調査概要
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年3月10日時点) / X軸: 求人構成比(2026年2月)、Y軸: 成長企業率、バブルサイズ: 従業員数規模 / 点線は各指標の中央値
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年3月10日時点) / IT業界と建設業の求人構成比・成長企業率を対比
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年3月10日時点) / 主要10業種の成長企業率ランキング(成長企業率 = 従業員増加企業 / (増加+減少企業) × 100)
Key Findings
4象限マトリクスで見る「人材吸引力」格差
求人構成比(どれだけ積極的に採用しているか)と成長企業率(実際に人が増えているか)を掛け合わせると、業種ごとの人材獲得の「効率」が見えてくる。
注目すべきは、求人を出す量と人材が増える量は必ずしも比例しないという点である。IT業界や医療・製薬・福祉は求人構成比に対して成長企業率が高く、採用した人材が組織に定着していることが示唆される。一方、建設業や小売・販売は求人を出しても成長企業率が50%を下回り、採用が組織の成長に直結していない構造がうかがえる。
| 象限 | 業種 | 求人構成比 | 成長企業率 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 成長 | IT | 4.2% | 51.7% | 少ない求人で効率的に成長 |
| 成長 | 医療・製薬・福祉 | 5.8% | 50.3% | 社会需要に支えられた安定成長 |
| 空回り | 建設・工事・土木 | 3.8% | 45.1% | 採用しても定着に課題 |
| 空回り | 小売・販売 | 4.8% | 44.9% | 高離職率の構造的課題 |
| 吸引 | コンサル | - | 50.4% | 求人少でも人材が集まる |
| 縮小 | 機械系 | - | 45.2% | 市場全体が縮小傾向 |
| 縮小 | 製造 | - | 44.7% | 縮小企業が成長企業を上回る |
出典: SalesNow DB(2026年3月10日取得) / 求人構成比は2026年2月の全求人掲載数1,590,352件に対する割合。成長企業率は従業員増加企業 / (増加+減少企業) × 100
IT業界の「人材吸引力」 — 同水準の求人で成長率に6.6ptの差
IT業界と建設業は求人構成比がそれぞれ4.2%と3.8%で近い水準にある。しかし成長企業率を比較すると、IT業界が51.7%に対し建設業は45.1%と、6.6ポイントの差が開いている。
IT業界
従業員数: 約136万人
成長企業: 5,102社 / 縮小企業: 4,766社
建設・工事・土木
従業員数: 約365万人
成長企業: 41,022社 / 縮小企業: 49,969社
IT業界では成長企業が縮小企業を336社上回るのに対し、建設業では縮小企業が成長企業を8,947社上回る。雇用規模が約2.7倍の建設業で、これだけの「純減」が発生していることは、業界の構造的な人材流出を示唆している。
「人手不足産業」の構造的課題 — 従業員714万人を抱える3業種が軒並み成長企業率50%割れ
建設・工事・土木(約365万人)、運送・物流・輸送(約196万人)、製造(約153万人)の3業種は、合計で約714万人の雇用を抱える。これは本レポートの分析対象10業種の従業員合計の約37%に相当する。
しかしこの3業種はいずれも成長企業率が50%を下回り、縮小企業が成長企業を上回っている。特に建設業では縮小企業が成長企業を約9,000社上回り、製造業では約2,400社上回る。
| 業種 | 従業員数 | 成長企業 | 縮小企業 | 差分 | 成長企業率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設・工事・土木 | 3,648,051 | 41,022 | 49,969 | -8,947 | 45.1% |
| 運送・物流・輸送 | 1,964,030 | 9,295 | 10,360 | -1,065 | 47.3% |
| 製造 | 1,533,773 | 9,837 | 12,193 | -2,356 | 44.7% |
| 3業種合計 | 7,145,854 | 60,154 | 72,522 | -12,368 | 45.3% |
出典: SalesNow DB(2026年3月10日取得) / 従業員数は社会保険被保険者数ベース。成長企業率 = 成長企業 / (成長企業 + 縮小企業) × 100
市場環境との照合
SalesNowのデータが示す「人手不足産業の構造的縮小」は、以下の政府統計・調査と整合する。
- [D] 厚労省: 有効求人倍率 1.18倍(2026年1月)。建設業の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回る5倍台で推移しており、慢性的な人材不足を裏付ける
- [D] 総務省 労働力調査: 就業者数6,700万人(2025年平均)。SalesNowの分析対象10業種の従業員合計約1,971万人はこの約29%に相当する
- [D] 国交省: 建設業就業者数は1997年のピーク685万人から約47%減少。高齢化率(55歳以上比率)は約36%で全産業平均を大幅に上回る
[E] 反対解釈: 成長企業率の低さは、必ずしも「人が集まらない」ことだけを意味しない。建設業では一人親方の法人化や外国人技能実習生の受入拡大など、従来の雇用統計に表れにくい人材確保の動きもある。また、DXによる省人化投資が進んでいる企業では、従業員数の減少が生産性向上の結果である可能性もある。本データは社会保険被保険者数ベースのため、こうした構造変化を完全には捉えていない点に留意が必要である。
リサーチノート
- 本レポートの従業員数は社会保険被保険者数に基づく。派遣社員(派遣元でカウント)、業務委託、フリーランスは含まれないため、実際の「働き手」の総数とは乖離がある
- 成長企業率は企業数ベースの指標であり、大企業1社の大規模採用と中小企業100社の少人数採用を等価に扱っている。従業員数の加重平均とは異なる結果になりうる
- 求人構成比は延べ件数ベースであり、人材業の求人(紹介・派遣案件の媒体掲載)が34.5%を占める構造的特性がある(Data Flash Vol.1で詳述)
- 業種分類はSalesNow独自のタクソノミーに基づくため、総務省の日本標準産業分類とは区分が異なる
このデータを引用する
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年3月)
株式会社SalesNow (2026)「SalesNow Data Flash Vol.2: IT人材の奪い合い、建設では1万社が人手不足で縮小 — 560万社分析で見える採用格差5.6倍の実態」SalesNow Data Lab, 2026年3月10日. https://salesnow.jp/insights/data-flash-vol-2/
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