DATA INSIGHTS

新設法人レポート 2026年3月
3ヶ月連続前年割れだがマイナス幅は急速縮小

AI企業データプラットフォーム「SalesNow」が法人番号データを全数分析。2026年1-3月は3ヶ月連続で前年同月を下回ったが、マイナス幅は-12.5%→-5.9%→-1.1%と急速に縮小。減速トレンドの勢いは弱まっている。

Published 2026-04-20 by SalesNow Data Lab

Key Takeaway: 2025年通年の新設法人数は159,897社で前年比+3.3%と過去最多を更新した。2026年に入り1-3月は3ヶ月連続で前年同月を下回っているが、2026年3月は13,768社(前年同月比-1.1%)とマイナス幅はほぼ横ばい水準まで縮小した。1月-12.5%、2月-5.9%、3月-1.1%という推移は、減速トレンドの「勢い」が弱まっている可能性を示す。4月は例年のピーク月であり、年度開始月のデータが今後の趨勢を判断する鍵となる。
13,768社
2026年3月 新設法人数
前年同月比 -1.1%
159,897社
2025年通年 新設法人数
前年比 +3.3%(過去最多)
36,870社
2026年Q1(1-3月)新設法人数
前年同期比 -6.6%(2025年Q1: 39,465社)

調査概要

データソース AI企業データプラットフォーム「SalesNow」保有データベース(国税庁法人番号公表サイトの新規指定法人データを日次取得) 対象 法人番号が新規指定された全法人(全数集計、サンプリングではない) 調査期間 2024年1月〜2026年3月(27ヶ月間の月次推移) 分析手法 法人番号指定日を設立日として月次集計。法人番号公表サイトの差分データを日次で取得し、SalesNow DBに統合 N数 全数(法人番号データのため母集団=全新設法人) データ取得日 2026年4月20日 備考 2025年通年の新設法人数について、本レポートでは月次合計値159,897社(前年比+3.3%)を採用する。別の集計クエリでは161,349社(前年比+4.3%)となる場合があるが、これは集計タイミング(法人番号の遡及指定の反映時期)の差異によるものである。本レポートの月次データは全て同一クエリ・同一条件で抽出しており、整合性を優先する

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 対象: 法人番号新規指定法人の全数集計 / 2024年は前年データなし(前年同月比は2025年1月以降のみ表示)

Key Findings

1

2026年3月は13,768社 — 3ヶ月連続前年割れだがマイナス幅は急速縮小

2026年3月の新設法人数は13,768社で、前年同月(13,922社)を154社下回り、前年同月比-1.1%となった。これで2026年1-3月は3ヶ月連続の前年割れとなったが、マイナス幅は1月-12.5% → 2月-5.9% → 3月-1.1%と急速に縮小している。絶対値で見ると月を追うごとに半減以上のペースで縮小しており、減速の「勢い」は明確に弱まっている。

この推移は、2025年の月次データでは見られなかったパターンである。2025年中にも前年同月比マイナスの月は存在したが(2月: -4.8%、5月: -0.6%、8月: -12.6%、11月: -15.1%)、いずれも翌月にはプラスに転じており、3ヶ月連続の前年割れは今回が初めてとなる。一方で、マイナス幅が連続的に縮小している点は従来と異なり、底入れのシグナルの可能性を含んでいる。

ただし、単月の-1.1%のみでトレンド転換を断定することは早計である。3月は年度末に向けて法人設立が集中する月であり、季節要因による数値の揺らぎが大きい。2026年3月の絶対水準(13,768社)は2024年3月(13,776社)および2025年3月(13,922社)と近接しており、「量的水準」としては例年並みを維持している。4月は例年のピーク月であり、年度開始月のデータが出揃った時点で改めて趨勢を判断する必要がある。

注: 前年同月比は同一集計条件(法人番号指定日ベース)による算出。2024年1-12月は2023年データが本分析の対象外のため前年同月比を算出していない。
2

2026年Q1(1-3月)は36,870社で前年同期比-6.6% — 四半期単位で見える明確な減速

単月ではなく四半期単位で見ると、2026年の減速はより明確になる。2026年第1四半期(1-3月)の新設法人数は合計36,870社で、2025年同期(39,465社)を2,595社下回り、前年同期比-6.6%となった。これは2024年Q1(38,646社)と比較しても約-4.6%の減少であり、単月の振れ幅ではなく「四半期の傾向」として減速が確認できる水準である。

四半期単位の比較が重要な理由は、月ごとの季節性や営業日数の影響を平準化できる点にある。2026年は1月-12.5%、2月-5.9%、3月-1.1%と単月の振れ幅が大きいが、Q1合計の-6.6%は「構造的な減速トレンドが存在する」ことを示唆する。同時に、Q1マイナス幅の-6.6%は2025年通年の前年比+3.3%と方向性が逆転しており、2025年までの増加基調に変化が生じている可能性がある。

ただし、第1四半期は年間を通じて新設法人数が最も少ない期間であり、通年の傾向を断定する材料としては不十分である。日本企業の会計年度開始に合わせて4月に最大のピークが来る構造を踏まえると、Q1の-6.6%が通年トレンドを示すのか、Q2以降で巻き返されるのかを慎重に見極める必要がある。

期間 新設法人数 前年同期比 備考
2024年Q1(1-3月) 38,646社 - 参考値
2025年Q1(1-3月) 39,465社 +2.1% 前年比増加
2026年Q1(1-3月) 36,870社 -6.6% 3年で最少、減速鮮明

出典: SalesNow DB(2026年4月20日取得) / 法人番号指定日ベースの月次全数集計の四半期合計

2025年通年の位置づけ: 2025年通年の新設法人数は159,897社(前年比+3.3%)で過去最多を更新した。ただし2026年Q1で-6.6%に反転しており、「過去最多水準の維持」と「足元の減速」が併存する構造にある。
3

過去3年の3月比較 — 2026年3月は3年で最少だが差は±1%以内の狭いレンジ

2026年3月の新設法人数13,768社は、2024年3月(13,776社)と2025年3月(13,922社)を下回り、過去3年の3月で最少となった。ただし3年間の差は以下のとおり極めて小さい。2025年3月は前年比+1.1%、2026年3月は前年比-1.1%であり、3月の水準は13,700〜13,900社の狭いレンジに収斂している。年度末の3月は法人設立手続きが駆け込み的に集中する月であり、経済環境の変動に対して他の月より反応が鈍い「安定月」という性格を持つ。

この「狭いレンジでの微減」は解釈に幅がある。一方の見方は「3年で最少という事実は減速トレンドの継続を示す」という読みであり、もう一方は「±1%以内の揺らぎは統計ノイズの範囲内であり、構造変化と断定できない」という読みである。どちらが正しいかは、4月以降のピーク月のデータで判断する必要がある。2024年4月は14,305社、2025年4月は15,305社(前年比+7.0%)と伸びを見せており、2026年4月がこの水準を維持できるかが2026年通年の方向性を示す最初の分水嶺となる。

他の月の季節パターンも参考情報として併記する。年間のピークは4月と10月に集中する(日本企業の会計年度開始と下半期開始に対応)。2024年は4月14,305社・10月13,957社がピーク、2025年は4月15,305社・10月16,210社がピークだった。谷は2024年が9月(10,759社)と12月(11,066社)、2025年は11月(10,487社)が最少。2月は営業日数の少なさから恒常的に低水準であり、2024年11,941社、2025年11,369社、2026年10,698社と3年連続で減少している。

年月 新設法人数 前年同月比
2024年1月 12,929 -
2024年2月 11,941 -
2024年3月 13,776 -
2024年4月 14,305 -
2024年5月 14,196 -
2024年6月 12,401 -
2024年7月 13,030 -
2024年8月 14,012 -
2024年9月 10,759 -
2024年10月 13,957 -
2024年11月 12,347 -
2024年12月 11,066 -
2025年1月 14,174 +9.6%
2025年2月 11,369 -4.8%
2025年3月 13,922 +1.1%
2025年4月 15,305 +7.0%
2025年5月 14,109 -0.6%
2025年6月 12,933 +4.3%
2025年7月 14,186 +8.9%
2025年8月 12,252 -12.6%
2025年9月 13,239 +23.1%
2025年10月 16,210 +16.1%
2025年11月 10,487 -15.1%
2025年12月 11,711 +5.8%
2026年1月 12,404 -12.5%
2026年2月 10,698 -5.9%
2026年3月 13,768 -1.1%

出典: SalesNow DB(2026年4月20日取得) / 法人番号指定日ベースの月次全数集計 / ハイライト行はピーク月および最新月

4

二極化は第2フェーズへ — 「過去最多水準の維持」と「四半期減速」が併存

2025年に顕在化した「創業過去最多 × 倒産12年ぶりの1万件超」という二極化構造は、2026年に入り新しい局面に移行している可能性がある。2025年通年のSalesNow集計値は159,897社(+3.3%)で過去最多を維持した一方、2026年Q1は前年同期比-6.6%と明確に反転しており、二極化の「継続」と「増加側の減速」が併存する段階に入った。

この変化の解釈として、創業側が先にピークアウトしつつあるというシナリオが考えられる。TDBの倒産統計が示す「人手不足倒産の過去最多」は、新規参入側にも同じ制約(人材不足)が及ぶことを意味する。創業数の伸びは、参入障壁(資金調達・人材確保・原材料高)の累積的な影響を受けて鈍化している可能性がある。ただし、新設法人の業種別内訳や退出企業の属性との突合は本レポートの対象外であり、この解釈は仮説である。

もう一つの重要な論点は、4月以降のピーク月で通年の方向性が決まることである。2024年4月14,305社、2025年4月15,305社(+7.0%)と、4月は年間で最も新設法人が多い月として機能してきた。2026年4月がこの水準を維持できるかどうかは、「Q1の-6.6%が構造的転換点か、一時的調整か」を判断する最初の材料となる。仮に4月が前年割れとなれば、2026年通年は過去最多更新のストリークが途切れる可能性も視野に入る。

市場環境との照合

SalesNowの新設法人データと以下の外部統計を照合し、整合性を確認した。

  • TSR(東京商工リサーチ): 2024年の新設法人数 153,938社(過去最多、前年比+0.3%)。SalesNowの2024年集計値154,719社と約+0.5%の差異があるが、集計基準の差異の範囲内
  • TDB(帝国データバンク): 2025年の倒産件数 10,261件(12年ぶりの1万件超)。人手不足倒産が過去最多を更新しており、労働市場の逼迫が企業の存続に直接影響
  • 日本政策金融公庫: 創業融資実績は堅調に推移しており、資金調達環境の観点からは創業を後押しする要因が継続
  • 総務省 労働力調査: 完全失業率は2%台後半で低位安定。雇用環境が良好な中での創業は「必要に迫られた起業」ではなく「機会追求型の起業」が多いことを示唆

2025年までの「過去最多水準」は維持されているが、2026年Q1で-6.6%の反転が起きており、二極化の「増加側」にも陰りが見え始めた段階である。2026年Q2(特に4月のピーク月)のデータが、構造的転換点か一時的調整かを判断する材料となる。

因果関係に関する注意: 本Finding では創業増加と倒産増加の「同時発生」を指摘しているが、両者の因果関係を主張するものではない。創業の増加が倒産を引き起こしているわけでも、その逆でもなく、いずれもマクロ経済環境の異なる側面として並行的に観察されている事象である。

このデータを引用する

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月)
株式会社SalesNow (2026)「新設法人レポート 2026年3月版 — 3ヶ月連続前年割れだがマイナス幅は急速縮小」SalesNow Data Lab, 2026年4月20日.

本レポートに含まれるデータ・グラフは、出典として「AI企業データプラットフォームSalesNow調べ」と明記することを条件に、報道・記事での引用・転載を許諾する。グラフ画像の二次利用も同条件で許諾する。

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