「取引先の与信を確認したいが、帝国データバンクと東京商工リサーチのどちらに頼めばいいのか判断がつかない」——与信管理や取引先審査の担当になった方が、最初につまずくのがこの問いです。2社はいずれも国内の信用調査を代表する企業であり、機能一覧を並べても「どちらもできる」という結論にしかたどり着きません。
本記事は、両社の違いを優劣ではなく「成り立ち・データの特色・サービス構成・公表統計の基準」という事実の差として整理するためのガイドです。
本記事ではまず、両社の違いを一覧できる比較表を示します。続いて、東京商工リサーチ(TSR)と帝国データバンク(TDB)それぞれの会社概要とサービス構成、成り立ち・データ・倒産統計・評価指標という4つの違いを順に確認します。
後半では、東京商工リサーチの評判の調べ方、目的別の使い分けと併用の考え方、信用調査の情報と営業データベースの役割分担までを解説します。
与信管理を仕組みとして回す方法は「与信管理システム比較10選|タイプ別おすすめと選び方・料金体系」で、取引開始前のコンプライアンス確認の手順は「反社チェックのやり方6つの方法|手順・対象範囲・頻度と証跡の残し方」で解説しています。
企業データベース全体を横並びで検討したい方は「企業データベース比較12選【2026年最新】目的別おすすめ・選び方・比較表付き」もあわせて参照してください。
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帝国データバンクと東京商工リサーチの違いを比較表で総覧【2026年8月時点】
与信管理の現場では、2社の名前が必ずセットで挙がります。どちらか一方を選ぶ場面もあれば、両方を契約して使い分ける場面もあります。まずは判断の土台として、公式情報で確認できる事実を横に並べます。
帝国データバンクと東京商工リサーチの違いは、成り立ち・データの公表方法・倒産集計の基準の3点に集約されます。両社はいずれも国内の信用調査を代表する企業であり、優劣ではなく設計思想の差として捉えるのが実務的です。まずは、両社の公式サイトに掲載されている内容を同じ粒度で並べます。
| 比較軸 | 帝国データバンク(TDB) | 東京商工リサーチ(TSR) |
|---|---|---|
| 商号 | 株式会社帝国データバンク | 株式会社東京商工リサーチ |
| 創業/設立 | 創業1900年3月3日 設立1987年7月13日 |
創業1892年8月 設立1933年5月 |
| 本社 | 東京都港区南青山2-5-20 | 東京都千代田区大手町1-3-1 |
| 資本金 | 9,000万円 | 6,700万円 |
| 従業員数 | 3,300名 (うち調査取材部門1,700名) |
2,067人 (2026年3月末現在) |
| 事業所 | 全国83カ所 | 全81カ所 (本社2、支社8、支店71) |
| 調査の方針 | 「現地現認」を掲げ、最寄りの調査拠点から担当調査員が企業へ向かう | 全国のTSR調査員が実際に企業を訪問し、直接ヒアリングした情報をレポート化する |
| 主なデータ ベース |
企業概要データベース「COSMOS2」、企業財務データベース「COSMOS1」、連結企業データベース「C-tree」など。日本企業のデータ網羅率70%・海外企業データ6億件を公表 | 国内1,000万件超・全世界6億件超の企業情報を公表。D&Bとの提携によりD-U-N-S® Numberを扱う |
| Web企業情報 サービス |
インターネット企業情報サービス「COSMOSNET」(信用調査報告書・企業情報・倒産情報・新聞記事・グローバル企業データを提供) | インターネット企業情報サービス「tsr-van2」(国内700万件超・全世界6億件超を収録) |
| 企業評価 指標 |
信用調査報告書に100点満点の評点を掲載。データサービスとして、1年以内の倒産リスクを示す倒産予測値も提供 | 100点満点の実数表示の評点を提供。向こう12カ月の倒産確率を示すリスクスコアを併記 |
| 倒産集計の 対象 |
倒産4法による法的整理を申請した負債額1,000万円以上の法人・個人経営。任意整理(銀行取引停止、内整理など)は含まない | 負債総額1,000万円以上を対象。倒産を「法的倒産」と「私的倒産(銀行取引停止・内整理)」に大別して定義している |
| 料金の 示し方 |
各サービスページからの問い合わせ・資料請求を通じた個別提示 | 公式サイトに調査料金の目安を掲載(tsr-van2経由の新規調査は30,000円など) |
※出典:帝国データバンク「会社概要」/東京商工リサーチ「会社概要」ほか各社公式ページ。いずれも2026年8月8日確認。表中の数値は各社が公表している定義・基準に基づくため、単純な大小比較には適さない項目があります。
比較で迷いやすい3つのポイント
比較検討が長引くケースには共通のパターンがあります。1つ目は、収録件数の大小だけで比べようとすることです。両社は公表しているデータの単位も範囲も異なります(詳しくは「違い②データの特色」で解説します)。
2つ目は、公表されている倒産件数の差を「精度の差」と受け取ってしまうことです。件数の差は集計対象の定義の違いによるもので、どちらかが正しくどちらかが誤っているという性質のものではありません。
3つ目は、社内の複数部門の要望を1つの表に詰め込んでしまうことです。経理・審査部門は与信判断の精度、営業部門はアプローチ先の情報、経営企画は業界統計を求めており、評価軸が最初から食い違います。まずは主目的を1つに決めてから比較に入るのが近道です。
ここからは、表に並べた項目を1つずつ掘り下げます。まず、検索されることの多い「東京商工リサーチとは何か」から確認していきます。
東京商工リサーチとは?1892年創業の信用調査会社の概要とサービス構成
「東京商工リサーチ」という社名は、倒産のニュースや企業の統計データの出典として目にする機会が多いものです。一方で、その事業の全体像まで把握している方は多くありません。ここでは、会社としての姿とサービスの構成を整理します。
東京商工リサーチとは、1892年創業・1933年設立の信用調査会社で、企業信用調査と企業情報データベースの提供を主な事業とする企業です。公式サイトでは自社を「お客さまの頼れるビジネスコンシェルジュ」と位置づけ、企業情報のワンストップ提供を掲げています。
会社概要|創業1892年、全国81カ所の事業所
公式の会社概要ページによると、株式会社東京商工リサーチの創業は1892年(明治25年)8月、設立は1933年(昭和8年)5月です。本社は東京都千代田区大手町1-3-1、資本金は6,700万円、代表取締役社長は河原光雄氏です。
従業員数は2,067人(2026年3月末現在)、事業所は本社2・支社8・支店71の全81カ所です。法人番号は5010001134287で、国税庁法人番号公表サイトでも確認できます(出典:東京商工リサーチ「会社概要」/2026年8月8日確認)。
特徴的なのは、自社にD-U-N-S® Number(69-062-0307)を保有している点です。D-U-N-S® Numberは世界的に使われる企業識別コードで、東京商工リサーチはその照会・発番・登録情報変更サービスも提供しています。
事業内容|調査・情報・データベース・出版の4事業
公式サイトでは、事業内容が4つの領域に整理されています。自社の用途と照らし合わせやすいよう、公式サイトの表記のまま引用します。
- 調査事業:企業信用調査、海外企業調査、市場調査、各種経済調査
- 情報事業:企業情報の取材・配信、倒産情報の取材・配信、M&A情報の取材・配信、セミナー開催、講演
- データベース事業:インターネットを介した企業関連情報提供サービス、電子データや紙媒体による企業関連情報提供サービス
- 出版事業:雑誌、書籍、ビデオ、CD-ROM
与信管理で使われるのは主に調査事業とデータベース事業です。一方、報道でよく目にする「全国企業倒産状況」は情報事業に位置づけられます。同じ社名で語られていても、性質の異なる複数の事業が並存している点は押さえておきたいところです。
主要サービス|TSR REPORTとtsr-van2
企業単位の調査を依頼する場合の主力が、国内企業調査レポート「TSR REPORT」です。公式サイトによれば、日本全国のTSR調査員が実際に企業を訪問して直接ヒアリングした情報に加え、公開情報・業界動向・地域情勢などを組み合わせてレポート化します。
評価項目は200以上あり、公式サイトはフルカラーで見やすいデザインも特徴として挙げています。
継続的にデータを参照する用途では、インターネット企業情報サービス「tsr-van2」が用意されています。
公式ページには「700万件超の国内企業情報、全世界6億件超の海外企業情報を網羅」と記載され、企業基本情報は1件1,200円から取得できるとされています(出典:東京商工リサーチ「インターネット企業情報サービス(tsr-van2)」/2026年8月8日確認)。
tsr-van2では、企業情報・財務関連情報・企業相関図に加えて、評点、向こう12カ月以内の倒産確率を示すリスクスコア、休廃業や解散などの確率を示すTSR予測スコアが提供されます。企業情報が変動した際にメール通知を受け取るモニタリング機能もあり、与信管理の定点観測に使える構成です。
海外情報|D&Bとの提携が支える6億件超
東京商工リサーチのもう1つの特徴が、海外企業情報の扱いです。公式トップページには「全世界6億件超 国内1,000万件超」と掲げられており、世界最大級のカバレッジをワンストップで提供する体制を打ち出しています。
この海外情報の基盤となっているのが、世界的な信用調査会社であるD&B(ダンアンドブラッドストリート)との提携です。グローバル企業情報ソリューション「D&B WorldBase」やD-U-N-S® Numberの取り扱いは、この提携に基づくものです。
海外取引先の与信を国内と同じ窓口で確認したい企業にとって、この構成は実務上の意味を持ちます。
帝国データバンクとは?1900年創業の信用調査会社の概要とサービス構成
もう一方の帝国データバンクについても、同じ項目を同じ順序で見ていきます。
帝国データバンクとは、1900年創業・1987年設立の信用調査会社で、企業信用調査を核に信用リスク管理・データベース・マーケティングなどのサービスを展開する企業です。公式サイトでは、企業信用調査業界での市場シェアをおよそ60%超と公表しています。
会社概要|創業1900年、全国83カ所の事業所
公式の会社概要ページによると、株式会社帝国データバンクの創業年月日は1900年(明治33年)3月3日、設立年月日は1987年(昭和62年)7月13日です。本社は東京都港区南青山2-5-20、資本金は9,000万円、代表者は後藤健夫氏です。
従業員数は3,300名で、うち調査取材部門が1,700名を占めます。事業所は全国83カ所、売上高は583億円(2025年9月期)と公表されています。法人番号は7010401018377です(出典:帝国データバンク「会社概要」/2026年8月8日確認)。
事業内容|調査・データ・経営支援の3領域
公式サイトの会社案内では、事業内容として企業信用調査、信用リスク管理サービス、データベースサービス、マーケティングサービス、電子商取引サポートサービス、出版が挙げられています。会社案内のメニュー構成では、これらが「信用調査」「データサービス」「経営支援」の3領域に整理されています。
信用調査事業のページでは、1世紀以上にわたって守り続けているポリシーとして「現地現認」が掲げられています。日本全国47都道府県に83カ所の事業所を構え、企業信用調査の依頼を受けると最寄りの調査拠点から担当調査員が向かう体制です(出典:帝国データバンク「信用調査」/2026年8月8日確認)。
主要データベース|COSMOS2・COSMOS1とCOSMOSNET
データサービス事業では、複数のデータベースが用途別に用意されています。公式サイトの記載に沿って整理すると、次の構成です。
- 企業概要データベース「COSMOS2」:全国の企業情報を収録したデータベース。企業信用調査で調査員が調査している情報をデータベース化したもの
- 企業財務データベース「COSMOS1」:上場・非上場企業の決算書データと各種財務比率を収録
- 連結企業データベース「C-tree」:連結ベースの企業情報を扱うデータベース
- 新設企業データ「ENTRY」:新設された企業のデータ
- グローバル企業情報データベース「Orbis」:海外企業情報のデータベース
Web上でこれらを参照するサービスがインターネット企業情報サービス「COSMOSNET」です。会員制で、信用調査報告書や企業情報、倒産情報、新聞記事、グローバル企業データなどを提供し、営業ターゲットリストの作成や取引先の継続的なモニタリングにも対応するとされています。
データ規模については、公式の「数字でみる帝国データバンク」ページに、把握している企業間取引データが1,500万、海外企業のデータ件数が6億件、日本企業のデータ網羅率が70%と記載されています。
網羅率については「2022年1月時点のCOSMOS2と令和3年度経済センサス速報値を比較」という注記が付されており、比較の前提が明示されています(出典:帝国データバンク「数字でみる帝国データバンク」/2026年8月8日確認)。
帝国データバンク単体の事業構成やサービス一覧、評判の読み方は「帝国データバンクとは?事業内容・使い方・評判をわかりやすく解説」で解説しています。
違い①成り立ちと組織体制|創業年・拠点網・人員を事実で並べる
両社の概要を並べると、「どちらも全国に80カ所超の拠点を持ち、調査員が企業を訪問して情報を集めている」という共通点がまず浮かびます。そのうえで、公表情報から読み取れる差を確認します。
両社の成り立ちの違いは、東京商工リサーチが1892年創業、帝国データバンクが1900年創業という8年の差にあります。いずれも120年を超える業歴を持ち、日本の信用調査という業態そのものを形づくってきた企業です。
創業の順序と「倒産」という言葉
東京商工リサーチは1892年(明治25年)に「商工社」として創業し、1933年に株式会社東京商工興信所として法人化、1974年に現在の商号へ変更しました。
公式の用語辞典では、「倒産」が正式な法律用語ではないこと、そして同社が1952年から「全国倒産動向」の集計を開始したことで一般に知られるようになったと説明されています。
帝国データバンクは1900年(明治33年)3月3日の創業で、公式サイトでは「創業から120年以上」「国内2%程度しかいない業歴100年を超える企業」と紹介されています。どちらも明治期に生まれ、日本の商取引の信用インフラとして機能してきた点は共通しています。
組織規模の比較
組織規模を公表値で並べると、次のようになります。人員は帝国データバンクが3,300名、東京商工リサーチが2,067人で、拠点数は83カ所と81カ所です。人員規模には差がある一方、全国をカバーする拠点網の広さはほぼ同水準といえます。
| 項目 | 帝国データバンク | 東京商工リサーチ |
|---|---|---|
| 創業 | 1900年3月3日 | 1892年8月 |
| 従業員数 | 3,300名(調査取材部門1,700名) | 2,067人(2026年3月末現在) |
| 事業所数 | 全国83カ所 | 全81カ所(本社2、支社8、支店71) |
| 資本金 | 9,000万円 | 6,700万円 |
| 自社公表の 市場シェア |
企業信用調査業界でおよそ60%超と自社サイトで公表 | 自社サイトで市場シェアの数値は公表していない |
※出典:両社の公式会社概要ページおよび帝国データバンク「数字でみる帝国データバンク」(2026年8月8日確認)。市場シェアは帝国データバンクの自社公表値であり、第三者機関が両社を同一基準で調査した数値ではありません。公表の有無は各社の情報開示方針によるもので、事業規模の優劣を示すものではありません。
調査の進め方は「訪問して確認する」で共通する
調査の進め方についても、両社の公式サイトはよく似た表現を使っています。帝国データバンクは「現地現認」を掲げ、依頼を受けると最寄りの調査拠点から担当調査員が企業へ向かうと説明しています。
東京商工リサーチも、TSR REPORTについて日本全国の調査員が実際に企業を訪問し直接ヒアリングした情報を含むと説明しています。
つまり「訪問調査を軸に据える」という基本方針は、どちらか一方の専売特許ではありません。この点を誤解したまま比較すると、実態と異なる前提で判断してしまう可能性があります。
違い②データの特色|国内収録件数と海外カバレッジの数え方
「収録件数が多いのはどちらか」は、比較検討で最も多く問われる論点です。しかし公表されている数字は、そもそも数えている対象が同じではありません。
データの比較で重要なのは件数の大小ではなく、それが何を数えた数字かという定義です。ここでは、両社が公表している数値とその前提を並べます。
国内データ|公表単位が異なる
東京商工リサーチは公式トップページで「全世界6億件超 国内1,000万件超」と掲げています。一方、tsr-van2のサービスページでは「700万件超の国内企業情報」と記載されています。参照する媒体によって数字が変わるのは、対象とするデータの範囲が異なるためです。
帝国データバンクは、国内データについて件数ではなく網羅率で公表しています。
「数字でみる帝国データバンク」ページには日本企業のデータ網羅率70%と記載され、2022年1月時点のCOSMOS2と令和3年度経済センサス速報値を比較した値であること、集計対象は法人格を持つ「会社」であることが注記されています。
東京商工リサーチは件数で、帝国データバンクは網羅率で公表しています。指標そのものが異なるため、両社の国内データ規模を1つの数字で優劣比較することはできません。比較したい場合は、自社が取引する業種・企業規模の範囲で実際にヒットするかを試すのが現実的です。
海外データ|提携先とデータベースが異なる
海外データについては、両社とも6億件という規模を公表しています。ただし、その基盤となる提携先とデータベースが異なります。
東京商工リサーチはD&Bとの提携により、D&B WorldBaseやD-U-N-S® Numberを扱います。帝国データバンクは、グローバル企業情報データベース「Orbis」を提供しています。
海外取引先の与信を扱う場合、どのデータベースを基盤にしているかは実務上の差になります。取引先が既にD-U-N-S® Numberを保有しているか、社内の管理コードをどちらの体系に寄せるかによって、選択の合理性が変わります。
財務データの持ち方
財務データについては、帝国データバンクが企業財務データベース「COSMOS1」を独立したサービスとして提供し、上場・非上場企業の決算書データと各種財務比率を収録しています。東京商工リサーチはtsr-van2の中で貸借対照表・損益計算書・財務比率などの財務関連情報を提供する構成です。
非上場企業の決算データをまとめて分析したい、統計用の基礎データとして使いたいといった用途では、データベース単体で切り出されているかどうかが検討材料になります。財務データを営業・与信の両面で使う考え方は「企業業績データベースの活用方法【ターゲティングと与信管理への使い方】」で解説しています。
違い③公表統計|倒産集計の対象範囲が異なる理由と読み方
報道で「今月の企業倒産は〇件」と伝えられるとき、その出典が帝国データバンクの場合と東京商工リサーチの場合があります。同じ月なのに件数が一致しないのはなぜか——この疑問には、公式情報で明確な答えがあります。
両社の倒産件数が一致しない最大の理由は、それぞれが公式に定めている集計対象の範囲が異なるためです。どちらかが誤っているのではなく、公表されている定義が違います。
帝国データバンクの集計対象
帝国データバンクは倒産集計のページで、次のように対象を明記しています。「この倒産集計は、倒産4法(会社更生法、民事再生法、破産法、特別清算)による法的整理を申請した負債額1,000万円以上の法人、および個人経営を対象としています。
任意整理(銀行取引停止、内整理など)は集計対象に含みません」(出典:帝国データバンク「倒産集計」/2026年8月8日確認)。
なお同社は、別途「倒産の定義」ページで、一般的な倒産を6つのケース——銀行取引停止処分、内整理、会社更生手続開始の申請、民事再生手続開始の申請、破産手続開始の申請、特別清算開始の申請——として説明しています。「倒産という言葉の定義」と「公表する倒産集計の対象範囲」を分けて示している点が特徴です。
東京商工リサーチの集計対象
東京商工リサーチは公式の用語辞典で、倒産を「企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態」と定義しています。
そのうえで倒産を「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別し、法的倒産は再建型の会社更生法・民事再生法と清算型の破産・特別清算の4分類、私的倒産は銀行取引停止と内整理に分けられると説明しています。
集計の基準については「倒産集計は負債総額1,000万円以上を対象とします」と明記されています(出典:東京商工リサーチ 用語辞典「倒産」/2026年8月8日確認)。負債額の下限1,000万円は両社で共通しています。
一方、帝国データバンクが集計対象から任意整理を明示的に除いているのに対し、東京商工リサーチは倒産の定義そのものに私的倒産を含めている点が異なります。
2つの統計を並べて読むときの注意点
この違いについては、公的機関も注意を促しています。総務省統計局の統計データFAQ「企業の倒産件数」は、東京商工リサーチの「全国企業倒産状況」と帝国データバンクの「全国企業倒産集計」の双方を紹介しています。
そのうえで「なお、いずれの調査についても対象とする範囲が異なりますので、注意が必要です」と明記されています(出典:総務省統計局 統計データFAQ 06B-Q19/2026年8月8日確認)。
実務上のポイントは3つです。
- 出典を必ず明記する。社内資料や対外資料で倒産件数を引用するときは、どちらの集計かを併記する
- 時系列は同一出典で揃える。年度比較や前年同月比を作る際に出典を混ぜると、増減の意味が変わってしまう
- 負債1,000万円未満は原則対象外。小規模な事業停止は両社の主集計に現れないため、実感との差が生まれることがある
なお、東京商工リサーチの「全国企業倒産状況」は、内閣府のマクロ経済統計リンク集にも掲載されています(内閣府「株式会社東京商工リサーチ(TSR)『全国企業倒産状況』リンク」)。両社の統計は、いずれも公的な経済分析の参照先として扱われています。
違い④企業評価指標|両社が持つ評点・スコアの位置づけ
信用調査の報告書を受け取ったとき、多くの担当者が最初に見るのが評価指標です。両社ともこの指標を持っていますが、体系の作り方に違いがあります。
両社とも、100点満点の評点と、定量的な倒産リスク指標の2つを備えています。ただし評価の視点も指標の名称も各社独自のため、ここでは比較検討に必要な範囲で位置づけを整理します。
東京商工リサーチの評点とリスクスコア
東京商工リサーチの評点は、公式の用語辞典で「経営者能力・成長性・安定性・公開性及び総合世評」の4つの視点から総合的に評価した指標であり、100点満点の実数表示で表されると説明されています(出典:東京商工リサーチ 用語辞典「評点」/2026年8月8日確認)。
これと並ぶのがリスクスコアです。TSR REPORTの説明では、過去の倒産事例の分析に基づいて向こう12カ月以内の倒産確率を定量的に算出した指標とされ、スコアが低いほど倒産確率が高い企業であることを表します。評点とリスクスコアは、いずれも最大7世代分の履歴を確認できると記載されています。
さらに、定性評価の評点と定量評価のリスクスコアを組み合わせたマトリクス図が提供され、ポジションに応じて6段階の評価が割り当てられます。定性と定量を別軸として持ち、掛け合わせて読む設計です。
帝国データバンクの評点と倒産予測値
帝国データバンクの評点は、信用調査報告書に掲載される指標です。
公式サイトでは「定性・定量情報をもとに、企業の総合的な信用度を100点満点で表す評価」と説明され、複数の評価要素の合計が100点になる仕組みであることが明記されています(出典:帝国データバンク「信用調査を依頼する方」/2026年8月8日確認)。
定量的なリスク指標としては、データサービスに倒産予測値が用意されています。
公式サイトでは、企業が1年以内に倒産するリスク情報を提供するサービスとして説明されており、毎月の予測値をモニタリングすることで企業の状態変化や倒産の兆候を早期に把握できるとされています(出典:帝国データバンク「データサービス」/2026年8月8日確認)。
調査に基づく評点と、統計的に算出した倒産リスク指標を組み合わせて読む考え方は、両社に共通しています。
一方で、評価の切り口や点数の目安は各社が独自に設計しているため、2社の点数を直接足し合わせたり平均を取ったりする使い方には向きません。具体的な読み方や水準の目安は、報告書の解説資料や各社の案内で確認するのが確実です。
評点を社内基準に組み込むときの考え方
実務では、評点を与信限度額のルールに組み込むケースが多く見られます。その際に重要なのは、社内基準を「どちらの評点を使うか」まで含めて明文化しておくことです。両社の評点は独立した体系のため、基準書に出典を書かないまま運用すると、担当者が変わったときに判断がぶれます。
評点をルールとして運用に落とし込む方法や、判断の履歴を残す仕組みは「与信管理システム比較10選|タイプ別おすすめと選び方・料金体系」で解説しています。
東京商工リサーチの評判・口コミの調べ方|公開情報で確認できること
「東京商工リサーチ 評判」「東京商工リサーチ 口コミ」で検索すると、性質のまったく異なる情報が混在して表示されます。ここを整理しないまま読むと、判断材料として使えない情報に振り回されます。
検索結果に出てくる「評判」は、サービスに対する評価と、勤務先としての評価の2種類に分かれます。取引判断に使えるのは前者だけです。
2種類の「評判」を切り分ける
1つ目は、サービス利用者による評価です。信用調査の納期、レポートの読みやすさ、収録データの充実度など、業務で使ったうえでの感想がこれにあたります。導入判断に直接効くのはこちらです。
2つ目は、勤務先としての評価です。転職・就職系のクチコミサイトに掲載されるもので、働き方や社内制度に関する内容が中心になります。これは信用調査サービスの品質とは別の話であり、取引判断の材料にはなりません。
検索結果ではこの2つが同じ画面に並ぶため、上位表示されたページを順に読むだけでは判断を誤ります。まずタイトルと媒体の種類を見て、どちらの評判なのかを仕分けてから読み進めてください。
公開情報で確認できる客観的な事実
主観的な評判に頼らず、公開情報で確認できる事実を積み上げるほうが確実です。東京商工リサーチについては、次のような点が一次情報で確認できます。
- 公的機関による参照:内閣府のマクロ経済統計リンク集に「全国企業倒産状況」が掲載され、総務省統計局の統計データFAQでも倒産件数の情報源として紹介されている
- 認証取得:システム本部を対象範囲として、ITSMS(ISO20000)とISMS(ISO27001)の認証を取得していると公式サイトに記載
- 料金の公開:TSR REPORTの料金の目安を公式サイトに掲載しており、事前に費用感を把握できる
- 調査体制の明示:調査を受け付ける部門と調査を実行する部門を分けており、調査担当には依頼元の情報が伝えられないと公式のFAQで説明している
※出典:東京商工リサーチ「会社概要」および「国内企業調査レポート(TSR REPORT)」(2026年8月8日確認)。
料金の示し方も「評判」より確かな判断材料になる
口コミの印象に左右されない材料として、料金の示し方も確認しておく価値があります。東京商工リサーチが公表している金額は、tsr-van2経由の新規調査が30,000円(通常50,000円)、TSRポイントを利用した場合が1件7,500円からです(2026年8月8日確認)。
一方、帝国データバンクは各サービスページからの問い合わせ・資料請求を通じて個別に提示する形をとっています。BtoBサービスでは見積もりベースの提供が一般的であり、これは情報開示の方針の違いであって、価格水準やサービス品質の優劣を示すものではありません。
予算を先に固めてから検討したい場合は、この進め方の差を踏まえて動き出すとスムーズです。
どちらをいつ使うか|目的別の使い分けと2社併用が選ばれる理由
ここまでの事実を踏まえて、実務でどう選ぶかを整理します。前提として、両社は同じ業界の2大企業であり、どちらか一方が常に正解ということはありません。
選ぶ基準は「どちらが優れているか」ではなく、「自社が解きたい課題に対して、どちらの情報構成が近いか」です。目的別に整理すると次のようになります。
目的別の考え方
用途によって、確認すべき項目は変わります。よくある6つの目的について、見るべきポイントを整理しました。
| 目的 | 確認すべきポイント |
|---|---|
| 新規取引先の 与信判断 |
対象企業の既存調査データがあるか。ない場合の新規調査の納期と費用。評価指標の体系が自社の与信基準に組み込みやすいか |
| 取引先の 継続モニタリング |
Webサービス(COSMOSNET/tsr-van2)の通知機能と対象範囲。履歴を何世代さかのぼれるか |
| 海外取引先の 与信 |
基盤となる海外データベースの体系。D-U-N-S® Numberを社内コードに使うか、別体系に寄せるか |
| 財務データの 一括分析 |
財務データが独立したデータベースとして切り出されているか。オーダーメイドの抽出条件に対応できるか |
| 業界統計・ 市場分析 |
引用する統計の集計基準。時系列で同一出典に揃えられるか |
| 予算を先に 確定したい |
料金の目安が事前に確認できるか。ポイント制・月額制など課金モデルが自社の利用頻度に合うか |
2社を併用する企業が多い理由
実務では、両社を併用している企業も珍しくありません。理由は主に3つあります。
1つ目は、既存調査データの有無です。調査対象の企業について、一方には最近の調査データがあり、もう一方にはないというケースが起こります。新規調査は費用と納期がかかるため、既存データを持つ側へ照会したほうが早く済みます。
帝国データバンクに新規調査を依頼する場合の手続きと費用は「帝国データバンクの信用調査とは?依頼の流れ・費用と調査を受けた側の対応」で解説しています。
2つ目は、評価の相互検証です。異なる体系の評価指標を並べると、判断が割れた企業を「要確認先」として抽出できます。片方で高評価、もう片方で低評価という企業は、追加確認の対象として合理的です。
3つ目は、統計の使い分けです。集計基準が異なるため、社内の景況分析では両方の数字を並べて傾向を確認する運用が取られることがあります。
選定を進める4ステップ
- 主目的を1つに決める。与信判断、モニタリング、統計利用のどれを軸にするかを先に確定する
- 自社の主要取引先30〜50社でヒット状況を確認する。既存調査データの有無と鮮度を実データで確かめる
- 課金モデルを利用頻度に当てる。年間何件照会するかを試算し、都度課金・ポイント制・月額制のどれが合うかを判断する
- 社内基準に落とし込めるかを検証する。評価指標を与信限度額のルールに組み込めるか、判断履歴を残せるかを確認する
与信の確認だけでなく、アプローチすべき企業の選定やターゲットリストの作成まで踏み込みたい場合は、SalesNowのサービス資料 をご覧ください。1,400万件超の企業・組織データの収録項目と、独自のJCコードを基準とした名寄せ・情報付与の仕組みを具体的に解説しています。
信用調査会社の情報と営業データベースは役割が違う|工程で分ける考え方
ここまで2社の違いを見てきましたが、実務でもう1つ整理しておきたいのが「信用調査の情報だけで営業活動まで完結できるのか」という論点です。結論から言えば、信用調査の情報と営業データベースでは、担っている工程が異なります。
信用調査会社の情報は「この会社と取引してよいか」を判断するための情報であり、営業データベースは「どの会社にどう接触するか」を決めるための情報です。同じ企業データという言葉でも、設計されている目的が違います。
営業プロセスにおける工程の違い
2つの情報は、問いの立て方から使う部門までが異なります。5つの観点で並べると、役割の違いがはっきりします。
| 工程 | 信用調査会社の情報 | 営業データベース |
|---|---|---|
| 主な問い | この会社と取引して大丈夫か。与信枠はいくらが妥当か | どの会社を狙うべきか。今アプローチする理由は何か |
| 使う場面 | 取引開始前の審査、既存取引先の定期モニタリング | ターゲット選定、リスト作成、アプローチの優先順位付け |
| 求める粒度 | 企業単位の財務・信用情報を深く | 企業に加えて組織・部署単位まで。誰に連絡するかまで |
| 求める鮮度 | 直近の決算・信用状況が正確であること | 求人・ニュースなど直近の動きが日次で反映されること |
| 主な利用 部門 |
審査・経理・法務・購買 | 営業・インサイドセールス・マーケティング |
帝国データバンクや東京商工リサーチと契約している企業でも、営業部門がSalesNowのような営業データベースを併用しているのはこのためです。与信の深い情報と、アプローチ先を探すための広い情報は、同じデータで両立させにくい性質を持ちます。
SalesNowが担う工程
帝国データバンクや東京商工リサーチが担うのが取引可否を判断する工程だとすれば、SalesNowが担うのは営業活動の入口にあたる工程です。
SalesNowは国内1,400万件超の企業・組織データを収録したAI企業データクラウドで、企業データベース収録件数No.1・法人網羅率No.1(※)の網羅性を土台に、ターゲット選定とアプローチ先の特定を支えます。
データの更新頻度は日次230万件以上、データソースは100万件以上にのぼります。求人・ニュース・プレスリリースといった企業の動きは、アクティビティ通知として配信されます。導入企業では商談数2.3倍、工数削減8.6時間/人という成果が報告されています。
※2025年10月期_企業データベースにおける市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
信用調査会社のデータと重複しない要素として、次の3点があります。
- 組織・部署単位の到達情報:部署直通電話番号と組織図を提供し、代表番号を経由せずに担当部署へ接触できる
- 活動シグナル:求人の出稿やニュース配信といった直近の動きを検知し、「今アプローチする理由」を可視化する
- 独自のJCコードを基準とした名寄せ・情報付与:SFA/CRMに蓄積された取引先データの統合と情報の付与を、リスト作成と同じ基盤で行える
与信の判断は信用調査会社の情報で行い、アプローチ先の選定と接触はSalesNowで行う——このように工程で分けると、それぞれの情報の強みを打ち消さずに使えます。
なお、取引開始前のコンプライアンス確認については、与信とは別のプロセスとして設計が必要です。
確認の対象範囲と証跡の残し方は「反社チェックのやり方6つの方法|手順・対象範囲・頻度と証跡の残し方」で、ツールを使って仕組み化する方法は「反社チェックツール比較10選|タイプ別の選び方・API連携・料金」で解説しています。
SalesNow MCPで自然言語×企業情報の収集を実装する
2026年に入り、企業情報の集め方は「検索画面で条件を組み立てる」形から「AIに自然言語で依頼する」形へ移りつつあります。信用調査会社のレポートを読み解く作業と並行して、AIから直接企業データを呼び出せるかどうかは新しい判断軸になりました。
これを可能にするのがMCP(Model Context Protocol)です。SalesNow MCPを接続すると、ClaudeなどのAIアシスタントから直接1,400万件超の企業データにアクセスでき、企業の特定・属性の確認・直近の動きの要約までを1つの会話で完結できます。
ユースケース①:取引先候補の基礎情報を会話で揃える
「この会社の所在地・設立年・従業員数・直近の求人動向をまとめて」と依頼するだけで、商談前や審査前に押さえておきたい基礎情報が一度に揃います。信用調査レポートを読む前の下調べを、担当者ごとにばらつかせずに進められます。
ユースケース②:取引先リストの法人番号を一括で特定する
「このリストの企業名と所在地から法人番号を特定して、重複している行をまとめて」と依頼すれば、表記揺れを含む取引先リストの整理を会話で進められます。同一企業かどうかの判定にはSalesNow独自のJCコードを使い、法人番号も併せて取得できます。
信用調査の照会や統計との突き合わせは、法人番号で揃っているかどうかで作業量が大きく変わります。
ユースケース③:業界の動きを条件を変えながら確認する
「首都圏の従業員100〜300名の製造業で、直近3カ月に採用を増やしている会社を抽出して」と依頼すれば、条件を変えながら母数の変化を確かめる作業を会話のまま繰り返せます。市場の動きを掴むための試行錯誤を、画面操作なしで短時間に回せます。
MCPの接続手順と実際の使い方は「Claudeで法人検索する3つの方法|MCPで1,400万社にアクセス」で詳しく解説しています。
まとめ
東京商工リサーチとは何か、帝国データバンクとの違いはどこにあるかを、両社の公式情報をもとに整理しました。要点は次の通りです。
- 東京商工リサーチは1892年創業・1933年設立、帝国データバンクは1900年創業・1987年設立。いずれも120年を超える業歴を持ち、全国に80カ所超の事業所を構える
- 調査の進め方は両社とも訪問調査を軸に据えており、「現地で確認する」という方針はどちらか一方の特徴ではない
- データの公表方法が異なる。東京商工リサーチは国内1,000万件超・全世界6億件超と件数で、帝国データバンクは日本企業のデータ網羅率70%と網羅率で公表している
- 倒産集計の対象範囲が公式に異なる。帝国データバンクは倒産4法による法的整理に限定し任意整理を含めないと明記、東京商工リサーチは倒産を法的倒産と私的倒産に大別したうえで負債1,000万円以上を対象とする
- 総務省統計局も「いずれの調査についても対象とする範囲が異なりますので、注意が必要です」と注意喚起している。統計を引用するときは出典を必ず併記する
- 評価指標は両社とも100点満点の評点を公表。加えて東京商工リサーチは向こう12カ月の倒産確率を示すリスクスコア、帝国データバンクは1年以内の倒産リスクを示す倒産予測値を持つ
- 選定は優劣ではなく目的で決める。既存調査データの有無、課金モデル、社内基準への組み込みやすさを実データで検証するのが近道
- 信用調査の情報は「取引してよいか」を判断する工程、営業データベースは「どこにどう接触するか」を決める工程。役割が異なるため併用が成り立つ
SalesNowは、国内1,400万件超の企業・組織データと独自のJCコードを基準とした名寄せ・情報付与に加えて、部署直通電話番号・組織図・活動シグナルまでを1つの基盤で提供します。
帝国データバンクや東京商工リサーチの情報で与信を判断し、アプローチ先の選定と接触はSalesNowで行う——この工程分担を前提に、営業側のデータ基盤を整えたい組織は検討の候補に加える価値があります。