調査概要
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 対象: 法人番号新規指定法人の全数集計 / 2024年は前年データなし(前年同月比は2025年1月以降のみ表示)
Key Findings
2026年3月は13,768社 — 3ヶ月連続前年割れだがマイナス幅は急速縮小
2026年3月の新設法人数は13,768社で、前年同月(13,922社)を154社下回り、前年同月比-1.1%となった。これで2026年1-3月は3ヶ月連続の前年割れとなったが、マイナス幅は1月-12.5% → 2月-5.9% → 3月-1.1%と急速に縮小している。絶対値で見ると月を追うごとに半減以上のペースで縮小しており、減速の「勢い」は明確に弱まっている。
この推移は、2025年の月次データでは見られなかったパターンである。2025年中にも前年同月比マイナスの月は存在したが(2月: -4.8%、5月: -0.6%、8月: -12.6%、11月: -15.1%)、いずれも翌月にはプラスに転じており、3ヶ月連続の前年割れは今回が初めてとなる。一方で、マイナス幅が連続的に縮小している点は従来と異なり、底入れのシグナルの可能性を含んでいる。
ただし、単月の-1.1%のみでトレンド転換を断定することは早計である。3月は年度末に向けて法人設立が集中する月であり、季節要因による数値の揺らぎが大きい。2026年3月の絶対水準(13,768社)は2024年3月(13,776社)および2025年3月(13,922社)と近接しており、「量的水準」としては例年並みを維持している。4月は例年のピーク月であり、年度開始月のデータが出揃った時点で改めて趨勢を判断する必要がある。
2026年Q1(1-3月)は36,870社で前年同期比-6.6% — 四半期単位で見える明確な減速
単月ではなく四半期単位で見ると、2026年の減速はより明確になる。2026年第1四半期(1-3月)の新設法人数は合計36,870社で、2025年同期(39,465社)を2,595社下回り、前年同期比-6.6%となった。これは2024年Q1(38,646社)と比較しても約-4.6%の減少であり、単月の振れ幅ではなく「四半期の傾向」として減速が確認できる水準である。
四半期単位の比較が重要な理由は、月ごとの季節性や営業日数の影響を平準化できる点にある。2026年は1月-12.5%、2月-5.9%、3月-1.1%と単月の振れ幅が大きいが、Q1合計の-6.6%は「構造的な減速トレンドが存在する」ことを示唆する。同時に、Q1マイナス幅の-6.6%は2025年通年の前年比+3.3%と方向性が逆転しており、2025年までの増加基調に変化が生じている可能性がある。
ただし、第1四半期は年間を通じて新設法人数が最も少ない期間であり、通年の傾向を断定する材料としては不十分である。日本企業の会計年度開始に合わせて4月に最大のピークが来る構造を踏まえると、Q1の-6.6%が通年トレンドを示すのか、Q2以降で巻き返されるのかを慎重に見極める必要がある。
| 期間 | 新設法人数 | 前年同期比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2024年Q1(1-3月) | 38,646社 | - | 参考値 |
| 2025年Q1(1-3月) | 39,465社 | +2.1% | 前年比増加 |
| 2026年Q1(1-3月) | 36,870社 | -6.6% | 3年で最少、減速鮮明 |
出典: SalesNow DB(2026年4月20日取得) / 法人番号指定日ベースの月次全数集計の四半期合計
過去3年の3月比較 — 2026年3月は3年で最少だが差は±1%以内の狭いレンジ
2026年3月の新設法人数13,768社は、2024年3月(13,776社)と2025年3月(13,922社)を下回り、過去3年の3月で最少となった。ただし3年間の差は以下のとおり極めて小さい。2025年3月は前年比+1.1%、2026年3月は前年比-1.1%であり、3月の水準は13,700〜13,900社の狭いレンジに収斂している。年度末の3月は法人設立手続きが駆け込み的に集中する月であり、経済環境の変動に対して他の月より反応が鈍い「安定月」という性格を持つ。
この「狭いレンジでの微減」は解釈に幅がある。一方の見方は「3年で最少という事実は減速トレンドの継続を示す」という読みであり、もう一方は「±1%以内の揺らぎは統計ノイズの範囲内であり、構造変化と断定できない」という読みである。どちらが正しいかは、4月以降のピーク月のデータで判断する必要がある。2024年4月は14,305社、2025年4月は15,305社(前年比+7.0%)と伸びを見せており、2026年4月がこの水準を維持できるかが2026年通年の方向性を示す最初の分水嶺となる。
他の月の季節パターンも参考情報として併記する。年間のピークは4月と10月に集中する(日本企業の会計年度開始と下半期開始に対応)。2024年は4月14,305社・10月13,957社がピーク、2025年は4月15,305社・10月16,210社がピークだった。谷は2024年が9月(10,759社)と12月(11,066社)、2025年は11月(10,487社)が最少。2月は営業日数の少なさから恒常的に低水準であり、2024年11,941社、2025年11,369社、2026年10,698社と3年連続で減少している。
| 年月 | 新設法人数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 2024年1月 | 12,929 | - |
| 2024年2月 | 11,941 | - |
| 2024年3月 | 13,776 | - |
| 2024年4月 | 14,305 | - |
| 2024年5月 | 14,196 | - |
| 2024年6月 | 12,401 | - |
| 2024年7月 | 13,030 | - |
| 2024年8月 | 14,012 | - |
| 2024年9月 | 10,759 | - |
| 2024年10月 | 13,957 | - |
| 2024年11月 | 12,347 | - |
| 2024年12月 | 11,066 | - |
| 2025年1月 | 14,174 | +9.6% |
| 2025年2月 | 11,369 | -4.8% |
| 2025年3月 | 13,922 | +1.1% |
| 2025年4月 | 15,305 | +7.0% |
| 2025年5月 | 14,109 | -0.6% |
| 2025年6月 | 12,933 | +4.3% |
| 2025年7月 | 14,186 | +8.9% |
| 2025年8月 | 12,252 | -12.6% |
| 2025年9月 | 13,239 | +23.1% |
| 2025年10月 | 16,210 | +16.1% |
| 2025年11月 | 10,487 | -15.1% |
| 2025年12月 | 11,711 | +5.8% |
| 2026年1月 | 12,404 | -12.5% |
| 2026年2月 | 10,698 | -5.9% |
| 2026年3月 | 13,768 | -1.1% |
出典: SalesNow DB(2026年4月20日取得) / 法人番号指定日ベースの月次全数集計 / ハイライト行はピーク月および最新月
二極化は第2フェーズへ — 「過去最多水準の維持」と「四半期減速」が併存
2025年に顕在化した「創業過去最多 × 倒産12年ぶりの1万件超」という二極化構造は、2026年に入り新しい局面に移行している可能性がある。2025年通年のSalesNow集計値は159,897社(+3.3%)で過去最多を維持した一方、2026年Q1は前年同期比-6.6%と明確に反転しており、二極化の「継続」と「増加側の減速」が併存する段階に入った。
この変化の解釈として、創業側が先にピークアウトしつつあるというシナリオが考えられる。TDBの倒産統計が示す「人手不足倒産の過去最多」は、新規参入側にも同じ制約(人材不足)が及ぶことを意味する。創業数の伸びは、参入障壁(資金調達・人材確保・原材料高)の累積的な影響を受けて鈍化している可能性がある。ただし、新設法人の業種別内訳や退出企業の属性との突合は本レポートの対象外であり、この解釈は仮説である。
もう一つの重要な論点は、4月以降のピーク月で通年の方向性が決まることである。2024年4月14,305社、2025年4月15,305社(+7.0%)と、4月は年間で最も新設法人が多い月として機能してきた。2026年4月がこの水準を維持できるかどうかは、「Q1の-6.6%が構造的転換点か、一時的調整か」を判断する最初の材料となる。仮に4月が前年割れとなれば、2026年通年は過去最多更新のストリークが途切れる可能性も視野に入る。
市場環境との照合
SalesNowの新設法人データと以下の外部統計を照合し、整合性を確認した。
- TSR(東京商工リサーチ): 2024年の新設法人数 153,938社(過去最多、前年比+0.3%)。SalesNowの2024年集計値154,719社と約+0.5%の差異があるが、集計基準の差異の範囲内
- TDB(帝国データバンク): 2025年の倒産件数 10,261件(12年ぶりの1万件超)。人手不足倒産が過去最多を更新しており、労働市場の逼迫が企業の存続に直接影響
- 日本政策金融公庫: 創業融資実績は堅調に推移しており、資金調達環境の観点からは創業を後押しする要因が継続
- 総務省 労働力調査: 完全失業率は2%台後半で低位安定。雇用環境が良好な中での創業は「必要に迫られた起業」ではなく「機会追求型の起業」が多いことを示唆
2025年までの「過去最多水準」は維持されているが、2026年Q1で-6.6%の反転が起きており、二極化の「増加側」にも陰りが見え始めた段階である。2026年Q2(特に4月のピーク月)のデータが、構造的転換点か一時的調整かを判断する材料となる。
このデータを引用する
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月)
株式会社SalesNow (2026)「新設法人レポート 2026年3月版 — 3ヶ月連続前年割れだがマイナス幅は急速縮小」SalesNow Data Lab, 2026年4月20日.
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