YoY比較)で判断するのが適切である。今回の成長企業率はIT一強(50.1%)、他業界は軒並み50%未満と、雇用拡大の勢いが弱まるシグナルが出ている。

半期スナップショット値の扱い: 2024年3月〜2025年9月の4列は過去レポートの公開時点値を固定値として保持する。今後のレポートでは、最右列(直近スナップショット)のみを毎月更新していく運用とする。長期的な時系列分析には、上記4列は公開時点の確定値として参照可能である。

15業界の相対位置: 従業員総数ランキング(2026年3月直近スナップショット)では、1位・建設352万人、2位・小売278万人、3位・人材234万人という構造は2月版から不変。上位3業界の順位は安定している一方、IT・コンサル・医療・製薬・福祉のような「成長期待業界」の順位は中位(9〜11位)にとどまっている。

業界 2024年3月 2024年9月 2025年3月 2025年9月 2026年2月 2026年3月 24M変化率
外食 819,498 843,847 858,364 875,345 960,554 868,366 +6.0%
IT 1,210,697 1,249,692 1,244,561 1,281,150 1,363,268 1,271,412 +5.0%
コンサル 1,013,359 1,040,194 1,039,431 1,063,292 1,116,674 1,059,193 +4.5%
医療・製薬・福祉 1,398,476 1,426,260 1,438,416 1,462,013 1,547,947 1,456,940 +4.2%
小売・販売 2,697,464 2,750,078 2,754,965 2,796,214 2,904,549 2,777,490 +3.0%
その他サービス 1,512,778 1,530,909 1,537,445 1,555,539 1,601,026 1,553,109 +2.7%
人材 2,284,106 2,303,093 2,306,400 2,335,661 2,446,197 2,340,237 +2.5%
食品 1,249,759 1,268,094 1,268,470 1,285,639 1,332,458 1,280,996 +2.5%
不動産 810,441 821,552 822,173 833,819 852,474 830,184 +2.4%
運送・物流・輸送 1,879,967 1,894,660 1,896,661 1,916,412 1,964,030 1,909,346 +1.6%
建設・工事・土木 3,503,486 3,537,975 3,511,754 3,545,296 3,648,051 3,520,109 +0.5%
車・乗り物 1,283,892 1,296,848 1,289,027 1,300,057 1,328,348 1,288,729 +0.4%
製造 1,439,657 1,447,266 1,442,346 1,454,044 1,533,773 1,444,603 +0.3%
機械系 2,155,807 2,176,919 2,161,223 2,182,813 2,225,076 2,146,652 -0.4%

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 24M変化率 = (2026年3月 - 2024年3月) / 2024年3月 × 100
† 2026年3月列は2026年4月20日時点の直近スナップショット。過去5列(2024年3月〜2026年2月)は公開時点の確定値。DB精緻化により最新スナップショットは2月版より低下しており、24M変化率は実態的な雇用動態ではなく、データソース更新タイミングの差異を含む値である

分析上の留意点: 2026年3月列の値は2026年4月20日時点のDBスナップショットである。2026年2月列の値(過去の公開時点値)からDB精緻化(社会保険離脱者データ反映・重複除去等)により減少しており、24M変化率も2月版と比較して大幅に小さくなっている。実態としての雇用動態は、個社ベースの成長企業率(Finding 1・Finding 2)で判断するのが適切である。機械系のみ24M変化率がマイナスに転じたが、これもDB精緻化の影響を含むため、業界そのものの雇用減と断定することはできない。次月以降は、同一データソース(直近スナップショット)同士の月次比較が可能になる。
4

建設業352万人 — 最大の雇用産業、成長企業率は43.4%とさらに低下

15業界中、従業員総数で最大なのは建設・工事・土木業の352.0万人(2026年4月20日時点スナップショット)。2月版の364.8万人からはDB精緻化により減少しているが、業界中トップの地位は変わらない。

成長企業率は43.4%と2月版の45.1%からさらに低下した。成長企業40,992社に対して縮小企業が53,564社と、その差12,572社(2月版の8,947社から拡大)。縮小側にシフトする企業が増えており、建設業の雇用動態は前月比で悪化している。この背景には、建設業特有の構造問題がある。2024年4月の時間外労働上限規制(いわゆる「2024年問題」)の適用、技能労働者の高齢化(平均年齢は他産業より約5歳高い)、そして若年層の入職率低下が重なり、中小の建設事業者が人員を維持できなくなっている。

建設業の構造問題は複数の業界で見られる「総数維持・個社縮小」の典型例である。業界全体の従業員総数は第1位を維持しているが、成長企業率の低下は大手ゼネコン・サブコンへの雇用集約が加速していることを示唆する。この傾向は3月版では小売・販売(42.6%、2月版44.9%)や機械系(43.8%、2月版45.2%)でも見られ、労働集約型の業界ほど成長企業率の低下幅が大きい傾向がある。

建設業の構造変化を示すデータ

  • 成長企業率: 43.4%(成長40,992社 vs 縮小53,564社、差-12,572社)。2月版45.1%から-1.7pt低下
  • 従業員総数: 352.0万人(15業界中1位)。2月版364.8万人から減少(DB精緻化の影響)
  • 24M変化率: +0.5%(2024年3月 350.3万人 → 2026年3月 352.0万人)※DB精緻化により前月版より小幅な変化に見える
  • 示唆: 総数は業界1位を維持するが成長企業率は43.4%と低下 → 大手への集約がさらに加速している可能性

方法論

このデータを引用する

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月)
株式会社SalesNow (2026)「業界別雇用動態レポート 2026年3月版 — 284.3万社・4,370万人の従業員データから読む15業界の雇用トレンド」SalesNow Data Lab, 2026年4月20日.

本レポートに含まれるデータ・グラフは、出典として「AI企業データプラットフォームSalesNow調べ」と明記することを条件に、報道・記事での引用・転載を許諾する。グラフ画像の二次利用も同条件で許諾する。

コピーしました