DATA INSIGHTS

新設法人レポート 2026年4月
4月ピーク月で前年比-10.3%、4ヶ月連続前年割れに拡大

AI企業データプラットフォーム「SalesNow」が法人番号データを全数分析。2026年4月は13,729社で例年のピーク月にもかかわらず前年同月比-10.3%。1月-12.5%→2月-5.9%→3月-1.1%→4月-10.3%と4ヶ月連続前年割れに拡大、減速の縮小傾向は4月で反転した。

Updated 2026-05-18 by SalesNow Data Lab

Key Takeaway: 2025年通年の新設法人数は159,897社で前年比+3.3%と過去最多を更新したが、2026年は減速基調が継続している。2026年4月は13,729社(前年同月比-10.3%)と、例年最大のピーク月にもかかわらず2桁の前年割れを記録した。前回までの「マイナス幅縮小(1月-12.5%→2月-5.9%→3月-1.1%)」は4月で反転し、4ヶ月連続前年割れに拡大。2025年4月は前年比+7.0%だったため、ピーク月の方向が真逆に転じた格好となる。2026年通年で過去最多更新ストリークが途切れる可能性が現実味を帯びてきた。
13,729社
2026年4月 新設法人数
前年同月比 -10.3%(2025年4月: 15,305社)
50,599社
2026年1-4月 新設法人数累計
前年同期比 -7.5%(2025年1-4月: 54,770社)
4ヶ月
連続前年割れ月数
1月-12.5% / 2月-5.9% / 3月-1.1% / 4月-10.3%

調査概要

データソース AI企業データプラットフォーム「SalesNow」保有データベース(国税庁法人番号公表サイトの新規指定法人データを日次取得) 対象 法人番号が新規指定された全法人(全数集計、サンプリングではない) 調査期間 2024年1月〜2026年4月(28ヶ月間の月次推移) 分析手法 法人番号指定日を設立日として月次集計。法人番号公表サイトの差分データを日次で取得し、SalesNow DBに統合 N数 全数(法人番号データのため母集団=全新設法人) データ取得日 2026年5月18日 備考 2025年通年の新設法人数について、本レポートでは月次合計値159,897社(前年比+3.3%)を採用する。別の集計クエリでは161,349社(前年比+4.3%)となる場合があるが、これは集計タイミング(法人番号の遡及指定の反映時期)の差異によるものである。本レポートの月次データは全て同一クエリ・同一条件で抽出しており、整合性を優先する

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年5月18日時点) / 対象: 法人番号新規指定法人の全数集計 / 2024年は前年データなし(前年同月比は2025年1月以降のみ表示)

Key Findings

1

2026年4月は13,729社 — ピーク月で前年比-10.3%、減速縮小トレンドが反転

2026年4月の新設法人数は13,729社で、前年同月(15,305社)を1,576社下回り、前年同月比-10.3%となった。これで2026年1-4月は4ヶ月連続の前年割れとなり、3月までの「マイナス幅縮小トレンド(1月-12.5% → 2月-5.9% → 3月-1.1%)」は4月で反転(-10.3%)した。前回時点で底入れシグナルの可能性を指摘したが、4月実績は再び二桁マイナス側に振れ、減速の継続が確認される結果となった。

4月のマイナス幅が特に注目される理由は、4月が年間で最大のピーク月である点にある。日本企業の会計年度開始月であり、新事業立ち上げに伴う法人設立が集中する月で、2024年4月14,305社・2025年4月15,305社(前年比+7.0%)と年間最大の水準を記録してきた。この季節ピークが2026年4月は13,729社にとどまり、2024年4月(14,305社)すら576社下回った。ピーク月の絶対水準が3年で最少となるのは、季節要因では説明しきれない構造的シグナルと解釈できる。

2026年1-4月の累計は50,599社で前年同期比-7.5%(2025年1-4月: 54,770社)。Q1(1-3月)の-6.6%から4月を加えた1-4月で-7.5%にマイナス幅が拡大しており、四半期単位で見ても減速基調が継続している。仮にこのペースが続けば、2026年通年は150,000社台前半まで縮小する計算となり、2025年通年159,897社で達成した過去最多更新ストリークが途切れる可能性が現実味を帯びる。

注: 前年同月比は同一集計条件(法人番号指定日ベース)による算出。2024年1-12月は2023年データが本分析の対象外のため前年同月比を算出していない。本Findingは「単月の-10.3%」の事実を提示するものであり、通年予測や個別企業の経営判断材料を提供するものではない。
2

2026年1-4月は50,599社で前年同期比-7.5% — ピーク月含む4ヶ月で減速継続

単月の振れ幅を均してみても、2026年の減速は鮮明である。2026年1-4月の新設法人数累計は50,599社で、2025年同期(54,770社)を4,171社下回り、前年同期比-7.5%となった。Q1(1-3月)時点の-6.6%から、4月を加えた1-4月で-7.5%にマイナス幅が拡大している。これは「Q1の減速はQ2のピーク月(4月)で巻き返される」という前回時点の楽観シナリオが成立しなかったことを意味する。

4月単月の-10.3%は特に重要な意味を持つ。例年4月は年間最大のピーク月であり、年間の新設法人数の傾向を最も強く反映する月である。2024年4月14,305社、2025年4月15,305社と、4月の絶対水準は通年の活況を測るベンチマーク的な月でもある。この2026年4月が13,729社にとどまったことは、年度開始月の起業需要が前年・前々年比でいずれも縮小していることを示しており、季節調整では説明できない構造的なシグナルと読み取れる。

ただし、本Findingは2026年通年が前年割れになることを断定するものではない。1-4月実績の-7.5%が通年でも維持されるかどうかは、5月以降の月次データで判断する必要がある。仮に5-12月が前年並みで推移しても、通年では159,897社×0.925 = 約148,000社前後となり、2024年154,719社・2025年159,897社のいずれも下回ることになる。「過去最多更新ストリーク途切れ」の可能性は、5-6月のデータで再評価する必要がある。

期間 新設法人数 前年同期比 備考
2024年1-4月 52,951社 - 参考値
2025年1-4月 54,770社 +3.4% 前年比増加
2026年1-4月 50,599社 -7.5% 3年で最少、Q1-6.6%から拡大
2026年Q1(1-3月) 36,870社 -6.6% 参考: Q1単独
2026年4月単月 13,729社 -10.3% 参考: 4月単独、ピーク月

出典: SalesNow DB(2026年5月18日取得) / 法人番号指定日ベースの月次全数集計の累計

2025年通年の位置づけ: 2025年通年の新設法人数は159,897社(前年比+3.3%)で過去最多を更新した。2026年1-4月で-7.5%に反転しており、「過去最多達成」から「翌年の減速」へ局面が転換している可能性を示す。
3

過去3年の4月比較 — 2026年4月は3年で最少、575社の絶対値減

2026年4月の新設法人数13,729社は、2024年4月(14,305社)と2025年4月(15,305社)を下回り、過去3年の4月で最少となった。前年からの絶対値減は1,576社と、2024→2025年の増加分(+1,000社)を上回る減少幅である。3月の比較では3年間の差が±1%以内の狭いレンジに収まっていたが、4月では「3年間で最も少ない4月」が「過去最多更新を続けてきた4月」と地続きで発生しており、ピーク月の地殻変動が観測できる。

年間の季節パターンを整理すると、ピークは4月と10月に集中する(日本企業の会計年度開始と下半期開始に対応)。2024年は4月14,305社・10月13,957社がピーク、2025年は4月15,305社・10月16,210社がピークだった。谷は2024年が9月(10,759社)と12月(11,066社)、2025年は11月(10,487社)が最少。2月は営業日数の少なさから恒常的に低水準であり、2024年11,941社、2025年11,369社、2026年10,698社と3年連続で減少している。2026年4月の-10.3%は「ピーク月さえも前年並みを維持できない」シグナルであり、谷月の減少と合わせて全体的な減速基調の継続を示唆する。

他の解釈可能性として、2025年4月の異常値の反動という見方がある。2025年4月の15,305社は2024年4月から+7.0%、2024年3月から+3.8%と、ピーク月としても突出した水準だった。2025年4月の上振れには、円安と海外進出停滞による国内事業立ち上げの集中など、特殊要因が含まれていた可能性がある。仮に2025年4月が「特異点」だったとすれば、2026年4月の-10.3%は「特異点との比較で見かけ上大きい」という側面も含まれる。ただし、2026年4月の絶対水準13,729社が2024年4月14,305社をも下回る事実は、特異点反動だけでは説明しきれない。

年月 新設法人数 前年同月比
2024年1月 12,929 -
2024年2月 11,941 -
2024年3月 13,776 -
2024年4月 14,305 -
2024年5月 14,196 -
2024年6月 12,401 -
2024年7月 13,030 -
2024年8月 14,012 -
2024年9月 10,759 -
2024年10月 13,957 -
2024年11月 12,347 -
2024年12月 11,066 -
2025年1月 14,174 +9.6%
2025年2月 11,369 -4.8%
2025年3月 13,922 +1.1%
2025年4月 15,305 +7.0%
2025年5月 14,109 -0.6%
2025年6月 12,933 +4.3%
2025年7月 14,186 +8.9%
2025年8月 12,252 -12.6%
2025年9月 13,239 +23.1%
2025年10月 16,210 +16.1%
2025年11月 10,487 -15.1%
2025年12月 11,711 +5.8%
2026年1月 12,404 -12.5%
2026年2月 10,698 -5.9%
2026年3月 13,768 -1.1%
2026年4月 13,729 -10.3%

出典: SalesNow DB(2026年5月18日取得) / 法人番号指定日ベースの月次全数集計 / ハイライト行はピーク月および最新月

4

二極化の第2フェーズ確定 — ピーク月で-10.3%、創業側のピークアウト局面入り

2025年に顕在化した「創業過去最多 × 倒産12年ぶりの1万件超」という二極化構造は、2026年4月の-10.3%でピークアウトが確定的な局面に入ったと解釈できる。前回時点で「4月のピーク月データが構造的転換点か一時的調整かを判断する分水嶺」と指摘していたが、4月実績13,729社(前年比-10.3%)は「構造的転換点」側に振れた。Q1の-6.6%が一時的調整であれば、ピーク月の4月は前年並みまたはプラスに戻るはずだったが、実際は逆方向に拡大した。

この変化の解釈として、創業側が先にピークアウトしつつあるというシナリオが、4月実績で確からしさを増した。TDBの倒産統計が示す「人手不足倒産の過去最多」は、新規参入側にも同じ制約(人材不足・資金調達コスト上昇・原材料高)が及ぶことを意味する。創業数の伸びは、参入障壁の累積的な影響を受けて鈍化していると考えられる。ただし、新設法人の業種別内訳や退出企業の属性との突合は本レポートの対象外であり、解釈には複数の可能性がある。

もう一つの論点として、2025年4月の異常値の反動という見方もある。2025年4月の15,305社は他のピーク月(10月16,210社を除く)と比較しても突出した水準であり、何らかの一時的な需要集中があった可能性がある。仮に2025年4月が特異点であれば、2026年4月の-10.3%は「特異点との比較で見かけ上大きい」側面を含む。とはいえ2026年4月の絶対水準13,729社は2024年4月14,305社をも下回るため、特異点反動だけでは説明しきれない。5-6月のデータで「2025年4月の異常値反動」か「真の減速トレンド」かを再評価する必要がある。

市場環境との照合

SalesNowの新設法人データと以下の外部統計を照合し、整合性を確認した。

  • TSR(東京商工リサーチ): 2024年の新設法人数 153,938社(過去最多、前年比+0.3%)。SalesNowの2024年集計値154,719社と約+0.5%の差異があるが、集計基準の差異の範囲内
  • TDB(帝国データバンク): 2025年の倒産件数 10,261件(12年ぶりの1万件超)。人手不足倒産が過去最多を更新しており、労働市場の逼迫が企業の存続に直接影響
  • 日本政策金融公庫: 創業融資実績は堅調に推移しており、資金調達環境の観点からは創業を後押しする要因が継続。ただし融資実行から法人設立まで時間差があるため、4月実績への反映は限定的
  • 総務省 労働力調査: 完全失業率は2%台後半で低位安定。雇用環境が良好な中での創業需要は維持されているが、人材確保コストの上昇が起業のハードルになっている可能性
  • 厚労省「一般職業紹介状況」: 有効求人倍率 1.18倍(2026年2月、前月比横ばい)。労働市場の逼迫が続く中での新設法人減速は、人材確保困難が創業を抑制している示唆となる

2025年までの「過去最多水準」と「2026年4月-10.3%」の対比は、二極化構造が「増加側の減速」局面に明確に移行していることを示す。5-6月のデータで通年トレンドの確からしさを評価することが次の重要な分析タイミングとなる。

因果関係に関する注意: 本Finding では創業増加と倒産増加の「同時発生」を指摘しているが、両者の因果関係を主張するものではない。創業の増加が倒産を引き起こしているわけでも、その逆でもなく、いずれもマクロ経済環境の異なる側面として並行的に観察されている事象である。

このデータを引用する

出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年5月)
株式会社SalesNow (2026)「新設法人レポート 2026年4月版 — 4月ピーク月で前年比-10.3%、4ヶ月連続前年割れ」SalesNow Data Lab, 2026年5月18日.

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