調査概要
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年5月7日時点) / 対象: 約580万社に紐づく全求人媒体データ / ※Y軸は100万件〜表示(0起点ではありません)
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年5月7日時点) / 2026年4月の業種別求人掲載数上位10業種
Key Findings
4月は新年度入りで自然減速 — 単月-11.2%だが前年同月比は+6.2%とプラス転換
2026年4月の求人掲載数は1,681,085件、前月比-11.2%(1,893,081件 → 1,681,085件)と3月ピーク後の自然な減速となった。15ヶ月間の中では中位の水準だが、4月という時期に着目すれば、2025年4月(1,582,971件)を+6.2%上回っており、前年同月比はプラスに転じた。前月の3月は前年同月比-21.6%で「ピーク圧縮」が顕在化したが、4月のプラス転換は2025年3月の突出値との比較で生じた見かけ上の落ち込みだったことを裏付ける形となった。
月次の前年同月比を3ヶ月並べて見ると、構造の安定感が浮かび上がる。2026年2月: +6.5%、2026年3月: -21.6%、2026年4月: +6.2%。3月だけが2025年3月の特異点(2,414,460件、他月比1.5倍以上)とのベース効果でマイナスとなり、その前後の2月・4月は前年並みかやや上回るレンジに収まっている。3月の-21.6%は採用需要の急減を示すシグナルではなく、2025年3月の突出値との比較で生じる構造的なゆらぎと読むのが妥当である。
企業の採用意欲は引き続き高い。TDB「2025年の経営計画に関する企業意識調査」(2024年12月発表)では「人員強化が最優先」と回答した企業が90.2%に達し、厚労省「一般職業紹介状況」の有効求人倍率も1.18倍台で推移している。4月の前年同月比+6.2%は、新年度入りの実需が前年並みに維持されている証左と見られる。
| 年月 | 求人掲載数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 2025年2月 | 1,577,522 | - |
| 2025年3月 | 2,414,460 | - |
| 2025年4月 | 1,582,971 | - |
| 2025年5月 | 1,351,207 | - |
| 2025年6月 | 1,384,561 | - |
| 2025年7月 | 1,947,593 | - |
| 2025年8月 | 1,443,542 | - |
| 2025年9月 | 1,438,508 | - |
| 2025年10月 | 1,307,433 | - |
| 2025年11月 | 1,634,214 | - |
| 2025年12月 | 1,308,603 | - |
| 2026年1月 | 1,612,251 | - |
| 2026年2月 | 1,680,038 | +6.5% |
| 2026年3月 | 1,893,081 | -21.6% |
| 2026年4月 | 1,681,085 | +6.2% |
出典: SalesNow DB(2026年5月7日取得) / 前年同月比は同一集計条件による算出 / ※2025年2月〜2026年1月の前年同月比は2024年の同条件データが未集計のため非掲載
3月ピーク → 4月反落の構造が2年連続で確認 — 山の高さは年ごとに変動
15ヶ月間の月次推移を見ると、明確な季節パターンが浮かび上がる。2025年3月(2,414,460件)と2025年7月(1,947,593件)、そして2026年3月(1,893,081件)にピークが観測される。いずれの3月もその翌月の4月で反落するリズムが繰り返されている。2025年は3月→4月で-34.4%(2,414,460件 → 1,582,971件)、2026年は3月→4月で-11.2%(1,893,081件 → 1,681,085件)と、3月の山の高さは年ごとに異なるが、「3月ピーク・4月反落」という構造そのものは一貫していることが確認できた。
この季節パターンには明確な構造的背景がある。3月ピークは、日本企業の大多数が4月を期首とする会計年度を採用しているため、新年度の人員計画に基づく求人掲載が3月に集中することに起因する。新卒採用の本格化に加え、中途採用でも「4月入社」をターゲットとした掲載が増加する。4月に入ると新規掲載は新年度の業務立ち上げに連動した中途採用が中心となり、3月の駆け込み需要が一巡する。※ 2025年3月の2,414,460件は他の月(概ね130万〜170万件台)と比較して1.5倍以上の突出であり、年度替わりの季節要因に加えてデータ収集タイミングの影響を含む可能性がある。一方、7月ピークは下半期(10月)の人員補充に向けた採用活動の前倒し開始を反映している。選考期間を2〜3ヶ月と見込み、10月入社・配属に間に合わせるための逆算スケジュールである。
逆に10月(1,307,433件)と12月(1,308,603件)が底になるパターンも一貫している。10月は下半期開始直後で掲載更新が一巡するタイミング、12月は年末の採用活動停滞に重なる。企業の採用担当者にとっては、この「年2回波」の谷間(10〜12月、4〜5月)が求人の競合が少ない狙い目の掲載時期と言える。
ITが小売を抜き3位浮上 — 教育が圏外、機械系が新規10位入りで業種ランクが入れ替わり
2026年4月の業種別求人数を分析すると、人材業(人材紹介・人材派遣)が554,621件で全体の33.0%を占有し、依然として他業種を圧倒している。2位の外食(115,522件、6.9%)との間には4.8倍の格差があり、上位10業種の合計が全体の66.1%を占める構造は前月までと変わらない。一方、IT業が81,955件(構成比4.9%)で3位に浮上した点は構造変化として注目に値する。3月時点では5位だったITが、新年度入りで2階級上昇した形となる。前月3位の小売・販売は4位、4位だった医療・製薬・福祉は5位に後退し、3月10位だった教育は10位圏外に。代わりに機械系(30,228件、1.8%)が新規10位入りとなった。
人材業が突出する構造的理由は、求人市場における「仲介者のパラドックス」にある。人材紹介・派遣会社は、クライアント企業から受託した求人を自社名義で各媒体に掲載する。つまり、採用を支援する立場の企業が、データ上は最大の求人掲載者として現れる。これは求人データを「採用実需」の代理変数として使う際の重要な注意点である。人材業を除いた実質的な「事業会社による直接求人」は約112.6万件(1,681,085 - 554,621)と推計される。
ITが3位に浮上した背景には、新年度入りでDX人材ニーズが顕在化した可能性がある。IPA「DX白書2024」によれば企業の85.1%がDX人材不足を実感しており、新規プロジェクト立ち上げ期の4月にこのニーズが集中したと考えられる。一方、教育の圏外後退は、新年度開始で年度内採用が一段落したことの裏返しと解釈できる。教育業界は3月までに年度開始向けの採用を済ませる季節性が強く、4月以降は求人量が縮小する傾向がある。機械系の新規ランクインは、製造業の自動化・省人化投資に伴うエンジニア需要を反映している可能性がある。
| 順位 | 業種 | 求人掲載数(2026年4月) | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 人材 | 554,621 | 33.0% |
| 2 | 外食 | 115,522 | 6.9% |
| 3 | IT | 81,955 | 4.9% |
| 4 | 小売・販売 | 78,931 | 4.7% |
| 5 | 医療・製薬・福祉 | 61,232 | 3.6% |
| 6 | 建設・工事・土木 | 59,525 | 3.5% |
| 7 | その他サービス | 54,600 | 3.2% |
| 8 | エンタメ | 42,101 | 2.5% |
| 9 | 運送・物流・輸送 | 32,650 | 1.9% |
| 10 | 機械系 | 30,228 | 1.8% |
| - | その他業種(計) | 569,720 | 33.9% |
出典: SalesNow DB(2026年5月7日取得) / 構成比は2026年4月の全求人掲載数1,681,085件に対する割合
政府統計・民間調査との照合 — 採用市場全体は前年並みで安定推移
SalesNowのデータが示す「4月の前年同月比+6.2%」は、複数の政府統計・民間調査が示す「採用需要の安定推移」と方向性が整合している。厚労省発表の有効求人倍率は2026年2月時点で1.18倍と前月並みで推移し、dodaの転職求人倍率も2.55倍と前年同月比で微減ながら高水準を維持している。リクルートワークス研究所の大卒求人倍率は1.66倍で、前年比微減ながら歴史的高水準にとどまる。3月の単月では-21.6%とマイナスに振れたが、これは2025年3月の突出値とのベース効果による見かけ上の現象であり、4月のプラス転換でその構造が裏付けられた。
これらの指標とSalesNowのデータには重要な差異がある。有効求人倍率はハローワーク経由の求人のみが対象であり、民間求人媒体は含まれない。SalesNowは全求人媒体のクロールデータであるため、カバー範囲が異なる。両者が同じ「安定推移」の方向を示している事実は、採用市場全体のトレンドとしての信頼性を高める。一方、倍率の絶対値を直接比較することはできない。
注目すべきは、求人市場が安定推移している中でも企業倒産が高水準で推移している点である。TDBによれば2025年の倒産件数は10,261件と12年ぶりに1万件を超え、「人手不足倒産」が過去最多を更新した。これは「求人を出しても人が採れない → 事業が回らない → 倒産」というカスケードが現実化していることを意味する。求人掲載数が前年並みに維持されているのは、採用意欲が衰えていない証左であると同時に、「掲載しても成果が出にくい」企業が淘汰されている可能性を示唆する。
市場環境データ照合
- 厚労省「一般職業紹介状況」: 有効求人倍率 1.18倍(2026年2月、前月比横ばい)
- doda「転職求人倍率レポート」: 転職求人倍率 2.55倍(前年同月比微減ながら高水準)
- リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2026年卒)」: 大卒求人倍率 1.66倍(前年比微減、歴史的高水準)
- TDB「全国企業倒産集計 2025年報」: 2025年倒産件数 10,261件(12年ぶりの1万件超、人手不足倒産が過去最多)
- IPA「DX白書2024」: DX人材不足を感じる企業 85.1%
- TDB「2025年の経営計画に関する企業意識調査」(2024年12月発表): 「人員強化が最優先」と回答した企業 90.2%
全体として、企業の採用意欲は依然として高く(90.2%が人員強化を最優先)、求人倍率・掲載数ともに前年並みの水準で安定推移している。一方で人手不足倒産が過去最多を更新している事実は、「出したい」と「出しても採れる」の乖離が拡大していることを示唆する。
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出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年5月)
株式会社SalesNow (2026)「求人市場動向レポート 2026年4月版 — 1,400万超の企業・組織データから全数分析」SalesNow Data Lab, 2026年5月7日.
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