DATA INSIGHTS

求人市場動向レポート 2026年7月版
146.9万件で前月比-8.6%、例年の7月ピーク不在で秋採用の立ち上がりに変調

AI企業データプラットフォーム「SalesNow」が保有する1,400万超の企業・組織データから、月次推移と業種別動向を可視化する。2026年7月は1,468,972件で前月比-8.6%となり、例年観測される「下半期採用の前倒しピーク」(2025年7月194.8万件)が今年は見られなかった。業種別ではほぼ全業種で減速する中、IT業のみ前月比ほぼ横ばい(-0.0%)で相対的な存在感を高めている。

Updated 2026-08-06 by SalesNow Data Lab

Key Takeaway: 2026年7月の求人掲載数は1,468,972件で前月比-8.6%となった。過去2年間(2024年7月・2025年7月)に観測された「7月ピーク」(下半期採用の前倒しによる急伸)が今年は見られず、6月160.7万件→7月146.9万件とむしろ減速した。業種別に見ると、人材業が51.4万件(Top15構成比47.7%)で1位を維持しつつ前月比+2.1%とわずかに増加した一方、それ以外はほぼ全業種が減速している。外食-21.8%、教育-32.1%、食品-20.1%、建設-15.1%、医療-14.3%と広範囲で縮小したが、IT業だけが49,234件(前月比-0.0%でほぼ横ばい)で相対的な存在感を高めた。Vol.10で観測した「テック人材需給の三重反転」の続報として、他業種が減速する中でIT求人が下げ止まっている構造が確認できる。
146.9万件
2026年7月 求人掲載数
前月比 -8.6%(6月: 160.7万件)/ 例年の7月ピーク不在
-0.0%
IT業 前月比変動(唯一の横ばい業種)
49,239件 → 49,234件、他業種が全般減速する中で存在感維持
-32%
教育 前月比(15業種で最大減速幅)
30,158件 → 20,487件、夏休み期の求人縮小と重なる

調査概要

データソース AI企業データプラットフォーム「SalesNow」保有データベース 対象 SalesNow保有の約580万社に紐づく全求人媒体の掲載情報 調査期間 2025年5月〜2026年7月(15ヶ月間の月次求人推移) 分析手法 全求人媒体からのクロールデータ(1〜2時間毎更新)を月次で全数集計。同一求人が複数媒体に掲載されている場合は媒体ごとに1件としてカウント(延べ件数)。業種分類はSalesNow独自の業種タクソノミーに基づく N数 企業: 約580万社 / 企業・組織データ総数: 1,400万超(求人掲載・届出・プレスリリース・有価証券報告書等を含む総レコード数) / 本レポートの分析対象: 2026年7月の求人掲載データ(月次集計値 1,468,972件) データ取得日 2026年8月6日 媒体カバレッジに関する注記 SalesNowが収集する求人媒体は段階的に拡充されており、全媒体の取得開始日は同一ではない。主要媒体の取得開始時期: green(2011年〜), wantedly(2013年〜), バイトル(2016年〜), リクナビNEXT(2017年〜), doda(2022年〜), マイナビバイト(2023年〜), タウンワーク(2024年3月〜), ハローワーク(2024年10月〜), indeed(2025年11月〜)。このため、月次推移の前年同月比には媒体追加による構造的な増減分が含まれる可能性がある。前月比較(6月→7月)は同一媒体構成のため媒体追加の影響を受けない 備考 SalesNow公式サイト等では「1,400万超の企業・組織データ」と表記しているが、本レポートでは2026年8月6日時点のDB実数値をベースに集計している。2026年5月分は当時のクロール取得の一部遅延により当初取得値から段階的に補完され、現時点の月次確定値は1,043,649件となる。5月分は復元段階の値を含むため、単月では過小に見える点に留意されたい

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年8月6日時点) / 対象: 約580万社に紐づく全求人媒体データ / ※Y軸は100万件〜表示(0起点ではありません)

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年8月6日時点) / 2026年7月の業種別求人掲載数上位10業種

Key Findings

1

7月は146.9万件で前月比-8.6% — 例年観測される「7月ピーク」が今年は不在、秋採用の立ち上がりに変調

2026年7月の求人掲載数は1,468,972件、前月(1,607,358件)から-8.6%減少した。これは例年観測される季節パターンからの明確な乖離である。過去2年のデータを見ると、7月は3月と並ぶ年間の第二ピークだった。2025年7月: 1,947,690件(6月の1,384,612件から+40.7%)2024年以前も同傾向。企業が10月入社・配属に間に合わせるため、選考期間2〜3ヶ月を逆算して7月に求人掲載を集中させる「下半期採用の前倒し」が季節要因として定着していた。

ところが2026年7月は前月比-8.6%と減速し、例年観測された7月ピークが姿を消した。前年7月(194.8万件)との比較では-24.6%にあたるが、この比較には媒体カバレッジ変化の影響(indeed 2025年11月からの追加集計等)が含まれるため実勢乖離幅とは言い切れない。ただし、同一媒体構成での前月比較(6月160.7万件→7月146.9万件)でも-8.6%の減速が確認できることから、秋採用に向けた企業の求人掲載行動に構造的な変調が起きていると解釈できる。

企業の採用意欲そのものは高水準にある。厚労省「一般職業紹介状況」の有効求人倍率は2026年5月時点で1.20倍前後で推移し、TDB「企業動向」の雇用DIでも「不足」超過の傾向が続く。にもかかわらず7月の求人掲載が伸びなかった背景として、選考の長期化・内定辞退率上昇に伴う「継続採用」への移行や、AI活用による選考効率化で必要な母集団規模が縮小した可能性が考えられる。継続的な観測が必要である。

年月 求人掲載数 前月比
2025年5月 1,351,094 -
2025年6月 1,384,612 +2.5%
2025年7月 1,947,690 +40.7%
2025年8月 1,443,652 -25.9%
2025年9月 1,442,135 -0.1%
2025年10月 1,311,718 -9.0%
2025年11月 1,674,481 +27.7%
2025年12月 1,490,867 -11.0%
2026年1月 1,772,465 +18.9%
2026年2月 1,805,558 +1.9%
2026年3月 2,042,092 +13.1%
2026年4月 1,706,584 -16.4%
2026年5月 1,043,649 -38.8%
2026年6月 1,607,358 +54.0%
2026年7月 1,468,972 -8.6%

出典: SalesNow DB(2026年8月6日取得) / 前月比は同一集計条件による算出 / ※2026年5月分はクロール取得の一部遅延により当初取得値から段階的に補完された復元段階の値を含む。単月では過小に見える点に留意されたい

2

過去観測された「3月・7月の年2回ピーク」から、7月ピークだけが消えた — 秋採用行動の構造変化を示唆

15ヶ月間の月次推移を見ると、過去1年半で明確な季節パターンが観測されていた。2025年3月(2,414,460件)2025年7月(1,947,690件)、そして2026年3月(2,042,092件)にピークが観測される。3月ピークの後は毎年4月で反落し、その後7月に第二のピークが訪れる「年2回波」のリズムがこれまで一貫していた。

3月ピークの構造的背景は、日本企業の大多数が4月を期首とする会計年度を採用しているため、新年度の人員計画に基づく求人掲載が3月に集中する点にある。2026年3月の2,042,092件も前月比+13.1%と例年通りのピークを形成した。年度替わりの構造要因は今年も健在である。

ところが第二のピークだった7月が今年は消えた。過去2年間の7月は前月比+40%台の急伸で観測されていた(2025年7月は6月→7月で+40.7%)。にもかかわらず、2026年7月は前月比-8.6%と減速し、6月から一段小さくなった。過去観測された「下半期採用の前倒し開始」のパターンが今年は不発に終わった形である。

10月と12月が底になるパターンも一貫している。10月は下半期開始直後で掲載更新が一巡するタイミング、12月は年末の採用活動停滞に重なる。企業の採用担当者にとっては、この「年2回波」の谷間(10〜12月、4〜5月)が求人の競合が少ない狙い目の掲載時期と言えるが、今年は7月ピークが不在のため、その後の8-9月の推移が特に注目される。仮に8-9月で秋採用向けの追加掲載が観測されなければ、企業の採用行動パターン自体が「集中掲載型」から「継続採用型」へ移行している可能性がある。

分析上の留意点: 本データは15ヶ月分であり、「7月ピーク」が過去2年分しかサンプルがない中での判断であることに留意が必要である。「7月ピークの消失」が単発的な変動なのか、企業採用行動の構造変化を示すのかは、8月・9月の観測を経ないと結論できない。2026年5月分は当時のクロール取得の一部遅延により、月次値の低下幅が実勢よりも過大に見えている可能性がある。5月の絶対水準は季節パターンの解釈から一定程度差し引いて読む必要がある。
3

人材業だけが前月比プラス、他は全業種減速 — ITは横ばい維持でVol.10「三重反転」の続報

2026年7月の業種別求人数を分析すると、人材業(人材紹介・人材派遣)が513,723件で6月から+2.1%と唯一のプラスを記録した。Top15合計107.7万件のうち人材業の構成比は47.7%(6月43.3%から4.4pt上昇)と、全体の減少局面で相対比重が高まった。他の業種は全て前月比マイナスで、教育-32.1%(30,158件→20,487件、15業種中最大の減速幅)外食-21.8%、食品-20.1%、不動産-16.2%、建設-15.1%、エンタメ-14.7%、医療-14.3%と広範囲で二桁減が観測された。

減速が業種横断で観測された中、IT業だけがほぼ横ばい(49,239件→49,234件、-0.0%)と特異な動きを示した。Vol.10「テック人材需給の三重反転」(2026-07-20公開)で観測したIT業界の成長企業率50%割れ・月次求人-40%・上場ROE最高峰の三面調整局面から、月次求人については下げ止まりのサインが確認できる。7月時点でIT業は業種別Top7にランクインしており、全体構成比の中で相対的な存在感を高めている。

建設・工事・土木(74,920件→63,588件、-15.1%)と医療・製薬・福祉(74,571件→63,927件、-14.3%)は、6月に前月比+20%台で急伸していたが7月は反落した。両業種は労働集約型で慢性的な人手不足を抱えているが、7月の夏休み期には工事現場・医療機関の稼働縮小に合わせて求人ペースを緩めるパターンが観測される。厚労省「労働経済動向調査」(2026年5月)で両業種は「不足」超過が最大の業種として報告されており、根本的な人手不足構造は変わっていない。

人材業が突出する構造的理由は、求人市場における「仲介者のパラドックス」にある。人材紹介・派遣会社は、クライアント企業から受託した求人を自社名義で各媒体に掲載する。採用を支援する立場の企業が、データ上は最大の求人掲載者として現れる構造だ。これは求人データを「採用実需」の代理変数として使う際の重要な注意点である。人材業を除いた実質的な「事業会社による直接求人」は約95.5万件(1,468,972 - 513,723)と推計される。7月の全体-8.6%を人材業(+2.1%)と非人材業(-13.7%)に分解すると、実需求人の縮小幅がより鮮明になる。

順位 業種 求人掲載数(2026年7月) 全体構成比 前月比
1 人材 513,723 35.0% +2.1%
2 外食 80,944 5.5% -21.8%
3 小売・販売 65,468 4.5% -13.6%
4 医療・製薬・福祉 63,927 4.4% -14.3%
5 建設・工事・土木 63,588 4.3% -15.1%
6 その他サービス 53,094 3.6% -6.5%
7 IT 49,234 3.4% -0.0%
8 エンタメ 33,473 2.3% -14.7%
9 機械系 29,032 2.0% -9.1%
10 運送・物流・輸送 27,854 1.9% -14.1%
- その他業種(計、コンサル・教育・不動産・食品・車・乗り物・業種未分類等) 488,635 33.3% -

出典: SalesNow DB(2026年8月6日取得) / 構成比は2026年7月の全求人掲載数1,468,972件に対する割合 / ▲は前月比で順位上昇、▼は下落を示す

補足: 人材業の求人が突出して多い背景には、人材紹介・派遣企業が自社の紹介・派遣案件を求人媒体に掲載する構造がある。7月は全体求人が減速する中で人材業だけがプラス転換した結果、Top15構成比は6月43.3%から7月47.7%へ4.4pt上昇した。「実需求人が縮小し、仲介経由の求人が相対的に膨らむ」構造が観測されており、事業会社直接求人と仲介経由求人の乖離が広がっている点に留意が必要である。
4

政府統計との照合 — 7月ピーク不在は採用行動の構造変化を示唆、有効求人倍率は高水準維持と乖離

SalesNowのデータが示す「7月前月比-8.6%・例年の7月ピーク不在」は、政府統計が示す「採用需要の底堅さ」と方向性が異なる。厚労省発表の有効求人倍率は2026年5月時点で1.20倍前後で推移し、dodaの転職求人倍率も高水準を維持している。企業の採用意欲が減退しているわけではないが、求人媒体への掲載行動については明確に減速している。

これらの指標とSalesNowのデータには重要な差異がある。有効求人倍率はハローワーク経由の求人のみが対象であり、民間求人媒体は含まれない。SalesNowは全求人媒体のクロールデータであるため、カバー範囲が異なる。両者が異なる方向を示している事実は、求人媒体経由の採用行動が「大量掲載→大量選考」から「継続採用・少数精鋭」へシフトしている可能性を示唆する。ただし、倍率の絶対値を直接比較することはできない。

業種別の動きを政府統計と照合すると、7月に前月比が最も小さい減速で済んだIT業(-0.0%)は、IPA「DX白書2024」で企業の85.1%がDX人材不足を実感している構造と整合的である。Vol.10で観測したIT業界の成長企業率50%割れ・上場ROE最高峰という三面調整局面の中で、月次求人については下げ止まりのサインが確認できる。一方、慢性的な人手不足が続く建設・工事・土木医療・製薬・福祉は、7月に反落(-15%前後)したが、これは夏休み期の工事現場・医療機関の稼働縮小に伴う一時的な採用ペース調整と読める。

市場環境データ照合

  • 厚労省「一般職業紹介状況」: 有効求人倍率 1.20倍前後(2026年5月時点)
  • 厚労省「労働経済動向調査」(2026年5月): 建設業・医療福祉業で「不足」超過が最大。SalesNowでは両業種とも夏休み期に一時反落
  • doda「転職求人倍率レポート」: 転職求人倍率 2倍台の高水準を維持
  • リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2026年卒)」: 大卒求人倍率 1.66倍で歴史的高水準
  • TDB「全国企業倒産集計 2025年報」: 2025年倒産件数 10,261件、「人手不足倒産」が過去最多
  • IPA「DX白書2024」: DX人材不足を感じる企業 85.1%(IT業の下げ止まりの背景として参照)

7月ピーク不在は、下半期採用シーズン(10月入社に向けた採用活動)における企業行動の構造変化を示唆する。政府統計は「採用意欲は底堅い」と示すが、SalesNowデータは「求人媒体経由の掲載行動は縮小」を示す。この乖離が単発的なものか、大量掲載型から継続採用型へのシフトを示すのかは、8-9月のデータで判定していく必要がある。

このデータを引用する

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年7月)
株式会社SalesNow (2026)「求人市場動向レポート 2026年7月版 — 146.9万件で前月比-8.6%、例年の7月ピーク不在で秋採用の立ち上がりに変調」SalesNow Data Lab, 2026年8月6日.

本レポートに含まれるデータ・グラフは、出典として「AI企業データプラットフォームSalesNow調べ」と明記することを条件に、報道・記事での引用・転載を許諾する。グラフ画像の二次利用も同条件で許諾する。

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