調査概要
出典: SalesNow調べ(2026年4月20日時点)/ TDB「全国企業倒産集計 2025年報」/ 新設法人数(2024年比)と倒産件数の年次推移。新設法人はSalesNow集計、倒産は帝国データバンク発表値
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月20日時点) / 15業界の成長企業率。50%を超える業界はITのみ(50.1%)
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ / 2月版(2026-03-10公開)vs 3月版(2026-04-20公開)の成長企業率比較。上位6業界を抽出
Key Findings
創業は過去最多を維持、倒産は12年ぶりの1万件超 — 新陳代謝の第1フェーズ
2025年の新設法人数(SalesNow集計)は159,897社で、2024年の154,719社を5,178社上回り、前年比+3.3%で過去最多を更新した。東京商工リサーチの2024年データ(153,938社、前年比+0.3%)からさらに上積みした水準である。
参入(創業)
2025年: 159,897社(過去最多)
2026年Q1: 36,870社(前年同期比-6.6%)
退出(倒産)
人手不足倒産が過去最多を更新
労働市場の逼迫が既存企業の存続に直接影響
帝国データバンクの2025年企業倒産集計では、件数が10,261件と2013年以来12年ぶりに1万件を超えた。特に「人手不足倒産」が過去最多を更新しており、労働市場の逼迫が既存企業の存続に直接影響している構造が浮かび上がる。創業の増加と退出の増加が同時に発生する状態は、企業の新陳代謝が加速する第1フェーズに該当する。
ただし、2026年Q1(1-3月合計)の新設法人数は36,870社で前年同期比-6.6%と、2025年までの増加基調から反転の兆しを見せている。過去最多水準の維持と足元の減速が併存する段階に入っており、2026年通年の方向性はQ2以降のデータで判断する必要がある。
成長企業率50%超は3業界→1業界に縮小 — 既存企業側で雇用縮小が加速する第2フェーズ
既存企業の雇用動態に注目すると、2026年3月時点で業界別成長企業率(従業員がYoYで増加した企業の割合)が50%を超えた業界はITのみ(50.1%)となった。2月版では3業界(IT 51.7%、コンサル 50.4%、医療・製薬・福祉 50.3%)が50%を超えていたが、コンサルと医療・製薬・福祉が50%を割り込み(48.0%、48.6%)、「過半数の企業が雇用を増やしている」状態が3業界から1業界に縮小した。
| 業界 | 2月版 成長企業率 | 3月版 成長企業率 | 差分 | 3月版 判定 |
|---|---|---|---|---|
| IT | 51.7% | 50.1% | -1.6pt | 唯一50%超を維持 |
| コンサル | 50.4% | 48.0% | -2.4pt | 50%割れ |
| 医療・製薬・福祉 | 50.3% | 48.6% | -1.7pt | 50%割れ |
| 外食 | 50.0% | 47.7% | -2.3pt | 縮小側に転落 |
| 運送・物流・輸送 | 47.3% | 46.3% | -1.0pt | 縮小側で維持 |
| 人材 | 47.6% | 46.2% | -1.4pt | 縮小側で維持 |
出典: SalesNow DB(2026年4月20日取得) / 業界別成長企業率の月次変化(2月版 vs 3月版)
注目すべきは、15業界中14業界で成長企業率が低下している点である(微増の業界なし)。ITも51.7%→50.1%と1.6pt低下しており、唯一50%超を保っているものの、縮小企業が急接近している。外食は50.0%→47.7%と特に大きな低下幅を示した。業界横断的に「雇用拡大の勢い」が弱まっており、新規参入の増加とは逆方向の動きが既存企業側で進行していることがうかがえる。
二極化の第2フェーズに入った可能性 — Q2以降のデータで構造的転換かを判断
2025年に観測された「創業過去最多 × 倒産12年ぶりの1万件超」という二極化構造は、2026年に入り新しい局面に移行している可能性がある。Finding 1で見た通り、2025年通年の新設法人は+3.3%で過去最多を維持した一方、2026年Q1は前年同期比-6.6%と明確に反転した。加えてFinding 2で見た通り、既存企業の成長企業率50%超は3業界から1業界に縮小している。創業側の増加ペースが鈍化しつつ、既存企業の雇用縮小が加速する構造である。
この変化を「二極化の第2フェーズ」と仮称するならば、以下の3つの論点が成立する。
| 論点 | 2025年までの構造(第1フェーズ) | 2026年3月版の構造(第2フェーズの兆候) |
|---|---|---|
| 創業側 | 新設法人は過去最多を更新、+3.3%の増加基調 | 2026年Q1は前年同期比-6.6%に反転、増加基調が途切れた |
| 退出側 | 倒産10,261件で12年ぶりの1万件超、人手不足倒産が過去最多 | TDB 2026年データは未発表。ただし雇用縮小の広がりは退出圧力の増大を示唆 |
| 既存企業 | 3業界で成長企業率50%超、雇用拡大の裾野があった | 50%超はITのみに縮小、14/15業界で成長企業率低下 |
この解釈にはいくつかの反証可能性がある。第一に、新設法人の2026年Q1の-6.6%は2025年Q1の+2.1%が高すぎた可能性もあり、2024年Q1比較では-4.6%にとどまる。季節要因や2025年Q1の特殊要因を除いた「真の趨勢」は4月以降のデータで判断が必要である。第二に、既存企業の成長企業率の低下は、業界単位で見ると4月以降の新年度予算反映で回復する可能性もある。第三に、SalesNowのデータは社会保険被保険者数ベースであり、業務委託・フリーランスの増加を捕捉できない。働き方の多様化が進む中で、「成長企業率の低下」を単純に「雇用縮小」と同一視することは適切でない。
市場環境との照合
本Findingの解釈を裏付ける外部統計・調査を以下に示す。
- TSR(東京商工リサーチ): 2024年新設法人数 153,938社(過去最多、前年比+0.3%)。2023年の+0.3%からほぼ横ばいで、伸び率の鈍化は2023年以降のトレンドとして認識されていた
- TDB(帝国データバンク): 2025年倒産10,261件(12年ぶり1万件超)。人手不足倒産が過去最多を更新、労働市場の逼迫が既存企業の存続を圧迫
- 厚労省「一般職業紹介状況」: 有効求人倍率 1.18倍(2026年1月、前月比-0.02pt)。求人市場全体がやや低下傾向
- TDB「2025年の経営計画に関する企業意識調査」(2024年12月発表): 「人員強化が最優先」と回答した企業90.2%。採用意欲自体は依然として高い
反対解釈: 「採用意欲90.2%」と「成長企業率50%超=1業界のみ」という数字の乖離は、「出したい求人」と「実際に採れる企業」の差が拡大していることを示す。必ずしも企業側の採用意欲が減退しているわけではなく、構造的な労働力供給制約の中で「採れる企業」が集中している可能性がある。この場合、二極化の第2フェーズは「大手集約化の加速」として解釈することもできる。
リサーチノート
- 新設法人データはSalesNow独自の法人番号指定日ベース集計(2025年通年159,897社)。東京商工リサーチの登記日ベース集計(2024年153,938社)とは約+0.5%の差異があるが、これは集計基準の違いに起因する
- 倒産件数はTDB発表値の引用。SalesNow自身は倒産統計を独自発表していない。倒産と新設は集計主体が異なる点に留意が必要である
- 成長企業率はSalesNow独自指標で「従業員数が前年同月比で増加した企業の割合」。従業員数に変化がない企業は母数から除外される。社会保険被保険者数ベースのため業務委託・フリーランスは含まない
- 業界分類はSalesNow独自の30区分体系のうち、従業員データが豊富な上位15業界を分析対象とした。日本標準産業分類(JSIC)とは対応が異なる場合がある
- 本レポートは公開情報に基づく独自分析であり、特定企業の信用評価や投資判断を目的としたものではない
このデータを引用する
出典: AI企業データプラットフォーム「SalesNow」調べ(2026年4月)
株式会社SalesNow (2026)「SalesNow Data Flash Vol.4: 新陳代謝の加速 — 創業過去最多と雇用縮小の同時進行、成長企業率50%超はIT一強へ縮小」SalesNow Data Lab, 2026年4月20日. https://salesnow.jp/insights/data-flash-vol-4/
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